side槍田日巡璃
「……!ショート!失礼します!」
「!」
パトロール中、ショートと離れて着地。
「おばあちゃん!お手伝いしますよ!」
「あら。ありがとうねぇ。」
「はい!荷物持ちますね!」
大荷物で大変そうなおばあちゃんを見つけ、横断歩道を一緒に渡ってあげる。
別れたあと、またビル壁を登りショートに合流。
「ふう!お待たせしました!」
「……目が慣れて来たか。」
「はい!」
「……いい兆候だ。これからも頑張れ。」
「はい!」
あれから数日、ほぼ毎日インターンに行っている。
滑る動きにも慣れてきて、それに伴って視界の使い方も段々とわかってきた。
まだショートより早く動いたり、事件を早く発見できたりは難しいけど、少しづつ追いつけている気がする。
最近は事務所での書類制作もいくつかやらせてもらえてる。サイドキックの人達とも仲良くなれてる……ような気がする。うん。
「エスネイラー。あそこの家は最近できたばかりだ。」
「そうなんですか?」
「エスネイラー。あの交番の警察官の人はよく居眠りしている。」
「平和なんですね。」
「エスネイラー。この横断歩道は小学生がよく通る。注意しよう。」
「わかりました!」
それにショートもコミュニケーションをよくとってくれるようになった。最近は色んな事を教えて貰えてる。
「エスネイラー。速度を落とす時は重心を少し落として後ろに倒すんだ。そしたら体へ負荷が少ない。」
「ありがとうございます!やってみます!」
「エスネイラー。全体を満遍なく見るんだ。異変に気付くには毎日自分の街で何が起こっているかいち早く把握するんだ。」
「はい!!」
少しでもいい。欠片でもいい。自分の糧にできることは吸収する。ショートみたいになるためにはまだまだ時間がかかりそうだけど、難しいことを全部言語化してくれてるんだ。
私だって出来るはず。出来るようになれる。考えて、試して、失敗して、成功して。何度だって何度だって。このインターンで確実に強くなれたと胸を張れるように。
prrr……
「あれ!?」
スマホがなってる……通話じゃない。メールかな?……けど今は無理!終わってから見よ。今は特訓特訓!!
『From カナ♡
明日休みでしょ?今日一緒にご飯食べない?パパとママが……』
ブロロロ……
「そんなに肩肘張らないで?」
「いや……だって!……ドレスコードなんて初めてだしっ!!」
「ふふ……もう♪」
インターンの後カナの車に乗せられて、あれよあれよとドレスを着せられ、いつの間にか高いレストランにご案内。
私は紺色のドレス。ヒールは足のサイズ的に履けなかったからそれっぽい靴を借りた。カナは黄色のドレス。……似合ってるよねぇ……可愛い。
それよりも!!カナが手を握ってくれてるけど……こんな場所来たことないし!緊張で身体が……がががが……
「早く行こ?パパとママが待ってる♪」
「う……うん!」
カナに引っ張られてレストランの中へ。
ど!どうしよ!!ナイフとフォークの扱いなんてまだ勉強してない!うわーん!こんなことなら勉強して置けばよかった!!!
「パパ。ママ。おまたせ!日巡璃連れてきたわよ。」
「おお。待っていたよ!カナ!」
「うふふ。早くいらっしゃい?」
個室に案内された。カナの両親が立ち上がって迎え入れてくれる。
「よっ……よろしくお願いしますっ!お久しぶりです!」
「ははは!あまり緊張しないでおくれ!久々に暇が出来たからね、みなで食事をしたいと思ったわけさ。」
「は……はひ!失礼します!」
ウェイトレスさんが席を引いてくれたので座る。
「日巡璃……もう。」
「だってぇ!!」
「ふふふ。」「ははは!」
もー……なんか慣れないよぉ……
「カナ。勉強はどうだい?」
「大丈夫よ。パパ。特に困ってないわ。困ってたら日巡璃に聞くし。」
「ありがとうね?日巡璃ちゃん♪」
「んぇ!?はい!」
「日巡璃……ほっぺにソース付いてるわよ?」
カナがナプキンで拭いてくれる。
「ありあと〜♪」
「日巡璃ちゃんの食べっぷりは見てて気持ちがいいわね♪」
「そうですか?えへへ!すごく美味しいです!」
「であれば招待した甲斐があったというものだね!」
美味しいから夢中になっちゃった……こういうのってお喋りも大切なんだよね??
