※この作品はR-18です。

きっと私のアカデミア   作:おいーも

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今の鏡 これからの未来

 

 

 

 

 

 

side今昔鏡見歳乃

 

 

 

だから私はヒマちゃんとただの友達で居ようと。ヒマちゃんを諦めました。

 

 

 

……逃げたのです。

 

勝者とは程遠い。強者ができぬ逃げ。

 

自分の気持ちに向き合わず、己から逃げる。他者に強さを求めていた私が……己の足元が揺らぐ思いでした。

 

それでも背を向けたかった。向けなくてはいけなかった。

 

そうしないと私はきっと立ち止まってしまう。彼女らの背中を見て、羨ましがってしまう。ただ。まっすぐ。

 

 

あの時私は逃げずに向き合えたら。背を向けずに思いをぶつけれたら。ワガママが口から出せたら。

 

弱者だったら。

 

もう少し変わった未来に歩めたのかもしれない。

 

後悔はいつしても苦しいものです。

 

 

 

 

夏休みが明けて、私はまず聖愛学院1年ヒーロー科の改革を目標に動き出した。

 

聖愛学院を強く。私だけではなく、みなが優秀な成績を収めれるように全員の動向をチェックした。生徒会にも入った。

 

出来る限りのコネクションを使って機会を増やし、経験を与え、成長を促した。

 

動いている方が……過去の想いを忘れることができた。

 

 

雄英高校と合同授業にもありつけた。日本最高峰の授業を身をもって受けれる。こんな場面きっと二度と来ない。

 

 

結果をいえば大成功。

 

皆の意識が一段と大きく変わった。次の予定を組み込むことにも成功した。それ以前に、クラスのほかの子たちから自己推薦も相次いだ。

 

己を磨くために自ら志願する。努力が美しく、それでいて強い意志を感じた。私も心地が良かった。強さは心地いい。

 

 

 

仮免許試験も1年生の中は過半数がクリア、これは聖愛学院が始まって以来の快挙。これから聖愛学院はどんどんレベルが上がっていく。落ちたものも負けていられないと一段と日々の授業に身が入る。

 

素晴らしい。美しい。私が求めていた強さがここにある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………本当に?

 

全員が一丸となって強くあろうとする。これのどこに不安要素があろうか。

 

 

 

…………貴方は?

 

え?

 

 

貴方は。貴方は己を磨けているの?他人のことばっかり。

 

 

 

 

 

 

 

 

ふと周りを見ると……私の先には誰もいなかった。

 

 

私は誰を目標に動けばいいのか。あの時捨てた気持ちは……私の目標まで捨ててしまっていたようで。

 

 

 

 

 

 

 

 

…………無意識のうちに求めていた。

 

 

あえて朴念仁のフリをして。夏休みのときは察せられないように。今は強者を見つけるために。強者を見つけるなど……女々しい言い訳。

 

私はヒマちゃんを……槍田日巡璃の面影を探していた。ずっと。ずっと。ずっと。

 

私の枷は私の逃げを許してくれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転機が訪れたのは三学期が始まった時。

 

 

この時期の転入生。名を亦亘初華。仮免許は持っているとの事。

 

相当な実力者のはず……だが、当の本人は緊張しっぱなしで喋ることすらままならない様子。

 

私が何とかフォローに入り、結果的に私が校内を案内することに。

 

 

 

彼女の熱視線は……その頃は気が付かなかった。

 

 

次の日から彼女は変わった。まるで人懐っこい子犬。まるで……ヒマちゃんみたいに。

 

私に対してだけアプローチが顕著だった。ハグ、頬擦り、暇があったらくっついてきた。

 

私だけではないのだけれど……私にするのだけすごく長く、それでいて頻度が多かった。

 

私はもう彼女の好意に気がついていた。それと同時に、私の中に埋めていた恋心がフツフツと吹き出してきていた。

 

亦亘初華に槍田日巡璃の面影を重ねて。

 

 

 

 

 

 

 

恥を知れ!今昔鏡見歳乃!!

 

 

そんな失礼なことがあって溜まるか!1度捨てた気持ちを!別の人に乗せて!この子がまるで代用かのように……!!ヒマちゃんはヒマちゃん!亦亘さんは亦亘さん!

 

もう諦めたのに!!

 

無くした……はずだったのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……嘘。

 

 

嘘じゃない!!

 

 

 

……下手くそ。

 

 

……

 

 

 

本当は気がついてる。亦亘さんとヒマちゃんは違うって。そのうえで亦亘さんに見惚れているのも。好意的に捉えているのも。

 

そのうえでヒマちゃんを忘れられないのも。

 

貴方はどうするの?

 

 

 

 

 

 

「…………私は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side槍田日巡璃

 

 

 

「……って話。……どう?気付いてた?」

 

帰り際。ミトちゃんが私とお話したいらしいからみんなに隠れて2人だけ。

 

ちなみに愛ちゃんとカナと……聖愛学院さんたちは実はこっそり見てる。気付いてるよ??

