side槍田日巡璃
「呼び方は良いけど……舎弟……?」
「オス!姉さんのヒーローとしてのあり方に惚れたんス!自分!何でもするんで舎弟にしてくださいッ!!」
土下座ァ!!躊躇無さすぎるよ!?
「ちょちょちょ!?頭上げて!?」
「無理っス!姐さんから返事があるまで上げないっス!」
「えぇ!?」
ど……どうしよ……紅姫ちゃん悲しませる訳にはいかないけど……舎弟はなんかヤだよ……
「あの……えと…………その……」
どうしようか悩んでると……
「……はぁ〜……オイ紅。槍田先輩困ってるだろ。」
ゲシッと土下座してる紅姫ちゃんのおしりを蹴る愛芽茘ちゃん。
「あた!?」
「お前憧れの先輩困らせに来たのかよ。」
「ちっ……そんなことねぇよ!!」
「姐さ〜ん……舎弟って古いっすよ〜……」
「姐さんもそーゆーの嫌いじゃないですか……なんで相手には要求してるんすかぁ?」
「いや!それはっ……!!」
思わぬ援護射撃と、こちらを困ったように見る紅姫ちゃん。
うーん…………
「……舎弟は……やだな?」
「そんなっ……!!」
紅姫ちゃんがこの世の終わりみたいな顔をする。いや……えと……
「バカ。舎弟『は』っつったのが聞こえんかったんか。」
「……あ!」
すかさずフォローを入れてくれる愛芽茘ちゃん。ありがたいねぇ……
「うん。出来れば普通の先輩後輩くらいが……私は嬉しいな?」
「姐さん……!なんて懐の深ぇ人だ!!」
「「「……」」」
「くぅ〜!!一生ついて行きます!!!」
「あ…………うん。」
後で愛芽茘ちゃんに聞いてみたんだけど、紅姫ちゃんは頭はいいんだけど、言動行動がアホすぎて周りからマスコットみたいに見られてるらしい。だからこそ慕われてるところもあるんだって。
ちなみに愛芽茘ちゃんも紅姫ちゃんに助けられた人らしく……っていうか紅姫ちゃんの代になって、沢山人を助けたらしい。異形個性の女の子を。
「もちろん誓って暴力なんてしてないっス!いじめてるやつの間に入って数で威嚇するだけっス!」
「そうなんだ?」
「うちのチームは歴代NOT暴力!NOT非行!を掲げてるんで。」
「偉いねぇ……チーム?」
「そうっス!チーム名はピンクピリオドっス!」
そっかァ……だからみんなピンクの特攻服なんだ?それとPPって縫い付けてあるのはそういうこと??
「ぶっ!?」
急に隣で聞いてたおねーさんが吹き出した。
「なんすか!!」
「いやっ……そのっ……ふふふっ……うん。なんでもないわ……」
「ダセェっていうんすか!代々続く由緒正しいチームっスよ!」
「うん……知ってる!知ってる!……ふふふっ……ごめんね?」
「「「??」」」
どうしたんだろ……??
side???
「ハックシュン!!」
「どうしたのえーちゃん?」
「いえ……急にくしゃみが。」
「風邪?」
「多分そういう訳では無さそうです。」
「ふーん?」
「糸重。一応お医者様に診てもらうのは?教主様に移したら承知押しませんよ?」
「…………そうします。」
「ピンクピリオド初代総長でも風邪ひくんだねぇ……」
「………………やめてください。黒歴史です。」
side槍田日巡璃
「昔は暴力とかやってたらしいっスけど……今そんなのできないっスからね!みんなちゃーんと守ってくれてるいい子ばかりっスよ!」
「そうなんだ。偉いねぇ!」
紅姫ちゃんの頭をポンポンしてあげる。
「んへへへへ……」
「紅。ニヤケすぎ。キモイ。」
「はぁ!?姐さんに撫でられたら誰でもそうなるわ!!」
「ていうかさ。アンタ姐さん姐さん言ってるけど……アンタこれからどうするつもり?このままいくと接点無くなるよ?」
「?」
「え?今何年生なの?」
「中3っス。」
……え????
