side槍田日巡璃
「じゃあ次は実際に試してみましょう!」
「うん!」
ということで、放課後先生から運動場を借りて特訓を。障害物多めだけど……なんとかなるかな?
「お嬢様!ファイトです!」
「ん!ん!」
「あんまり無茶するようなら止めるからね〜。」
一応流水おねーさんに声掛けて来てもらった。初めてのことするからね。昨日大阪から帰ってきたみたいだけど……疲れてるのに無理言ってごめんね?
「いくよー!!」
足の裏に粘液を……
「!」
……うん。なんとなくだけど……
「行ける……よいしょお!!」
ずるぅっ!
進めな……!?転ぶ!?
「あれぇ!?!?」
「っ!!」
パシッ
急に視界が動かなくなったと思ったら、おねーさんに抱き止められてた。
「危な……日巡璃ちゃん何してるの??」
「おねーさんありがとう!」
あちゃぁ……まずは失敗か……
「駆けつけるの早すぎ……!?」
「なるほど……あのような動きと判断がパトロールでも活かされていると……」
「……ん。凄い。」
「ふーむ……移動速度向上のために色々試してるのね?」
「うん!まずは滑ってみようかなって!」
「試しにやってみて?」
「うん!……でも滑っちゃったなぁ?」
「当たり前よ。速度をつける前に滑ってたら意味ないわよ?」
「あ!そっか!!」
スケートの感覚で行ってた。そうだった。地面は普通滑らないよ。
おねーさんからのアドバイスを貰ったので、とりあえずやってみよう。
「いくよー!!」
走って……ある程度速度が乗ったところで!
「今っ!!」
滑り始める!!
ぐんぐんと速度が上がっていく。身体への負荷も今のところ少ない。
カーブも、難なく行ける!
「すごい!出来てるわよ日巡璃!!」
「お嬢様!成功です!!」
「やった!いえーい!!」
みんなから声をかけられたので手を振る。
「ひまひまっ!前!!」
「え?」
目の前に鉄柱!?
「それに張り付きなさい!!」
「っ!!はい!!!」
今はおねーさんからの指示に従う。こういう判断が咄嗟にできるのがプロヒーロー。差を感じる。……油断してた私が悪いんだけどね??
飛び上がって手で張り付く。でも速度が殺しきれずに身体が遠心力で大きく回る。
勢いを殺しきれない。
「ふぐううっ!?」
……ん?
…………あれ?これってもしかして……使えない?
速度を殺そうとせず、力いっぱい身体を振り回してそのまま手を離す。
「日巡璃ちゃん!?!?」
そして別の柱に飛び移り、また身体を回して速度を保ったまま着地。また滑り始めた。
「いえーーーい!!!」
実戦投入できそう!!よーし!!インターンの時頑張っちゃうぞ!!!
「速度維持だけじゃなくて……立体機動まで……成長が早いとはいえ………………はぁ……心臓いくつあっても足りないわ……」
「先生。分かります。」
「……日巡璃ちゃんのこと……本当の本当にお願いね?」
「「「はい。」」」
「あれ?槍田じゃん!」
「およ?」
訓練場から帰る途中、声をかけられた。
「あれ?暴例くん!それと天野くん!」
暴例 暴威(あばれ ぼうい)くんと天野 岩融(あまの いわと)くん。どっちもA組の子。
対抗戦では天野くんが愛ちゃんチームと、暴例くんがカナと天捻ちゃんチームと戦ってたよね。
「ふたりともこんな時間まで何してたのよ。」
「彼女連れだったのか!声かけてごめんな!」
暴例くんが謝ってくれる。
「いいよぉ。別にそんなんじゃ怒らないし。」
「ははは。……暴例の勉強見てたんだよね。騎士道と加刀と一緒にね。」
「そうなの??大丈夫?」
「ははは!任せろ!!」
「暴例はなんだかんだ飲み込みが早いから楽だよ〜。」
……暴例くんA組勉強会も来てなかったよね?結構頭いいのかな?
聞くところによると騎士道くんと加刀くんは、電車の都合もあってちょっと早めに帰っちゃったらしい。暴例くんと天野くんは徒歩なので結構無理がきくって。
「明日から俺よ!インターン始まるからな!勉強で遅れる訳にはいかねぇよ!」
「そうなの?」
「おう!インゲニウムのところ行くんだぜ!!」
「へー!」
インゲニウムって……1回デク先生の授業で来てくれたよね!すっごくかっこよかったなぁ!
「すごい場所に行くのね?」
「おう!子供の頃からの憧れなんだ!人は変わっちまったけど、憧れる対象としては変わんねぇよ!!」
「ご立派です。」
「うはは!」
暴例くんめっちゃいい子なんだよね。周りから聞いてる限り。言動が素直でやさしいって。A組の子達が言ってた気がする。
「あはは。暴例。あんまりはしゃいじゃダメだぞ。」
「んあ!そうだな!明日のためにしっかり休まねぇとな!!」
天野くんが暴例くんのブレーキになってくれてるのかな?いいコンビかもね!
「じゃ僕達帰るから。槍田さんたちもまたね。」
「ばーい!」
ふたりが手を振ってきたので振り返してあげる。
「仲良しね。」
「いいことだよ〜♪」
「暴例様、同級生の女子から人気みたいですよ。」
愛ちゃんがノートを開いて何やら読んでるみたい。
「何見てるの?」
「ほかの方の情報です。他所に失礼があってはいけませんので。」
「へぇ〜……」
マメだねぇ?
「私のことは?」
「頭に入っております。書く必要もありません。」
「……んへへへ。」
聞いてみといてなんだけどなんか照れるね!
「私たちは?」「ん!」「?」
「…………黙認します。」
これは頭に入ってる。間違いない。
「ふっ!!」
「!」
そしてインターンの日。私はショートに引き離されず着いていけていた。
よし!滑れてる!!ちゃんと人が居ないビルの上だけど!!
しかも……ショートに追いついてる!!
ぐんぐん速度をあげて、異変を見つけたら壁伝いに降りていく。
へへへ!もうショートにだけいい顔させないもんね!!
佳舞ちゃんにコスチュームを新調してもらって、水を積載できる場所を増やした。命綱です!粘液いっぱい使っちゃうからね!
それだけじゃない。靴をケガしないように太ももまであるブーツサンダルにしてもらった。スケスケだけど、私の個性のことと防御力を両立した結果。しょうがないよね!
あと……大きめのマントを貰った。って言うかポンチョ?
この時期は寒いだろうからって。……暖かいね。
それよりも!!この速度に慣れることが出来れば、より早くより多く異変を察知できる!あとはこの移動が無意識に出来て、もっと見ることに思考を割くことが出来ればベスト!
「新生槍田日巡璃!行きます!!!」
「……ふっ。」
私の新しいスタイル!速度特化!
最高級の環境で体に馴染ませるんだ!!