side今昔鏡見歳乃
「ごきげんよう。」
「今昔鏡様!ごきげんよう!」
「今昔鏡様!今日もお日柄もよく……」
少し肌寒い朝。本日は生徒会の業務の一環として、校門に立ち挨拶をする事に。
錐音副生徒会長と私と後数名、皆様の登校を出迎えます。
このように……朝から皆様と顔を合わせるというのは大変清々しい気分ですね。
「みーちゃーん!」
この声……
「……ハァ。」
ため息がこぼれた……と同時に横からの衝撃に備え分身を待機させる。
「ぶぇっ!?」
「…………あなたはもう少しお淑やかに出来ないものかしら?」
「えへへ!みーちゃん!みーちゃん!おはよおはよ!」
手足をバタバタさせながら私に笑顔を向けてくる生徒。
「……亦亘様。無理に突撃してくるのはおやめ下さいませ。他の人の迷惑になります。」
私の分身に取り押さえられてるのは、亦亘 初華(またわたり いちか)様。新学期と同時に転校してきたみたいで……同じクラスで生徒会の私が学校の案内をした結果、何故か懐かれました。
淡い青っぽい長い髪を後ろでまとめあげているので実際の長さは分からないが、あれは自分でやっているのでしょうか?お上手ですね。
タレ目で笑うと八重歯が見えて……ずっと元気でニコニコしている彼女はすぐに学園に馴染んで、今やクラスの一員同然です。
「むー……ごめんね?」
亦亘様が立ち上がったので分身を解除。
ポンポンと制服を叩きながら服装を整える。
「……よし!みーちゃんおはよ!」
「……ごきげんよう。」
「むー……おーはーよ!」
なにか不満だったのか、私に抱きついて頬を擦り付けてきた。
「なっ!?!?」
「おはよだよ!おはよ!朝はおはようございますっ……だよ!」
「っ!!わかりました!わかったから離してくださいませ!!」
この子の問題は言葉遣いもそうですが……何よりスキンシップが激しいこと。ここはとてもヒマちゃんみたいです。ですが……
ストーン……
「……似ても似つきませんわね。」
「なにがー?」
まだくっついておられる亦亘様を何とか引き剥がす。
「おはようございます。亦亘様。」
「初華でいいって!んふふ。おはよ!またね!」
手を振りながら玄関へ走っていく亦亘様。周りの方達にも全員挨拶して回ってます。
あんな子でも聖愛学院のヒーロー科に入れる位は優秀なのですよね……
「……はぁ……」
「うふふ。今昔鏡さんも大変ね?」
錐音副生徒会長が声をかけてくださる。
「…………見ていたなら助けていただいても……」
「面白いから遠慮しておきますね。」
「……」
この人は……次期生徒会長なのに……!!
はぁ……怒っていても何も変わりません。
今日も亦亘様に振り回されるのを覚悟しながら朝の挨拶を終えるのだった。