「…………受験勉強は?」
「ぼちぼちっス。」
「進路がまだ決まってないんですよ。この子バカだから。」
「ぇえええっ!?あんな勉強してたのに!?もう決めないと不味くない!?」
「っスけど……なんか行きたい場所が無くて……」
「えぇ……」
うーんと腕を組む紅姫ちゃん。
そういう子ってもしかして結構多いのかなぁ??
「うーん……でもたしかに姐さんと接点切れるの嫌だなぁ……」
「私寮だからあんまり学校の外出ないしね。」
「……うーむむむ……」
…………どうしよっか?いやなんか着いてくるの確定みたいになってるけど!?
「じゃあアンタ雄英高校行ったら?」
ポツリと愛芽茘ちゃんが一言。
「え?」
え?そんな易々……
「……そっか。そうするっス!」
「え???」
「アンタの学力なら行けるでしょ。」
「……多分?」
「そんな軽いの!?大丈夫!?」
「こいつこのナリで全国模試の順位1桁台なんですよ。」
「っス!」
「………………え???」
全国模試……1桁?
「え?凄すぎない?」
「学生の本分は勉強っスから!」
「はぁ〜……暇さえあればずーっと勉強してますからね。スマホもパソコンも持ってないんで。なんなら娯楽小説も漫画も持ってないです。」
……俗世と離れすぎてる…………まるで……
「………………修行僧?」
「言いたいことは分かります。」
「でも姐さん教えるの超下手なんすよねぇ……」
「感覚でズババーンとかバリバリーとか言うから全然分かんないです。」
「自分の頭の中にだけ公式があるというか……」
「…………」
私ってばすごい子助けたんだねぇ……
「愛芽茘ちゃんは?」
「私はパティシエやりたいんで、調理科がある学校に行こうかと。」
「へぇ〜!パティシエ!頑張ってね!」
「もちろんです。」
異形個性だからパワーもあるだろうし……パティシエって結構向いてるのでは?
「よし!そうと決まれば勉強だ!パパとママと先生に言って、しっかり受験勉強するぜ!」
「姐さ〜ん?参考書の見すぎでまた事故らないでくださいね?」
「わぁってるわぁってる!!……あ!そうだ!日巡璃姐さん!!」
「ん?」
「姐さんのおかげで先生も私の言うこと信じてくれました!!あざっす!!!」
「きちんと謝れた?」
「はい!それはもう!!」
いい笑顔。ホント良かったなぁ♪
「よーし勉強勉強!目標ができたぞ!!ワクワクしてきた!!」
そのままチームメイトちゃん達を連れて公演を出ていく紅姫ちゃん。…………自由人だなぁ。
「ハァ………………すみませんお二人さん。紅姫こうなっちゃったら周りが見えなくなっちゃうんで……ご協力ありがとうございます。」
「……愛芽茘ちゃんも大変だね。」
「ま…………こういう役回り嫌いじゃないんで。」
愛芽茘ちゃんがニカッと笑う。愛芽茘ちゃんもいい笑顔じゃん!
愛芽茘ちゃんが紅姫ちゃんたちの後ろ姿を追いかけて行った。
「……すごい子だった……」
「日巡璃ちゃんの周りにいると飽きないわね?」
「……それっていい意味で言ってる??」
「ふふふっ……あ。そういえば今月中少しだけ雄英空けるから。ファットガムと短期間だけどチームアップ組むんだよね。」
「え!?保健室どうするの??」
「ん?その間は授業が座学いっぱいになるよ!」
「…………うへぇ……」
「……ま。無茶しないこと。いいわね?」
「……はーい。」
その後雄英までふたりで歩いて帰った。
久しぶりにおねーさんと歩きながら喋った気がする。……なんか昔に戻った感じでいい気分!
元気湧いてきたよ!よし!足の怪我治してとっととインターンに復帰するぞ!!