side槍田日巡璃
「ただいま〜♪」
お、リザーディ達帰ってきたかな??
視線をドアに向けると、元気そうなリザーディと……不機嫌そうな亦亘さんと疲れてる他ふたり。
「「……」」
「…………♪」
何かあったなと顔を見合わせる私とインテリジェンス。あと頭を抱えるクリスちゃん。……ご愁傷様です。
「……大丈夫でした?」
「ん〜?ちょっと失敗しちゃったけど大丈夫大丈夫。」
「失敗?」
「うん。黄羅がちょ〜っと張り切りすぎちゃっただけ。」
「なるほど。」
「次は大丈夫だよね?」
「…………はい。」
リザーディの問いかけにも、亦亘さんはちょっとだけ不服そう。
何がったんだろ……聞かない方がいいかな。
「黄羅。ちょっと来れる?」
「はい。」
リザーディが亦亘さんを連れて奥の部屋へ。……うーん。
「はぁ〜……マジ疲れた。」
「もう大変やわァ……」
ふたりがガックリと肩を落とす。
「お疲れ様。大変だったねぇ?」
お水と椅子を準備してあげる。まぁ……何かしらあったんだなぁって。
「おおきに……槍田はん……」
「すまねぇ委員長。恩に着る。ごく……ごく…………はぁ……ありがてぇ……」
そこまで……????
「申し訳ありません……何があったか聞いても?」
クリスちゃん……もしかしたら胃薬いるかも。
「いいぞ。本来は俺たちふたりに着いてくるって話だったじゃねぇか。」
「そうだね。」「そうですね♪」
「そんでよ。最初は良かったんだよ。んでもさ、半分くらいからアイツが『これなら私にもできるかも!』とか言い出してよ……」
「うーん……」
なるほどぉ……増長しちゃったか……
「そんでリザーディもそれに乗っかって、道だけ教えてアイツに先導させたら……ペースは酷いわ人にぶつかるわひったくり犯見つけても緊張で動けないわで散々だったのよ。」
「「……」」
おぉ……
「その犯人は?」
「ウチらで捕まえました。ほんと……こんな疲れるパトロールは初めてやわ……」
「ああ。めっちゃ頭下げた気がするわ。」
「…………」
あぁ……クリスちゃんの顔が……どんどん真っ青に……
「本当にっ……ほんっとうに申し訳ありませんッ!!」
「お前に謝られてもどうしていいかわかんねぇよ。」
「そうやねぇ……やけん頭下げんといて?責任感じる必要あらへんで。」
「そうだそうだ。お前は堂々としてろよ。」
クリスちゃんが顔をあげるけど……真っ白……本当に可哀想。
「クリスちゃん。胃薬いる?」
「日巡璃さん……いただきます。」
お腹痛かったんだ……なんかごめんね?
「まぁ。失敗は付き物ですからね。」
インテリジェンスが紅茶を一口。
「そうだけど……」
「皆様失敗をした事は無数にあると思います。ですので他人の失敗を責めるのはあまりいただけません。」
「う……それは……そうだな。」
「…………」
「…………貴方たちの言いたいことは分かります。きっとリザーディは失敗をさせたくて黄羅に任せたのだと思います。彼女の人を見る目は確かですから。」
「失敗させたくて??」
「はい。その失敗を糧にできるか。成長できるかはその人次第ですから。その時になったら責めればいいのです。成長を促すのは私たちの仕事、意味の無い失敗を咎めるのも私たちの仕事です。貴方たちが怒り、注意し、ぶつけるのはダメです。貴方たちは成長するために来ているのでしょう?であれば無駄なことに時間を割かないでください。」
「「……はい。」」
言葉はきついけど……言ってることはわかるなぁ。論理的というかなんというか。
「被害者に対して厳しいことを言いましたが…………その溜飲を一旦下げれるようになるのも大人ですよ。」
インテリジェンスがふたりの前にクッキーを1枚置く。
「……あざす。」
「いただきます。」
……おぉ……やっぱり才子おねーさんかっこいい!大人だ……!!
