side槍田日巡璃
「オイ。次俺だ。」
後ろから香曽我部くんの声。
「そうだね。頑張ってね?……だって相手は……」
「うるせぇ。俺がいちばんよく分かってんだ。」
そうだよね。
「アイツに勝って……全員の鬱憤晴らしてやる。ついでに有名なヒーローの事務所のサイドキックの足がかりになれりゃ儲けもんだ。」
香曽我部くんの相手はあの無神さん。……どうなることだろうか。
「……んで?2人はずっといる気かよ。」
「当たり前じゃない。あの子が決勝まで上がってきたら戦うのはどっちかなんだから。」
「……フン。決勝に行くのは俺だ。」
「……応援してるよ!」
「……ありがとよ。」
香曽我部くんが試合場に向かう。
「……日巡璃。勝てると思う?」
「……いい勝負になるかどうかは相手の個性次第だよ。」
「………………そうよね。」
難しい勝負にはなりそうだよね。
「……よう。あん時ぶりだな。」
「あのよく分からない人を庇ってた人ね。あなたも推薦組なら無駄な関係は築かない方がいいわ。」
「すまねぇが無駄じゃねンだわ。」
「そ。あなたも見込み無しね。」
「てめぇに見込まれたくてココ入ってるワケじゃねぇよ。自分を神かなんかだと思ってんのか?」
「私。無神神無月ですから。」
「ハッ!シャレくらいは言えるんだな!」
『Lady……fight!!』
香曽我部くんが霧を纏う。
「その高ぇ高ぇ鼻!消し飛ばしてやるよォ!!」
「やれるもんならやってみなさい。」
「霧念霧槍(むねんむそう)!!!」
香曽我部くんお得意の霧の槍!
何発も着弾。
「「……。」」
カナも私も表情を変えない。
当たり前だ。相手の姿が見えないのだから油断はできない。
霧が晴れる。
「……それだけかしら?」
「……。」
無傷。
「…………無傷ねぇ?」
「個性かな?」
「多分。」
どんな個性だろ。
無傷ってのが引っかかる。身体の強度をあげる系の個性でも……最低限ダメージは入ってるハズ。実際無神さんの周りのフィールドは穴だらけ。躱した感じもしない。
香曽我部くんは槍だけじゃなくて刀を出して切りかかってるが……当たってはいる。当たっているんだけど……ダメージになってない。
「…………無敵?」
「はぁ?無敵?そんな個性があっていいわけ……」
香曽我部くんの槍も。
刀も。
「これならどうだァ!!霧牙霧宙(むがむちゅう)!!」
ガオン!!
すごい音が響く。
「なにそれ。終わり?」
「チィッ!」
無傷。
香曽我部くんの技が……躱したように見えた。
「…………。」
「気が付いた?当たってるのに無傷……じゃなくて攻撃が当たらない……当てられないって感じ。」
「…………なるほど。……だから無敵。よく見てるわね?」
「おねーさんにしこたま叩き込まれたからね!」
「あの人ホントすごいわね。」
「ハッ……ハッ……」
「……もう息が上がってる。……ハァ。つまらないの。」
「うるせぇ!……これでいいんだよ!!」
香曽我部くんの霧が多くなる。
「五里霧中!!」
ボワッ!
霧がさらに広く……無神さんを覆う。
見えにくいが……ギリギリ見えないほどじゃない。
あの時よりも霧が濃い。香曽我部くんの努力が見える。
「!?!?」
無神さんが焦った様子で口を手で被って霧から出てくる。
「…………。」
なんか…………なんか違和感。なんで焦ってたんだろ。
何を焦ってたんだろ。無敵と仮定して……何を焦る必要があるんだろう。うーん……。
候補は3つ。
ひとつ。なにかしらの発動条件があること。
ひとつ。霧を吸うことでなにかしらの不利益があると考えた。
ひとつ。個性発動にインターバルがある。
…………どれが現実的だろ。どれも現実的ではあるけど……2つ目は多分考えにくい。さっきまで霧の攻撃食らってたし。
個性が無敵だと仮定しているが……障害物競走で見せたあの身体能力は何?ただの無敵じゃないってこと?何かのパラメータをいじれるみたいな個性かな?
「……。」
「……。」
「逃げてんじゃねぇぞッ!!」
霧の槍で連続攻撃。
口を抑えて躱し続ける無神さん。
「……おかしいわね。」
「うん。……何かあるね。……そこだ!!やっちゃえ香曽我部くん!!」
「もう逃げ場はねぇぞォ!!貫けッ!!!」
霧が渦を巻いて、ひとつの大きな槍のようになる。
「一望霧銀(いちぼうむぎん)ッ!!!」
「……フーッ。」
無神さん!?さっきまで逃げてたのに……向かって行って……!?
