※この作品はR-18です。

きっと私のアカデミア   作:おいーも

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体育祭⑪

 

 

 

 

 

 

side槍田日巡璃

 

 

 

救護室。

 

「…………個性の使いすぎね。……それと……打撲痕多数。…………一応処置はしたけど……少し寝かせてあげた方が良さそうね。」

 

 

カナと私の前で天捻ちゃんは寝ている。

 

頭に包帯。無数のガーゼが痛々しい。

 

 

普通科の子も何人か来て説明してくれた。

 

天捻ちゃんは無神さん相手に攻撃を仕掛け続けた。呼吸が弱点と言うことをどこからか聞きつけたらしい。呼吸をする隙を与えない程に無神さんが歩く度に空間を捻ってフィールド外に出そうとしたり、無神さんが壊したフィールドを使っての連続攻撃。

 

お陰で無神さんに大ダメージが与えられたんだけど、個性の使いすぎによる頭部出血と、その隙を見逃さなかった無神さんの連続殴打でダウン。

 

満身創痍の天捻ちゃんを襲った連続攻撃はそれはそれは惨たらしいものだったらしく……途中で試合停止が言い渡されるほど。

 

最後の最後まで諦めなかった天捻ちゃんに……吐き捨てるように暴言を荒らげた無神さん。さぞ印象が悪く見えただろう……普通科の子が憤慨してた。

 

 

現在普通科の子達は今天捻ちゃんの水筒とタオルを取りに行ってくれてる。

 

「……試合停止が遅すぎるわね。もっと早い段階で止めてれば……いや。これ以上だともっとまずかった可能性も…………どちらにしてももっと早く止めるべきね。セメントス先生には少し注意しとかないと。」

 

「…………。」

 

「…………日巡璃。大丈夫?」

 

「………………うん。」

 

「……日巡璃ちゃん。……中曲瀬ちゃんは生きてるから。大丈夫よ。」

 

「…………うん。」

 

気分が晴れない。

 

 

ガララッ

 

「中曲瀬さんのタオルと水筒持ってきました。……中曲瀬さんは無事ですか?」

 

「うん。大丈夫よ。命に別状はないわ。」

 

 

普通科の子が2人入ってくる。

 

確か……金城邊(きんじょうあたり)ちゃんと舌古古銀(ぜっここぎん)ちゃん。天捻ちゃんがヒーロー科を目指してる事を応援してる子達。天捻ちゃんから聞いた覚えがある。

 

 

「……2人とも……天捻ちゃんのためにありがとね?」

 

「同じクラスだし。……それ以前に……流石にヤバすぎたし。死んじゃわないか不安になったし。」

 

古銀ちゃんが泣きそうな顔してる。……天捻ちゃんの事大好きなんだね。

 

 

「……ごめんね?同じヒーロー科が。」

 

「謝られても……こまるし。」

 

「そうですね。貴方たちは……中曲瀬さんから良く聞いてます。ハグしてもらったとか、褒めてもらったとか、一緒に寝たとか……口を開けば貴方達のことばっかり。」

 

「……ズビッ……そーだし。……アンタたちには感謝してるし。」

 

 

「そっか。」

 

「…………天捻。……勝ちたかったね。」

 

カナが天捻ちゃんの頬を撫でる。

 

 

 

……私決めた。

 

「…………おねーさん。……皆。私勝つよ。絶対に。」

 

「……お願い。槍田さん。天捻ちゃんの為にも勝って。」

 

「天捻ちゃんの為だけじゃない。無神さんに負けた香曽我部くんと加糖くんのためにも勝つ。……だから私……全力が使いたい。」

 

おねーさんの目が細められる。

 

「……それは…………人を殺してもいい……ということ?」

 

「「え!?」」

 

おねーさんの言葉が深く突き刺さる。……殺してしまうかもしれない力。その重圧。おねーさんだからこその言葉の重み。

 

 

「……そうじゃないよ。おねーさん。……あの子を止める。ここであの子の鼻を叩き折る。……私は……あの子を許せないし、天捻ちゃんをここまでしたのは腸が煮えくり返りそうだよ!!……でも…………人を殺めるのは……みんな悲しむでしょ?だから止めるために力を使いたい。…………ダメかな。」

 

 

私はおねーさんの目を見て話す。

 

おねーさんがため息をひとつ。

 

「…………何かあったら貴方を反則負けにする。それでもいいなら……自分の行動に責任が持てるなら使いなさい。…………まぁ……もし何かあっても私が止めてあげるから。……ね?」

 

「……ありがと!おねーさん!」

 

 

そろそろ時間だ。

 

「槍田さん……中曲瀬さんのためにも……お願い!」

 

「天捻の仇……取ってくれし!」

 

 

「うん!任せて!!」

 

「…………日巡璃。天捻は任せて。……安心して行ってきてらっしゃい。」

 

「……カナ。少しだけハグしていい?」

 

「「え!?」」

 

「……おいで?」

 

 

カナとハグ。少しだけ落ち着く。

 

「はわわわ……」

 

「……なんでハグだけで照れてんの?」

 

「ありがとう。カナ。」

 

「ふふっ。頑張ってね?」

 

「……ん…………」

 

 

あ……天捻ちゃんが目を!

