side????
「鎧人形兵は完成体だ。これで複製すれば……ふふひひ……」
「……」
うるさ。さっきからブツブツブツブツ……何言ってんのこいつ。
「……本体は……もっとストレスを与えれそうだな。調節しておこう。」
カタカタ……
「興奮の値が高くなりすぎているな。もう少し下げようか。」
カタタ……
「……む?個性との適合性がさらに下がったな……?……これはお気に入りをもう少し……」
さすがの私も我慢の限界。頼み事があったのに……無視し続けるなんて許せない。
「うるさ……」
バーーン!……と勢いよく戸が開かれる。
「ね〜え。ヴィ〜?」
入ってきたのはゼノ。何考えてるかよくわかんないやつ。
「おや?Xじゃないか。どうしたんだい?」
「あの鎧人形負けちゃった〜。」
「…………は?」
鎧人形……?……あぁあの趣味の悪いヤツね。ヴィが少し前に意気揚々と話してきたのを思い出したわ。
それよりも……はぁ。早く日巡璃ちゃんに会いたいわ。
「な……ななな……そんなわけが……!!複数人か!複数人だろう!?そうなんだろう!?」
「ん〜?……しかもサイドキックに負けちゃったよ〜。タイマン。」
「…………」
パキ……
ヴィが持っていたカップにヒビが入る。
「……ヴィ。それ弁償してよね。」
「……く……か……そんな……そんなハズは……私の知っている世界だとあれに対処できるものは……」
ブツブツブツ……
時々ヴィは意味わかんないこと言ってるのよね。なんか自分は選ばれたものだ〜……的なことも言ってた気がする。
「誰だッ!何処のドイツだッ!」
「えー?ブラッドロータス事務所のインテリジェンスってヒーロー。」
「ブラッド……ロータス……!?」
「「?」」
ヴィの表情が固まる。
ブラッドロータスねぇ……嫌な相手に手を出したわね。そんなヒーローのサイドキックだもの。強いに決まってるわ。
「…………」
「ヴィ〜?」
「個性下とはいえ…………イレギュラーが発生しているようだ。情報を整理せねば。」
「「?」」
なんの事?
「ヴィ。今日あんたいつも以上におかしいわよ。」
「うるさい。黙っていろ。やるべきことができた。話はそのあとだ。」
「え〜ヴィ〜……鎧人形もっとちょうだいよ〜?」
「あとだ。」
「……はぁ。ゼノ。こうなったヴィが動かないの知ってるでしょ。」
「えぇぇぇぇ〜……まぁいいけどさ〜。」
「じゃあほっといてあげるから気が済んだら私たちの言うこと聞きなさいよね。」
ゼノの首根っこを掴んで部屋を出る。
「……むぅ〜……つまんなーい!」
「ああなったヴィはめんどくさいの。とっとと離れるのが吉よ。」
「ラクネラは〜?」
「あの子は今眠ってるの。ヴィの肉体改造を受けたからね。」
「うわ〜……鬼畜〜……」
「…………ホントにね。」
ラクネラへの負荷が大きすぎる。悔しいが…………私はラクネラさえ無事だったら……
「でもでも〜……強くなるんだったらいいよね〜。私たちの理想の世界ができるから〜♪」
「貴方……理想の世界なんて持ってたのね。」
「え〜……くふふふ……あるよあるある。私が何しても許される世界!何壊しても誰やっつけても♪私は自由になりたい♪」
「……ふーん。」
目の前でくるくる回ってみせるゼノ。自由になりたい……ねぇ。
アイツに縛られてる以上自由もクソもないと思うけれど。
「マリアの夢は?」
「私の夢?……まぁあなたと似たようなもんよ。」
「へぇ〜♪くふふ……仲良くしようね?」
「ええ。」
私の夢……それはラクネラが生きていてくれること。その為だったら……この組織を利用するのも吝かでは無い。この組織で信頼を勝ち取り……ラクネラの命を繋ぐ。
私は……その為だったら……世界を敵に回せる。
全てが終わるまで私は死ねない。
全てを終わらせたあとで……私は死にたい。
「……はぁ。」
今日はバレンタイン。
……日巡璃ちゃんからチョコが貰いたい。
義理でいい。日巡璃ちゃんの嫌悪に満ちた目がみたい。
恨み辛みは人を進める原動力。だから私は日巡璃ちゃんを愛すの。最後の最後……私の最期に日巡璃ちゃんが躊躇なく命を奪えるように。
最期に看取ってくれるのが愛する人だったら……幸せじゃない?
ラクネラが求める幸せな世界に……私みたいな汚れた身体は似合わない。