side槍田日巡璃
「ただいま〜♪」
「おかえりさないませ。」
今日は週末……なのでカナのお家にお邪魔してました!それと寄る場所があったからちょっと帰るのが遅くなっちゃった。まぁまだ17時とかだから全然OK♪
まぁいつもは19時くらいに帰ってくるからいつもよりは早いよね。
愛ちゃんがお出迎えしてくれた。嬉しいなぁ♪
「あれ?佳舞ちゃんはまだしも……天捻ちゃんは?」
「昼頃金城様と舌古様がお越しになって、一緒に遊びに行かれました。」
そうなると……佳舞ちゃんは私の部屋かな?
「そうなんだ?……まぁそろそろクラス変わっちゃうしね。」
「そうですね。そろそろ帰ると連絡が来ております。」
「ほーん?もっとゆっくりすればいいのに。」
せっかくのお出かけなのにね。
「ふふふ。お嬢様はお優しいですね?」
「みんなに優しいつもりだよ〜?」
愛ちゃんと一緒に私の部屋へ。
「……あれ?佳舞ちゃん居ないんだ?」
「何やら用事があるようですよ?」
「ほえー……そろそろご飯だし声かけてこようかな。」
「それがよろしいかと。多分お部屋に居られます。」
「愛ちゃんは?」
「私は少しやることがあるので。」
私の部屋の真ん中で直立不動。ピタッと動かない愛ちゃん。
「……そっか。」
こういう時は私の部屋でやりたいことがある時。なのでそそくさと退散。私が居てもやり始めるからメンタル強すぎる。
佳舞ちゃんの部屋〜♪佳舞ちゃんの部屋〜♪
コンコン
「……?」
返事が返ってこない。トイレかな?
ドアノブを捻ると……
「……開いたんだけど。不用心だなぁ?」
「ー!!!」
「!」
なんか声が聞こえる……?
「あーーっ!!やめろお前!私が下手くそなのをいいことにッ!!」
パソコンに向かってゲームしながら喋ってる……?ヘッドホンしてるし……誰かと通話してるのかな?
何してるんだろ……
部屋に入って、佳舞ちゃんの後ろから画面を見る。
「何してるの〜?」
「ヒョッ!!!!?」
佳舞ちゃんのものか分からないような声が聞こえ、爆速でマウスをカチカチ触ってこちらを振り向く。
「…………いつの間に……」
「え?ノックしたよ?」
「…………ッスー……」
「?」
画面をのぞき込むと……かわいい女の子の絵と、何やら文字がズラーッと下から流れてくる。なになに?
「放送事故……?キタコレ……?誰よその女……?乱入者?神回確定?」
「ワーワーワー!!!やめてやめて!!」
「?」
なんの事???
「何してるの??」
「……え?日巡璃バーチャルライバーを知らないのか??」
「ばーちゃる……らいばー?」
なんぞそれ???
「おま…………ハァーッ……日巡璃ならそうだな。」
「???」
「とりあえず私がいいというまで喋らないでくれ。」
「はーい。」
佳舞ちゃんがマウスを何度かカチャカチャと。
「だー!うるさいうるさい!寮暮らしだから人が来るのは普通だろ!……んだと?陰キャの私に友達が出来るわけない?黙ってろ!言っていいこととダメなことがあるんだぞ!紹介しろ?ぜっっっっった嫌だ!!…………とりあえず今日は終わるわ。あいよー。つーわけで今日もおつかれさーん。にじライブ2期生の神崎カエデでした〜。」
……???
