side清寺愛留真子
「ね……ねぇみーちゃん?なんか……なんかおかしくない?」
「あら。なにかおかしいかしら?」
「んや……えと!いつもはそんな近くなかった気がするんだけど!?」
帰りのバスの車内。今昔鏡様が……亦亘様にくっついておられる。横にスペースが少しあるのに。
「「「「……!」」」」
もしかして……今昔鏡様……!!
ほかの御三方と目が合う。そうだ!さっきの槍田様との会話で……何かしらがあったのだ。亦亘様に真っ直ぐになれるような何かが。
槍田様の頬に口付けをしていたのは全員で見なかったことにしましょう。きっと偉大なお考えがあるはず。
目線だけで会話。ここにいる方は皆察しの良い方、目線だけで会話など造作もないことです。
それよりも……
「初華はいつもこの距離だったじゃない。」
「うぐっ……そ……そうだけど!」
「もしかして……嫌?」
「嫌じゃないっ!」
「うふふ。なら良いでしょう。」
「助けてぇ!」
それは叶えられない願いです。亦亘様。
以前とは真逆。一転攻勢の今昔鏡。こんな姿他の方に見られでもしたら………………受け入れられそうですわね??
あの方々はいい意味でも悪い意味でも妄信的なので。
手を重ね、体重を預け、会話の距離が非常に近い。口付けでもされるかのよう。
「清寺さん。」
「はい。」
「彼女は私のものです。……他に悪い虫がつかないように……よろしくお願いしますね?」
「はい。お任せください。皆も。よろしいですか?」
「はい♪」「承知しましたわ。」「任せて。」
この神命。命に変えても守り切ります。
「今昔鏡様。」
「はい。」
「よろしかったのですか。」
後悔……なさりませんか。
「……」
少しだけ目を伏せる今昔鏡様。
「……ええ。私は新しい恋に誠実に生きるのです。」
「……そうですか。そうであれば何も言うことはありません。」
今昔鏡様は強いお方。彼女がそう言うのであれば、私は受け入れるだけ。
「亦亘様。」
「なっ……なぁに??」
今昔鏡様が顔を擦り寄せておられるが……一旦言わねばならないことがある。
「今昔鏡様を裏切るようなことは……決して許しません。もしそのようなことがあれば、清寺愛留真子……今昔鏡様の身も心も奪って差し上げますので。そのお覚悟を。」
「……!!」
「清寺……さん……」
目線を外さない。これは……冗談じゃない。私の願いは今昔鏡様の幸せ。そこに恋も愛も無くても。私は今昔鏡様を幸せにできる自信があります。
「……わかったよ!絶対裏切らない!」
その表情……ふふ。
「……よろしいです。……であれば、マナーもしっかり身につけられてくださいね?」
「うっ……」
亦亘様はマナーが苦手。緊張して動けなくなってしまうらしいです。
「大丈夫よ。愛留真子さん。」
「……え?今昔鏡様?」
今……なんと……!?
「私が手とり足とり教えて差し上げますので。……ね?」
「ひっ……顔が良すぎる……」
「うふふ。今は返事が欲しいわ?」
今昔鏡様がスススと人差し指で亦亘様の顎を撫でる。
「う……うん!」
愛留真子さん……今昔鏡様から……下の名前で……!!
「良かったですわね?清寺様♪」
「はい!はい!!」
今昔鏡!!この私に一生サポートさせて下さいませ!!