side槍田日巡璃
気分がスーッと落ちていくのを感じる。
「……何?」
「……なんで逃げたの。」
「何が?」
「騎馬戦よ!なんで逃げたの!!」
あぁ……それね?
「……貴方の個性がわかんない上、既に私たちは2位が確定。こっちにとってはデメリットでしかない対面だと思うんだけど?」
「ヒーローがッ!なんで逃げたのか聞いてるのッ!!」
「……!」
「ヒーロー志望が!なんで!敵から背中向けて逃げるんだよ!!」
「……。」
「あなたの周りもそう!!あなた達は雄英のヒーロー科生よ!?仲良しこよしをしに来た訳じゃないでしょうが!!」
あぁ〜…………
「……そっか。あなたはそういう人なんだ。」
話してみてやっとわかった。
「……寂しかったんだねぇ?」
「……は?」
「学生時代から天才ともてはやされてまともな友達いなかったんでしょ?私もそうだから。……まぁ私の場合虐められてたんだけど。」
ガコン……
あ……水でてきた。
「あなたはきっと……自分と同じ志を持った人を探して入ってきたんでしょ?モチベーションが同じ人を。入ってみたら緩すぎた……と。皆が思ったより未熟すぎてびっくりした?」
「な……なによ……なんなのよ!」
「理解できない?……理解してくれる人を求めてたのに?」
「……!!!」
「…………あなたに必要なのは……理解してくれる人じゃなくて……あなたに新しい視点を教えてくれる人なのかもね。」
「何が……なんで……あなたは……一体……」
「…………私に突っかかるのはやめた方がいいよ?虐めと孤独は……似てるけどどちらも違う毒。耐性ないと心が負けちゃうよ。」
「…………。」
無神さんとすれ違いざまに一言。私はその場を後にする。
無神さんは何も言ってこなかった。
「日巡璃?遅かったわね。」
「ごめんね?ちょっと可哀想な人が居たから。」
「ふーん?」
最終種目。16人で行うタイマントーナメント。
分かりやすいよね。エリア外に出されるか、戦闘続行不可、もしくは棄権したら負け。
第1回戦……第1試合かぁ……相手も相手だし……ちょっと緊張するね?
「日巡璃ちゃん。」
後ろから声をかけられる。
「あっ!おねーさん!!」
「アレは……使っちゃだめだからね?」
うっ……釘を刺しに来たのぉ??
「…………わかってますよぉ。」
「ならいいの。もし何かあったらすぐに仲裁に入るから。」
「……はーい。」
「よろしい。頑張ってらっしゃい。」
おねーさんに背中を叩かれる。
「よし!行ってきます!!」
『最終種目第1回戦はぁ!!』
『騎馬戦では作戦勝ちしたチームのブレイン!圧倒的巨体でトーナメントを勝ち進めるか!?槍田日巡璃!!』
「いえーい!手加減なしだよ!!」
『今まであまり目だった活躍してないよね!ほんとごめん!言うことないわ!憎田愛!!』
「お嬢様。胸をお借りします!」
相手は愛ちゃん。えへへ!楽しみだね!
愛ちゃんの個性は増強系。パワー勝負ができるよ!!楽しみ楽しみ!!
……私を想うだけ強くなるのは……ちょっと恥ずかしいけどね?
「いくよ〜!!」
「はい。お嬢様。憎田愛……全身全霊でお相手致します!」
『Lady……fight!!!』
「フッ!!」
「ふん!!」
ゴッ!!!
拳がぶつかり合う。
「えへへ……すごいパワーだね!」
「お嬢様……こそっ!」
「よいしょぉ!!!」
拳を振り抜く。
愛ちゃんが少し吹っ飛ばされるが、すぐに体勢を持ち直す。
「くっ……やはりお嬢様にパワー勝負は不可能に近いですね。」
「そうかな?愛ちゃん……私をもっと想ったら強くなるんじゃない?」
「これ以上……少しだけ足踏みしてしまいそうですね?」
「えぇ?もっと勝負しようよ!」
愛ちゃんに飛びかかる。
「素晴らしいお誘いなのですが……私も出来る限りのことをしないといけませんので!」
拳を振り下ろすけど、愛ちゃんが横に飛んで躱す。
拳がフィールドに激突。
大きな音と一緒にフィールドが割れる。セメントス先生が作ったんだもん……そりゃセメントだよね。
「じゃあさ……愛ちゃん。私に勝ったら私の体1日好きにしていいよ。」
「……!!!本当ですか!お嬢様!!」
「うん。だから本気でやろ?」
「はぁっ!!お嬢様お嬢様お嬢様お嬢様お嬢様ァアアアアア!!」
愛ちゃんが飛びかかってくる。
かかと落とし!両腕で受け止める。
「うぐっ!?」
さっきとは比べ物にならないパワー!これが愛ちゃんの最大出力なんだね!!!
