※この作品はR-18です。

きっと私のアカデミア   作:おいーも

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久しぶりの

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side槍田日巡璃

 

 

 

「……」

 

ボーッと……ベンチで1人。

 

少し考えたいことがあるって言ってみんなには1人にしてもらった。悩みじゃない……ハズ。

 

多分大好きなみんなの意見を聞いちゃうと、私が弱くなっちゃう気がした。これは……私の中で答えを出したい。

 

 

 

 

あの日……私は怒ってしまった。

 

意味が無い怒り。意味が無い叱責。何も産まない。与えない。

 

私の怒りを……やりどころのない気持ちを亦亘さんにぶつけた。頭ではわかっていた。身体が止められなかった。

 

理性があるのに止められない。やってること……敵と一緒じゃん。私はヒーローを目指しているのに、真逆のことをしてしまった。

 

 

 

最低限手は出さなかった。……出せなかったの方が正しい。

 

そもそも……怒りに任せて手が出たことなんて全く無いし多分出ることも無かったんだろうけど、憂世ちゃんと無頭くんが腕の前でしっかり身体を張って止めていてくれた事が大きいと思う。あれがなかったら……多分は無い……と思う。そういうことにしておく。最悪を想定することは悪いことじゃない。

 

私だって人間。悪いことも良いこともわかってるつもり。それでも体は勝手に動く。私にしてきたいじめがそうであったように、1度許すと人間はタガが外れる。

 

きっと怒りに任せて手が出ると、次も出る。

 

 

それだけは……絶対にヤダ。

 

 

 

あの時……私は2人がいなかったら手が出てないのだろうか。出さなかったのだろうか。私の行動に……確信が持てない。

 

 

 

 

 

 

 

前におねーさんに言われた……私だけのヒーロー像。

 

未だ掴みかねてるそれ。ずーっとずーっと探してる。

 

 

おねーさんみたいなヒーローじゃダメ。……多分あの時おねーさんは、自分みたいなヒーローになるな……と私を突き放したんだと思う。

 

 

その行動が冷たかったとかそういう話じゃない。多分おねーさんは自分のヒーロー像に後悔はしていない。だけど周りに勧められない何かがある。今年の初めに言ってた……きっとそういうことだと思う。今ならわかる。

 

だから私の中のヒーロー像を作って欲しいんだと思う。……私がなりたいヒーローってなに?

 

 

 

おねーさんのところに職場体験に行った。

 

トップヒーローの強さと、仕事の質の高さを目の当たりにした。

 

 

 

サーのところに初めてのインターンに行った。

 

ユーモアの大切さ、それと仕事を遂行する事の難しさ、人の優しさを再確認した。

 

 

 

チームアップもした。

 

雄英の先輩の強さを知った。そしてプロヒーローは人を魅了する存在だと思った。

 

 

 

そしてショートのところにインターンに行った。

 

改めてプロヒーローの壁の高さと、試行錯誤。理論建てて物事を形作る難しさも分かった。感覚だけじゃダメ……ということも再確認した。

 

 

 

 

 

そして今回。

 

 

……私は何もできていない。成長が全く出来ていない。それどころか……してはいけないことをしてしまった。

 

 

足踏みしている気分。

 

私は……このインターンを無駄にするつもりなのかな。私のヒーローって……やりたいこと。理想ってなんなんだろう。

 

 

 

 

 

 

トントン

 

後ろから肩を叩かれた。

 

振り返ると……

 

 

「声嗣先輩!」

 

『や♪』

 

声嗣 良(こえつぐ つかさ)先輩。前のチームアップで一緒になった雄英高校の2年生。

 

 

「どうしたんですか?」

 

『可愛い後輩が悩んでたから声掛けてあげないとね?』

 

声嗣先輩がスケッチブックにサラサラ書いて見せてくる。

 

声嗣先輩は個性の都合で声が出せない。周りの迷惑になっちゃうからね。

 

 

『隣いい?』

 

「どうぞ!」

 

声嗣先輩が私の右隣に腰掛ける。

 

『失礼じゃなければ聞いてもいい?』

 

「…………はい。」

 

 