 

「……嘘……ミトちゃんが……私のこと……」

 

「ホント。……この朴念仁。」

 

「…………」

 

 

私の前に立つミトちゃん。背を向けているので表情は見えない。

 

ミトちゃんが私を好きだったなんて。今からでも……!

 

 

「ミトちゃ……ん…………」

 

ミトちゃんが振り返る。

 

目に涙を溜めて。はにかむような。困っているかのような。そんな顔。

 

 

「……遅いわよ。何もかも。…………おバカ。」

 

「っ!」

 

私は……

 

視界が歪む。目から涙が零れているのを自覚できない程馬鹿じゃない。

 

 

「う……うわ……あああ……」

 

「ふふっ……どうして……ぐすん。……ヒマちゃんが泣くの……?」

 

「ミトちゃん……だっでぇ……!!」

 

膝が地面に着いた。私は……なんてことを……ずっとずっと……私のことを好きだった人を……!!この……私の……バカ!バカバカ!!……私……どうして気が付けなかったの!!

 

 

「ヒマちゃん……」

 

ミトちゃんが私の首に腕を回し、抱きついてくる。

 

 

「私が悪いの。意地を張って……ぐすん……ちゃんと伝えなかったから……」

 

「ミド……ぢゃん……っ!」

 

ミトちゃんに抱きつく。今思い返せば……お風呂に入れた時以来。初めてのちゃんとしたスキンシップかもしれない。

 

 

「ごべんなざい!!わだぢが!!きづいてあげられなくてぇ!!!」

 

「ヒマ……ちゃん……!!」

 

声を頑張って押し殺した。大きな声は出せない。

 

それでも謝りたかった。伝えたかった。

 

するとミトちゃんに頬を手で覆われた。

 

 

「ヒマちゃん……笑って?」

 

「んぇ……?」

 

「私……ヒマちゃんの笑顔。大好きなのよ?」

 

「ミト……ちゃん……」

 

ミトちゃんも涙いっぱいで……顔がぐちゃぐちゃだったけど、それでも笑っていてくれた。

 

……だったら。

 

「ん……んへ……こ……こうかな!」

 

「ふふふ……下手くそ。」

 

「ミトちゃんだって!」

 

何も言わず、お互いの額を合わせる。

 

 

どれくらいの時間が経ったのだろう。目を閉じ、ふたりでずっとお互いの体温を感じるだけの時間。

 

 

 

「今。この時だけ。これが終われば……私たちはまた普通のライバルに戻るの。」

 

「……うん。」

 

「……少しだけ寂しいわ。このまま今溢れる恋情のまま貴方に身も心も全部差し上げたい。」

 

「…………ダメ……だよ。亦亘さんがいる。」

 

「……冗談よ。」

 

「…………ふふ。」

 

「ヒマちゃん。私幸せよ?」

 

「……うん。私も!」

 

「…………♪」

 

 

 

 

 

ちゅ……

 

「!」

 

今……頬に……

 

 

 

ミトちゃんが静かに立ち上がる。

 

「……ふふ。私の初めてよ?光栄に思いなさい。」

 

「ミト……ちゃん……」

 

いつの間にか泣き止んで、普通のミトちゃんに戻っていた。

 

 

 

「今昔鏡ォ!!日巡璃になにやってんの!!!」

 

「オホホホホ!それではこの辺で失礼いたしますわ♪皆様!いきますわよ!」

 

脱兎のごとく逃げていくミトちゃん達。……亦亘さんは追いかけてるが正しいけど。

 

 

 

「くっ……逃げ足が早いわね!」

 

「お嬢様!お無事ですか!!」

 

「カナ……愛ちゃん……」

 

私は近くに来たふたりをゆっくりと抱き寄せる。

 

 

「日巡璃?」

 

「お嬢様?如何なさいました……」

 

「私ね。もう知らないの辞める。」

 

「「!」」

 

 

「私の無知で人を傷つけちゃうのがわかった。……わかっちゃった。私の認知の歪みで……人が傷付いちゃう。そんなの嫌だよ。」

 

私の見た目のこと。皆の気持ちのこと。評価のこと。全部全部……私は自分に自信を持ってみる。皆の評価を……素直に受け止める。

 

 

「日巡璃……」

 

「お嬢様!ご立派です!」

 

ふたりの顔は……なにか察したようで、それでいて私の背中を押してくれた。

 

 

「うん。……でもごめんね。今だけ……今だけこうさせて。」

 

ふたりをぎゅっと。そしてふたりの肩に顔を埋める。

 

溢れる涙は……今の私じゃ名前をつけれない。

 

 

へへ……またふたりに涙を救ってもらっちゃった。ありがとうね。

 

大好き。

 

 

 

 

 

 

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