「…………ふーっ……いいぞ。」
佳舞ちゃんが自分の座椅子にググッと体重を預け、背伸びをしながら答える。
「かんざきかえで??」
「ヴッ…………えと……バーチャルライバーっていう、言ってしまえば絵を動かす技術だな。それを使って配信活動やってるんだ。」
「へー?」
ほーん??なんかよくわかんない。
「わかってないかもしれないが、そういうもんだと思ってくれ。」
「よくわかったね??」
「顔に出すぎだ。……それで、私はそういう企業に所属している。バーチャルライバーだ。動画配信サイトで時々配信してる。」
「そうなんだ?学校生活もあるのに大変だね?」
「まぁそういうのは事務所に便宜を測ってもらってるから。」
「ほーん??」
結構融通効くんだねぇ。
「それにウチの配信のモットーは『配信者がしたい配信を』だから、ノルマも緩いし法律に抵触したり、炎上しかけなければ割となんでもOKだ。」
「ふーん??……あー!だからあの可愛い絵があったんだ!」
「そうだぞ。これが私の立ち絵だ。」
「立ち絵?これが動くんだ!」
紫の髪のポニーテール。目元にはいくつも星マーク。服装はダボダボしてる。……佳舞ちゃんとは全然似てないね!!
その立ち絵が口をパクパクさせたり顔向きを変えたり……すごい!!
「上のカメラで動いてるから、結構グリグリ動くぞ。」
「へー!すごいねぇ!!」
「……オタクに優しいギャルは存在するぞ……皆!」
「誰に言ってるの???」
prrr……
「……げ。マネージャー……」
マネージャー?事務所のバーチャルライバー?だからそういう人も居るのかな?
「……ちょっと出ていいか?マネージャー無視すると怖いんだ。」
「いいよ!待ってるね。」
……まぁ立つのもなんだし佳舞ちゃんのベッドにでも座る。……佳舞ちゃんの匂いだ……ふふ。ちょっと安心する。
ピッ……
「マネージャー……どうしたn」
『神崎ィ!どうしたもこうしたも!!知らない子の声が入っちゃってるじゃない!大丈夫なの!?』
急に女の人の声が響く。おぉ……元気だ……
「あ、え……っとぉ……大丈夫だから……ハイ。」
『あんたのことは心配してないの!それよりも声入っちゃった子!特定とかされないようにちゃんと細心の注意を払うのよ!』
「ハイ……ハイ……サーセン……」
佳舞ちゃんがシュンとしてる……凄い。あんな反発しいの佳舞ちゃんが……
『友達だったら尚更よ!ちゃんと言って謝ること!いいわね!?』
「あー……もう謝ったって言うか……説明中っていうか……」
『……え?今部屋にいるの?』
「……はい。」
『……スピーカーじゃないわよね?』
「ッスー…………」
『……』
ちゃんと全部聞こえてるよ?
「本当に申し訳ありませんでした。」
『……終わった……ウチの事務所がパワハラモラハラ蔓延る化け物事務所だと思われちゃった……』
「そんなことないですよぉ!?」
あ、声出しちゃった。
『マジで聞こえてるじゃん……』
「ウス……サーセン。」
ふたりがどんよりムードすぎる……!
「えと……この子のことちゃんと見てあげてるんだなって思ったので……そんなハラスメントがどうとか思いませんでしたよ?それにバーチャルライバーっていうの?そういうのよくわかんないので大丈夫です!」
神崎って呼んでたし……実名は知らない感じなのかな?ちゃんと配慮しなきゃね!
『……え?聖人君主?』
「わかる。その上オタクに優しいギャルだ。」
『空想上の生き物?』
「存在してますよ???」
「そんな感じで本人もあまり気にしてないんだ……本当に意味がわからないけど。」
『特殊な例よ。通常存在が確認されないタイプよ。』
「わかってる。」
私の事絶滅危惧種かなにかだと思ってる??
『とーりーあーえーず!今後のことはまた話すとして、今日は一旦解散!私も仕事あるし、神崎もそろそろやることあるでしょ。』
「はい。」
『そういうわけで。じゃ!』
ピッ……
「…………はぁ……日巡璃にバーチャルライバーバレするなんて……」
「なんかごめん。ノックはしたんだよ?」
「それ言われると私はどうしようもない。」
追い詰めるつもりはなかったんだよね。