「はぁ!はぁ!はぁ!!お嬢様!!お嬢様!!」
愛ちゃんの連打!足技中心でしっかり身体の中心を狙ってくる!
「えへへっ!楽しいね!愛ちゃん!!」
あえて一撃貰い、愛ちゃんの足を掴む。
「っ!?」
そのまま大きく振りかぶって愛ちゃんをぶん投げる。
愛ちゃんは空中で体勢を持ち直し、割れて隆起したフィールドに足を着く。
「……お嬢様……本当にお強いですね……」
「そう?」
「異形型……というのは肉体の質が違うと聞いてましたが……鳩尾を蹴り上げたのにほぼ無傷とは……」
「えへへ……痛かったけどね?」
「…………。まだまだ私は精進せねばなりませんね。」
「一緒に強くなろうね?」
「お嬢様……はい!!」
愛ちゃんが突撃してくる。
早い!……けど
「見えないほどじゃないよねっ!!!」
足を振り上げて全力で振り下ろす。
愛ちゃんには躱されるが、フィールドがまた割れる。
「なんてパワー……それでこそ……」
私に回り込んで……何を……!?
愛ちゃんに首に組み付かれる。
「およよ!!?」
「私のお嬢様ですッ!!!」
裸絞め!!
ギリギリギリ……
「お嬢様ッ!私の勝ちですッ!!」
普通なら抜けれない。
「う……す…………すごい……ね……」
愛ちゃん……
「…………お嬢様?」
愛ちゃんの腕を掴む。
「わたし……ね…………だてに……こせい……きたえて……ない……よ?」
普通ならね?
「……粘液が……!?」
私の十八番!殻に籠る!!
「なっ!?」
粘液を使って身体をヌメらせて、あとは軟体動物らしい身体の変形を使って殻に籠る。
絞め技はこれで抜けれるんだよね!!
殻から飛び出す!
「いえーい!」
「……お嬢様……本当に……お美しいです。」
愛ちゃんは距離を取ってる。
けど……身体が粘液まみれになってるね?
「えへへ?ありがとね。じゃ……そろそろ終わらせようね!!」
「!!」
愛ちゃんに突撃。連撃!
愛ちゃんは躱す、躱す、躱す……けど
ズルッ!!
「えっ!?」
愛ちゃんが足を滑らせる。
「つーかまえた!!」
愛ちゃんを抱擁。腕ごと捕まえたからもう逃げられないよ!
さっき私を捕まえて粘液まみれなのに、私が地面にさっき撒いた粘液でさらに地面がズルズルだったから……足滑られちゃったんだよね!
「おじょ……んふっ……んんっ!?」
愛ちゃんの顔は私の胸で埋まってる。ごめんね?息苦しいよね。
愛ちゃんをエリア外に持っていき、ポイと投げて勝利!
『パワー系女子の試合を制したのはッ!!槍田日巡璃!!!』
「いえーい!!」
「「「ワーーーーーーーッ!!!」」」
皆が私を褒めてくれてる!やった!!嬉しい嬉しい!!
「……っと……愛ちゃん?」
愛ちゃんに駆け寄る。
「……はぁ……はぁ……お嬢様……お強かったです。」
なんか顔が紅潮してるけど気のせいだよね?酸素が足りなかったからだよね??
「えへへ。楽しかったね?」
「……はい。」
なんか愛ちゃん……私の粘液でぬるぬるしてて……なんかえっちじゃない!?!?
「あ……愛ちゃん!!早く出よ!!」
「きゃっ!?お……お嬢様!?」
愛ちゃんをお姫様だっこして会場を後にする。
「はぁ……はぁ……」
「お嬢……様?」
「あっ!ごめんね?」
愛ちゃんを下ろそうとする……が……
「お嬢様。ワガママが許されるのであれば……もう少しこのままがいいです。」
「……えっと…………私……恥ずかしいかな?」
「嫌です。お嬢様……私をもっと魅了させた罪を償ってくださいまし?」
「うぅ…………そうだよね。わかった。保健室までだよ?」
「……嬉しいです。……ふふふ。」
愛ちゃん……粘液を瓶に詰めるのやめない??それ私の……ちょっとどころか結構恥ずかしいんだよ???