side取蔭切奈
「…………」
あれ……知らない天井。……多分ベッドの上。そんな感触。
点滴と……暗い。夜かな。
……あ。そっか……私……敵に襲われて……インターンの子に危険が……
上半身を起こす。コスチュームじゃない。ちゃんと病院の服。顔には包帯と……
「っつぅ……いてて……」
お腹に激痛。そっか……お腹刺されたんだっけ。……よく生きてるわホント。
命拾い……したんだなぁ。
時計を見る。時刻は23時。……日付は多分跨いでない……よね?
……才子さん。どうだったんだろ……
「……目が覚めましたか。」
「!」
聞きなれた声が聞こえた。……え?
横を向くと……椅子に座った才子さん。なんで??
「傷原様に無理を言ってお願いしていただきました。」
「……な……んで……」
「……それよりもまずは目が覚めたことを伝えてきます。無理をしないよう。」
「……は……はい。」
才子さんはしっかりとした足取りで部屋を出た。
「…………」
ずっと……ずっと見てたってこと……?私が起きるまで……?
言われた通り布団に潜る。
「…………むふふ。」
なんか……なんか嬉しい。好きな人に心配してもらったら……そりゃ誰だって嬉しいか。私……子供すぎる。
そっか……そっかぁ……♪
才子さん……ずーっと見てくれてたんだ。私の事。嬉しい……自惚れでもいいから……ちょっぴり恥ずかしいけど、今だけは才子さんが私の事好きかもって思いたい。
当直の先生が来て、意識があること。喋れること。脈が安定してること。色々確認したあと、正式な検査は明日の午前中にと……とりあえず開放された。
「……」
「……」
沈黙。ベッドから顔だけ出してる私と、それを見下ろす才子さん。
「……才子さん。ごめん。インターンの子……どうでした?」
「鎌足さんが腕を欠損されました。それ以外はほぼ無傷です。」
鎌足……そっか。あの責任感強い子が……
「けっそ……そっかぁ……悪いことしちゃったなぁ……」
「大丈夫です。流水様がもう既に鎌足さんのお家に謝罪をしに行かれました。」
「……どうだって?」
「『本人が決めた道。命あるだけでも良いと思う。私たちは娘の選択を尊重したい。』……だそうです。」
「……ふふ。……かっこいいね?」
「そうですね。あの娘あってこの両親ありという感じです。」
少しだけ口角が上がる才子さん。……ほぁ……綺麗だなぁ……
「……」
「切奈。」
見惚れてる私に、才子さんが声をかける。
「ほっ!……な……なんですか!」
「……私……心配したんですよ。」
「……へ?」
「切奈が死んでしまわないかと……不安で不安で……」
「才子さん……」
少しだけ才子さんの顔が歪む。
……そっか。大事な友達だもんね……才子さん優しいなぁ……ますます好きになっちゃう。
「……へへ……大丈夫ですよ。私結構図太いんで!」
「…………」
不安そうな顔をしている才子さん。布団の中から手を伸ばして、才子さんの手を握る。
「そんな顔しないでくださいよ!これからもずっと友達です♪」
この気持ちは……私だけの中でいい。才子さんと一緒になりたいけど……才子さんの気持ちを一番に尊重したい。だから私はいつでも身を引ける。
「友達……」
「はい!ずっとずーっとです!」
「………………」
才子さんの顔が俯く。
「……?」
「切奈。」
「……は……はい!」
「私が……ただの良心であなたのことをここまで見ているとお思いですか?」
「…………へ?」
「ただ……友達だからここまで心配してると思ってますか!」
少し才子さんの語気が強まる。
「…………な……なんの……??」
ピンと来ない。何が……
「切奈。あなたがここまで鈍いとは思いませんでした。」
才子さんが足元に置いていた紙袋を取り出す。中をゴソゴソ……手のひらサイズの箱を取り出す。
そしてそれを私に向けて開く。
中には……指輪。給料三ヶ月分……と言われるもの。
「切奈。結婚を前提にお付き合いをしましょう。」
「………………」
「私と。」
「………………へぇ!?」
切奈=Me
私と=才子さん
結婚を前提にお付き合い=結婚したい
「………………夢?」
「現実です。」
「……え……そんな都合のいい話……」
「本気です。そもそも……初めにアプローチをかけてきたのは貴方でしょう。」
バレてる……!!
「あ……ぇと……」
「私が気が付かない朴念仁とでも?」
グイグイ……
「いや……あのその……」
「本来であればあなたの次の誕生日にお付き合いをとでも思っておりましたが……」
「…………」
覚えてくれてたんだ……へ……へへ。なんか嬉しい。
「あんなに熱烈に告白されては……答えないわけにはいきません。」
「……こく……はく??」
……なんのこと?????
「おや?覚えてらっしゃらないのですか?……あなたが気絶する前私に好きと仰ったではありませんか。」
「…………はぇ……??」
そんなこと……言った覚えは……
『才……子……さん…………わた……し……才子さんの…………こと……す…………き……で……』
…………
「〜〜〜〜!!!!」
一気に布団を被る。
言った!!言った気がする!!!思い出したッ!!私!あの時才子さんに会えて……ハグしてもらえて……安心して……好きって……言っちゃった………………
「……思い出しましたか?」
「…………ハイ……オモイダシマシタ……」
「…………切奈。私はあなたの事が好きです。愛しています。この言葉に嘘偽りはありません。」
顔を覗かせる。こっちを真剣に見つめてくる才子さんがかっこよくて、綺麗で。それでいて夢のようなセリフ……夢じゃないんだよね??本当に……
才子さんの手が伸びて……私の左手を取る。
「あなたを私だけのものにしたい。」
薬指に……指輪が……
「は………………はい……」
「……これで……私のものです。切奈。末永くよろしくお願いいたしますね?」
「ふ……ひぁ…………」
か……かかかっ……顔……熱……
「私にあなたを守らせてください。私だけの貴方……♪」
「…………モウムリ……」
キャパシティが……持たない……
次の日、目が覚めた時はもう既に才子さんは起きていて、私の頭を撫でてくれていた。
目覚めに才子さんの笑顔……もう目が焼けるかと。ドキドキが止まらなくて……心拍数が上がってないか心配。
私の左手には約束が収まってて……夢じゃないんだと認識させられる。
…………私……こんな幸せでいいの……????