side槍田日巡璃
もぐもぐ……
「お嬢様。こちらもどうぞ。」
「愛ちゃんありがと♪」
カナパパの挨拶も程々に、パーティが始まった。
私達は相変わらず部屋の隅っこ。話に行く人も特に居ないしねぇ。遠目でカナを観察してる。
大変そうだよ?カナ。色んな人と話してて……あの人たち全員偉い人なんでしょ??お腹痛くなっちゃうよぉ……
やることもないので料理に舌鼓。こんな所で勉強の成果が出せるとは……見せる人はいないんですけど。
それどころかチラッとは見られるけどすぐ興味を無くしたみたいに視線があさっての方向へ。まぁそっちの方がありがたいけどね〜。
「……でも私はまだしもほかの3人のこと知らない人はあんまりいないと思うんだけど。」
「まぁ両親が居りませんし、そもそもカノーテス様のご両親と、私達の両親は呼ばれるような関係ではありませんので他人の空似と思われている可能性もあります。」
「なるほど……」
「ん。むしろ……話しかけてくれない方がいい……説明がめんどくさい。」
「……そうだな。基本的にまだ親の後ろ盾あっての私たちだ。子供だけではなーんの利益にもならん。話しかけてくれない方がありがたい。」
「そういうもん?」
みんなが頷く。そういうものらしい。
「……その中でも話しかけてくるとすれば、商売根性たくましい野心家か、この場を婚活パーティか何かだと錯覚している阿呆のどちらかです。」
「ほーん……出会いを求める場じゃないのにねぇ。変な人もいるもんだ。」
「よく聞くよ。……特に……自分の事……何も分かってないボンボンの子は……そう。」
「天捻ちゃん言うねぇ。」
「興味無い。」
「かまかま。注意した方がいい。」
「あ?」
「かまかまの可愛さが……世間にバレたら大変。」
「なっ……なななな!!」
佳舞ちゃんの顔から湯気が……すぐ真っ赤になるよねぇ……
「可愛い。」「可愛い。」「……」
「…………うるへぇ。」
そういう所だよ???
ま、いいや。ここのスタッフさんはカナの家の人だから全員顔見知りだし、邪険に扱うこともないから安心安心。
カナは……まだ囲まれてる。大変そう……
「……カナともお話したいよねぇ。」
「今回の主役ですから……難しいかと。」
「わかってるよ?わかってるんだけどさ?」
ちょーっと寂しい。
「……なんか無理してる感じするし。」
「……そうか?あれくらい普通じゃないか?」
「んーん。そっちの常識はよくわかんないんだけど……カナの顔がねぇ。」
みんながじーっと目をこらす。
「……言われてみれば……?」
「うん。出来ることなら助けてあげたいけど……無理だよねぇ。」
「よくわかりましたね?」
「みんなのこと大切だからね。ちゃんと見てるよ。」
ほとぼりが冷めるまで我慢かなぁ……
こういうパーティって大変なんだね。……でもカナと結婚するなら慣れておかないといけないよね。
……むむむ。もしかして私って人生結構ハードモードだったりする???