「おいっす〜♪おまたせおまたせ。」
リザーディが奥の部屋から帰ってくる。
「お?いい匂いじゃん。何それ何それ。」
「お土産のクッキーです。食べますか?」
「もらう〜♪あーん……」
リザーディがインテリジェンスの肩に手を置いて口を開く。
「もう……はしたないですよ?……はい。あーん……」
「ん〜♪おいし〜♪♪」
……仲良しさん……ってことでいいのかな??距離感だいぶ近いけど……
一緒に入ってきた亦亘さんは……ブスっとしたまま椅子に座った。……これは……進捗は悪そうだね。
「それでは次は私たちですね。」
「はい!」「はい♪」
よし!私たちの番だよ!
「えぇ〜もう行くの?」
「お仕事ですから。」
「真面目〜!」
「貴方はもう少し真面目に見せたらどうですか?」
「えぇ〜?キャラじゃないし♪」
「……ふふ。そうですね?そちらの方が貴方らしいです。」
「でしょぉ〜?」
……本当に仲良しなだけなんだよね???
「それでは行ってきます。」
「ばいばーい。何かあったら連絡よろ〜。」
……よし。とりあえずインテリジェンスについて行く感じで!
「エスネイラーには物足りないかもしれませんが、歩いていきましょう。」
「はーい!」
歩いてパトロール……久しぶりかも!サーの事務所以来だね!
「普段は違うのですか?」
「私の事務所も、実力が高く若いヒーローの事務所だと人が少ないのもあって基本的には走りながら、個性を使いながらの高速パトロールです。」
「え!それでパトロールができるのですか?」
……最初はそう思うよねぇ。
「出来ないと人が死にます。」
「!」
「出来るようになるのです。どんな細かな異変も察知し、的確で迅速な対応を常に行う。これが高い水準で求められます。」
「…………凄いですね。」
「エスネイラーはある程度慣れていると思いますが……まだまだですね?」
「……むぅ!はーい。」
実際にそうだから何も言えない。どこで見てたんだろ。
ネットニュースにもなったしそれかなぁ……?
「……日……エスネイラーさんは何度もインターンされてると思いますが……今まで何処に?」
偉い。ヒーローはヒーローネームで呼ぶのが暗黙のルールだからね!
「えっとね……職場体験も含めると、ブラッドロータス、ナイトアイ、ショートの事務所だね!」
「そんなに……!」
「ブラッドロータスとショートの事務所は、基本的に走って動いてって感じのパトロールを一日に何回もするって感じ。」
「何度も……ですか……」
「うん。だからすっごいいい訓練になるよ!」
「…………」
全身動かすし……脳みそも目もフル稼働だからね。大変だけど楽しいよ!
「ほんの少しだけ……経験してみたい気もしています。」
「え?」
「私の成長のためといえば……少しわがままですが、今のうちにプロの仕事を経験しておくのは悪いことでは無いと思うので。」
向上心の塊ちゃんだ!
「ふむ。」
インテリジェンスが顎に手を置いて考える……フリだねこれ。口元笑ってるよ?
なんだかんだ才子おねーさんもバトルジャンキーだからなぁ。強いひと見るとワクワクしてるもん。背中からワクワクが隠しきれてない。
「それではやってみましょうか?」
「え!」
「よろしいのですか!?」
「はい。母校の後輩と言う面もありますし……エスネイラーの成長も見ておきたいですしね?」
……そっか。才子おねーさんも聖愛学院だっけ?
「それプレッシャーだね??」
「それくらい跳ね除けてくださいね?」
「はーい。」
才子おねーさんのこういう言い回し……流水おねーさんそっくり。ふたりいるもんね。流水おねーさんに毒されすぎだよ。
「ではエスネイラーに先陣を切ってもらいましょうか。」
「私でいいの?」
「はい。速度50%位でお願いします。」
「うん!わかった。」
閃光が着いてこれる速度でって事ね!
「……なかなか緊張しますわね。」
「あはは。閃光は着いてくる事だけ考えてればいいよ!見つけるのは私とインテリジェンスでするから♪」
「ふふ。言うようになりましたね?」
「言っておくけど慢心じゃないよ。できるから言ってるの。」
「知ってますよ。私にそれが嘘じゃないって見せてくださいね?」
「任せて!」
インテリジェンスに地図をもらって……よし。行けるよ!
「着いてきてね?閃光!」
「はいっ!!」
よーし!張り切っちゃうぞ!!