side???
「流水サン。例のやつらに絡まれたってホントっすか?」
「ええ。ボイスレコーダーもあるわ。聞く?」
「……いやいいっす。こういう時の流水さん疑う余地ないんで。」
「そう。……多分監視カメラもあるから映像には残ってるわよ。どこまで鮮明に写ってるかわかんないけど。」
公安の近くにある、個室のある喫茶店。ふたつの人物が向かい合って座っている。
ひとりは見た目の幼い女性。もうひとりは草臥れた金髪の男性。
「……一応確認だけしてみるっす。」
「お願いね。私は尋問があるから。」
「尋問じゃないっすよ。」
「そうだったわね。お話……ね?」
「そうっす。」
どこか物騒な会話をしているが、ふたりの砕けた空気感はそれをあまり感じさせない。
「それと……ガスマスクにも会ったわ。」
「…………ハァ……なんか憑かれてるんじゃないすか?」
「お祓いにでも行こうかしら。」
「いい場所紹介するっすよ?」
「公安委員長にでもなればそういう場所にもコネができるの?」
「……はは。そういうのにも縋りたくなる時があったんすよ。」
「くだらな。」
「酷いっすねぇ?」
男がカップのコーヒーを飲み干す。
「……それで。警備は?」
「やってもらってるっす。んでも……俺らほど気配察知できる方は居ないんで、どれだけ情報抜き取られてるか不明っす。」
「まぁそれは良いでしょ。その件もあってこっちで話してる訳だし。」
「……こういう時に公安の教育が役に立つの……ちょっとだけ嫌ですね。」
「そう?私は結構楽しいけど。」
「流水さんの場合は特殊なんすよ。」
「……まあいいわ。それよりも……あいつらの言ってることでちょっと不可解なことがいくつかあってね。」
「……聞かせてもらっても?」
女性は胸元からボイスレコーダーを取りだし、内容を男の聞かせる。
「…………なるほど?」
「生身。個性下。G様。…………まぁ繋がるわよね。」
「……誰かの個性でこちらにワープさせられてるって事っすか……ただそれを使うと本人の戦闘能力が落ちる……と。」
「そういうことで間違いなさそうね。ただガスマスクがこんな情報吐いてきたってことは……」
「知られても問題ないということ……っすよね?」
女性が頷く。
「……舐められてますね。」
「とてもね。」
「総力をあげて捜索したいところっすが……生憎何もヒントがないのがキツいっすね。」
「ナイトアイにも調べて貰ってるけど……芳しくないわね。……はぁ。しょうがないとはいえ……何のためにショートに頼んで日巡璃ちゃんのインターン受けてもらったんだろ……」
「仕方ないっす。相手の個性が未だ不明っすから……神出鬼没で個性不明は対処のしようがないっす。」
「……そもそもこんなに探しても見つからないのが意味わかんなくない?」
「…………」
男性が頭を抱える。
「別世界に移動してるとかしか説明つかないわ。」
「……夢物語っすよ。」
「……それが出来るやつが居たでしょ。」
「…………元敵連合の白灘睦月っすか。」
「ええ。あいつの個性は自らのセーフティーゾーンに触れたものを送る個性。まさに別世界だったわ。」
「……そうなると…………別世界もあながち間違いではない……すかね?」
女性が飲み物を飲み干す。カランと音を立てて氷がグラスの中で回る。
「憶測だけで物事を語るのは良くないわ。確証を得ないと話が進まない。」
「そうすね。とりあえずこちらは監視カメラ漁ってみるっす。」
「おねがい。こっちもできる限り情報引き出してみせるわ。」
「っす。」
男性がいそいそとバッグを持って立ち上がると、女性が告げる。
「払っとくから行っていいわよ。」
「え!?流水さんがやさしい……明日雪でも降るんじゃないっすか!?」
「ぶっ殺すわよ。」