「そういえばふたりともインターンよね?どうなの?」
「私は色々試せているわ。実戦経験って大事ね。」
「私もです!」
「うんうん。ならいいんだ!学園生活を楽しめてるようで何よりだよ!」
「……カナちゃんに雄英に入りたいって言われた時はびっくりしたけれど……素敵な彼女もできて……私嬉しいわ。」
「パパ……ママ……ありがと。私幸せよ。」
……カナ。
カナのこの笑顔……やっぱりすきだなぁ……いつでも胸がドキドキしちゃうよ。
「うふふ。カナちゃんったら……気が早いわよ?」
「え?」
「だってこれから同棲して、結婚して、子供ができて……もっともっと人生楽しいんだから。」
「「!」」
「まぁこれは僕らの価値観でもあるけどね!本音は君達なりの幸せの形を目指して欲しい。…………日巡璃ちゃんを呼んだのはね、改めて感謝を伝えたくて呼んだんだ。」
「感謝??」
「ああ!僕たちは忙しくてあまりカナに構ってあげられない。すごく寂しい思いをさせていると思う。……でもね?日巡璃ちゃん。君とカナが出会ってから形はどうであれ、カナの笑顔が増えた気がするんだ。本当にありがとう。」
「私からもありがとう。日巡璃ちゃん。…………初めて会った時どうだった?ふふっ。あの時のカナちゃん誰にもツンツンしてたから怖かったでしょう?」
「ママ!?」
初めて会った日を思い出す。あの時は……ふふっ。なんか嬉しくなってきた。
「…………いえ。カナはずーっと可愛かったと思います。」
「「!」」
「はぇ……?」
「初めて会った日も。初めて通話した日も。初めて一緒に授業を受けた日も。初めて告白された日も。カナは全部全部可愛かったです。可愛くなかった日なんてありません。」
「ひっ……ひま……あ……」
「私はそんなカナに救われたところがあるので……へへ。ちょっと恥ずかしいですね。こんな素敵な女性と付き合えて、私の方が幸せ者です。……このお付き合いも私の中では将来を約束しているので、カナ次第ですけど何れご挨拶に向かいますね!」
「…………」
カナに視線をやると、顔真っ赤で硬直してる。……可愛い♪えへへ。久しぶりにカウンター成功だね!
「ははははは!カナ!顔が真っ赤だぞ!」
「うふふふ。幸せ者ね?ふたりとも。」
「はい!」「………………ぅん。」
そこからは会話も程々に、食事を楽しんだ。
なんかカナから向けられる視線がいつもより熱っぽかったけど……大丈夫かな??
そしてドレスを返して帰路に着く……と言ってもカナが車で送ってくれるんだけど…………
「……♡」
カナがずーっと撓垂れかかってきている。車に乗せられた時よりもずーっっと近い。
「……カナ?どうしたの?」
「ううん。私……幸せよ♡」
「えへへ。私も♡」
「……日巡璃……♡」
カナの顔が近付く。
「カナ!?ダメダメ!荒谷さん見てるって!?」
「おやおや?私は空気かなにかだと思っていただければ。」
「無理ですけど!?!?」
「私とするの……嫌?」
「ヴっ……」
そんなこと……そんなこと……
「嫌なわけないじゃん!!!」
「ふふふ……嬉しい♡両想いね?」
「ずっと前からね!!」
そのままカナを弾き飛ばす訳にもいかず……唇をちゅっちゅと……
なんなら首と鎖骨までいかれました。さすがに服を脱がせようとしてきたのは死ぬ気で阻止したけど……
荒谷さんも止めてよ!!ニコニコしながら見学しないで!!運転席に居るのにバックミラーが大きいからよく目が合うんだよね!!
身体をまさぐられたのもあって……ちょっぴりスイッチが入っちゃった。……もうカナ……こうなったらめんどくさいんだからねぇ……?
……彼女たちに見つかったらまた絞られちゃうから……どこかで処理しよ。