side印照才子
「いやぁ〜今日はありがと♪」
「いえいえ。楽しかったです。……こういうのも偶にはいいですね。」
インターンの子が帰った後、私たちは事務所に残っていました。
「偶にはとか言わずにもうちょっとしようよ?」
「こちらにもそちらにも事務所があるでしょう?」
「そうだけどさ〜?」
今回はブラッドロータス様に頼まれたお仕事。ですので次のお仕事となっても、こちらはブラッドロータス様経由になってしまいます。
少々手間ですよね。
「ふふ。またいつでもやりましょう?」
「うん!」
リザーディはなんとなくですが私に懐いてくれています。リザーディは裏表が無いのでこちらとしてもとても付き合いやすいです。
そもそもあまり親密な友達というものを作ってこなかった私としては、これくらいスキンシップが激しい子の方がありがたかったりしますしね。私の同級生は皆聖愛学院卒なのもあってスキンシップは少なめですし。
「ねーねー!これから暇?」
「予定は無いですよ。」
「じゃあさ!……えと……ご飯行かない?久しぶりだしさ!」
「いいですね。私はこの辺りはよく分からないのでエスコートしていただけます?」
「エスコート……!はは!任せて!」
やはりリザーディは元気でいいですね。笑顔も素敵です。つられて笑ってしまいます。
私服に着替え、腕を組まれ連れてきてもらったのはもんじゃ焼きのお店。もんじゃ焼き……
「もんじゃですか……初めて食べますね。」
「え!?そうなの?もったいない……絶対美味しいから!」
メニューもよくわからなかったので全部リザーディ……切奈に任せます。
切奈がタッチパネルをスイスイと操作していく。
「えーと……じゃあチーズ明太と、餅チーズと、豚明太で!」
「3つも食べれます?」
「行ける行ける!全然するする入るよ!」
そういうものでしょうか?
「飲み物どうする?」
「そうですね……アイスティーで。」
「知ってた!りょうかーい♪」
「ふふ。」
聞く必要ありますか?……など言うのは野暮ですね。
そうして運ばれてきたボウル。具材が山盛り……
「……これ……どうするんですか?」
「まぁ見てて♪」
切奈がチーズ明太と呼ばれたボウルを取り、具材を全部アツアツの鉄板へ。
そのままヘラで細かく切り始めた。
「へへ!スピード勝負だよ!」
「なるほど……」
じゅわぁぁと耳をくすぐるいい音と共に、チーズと明太子の独特な香りが食欲を誘う。
「……いい匂いですね。」
「こっからだよ!行くよ!」
切奈が切り刻んだ具材で土手を作ると、ボウルの中のタレを流し込んだ。半分くらいでしょうか。
「……いい音。」
「ふふ。これをあともう1回するよ!」
「……ふむ。」
初めて見るものは面白いです。これがもんじゃ……やはりお好み焼きとは違いますね。
少しずつタレと具材を混ぜてだんだん具材がモッタリしてきました。
そして汁気がある程度飛んだ具材でまた土手を作り、タレを全部流し込む。
少し待ったあと、また具材を混ぜ合わせ、薄く広く鉄板に広げる。
「……よし!できた!」
「……これが……」
パチパチと音を立てて形になってます。すごい……
「はい♪」
「……コレは?」
切奈から小さいヘラを渡された。
「これで食べるの♪」
なるほど。
「それでは……」
ヘラを受け取り、もんじゃをすくい上げる。
……液体と個体の中間地点で柔らかくて……チーズが伸びてますね。絶対美味しくないですかこれ?
「いただきマース!」「いただきます。」
ふーふーとしっかり冷まして口に運ぶ。
「ん〜♪」
「……!コレは……!」
美味しい……!チーズと明太子は大当たりですが……それにしても……このジャンキーな感じと言いますか……たまりません♪
「美味しいです……!」
「んふふふ……良かった♪」
もんじゃに何度もスイスイと手が伸びる。
「……あふ……ん……美味しいです♪……あむ……ん〜♪」
お好み焼きやたこ焼きとはまた違った……粉物……と言っていいのでしょうか?……幸せ。
「才子さ〜ん?」
「……はい?」
「はい♪あーん♪」
切奈にヘラを差し出される。
切奈はよく食べさせてもらったり、食べさせてあげたりするのが好きみたいで……よくやってきます。
「好きですね?」
「うん♪とっても♪」
「ふー……ふー……あーん……」
しっかりと冷ましてから口を広げる。
「ん……」
「おいし?」
「ええ。とっても。」
「私が作ったからなぁ♪」
「ふふ。そうですね?」
「いっぱい愛込めちゃった♪」
「ふふふ。そうですか?では私は幸せ者ですね。」
「っ……もう!そういうとこ!」
「♪」
はて……?ふふ。分かりませんね?
あの後私ももんじゃを作ってみたり。サイドメニューも楽しんでみたり。お腹はいっぱいになったのでふたりで少しだけお仕事のお話を。
「……亦亘さんだよね。」
「そうですね。」
日巡璃ちゃんを目の敵にしている子。なぜかは不明ですが……
「厄介ですね。」
「う〜ん……」
すごく空回りしています。それに鎌足さんにも迷惑をかけてます。
「でも向上心はあるんだよね。」
「たしかに。……日巡璃ちゃんへの気持ちを向上心に向けれたら更に伸びると思うのですが……」
「ん〜……それを示してあげるのもこっちの仕事だよね。」
「そうですね。あの子にとってある意味チャンスかもしれませんね。」
「そうしてあげたいね。」
切奈がさっきからグラスの中で溶けた氷の水を飲んでます。
「切奈。」
「ん〜?」
「私ので良ければ飲みますか?」
「……え!」
急にカッと顔が赤くなる切奈。
「ふふ。すごい声。それに顔。」
「もっ……揶揄った!?」
「いいえ?喉が乾いてらっしゃるのかなと。」
「……もらう。」
「はい。どうぞ。」
「…………はぁ。」
ふふ。切奈は表情がコロコロ変わって可愛らしいですね。
ん〜?気付いているのかって?
ふふふふ。
さぁ。一体なんのことでしょう♪