※この作品はR-18です。

きっと私のアカデミア   作:おいーも

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何のために

 

 

 

 

 

 

 

 

side槍田日巡璃

 

 

「委員長〜?そんでアイツとはどうなんだよ?」

 

「微妙〜……」

 

「あはは……そうだよなぁ。」

 

 

今日はインターン。事務所で待機中です。

 

今日のチームは……私と無頭くんと才子おねーさん。他の人は全員パトロール。

 

 

 

亦亘さんは……日に日に私のことを強い目で見てて、しかもそれで空回りをしているみたい。……今日の被害者は憂世ちゃんです。なんかごめんね?

 

 

「才……インテリジェンス?」

 

「はい?」

 

紅茶を飲みながら、茶菓子を取り出している才子おねーさんに声をかける。お皿が7枚……みんなの分かな?そろそろ帰ってきそうだもんね。

 

 

「亦亘さんどんな感じですか?」

 

「どんな感じとは?」

 

「ん〜……なんかね?私との事で迷惑かけて無いかなって。」

 

「……なるほど。その事ですか。」

 

1度手を止めてこちらに向き直る才子おねーさん。

 

 

「迷惑をかけてないと胸を張れるかと言われればそれはNOです。」

 

「……そうだよねぇ。」

 

「ハッキリ言いますね?」

 

 

 

「……あなた達もですよ?」

 

「「え?」」

 

 

「当たり前です。本来であれば私とリザーディは別の仕事をしていたハズです。その時間を今あなた達の成長のために割いているのです。そういうことであれば、あなた達も迷惑をかけていないとは言えませんよね?」

 

 

「……そっか。そうだね。」

 

ちゃんとしていると思っていた私達だって、プロヒーローからしたら足手まといになるんだ。プロヒーローの仕事がちょっとできるのも、プロヒーローからしたら当たり前。

 

インターンが完璧に出来ていることと、迷惑をかけていない事は両立しうる。

 

 

「はい。……まぁ、私もリザーディもそれは折り込み済みです。別にその程度なんとも思いません。お仕事ですし……何より次の世代の育成ですから。」

 

次の世代の育成…………かっこいい!!

 

「……かっけぇ……」

 

「く〜……いいなぁ!私も早くそういうこと言えるようになりたい!」

 

「……ふふ。日巡璃ちゃんは到底先でしょうね?」

 

「酷い!!」

 

「アハハハハ!」

 

「そんな笑うことないじゃん!」

 

もう!失礼しちゃうな!?

 

 

prrrr……

 

「!」

 

インテリジェンスのスマホが鳴る……と同時に才子おねーさんの顔から笑顔が消える。

 

「「?」」

 

 

「もしもしこちらインテリジェンス。」

 

『……!』

 

「……!!……直ぐに行きますッ!!」

 

ピッ……

 

 

急に才子おねーさんが玄関に向かって動き出した。

 

「おねーさん!?どうしたの!?」

 

「敵です。リザーディ一行が交戦中。リザーディが庇って大怪我をしたとの事。あなた達はここに居なさい。」

 

「「!?」」

 

 

インテリジェンスが出ていった。

 

待機ってこと!?……そんなの……そんなの!!

 

 

「…………無頭くん!!」

 

「戸締りは任せろ!!電話はつけっぱなしでな!!」

 

「ありがとうッ!!」

 

 

私も飛び出した。才子おねーさんを置いていけない!

 

外に出ると才子おねーさんはもう居ない。……だったら!!

 

壁を伝い上へ。周りを見渡す。騒動の中心を探す。きっとそこに才子おねーさんは向かってるはず!

 

 

……見つけた。きっとあそこ!煙が立ってる!

 

急げ!私にできることがきっとある!!

 

 

『委員長!避難誘導中の圖書と通話繋げた!場所教える!』

 

『槍田はん!煙筒焚いてるで!』

 

「ありがとう!!任せて!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side亦亘初華

 

 

 

「はっ……はっ……はっ……」

 

「リ……リザー……ッ!!」

 

わ……私を……庇って……!?

 

 

ガギィイン!!

 

「ひっ……!?」

 

「くぅっ!?」

 

「…………」

 

 

巨大な鎧武者。リザーディを斬りつけて、顔と腹部に深手を負わせた。これも全部……私が……

 

「亦亘さんっ!!腰を抜かしているならッ!せめて這ってでも逃げなさいッ!」

 

「ク……クリス……さ……!」

 

 

鎧武者の一振。

 

クリスさんが居合で弾く。

 

「くうっ!!」

 

 

が、クリスさんの居合は、構える時間が長ければ長いほど、それと相手との距離で攻撃力が変わる。今は……短すぎて近すぎる。

 

それに……鎧武者は執拗に私を狙っている。動けない私を。

 

 

「はーっ……はーっ……はーっ……」

 

クリスさんももう限界が近い。

 

 

私……私も……でも……まだインターバルが……!

