side槍田日巡璃
「えーっと……どうもー。フォルテッシモ所属、2期生の神崎カエデです。」
「……」
始まっちゃった……
私は今、佳舞ちゃんの部屋で佳舞ちゃんの配信を聞いてる……というか目の前で配信している。
ことの発端は先日の話。
『日巡璃……1回だけでいいから私の配信に声を出さないか?』
の発言。
当然断ったし、みんなも断ったんだけど……佳舞ちゃんがちょっとしょんぼりしてたから……受けちゃった……
あの!えと!大丈夫だよ!声はボイスチェンジャーじゃなくて、なんか私の声を合成音声?に変えて出力?するんだって。だから私の声がバレる事は余程のことがないと無い……らしい?
しかも、おねーさんに一応相談したら……
『じゃあ配信で私の名前出せば?わかってる人なら手ェ出せないと思うけど。』
って言われたので、そうすることに。おねーさんにはいつもお世話になってるなぁ……早く大人になって恩返しがしたい。
ちなみにコメント欄もちゃんと見えてるよ。
コメント
・お疲れ〜
・お疲れ様。
・こんな高頻度の配信とか珍しいな。
・前の子出してよ。
・彼女?友達?
・吹き溜まりなのに彼女なんているわけないだろ。いたら祝うぞ。
・てぇてぇが見えるのか……!?
なんかよくわかんない文字が並んでるけど……話題は私の事でもちきり。まぁそうだよねぇ……気になるよねぇ。ごめんね佳舞ちゃん……
「はいはい。今日はその事言うために配信つけたんだぞ。1回黙れ。」
コメント
・!?
・!!!
・はぁ!?
・冗談やんか!!
「ちなみに今その子横にいるんだけど、もしその子に何かあったらその子と仲がいいヒーローの人がお宅訪問するって。」
コメント
・仲がいいヒーロー……!?
・まぁずい!!
・とんでもねぇビックな人なのか……!?
・学生で!?ありえねぇだろ……
・先生の可能性も捨てきれねぇぞ……
・↑なるほどな……??
「ご本人から名前出してもいいって言われてるから出すけど、ブラッドロータスってヒーローが何かあったら……って言ってたぞ。お前ら暴れんなよ。」
コメント
・ブラッドロータス……?
・あの100位くらいのヒーローじゃん。超実力派だぞ。
・今のトップヒーロー達の先生だったとか。
・草。どこ情報だよ。
・ショートと大・爆・殺・神・ダイナマイトの対談で言ってたぞ。本人たちが一生勝てなかったとか。ゲロ吐かされたとか言ってた。
・終わり。
・超人すぎて草。
・化け物じゃねぇか。
・怒らせんとこ。怖怖。
「それと声は念入りに変えてある。元の音声探ろうとしても多分無理だぞ。ずん〇〇んになってるからな。」
コメント
・草
・草
・草
・あの声可愛かったけどなぁ
・もったいねぇ!
「万が一だ。あんまはしゃぐな。ガキどもめ。」
佳舞ちゃん口悪いなぁ???私の前だと可愛いのに……
「それじゃ出て貰うぞ。……こっちのマイクONにしたから喋って大丈夫。」
「……」
なんか緊張するなぁ…………うん。為せば成る!新しい経験だぞ!
それにサプライズも用意したしね!
「こんばんは〜……?」
コメント
・こんばんは
・こんばんは
・清楚系……!?
・ボイチェンで隠しきれない良い子感。
・神崎カエデがすみません。
・ほんま申し訳ない。
「コラァ!!お前らが出せ出せうるさいから頭下げたんだぞ!!いい加減にしろォ!!」
コメント
・草
・草
・草
・すまんやん。
「ふふ。」
ちょっとコントみたいで面白いね。
「……はぁ。まぁいいや。」
コメント
・吹き溜まりにこんな清楚枠が……
・ありえねぇだろ……
・俺たちなんて汚ぇもの見ないでくれ……
「そんなにかな??」
「とーりーあーえーず!まずはお前らに言っておく。こいつは私の彼女だ!手ェ出したら許さねぇからな!」
コメント
・!?!?
・ファッ!?
・マ!?
・エンダーーーーーーーーーー!!!!
・彼女だったんかい!!
・お幸せに!!!
・結婚式には呼べよな!
「呼ぶかバカ!!」
「……言っちゃって良かったの?」
「アンタを守るためだよ。必要なの。」
「そっかそっか♪」
コメント
・……てぇてぇぞ!!
・なんだこれ……なんだこれ……!?
・俺たちが求めてない筈のコンテンツを求めてない事務所から叩き込まれてる……情緒がおかしくなる……!!
・カエデちゃんが攻めなのか……!?
「攻め?」
「カップリングっつーかそういうのでよくあるんだよ。どっちが相手の攻めに対して弱いかみたいな感じだと思ってくれていい。」
「……だったらさ?」
佳舞ちゃんに抱きつき、頬を合わせる。
「ひゃっ!?」
「私の方が攻めだよねぇ?」
「…………えと……その……」
「お耳よわよわで……首も弱いよね?」
「ま……まて!……今配信……!」
「えぇ〜?何もしてないよぉ?」
「ふぐぐぐ……」
コメント
・ミ゚ッ!?
・な……ん……だと……!?
・てぇてぇだ……しかも結構密だぞ……!?
・いつから付き合ってるんだこれ……
・初手から濃厚すぎませんか!?