「やぁ。楽しんでくれているかい?」
「あ。パパさん。ママさん。はい!ご飯美味しいです!」
「うふふ。本当だったらカナの婚約者ですって紹介してあげたかったけどね?」
少し時間が経ってから、カナパパとカナママがわざわざ来てくれた。ちょっと目立つ。
「……ありがたいですけど、それは私たちでキチンとやりたいです。」
「そういうと思ったわ♪カナちゃんのこと選んでくれて本当にありがとうね?」
「はい!」
「それにしても……カナは人気だな。僕も鼻が高いよ。」
未だカナの周りの人だかり……消えず。
「……ちょっと嫉妬しちゃいます。」
「うふふ。言っておくわね?」
「まぁああいうのも経験しておかないとね。カナはよく捌けているみたいだ。」
「そうなんです??」
カナパパがうむ。と相槌をひとつ。それと持っていたグラスの飲み物をひとくち。
「挨拶と世間話は受け入れ、少しでも取り入ろうとする輩は緩やかにフェードアウトさせる。……ふむ。高校生になって初めてのパーティだからね。これを機にどうにかコネを作ろうとしてる人も居るだろうが……」
「それを捌いてるってことです??」
「ああ。カナは優秀だね。」
「……んふふ。」
彼女のことを褒められるとなんだか嬉しい。
「日巡璃ちゃんも何れあそこに立つのよ?」
「……そうですね。なんか緊張してきました……」
「ははは!そうなったらカナに教えてもらうんだよ?」
「……よし!」
だったらなんとなくやれそうな気がする。
「お嬢様。私もお手伝いいたします。」
「ん。」
「えへへ!よろしくね?」
佳舞ちゃんは……
「…………ふん。」
手伝ってくれるみたい。
私の周りはいい人ばっかりだなぁ……幸せ者だ。
sideカノーテス・ディミトリウ
「……はぁ……疲れた。」
やっと……やーっと人がいなくなった。
「お疲れ様ですお嬢様。夜風に当たってみては?」
「……そうするわ。」
荒谷に言われた通りバルコニーに出る。
……もうすぐパーティは終わる。欲を言うなら……日巡璃ともっと話したかった。横目でずーっと日巡璃を見てたけど……他の人に話しかけられることもなく、ご飯をパクパク食べていた。可愛い。
「ディミトリウさん。」
「?」
後ろから声をかけられた。知らない声。
振り返ると男の人。……えーっと……この人は……
「夜風に当たりに来たのですか?実は僕も〜……」
たしかパパの会社の子会社の社長の息子……だったかしら。名前が思い出せない……んーと。グイグイ来るから速攻でフェードアウトしてもらったのよね。
この人のお父さんは物腰柔らかくて好印象だったのに……なんでこんな息子が生まれるのかしら。教育が悪いの?ていうかたしか年齢は25?そんな人が高校生に手を出そうとしてるの??
いやいや。こんなこと考えている暇はなくて……名前名前……んーと????
「あの!!」
急に手を掴まれる。
「え?」
「ぼっ……僕ともっとお話しませんか!」
「…………」
この人は……何をしてるの?こういう場で親しくもないのにボディタッチなんてNG中のNG。つまみ出されても文句言えない。しかも主催者の娘に……
はぁ。この子はアウトね。しかもこの子を次期社長にしようとしてるあの会社も長くないわ。パパに言っておかなきゃ。…………とりあえずどうにかして手を離してもらって……
「カナ♪」
「「!」」
すると救いの声が……
「だっ……誰だ君は!僕が先にディミトリウさんとお話を……」
「話したいだけなら触る必要ないですよね?」
「!」
なにかに気がついたのか……パッと手を離す。
「そ……れ……に♡」
日巡璃がスルッと私の後ろへ。そして先程まで掴まれていた私の手を、後ろからキュッと握る。
「カナは私のモノなので。あなたには相応しくない。」
日巡璃が私に顔を近付ける。
「……!!」
「……日巡璃……」
心臓が高鳴ってうるさい。顔も絶対赤くなってる。恥ずかしい。
「し……失礼します。」
男の人が去っていった。
「もう……ダメじゃんカナ。気を抜いちゃ。」
「ご……ごめんなさい。」
なんか……日巡璃がいつもの何倍もかっこよく見える。月明かりと、ドレス姿と、仕草と……助けてくれた事。
日巡璃が指を絡める。
「ね。カナ。私達ともお話してよ?」
「!」
「そうだぞ。暇だったんだからな。」
「ん。やっと……私たちの番。」
天捻……愛……佳舞……
「そうね。もう時間も少ないけど……沢山お話しましょ?」
バルコニーのベンチに皆で腰掛け雑談。疲れも吹っ飛んじゃった。でもそれ以上に……
隣に座ってた日巡璃が、私の手を握りながら腰に手を回してるものだから……もうドキドキが止まらなかった。すごくかっこいいし……日巡璃のモノって……
この子はどれだけ私を夢中にさせれば気が済むの……??