声嗣先輩になら……話してもいいかも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ってことがあって。」

 

 

話した。人としてやってはいけないことをしてしまったこと。自分の理想が分からないこと。おねーさんに言われた自分だけのヒーロー像のこと。

 

 

「自分で見つけたかったけど……なんか焦っちゃってるみたいで。」

 

少しだけ笑ってみせる。声嗣先輩はその様子を少しだけ値踏みするように見たあと……スケッチブックにペンを走らせた。

 

 

『曖昧でもいいんじゃないかな。』

 

「……え?」

 

『日巡璃ちゃんは頑張りすぎだよ。責任感に駆られすぎ。』

 

「頑張りすぎ……?」

 

『うん。私が1年生の頃なんてそんなこと考えずに先生の言う通りに頑張ってただけだよ?日巡璃ちゃんは大人だね。』

 

「いや……それは声嗣先輩がそうだっただけで……」

 

『周りのみんなしっかり見たことある?』

 

周りのみんな……?

 

『日巡璃ちゃんくらいしっかり色んなこと考えて行動してる子ばっかりかな?』

 

ふと浮かんだのは小廻くん達や、弾野原くん達、そして双子ちゃん。頑張ってない訳じゃないけど、何をしてるのかよくわかんない人たち。

 

 

「それはみんなにはみんなのペースが……」

 

『じゃあさ、日巡璃ちゃんにも自分のペースがあるはずだよ。』

 

「自分のペース?」

 

『うん。今悩んじゃってるのは、自分のペースに合わないコトしちゃってるからだと思うんだ。』

 

自分のペースに……合わないコト……

 

 

『立ち止まることは悪いことじゃないよ。悩むことも悪いことじゃない。日巡璃ちゃんは今休憩の時間なんだよ。進む体力が無くなっちゃってる時間。今のまま走ってみるとどうなると思う?』

 

「……体力が……無くなっちゃう。」

 

 

『そうだね。休憩は大事だよ。だから、もう少し肩肘のちから抜いてもいいんじゃないかな?まだまだ1年生だよ?あと2年ある。答えなんて今見つけなくても、自ずとわかるものじゃないかな。』

 

「悠長ですね?」

 

『私はね?それにあと人生何年あると思ってるの?そんな早急に答えを見つけても、私はつまらないと思うな!ゆっくり楽しもうよ。今は今だけだよ。』

 

「…………」

 

 

ゆっくり楽しむ……今は今だけ。

 

どんどん進むことだけ。強くなることだけ考えてた。成長できないと……チャンスを掴めないとダメだってどこかで思ってた。

 

強迫観念ってやつ……なのかな。

 

『多分ブラッドロータス先生だよね。追いつきたいの。』

 

「は……はい!」

 

『じゃあ追い越しちゃった時はどうするの?』

 

「え……」

 

何も浮かばなかった。おねーさんを超えた先……??

 

 

『多分答えはその先なんだと思う。難しいでしょ?』

 

「…………はい。とても。」

 

『だったら今はするべきことだけしてればいいんじゃないかな。』

 

「するべきことだけ……」

 

『挑戦はいいことだけど、休むことも同じくらいいい事だと私は思う!1回立ち止まろうよ!』

 

…………うん。なんとなくわかった気がする。

 

 

「はい。まず謝ってみます!」

 

『うんうん。それがいいよ。』

 

ピロン

 

声嗣先輩のスマホかな?通知音が鳴った。

 

 

「先輩!ありがとうございます!なんか見えてきました!」

 

『良かった良かった。じゃあまたね。もしかしたらインターンでまた会えるかもね♪』

 

「はい!」

 

 

まだ未来はよくわかんないし、どうしたいかもわかんない。

 

でもまずは謝ること。1歩ずつじゃない。立ち止まってやるべきことをやっていこう。

 

 

 

作られた道じゃなくて、自分だけの道を作る。おねーさんは多分だけどこれを言いたかったんだと思う。

 

ホントの答えは自分じゃないと見つけられない。

 

道が出来れば……多分答えにたどり着ける。

 

 

今は道を作るタイミング。しっかり準備して、しっかり休もう。エネルギーは有限だから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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