side無神神奈月
「鬼丸ッ!!」
「ぐぉあっ……」
ガシャーン……
「……よし!師匠!」
「そっちも終わったかよ。」
「はい!」
「ダイナマ。こっちも終わった。」
「……ふん。」
今回のインターンも師匠が福と一緒に取ってくれた。
凄く嬉しい。師匠は言葉にしてくれるのが上手くて、私の足りない所も、惜しい所も全部言ってくれる。ありがたい。
今回は小規模の犯罪組織を潰したところ。
呼ばれたヒーローが師匠だけってどうなってるんだろうって思ったけれど、後々警察の人に聞いてみれば私達がいるからほかは要らないって師匠が言ったらしい。
師匠の期待を裏切る訳にはいかない。全力で取り組ませてもらいます。
「そういえば師匠。最近こういう仕事多いですね?」
「…………あぁ。」
師匠がそっぽを向く。こういう時は……
「なにか隠してる。」
「……福。」
「…………。」
そう。なにか隠してる。最近師匠の癖がわかってきた気がする。
「……フン。全部終わったら話してやる。」
「はい!」「約束だよ。」
「え!?ブラッドロータス先生からの頼み!?」
「あぁ。ハラセンが今手が回らねぇからそっちの手助けだと。」
「……あの先生でも手が回らない事あるんだ。」
仕事が終わり、事務所に帰って先程の件を改めて聞いてみた。
ブラッドロータス先生が今別件で忙しいのでそのしわ寄せが師匠や別のヒーローに行ってるらしい。人も時間も足りてないから実力のあるヒーローに声がかかってる……んだとか。
「あの人は……あんま詳しいこと言えねぇが、時間がかかる仕事してるみてぇだしな。」
「そうなんですか?」
「……パトロールだけじゃ学べることも少ねぇ。こういう実戦経験があった方がいいだろ。」
「……それは……たしかに。」
実際メキメキと実力をつけてきている……と相澤先生からのお墨付きがある。出来ることが増えた結果だけれど……そのきっかけは多分インターン。
いい環境とそのチャンスを掴めたのが大きい。……私って運がいいと思う。
「それに……この程度でくたばるほど腑抜けちゃ居ねぇだろ。」
「はい!」「うん。」
「ハッ!……次も期待してるぞ。今日は解散。」
「「ありがとうございました!」」
「福!褒められちゃったね!」
「ふふ。当たり前!」
帰り道、ふたりで夕焼けを背に駅へ向かう道中。
師匠のインターンに行くようになってから、インターンでも授業でもいい結果を残せている気がする。
慢心をしているつもるはない。無いけど嬉しいものは嬉しい。全てがいい方向に転がっている気がする。中学生の頃とは大違い。
「……これも福のおかげだね。」
「……え?」
「福に会えてなかったらこうはなってなかった。絶対。」
足を止め、福の両手(羽)を握る。
「そんな……カンナちゃんの努力だよ。」
「ううん。それだけじゃない。……福に出会えた事が、私の人生の転機だった。」
「……カンナちゃん!私もカンナちゃん会えてよかった!!」
福の顔が夕焼けに照らされて……すごく綺麗。
「福は……ふふ。名前通りに私に幸福を届けてくれたんだね?」
「カンナちゃん……♡私……すっごく幸せ……♡」
福が額を合わせてくる。触れ合うだけで、どこか安心する。
「ありがとう。福。私を選んでくれて。」
「カンナちゃん♡早く帰ろ?もっとくっつきたいよ♡」
「ふふ。そうね?早く帰りましょ♡」
「えへへ!早く早く♪」
「あっ!待ってよ福!」
走り出す福を追いかける。
来年も。その後もずーっとずーっと一緒に福と居たい。
でも……
「あはは!」
「ふふ♪」
この瞬間だけは……もう少し長く続いて欲しいと願ってしまった。