・ゲストさん!?火力が高すぎるッ!
「……あ。確かにね。私は一旦ゲストさんでいいの?」
佳舞ちゃんから離れる。
「……たしかに。……名前募集してみるか?」
「カエデちゃんは……まぁカエデちゃんでいいか。そういうもんでしょ?」
「そういうもんだ。……コイツはこういうの慣れてないから大目に見てやってくれ。」
コメント
・そういうもんで草。
・うーっす。
・名前かぁ……
・カエデだろぉ……?植物系で行くとか?
・ボタンとか?
・アジサイとか。
・モミジでいいんじゃね?
・モミジええやん。
・モミジでいいんじゃない?
「……じゃあモミジでいいのかな??」
「らしいな。じゃあカエデとモミジをよろしくな。」
コメント
・お前は右だアホンダラ。
・カップリングで左右逆を作るな。
・完全に受けだったよな。
・つよつよモミジちゃんで。
「はぁ!?私も強いが!!」
「どこが?」
「モミジィ!?」
コメント
・草
・草
・裏切らてて草
「だってカエデちゃん可愛いからさ〜♪いっぱいハグしちゃうしいっぱいなでなでしちゃうんだよね♪」
「ちょぉ!?プライベートはバラすな!!」
顔真っ赤でキャンキャン吠えてる佳舞ちゃん可愛い……
「可愛いのが悪くない?」
「そんなわけないから無罪であってくれ……」
「私が寝てる時に色々してるの知ってるよ?えっちさんなんだねぇ?」
「キスまでしかしてないッ!」
バンッと机を叩き立ち上がる佳舞ちゃん。
「私キスとか言ってないけど?」
「はぁっっっっ!!!!」
コメント
・手のひらでコロコロで草。
・キスしてるんだァ……してんだァ……
・あぁ〜……もう俺今日これでいいや。
・てぇてぇ
・てぇてぇ
・俺たちのコメントいらなくね?消そうぜ。
「……殺してくれ……」
「死ぬなら一緒だよ♪」
「生きるぅ……」
顔が真っ赤で死にそうな顔してる佳舞ちゃん。いじりたくなっちゃうんだよなぁ……
みたいな感じで私と佳舞ちゃんがひたすらイチャイチャするだけの配信だったんだけど……皆が楽しんでくれてるみたいでよかったよ。
「……もう1時間経ったな……」
「1時間でいいの?」
「まぁ……雑談ってそんなもんだろ。」
「そうなんだ。」
コメント
・俺たちも限界だ。もう終わって欲しい。
・こういうのになれてねぇんだ。次からもっと軽めで頼む。
・神崎カエデのイラストタグ大盛り上がりで草。
・あとで見るか……
・こんなのR18だろ。規制がいる。
・なんか神崎カエデの方が堕とされたんだなって感じる1時間でした。
「……うぐぐぐぐ……」
「あはは。私は楽しかったよ。ありがとね。」
「…………私も。楽しかったぞ。」
……そろそろかな?
「あ!そういえばさ、明日バレンタインじゃん。」
「?」
「だから今日渡しちゃうね?ハッピーバレンタイン♪」
「…………はぇ?」
私が隠し持ってた紙袋からチョコを取り出す。トリュフだよ♪
コメント
・追加コンテンツきたぁあああああ!!!
・艦長!もう我々の装甲じゃ持ちません!!
・連続攻撃だとぉ!?
・どれだけ俺たちを……
・溶けるわこんなん。
「……あり……がとう。」
「えへへ。下手くそだけど……食べてくれると嬉しいな♪」
「下手くそ……??……作ったってことか……!?!?」
佳舞ちゃんが目を見開きながら驚いたようにこちらを見る。
「うん!せっかくなら私の手作り食べてもらいたいなって思って♪」
「……………………配信切る。お疲れ様。」
コメント
・それがいいぞ。
・こういうのはふたりきりでやってくれ。
・明日の配信待ってるぞ。
・結果報告だけ頼む。
・皆賢者モードで草。
「おつかれ。」
「ホントに切るんだ?おつかれさま〜。」
佳舞ちゃんがPCをカタカタ叩いて、電源を落とした。
「…………ほんとに手作りしたのか……!?」
「うん。おねーさんちの台所借りたんだ!」
先日……おねーさんちで色々準備をさせてもらってた。初めて作る料理だから……すっごく大変だったけど、流水おねーさんや被身子おねーさんに手伝ってもらいながら何とか作れた。
梱包も私がやったよ!細かい作業は難しいんだけど……何とかなかった。
ちなみに梱包したあとのものはおねーさんちの冷蔵庫を借りました。今日に持ってきてもらう約束をしてね♪
「…………食べても……いいか?」
「うん!……まずかったらごめんね?」
「そんなわけない。……いただきます。」
そこまで真っ向から否定されるとちょっと照れるね♪
佳舞ちゃんがひとつ取り出し、口に入れる。
「…………美味しい……」
「よかった!……えへへ。愛情いっぱい込めたんだよ♪」
「…………」
佳舞ちゃんがトリュフを机に置いて抱きついてきた。
「……私……幸せ者だ。」
「……うん。私だって幸せ者だよ♪大好き。佳舞ちゃん♡」
「……私も好きだ。日巡璃……」
なおこの配信のあとのイラストタグが本当に大盛り上がりしてて、大変なことになってたのは後に知った。
佳舞ちゃんのチャンネルも登録者が爆伸びしたらしい……すごいねぇ……??