無神さんが霧に入っていった。
「……!!」
ドゴォ!!
「がっ!?」
大きな音と共に香曽我部くんが壁に叩きつけられる。
『勝者!無神神無月ィ!!!!』
「あら。居たのね。」
「……そうだね。」
「…………。」
無神さんが私達の間を通る。
「B組もあの程度なのね。」
こいつ…………
「……日巡璃。そういえばトーナメント残ってるA組何人だっけ?」
「っ!!!」
無神さんが振り向く。
「やるならやり返される覚悟を持ちなさい。マウント取りたいならそれ相応の結果を持ってする事ね。」
「…………フン。」
無神さんが去っていく。
「……カナ。ありがと。スッキリした。」
「アンタはもっと冷静になりなさい。」
カナにチョップされる。
「あいた!」
「周りのために怒れるのはアンタの美徳だけど、そのせいで周りが見えてないとダメよ?」
「…………はーい。」
「よろしい。帰りましょ?」
カナ……ありがとうね。
第1回戦第6試合
加糖甘麻呂〇
vs
流鏑馬翼●
加糖くんが遠くからスナック菓子をぽいぽい投げて、流鏑馬くんが近寄れなくした。最後ダメージ覚悟で突撃してきた流鏑馬くんをチョコで作った盾でカウンターして勝利。
遠距離攻撃がない流鏑馬くんをしっかり対策した加糖くんの作戦勝ちだね。
第1試合第7試合
光満〇
vs
氷叢一心●
相性勝負。氷叢くんが頑張って冷やしても、光くんが熱で温めるので何も出来ずに場外に出されて光くんの勝ち。相性を押し付けて肉弾戦に持っていった光くんがうまかったね!
氷叢くん……相性が悪かったけど頑張った!
そして第8試合。
「ひまひま。私行ってくる。」
次は天捻ちゃんと双子ちゃんの番!
双子ちゃんは騎馬戦の時日河原くんのチームで二人に分裂して騎馬の下をやってた。賢いなぁ!自分の個性を全部使えてる。
「うん。頑張れ!」
「勝ちなさいよ。努力の成果見せなさい。」
「ねぇねぇ!美右は?」「左久も応援してよ!」
「するってば!どっちも頑張ってね!!」
「お嬢様。そろそろお二方も試合が始まりますので……。」
愛ちゃんはさっき救護室から帰ってきました。ほぼ無傷なのでなにも無かったとか。
香曽我部くんがちょっと大きめのダメージを貰ってるみたいで……今加糖くんと氷叢くんが近くにいるらしいよ。
……まぁあんな速度で壁に叩きつけられたらねぇ……。
「「はーい!」」
「……いってくる……ね。」
強制的に2対1。数は不利……だね。
『珍しいぞ普通科!さっきの試合は個性で点をもぎ取りチームを勝利に導いた!普通科!中曲瀬天捻!!!』
「普通科?」
「すげぇな。普通科がトーナメント入るの何年ぶりだよ。」
おぉ……みんなザワザワしてる。
『個性で2人に分裂!数の利を活かせるか!!別処双子!!』
「がんばろーね!」「たのしもーね!」
「……ん。」
『Lady……fight!!!』
「出来れば……ね?」
「「うおーー!!」」
双子ちゃんが二人に別れて別方向から走ってくる。
……が、そこは既にエリア外。
「「え!?!?!?」」
一瞬空気が凍る。
『はっ……!?しょ……勝負あり!!勝者中曲瀬天捻!!』
「っ…………!?!?」
「なんだ!?何が起こった!?」
「待ってくれ……あの子たちは真っ直ぐ走ってたぞ!?」
ザワザワ……
なるほどぉ……個性で空間を捻じって、1歩目でエリア外を踏ませたんだ……そんなことまでできるんだ……。いやぁ……手強いね。
「……私の勝ち。」
「……天捻。一瞬だったわね。」
「見せ場ちょうだいよー!!」「ぶーぶー!!」
双子ちゃんは不満そうだ。そりゃそうだよね!
「……ごめん。勝つのに……必死だった……から。」
「謝らないで!」「左久達が惨めになる!!」
「ふふっ。」
「何が面白いのさ!」「委員長!こちょこちょの刑だ!!」
「やだ!愛ちゃん助けて!!」
「お嬢様を辱めようなど!!」
愛ちゃんが間に入ってくれる。
「うわー!鬼が出た!逃げろ逃げろ!」「逃げろー!!」
「誰が鬼ですか!!!」
「…………はぁ。子供ね。」
「でも…………賑やかでいい……よ。」
天捻ちゃん!勝利おめでとう!!