 

私の個性。イノセントアーマー……連続使用時間3分。インターバル3分。さっき使い切って……もう……!

 

それに腰が抜けて……た……立てない……!

 

 

 

怖い。

 

今まで感じたことの無い死の恐怖。ヒーローはこんなのと戦っているのか。私の夢がいかに薄っぺらく、おざなりなものだったかと痛感する。

 

今。……遅すぎる。

 

 

「亦亘さん!!」

 

「む……無理……!!」

 

「……っ!!」

 

ガギイイイイッ!!

 

「っぅあああっ!?」

 

 

クリスさんが吹き飛ばされる。

 

 

 

 

 

「クリスさ……!?」

 

 

目の前。振りあげられる刀。

 

 

……あ……死……

 

 

 

 

 

 

 

「っっ!!!!」

 

浮遊感。それと……衝撃。誰かに突き飛ばされた。

 

 

「……あぐっ!?」

 

地面に転がされ、顔をあげる。

 

 

 

……ベチャ……

 

べちゃ?

 

「…………何……が……!?」

 

 

目の前には信じられない光景が広がっていた。血溜まり。その上にはクリスさん。

 

両の足で立っているが……左腕からは血が……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして……その左腕は肘から先が無かった。

 

だって……私の目の前に転がっているから。

 

 

 

「………………!!!!!」

 

「た……立ちなさい……亦亘初華ッ!!」

 

「な………………なん……なんで……」

 

「リザーディを……怪我させて……私のッ……腕を奪って……!」

 

鎧武者が刀を振り上げる。

 

 

「あなたはッ!!未熟とはいえヒーローなのでしょうッ!!!」

 

「……!」

 

 

鎧武者が刀を振り下ろす。

 

「せめて私の屍を超えていきなさいッ!!!」

 

「だめぇぇええっっっ!!!!!!」

 

 

手を伸ばす。絶対届かない。絶対間に合わない。足は……ずっと動かない。私は……みんなに迷惑かけて……足手まといで……!!

 

 

なんで……ここに……

 

 

 

 

 

 

「何……してんのッ!!」

 

ガォオオン!!

 

轟音。

 

 

 

鎧武者が大きく体勢を崩す。

 

「もういっぱぁっつ!!スラッグゥ……ハンマァアアッ!!!」

 

ガオオオオンッ!!

 

 

 

鎧武者が大きく吹き飛び、地面に転がる。

 

「…………ふん。」

 

 

 

 

 

槍田……日巡璃……

 

 

「日巡璃……さん……」

 

クリスさんが膝から崩れ落ちるのを、槍田日巡璃が受け止めた。

 

 

「クリスちゃん。もう大丈夫だよ。私が来た。」

 

槍田日巡璃は、自らのポーチから布を取り出し、自分の粘液をつけてからクリスさんの左腕を縛る。止血をするため……だと思う。一連の動作が淀みない。

 

私に一瞥した後、リザーディに目を向ける。

 

 

リザーディのところには既にインテリジェンスが。

 

「…………リザーディ。」

 

インテリジェンスがリザーディを1度抱きしめる。そしてなにか喋ったようだが聞き取れない。

 

 

そしてリザーディを優しく寝かせ、立ち上がる。

 

 

「日巡璃ちゃん。そこの3人を連れて逃げれますか。」

 

「……おねーさん?」

 

「まだ息があります。今病院に連れていけば命が繋がります。」

 

「……」

 

 

インテリジェンスが腰から大きな拳銃のようなものを取り出す。

 

「……わかった。」

 

何かを察したような槍田日巡璃が、クリスさんを背負う。

 

そうしてクリスさん、リザーディ、そして私の順に持ち上げ、走り出した。

 

 

クリスさんは背中、リザーディは左腕、私は担がれてる。

 

 

 

 

「……怪我……してないね。」

 

「……」

 

責められている感じがした。

 

 

 

「ごめ……」

 

「私に謝ることじゃない。」

 

 

インテリジェンスの背中がどんどん小さくなる。

 

私は……何が……

 

 

 

 

 

 

「あなたは何もしなかった。」

 

「……」

 

 

 

私は……

 

私は。

 

 

無言。何を言えばいいのか分からない。

 

私は……なんでここにいるの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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