 

「天捻ちゃん!」「天捻!!」

 

「…………2人とも…………ごめん……ね…………負けちゃった。」

 

「……大丈夫。私……勝ってくるよ!」

 

「……ありが……と。…………ひまひま。……信じてるから。」

 

「……うん!」

 

 

もう時間ギリギリ。救護室を出てフィールドに向かう。

 

少ししたらおねーさんも来るらしい。

 

 

 

 

……異様な空気の競技場。さっきの準決勝の空気が抜けてないみたい。

 

「……遅かったわね。」

 

原因の子を除いて。

 

 

「……始めよっか。」

 

「ええ。……貴方を下して私は栄光を手にする。」

 

「あなたが勝つともっと図に乗るから……ここで折るね。」

 

 

 

『Lady……fight!!』

 

 

 

 

 

「!!」

 

 

顔。

 

「ゴハッ!?」

 

 

腹。

 

「ンゴホッ!?」

 

 

 

無神さんが吹き飛ぶ。

 

ギリギリフィールド内。

 

 

 

……拳が通った。通らないと思ってたけど。

 

「……個性使わないんだ?」

 

「がほっ……ハァ……ハァ……な…………なんで…………」

 

 

「……個性無効なのにね。おかしいね。」

 

足を振り下ろす。

 

「ッ!!」

 

 

何とか転がり躱す無神さん。

 

そのまま起き上がりハイキック。私の首狙い。

 

 

バシィッ!!

 

「!?」

 

受け止める。

 

 

「…………個性使ってこの程度?」

 

「なんでッ!!」

 

「私……異形型だよ?私の身体能力は個性由来だけど……きっと無意味なんじゃないかな。」

 

「!!!……だって!!鳥木の羽根飛ばしは効かなかった……!」

 

「……残念。身体能力は意味なかったみたいだね?」

 

「…………!!」

 

拍子抜けだね。私に何も出来ないの?

 

何?その顔。そんな顔も出来たんだ。

 

飛びかかる。

 

無神さんが横に飛んで躱す。直接対決を避けたいみたいだ。

 

 

「無意味。」

 

すぐに追いついて回し蹴り。

 

無神さんが受け止めきれずに吹き飛ぶ。

 

 

「がっ!?」

 

「受け身下手くそだね。今まで転ばされることなんてなかった?」

 

「うっ……るさいっ!!!」

 

 

寝てる無神さんに拳を叩き込む。

 

無神さんは首で跳ね起きて躱す。

 

 

「ハァ……ハァ……ハァ……」

 

「呼吸大変だね。息止めないと個性使えないんでしょ?」

 

「だまれ……ハァ……ハァ……こんなハズじゃ…………」

 

 

「勝てると思った?難なく。……個性のバリアは通用しない。身体強化してもスペックが違いすぎて勝てない。……何かしようとしてるみたいだけど受け流せてないしね?」

 

「!!」

 

「武術かなにかでしょ?……おねーさん言ってたんだ〜。武術は相手の実力が低いか近いものじゃないと効果を発揮しづらいって。」

 

「…………何が言いたいのッ!!」

 

「わかんないの?……貴方。私よりも弱いね。」

 

「お前ッ!!!」

 

 

無神さんが突撃。

 

何度も攻撃を叩き込んでくるが……全部めちゃくちゃ。ちゃんと急所を狙わないと。

 

 

「軽いね!!」

 

私の拳が無神さんの顎を捉える。

 

「ゴッ!!?……アッ……!?」

 

 

あれ?フラついちゃったかな?

 

胸部に前蹴り。

 

「げほっ!?」

 

 

無神さんがまた吹き飛ぶ。

 

「ごほっ……カヒューッ……がはっ……カヒューッ……えほっ……」

 

 

「……ちゃんと呼吸整えな。じゃないと楽しくないから。」

 

「バカに……してっ……ハァーーーッ……ハァーーーッ……」

 

全然整えてない。……これは……

 

セメントス先生を見る。

 

 

「……もう止めた方がいいんじゃないですか?多分殺しちゃいますよ?私。」

 

「……。」

 

「私にッ!!負けを認めろと言うのッ!!」

 

「……そうだよ?」

 

「情けなど……いらないッ!!完膚無きまでにボコボコにしてあげるわッ!!あのB組みたいに!!普通科みたいにッ!!」

 

「…………。」

 

 

そっか。何してもいいんだ。貴方は。

 

何言ってもいいんだ。貴方は。

 

ごめんねおねーさん。絶対止めてね?

 

 

「……じゃあ死のっか。」

 

「!?」

 

 

地面に手を着く。

 

「これ。私の今出せる最大出力。貴方にぶつけるね。」

 

 

全力で踏み込む。

 

地面が割れる。

 

 

 

単純明快。

 

 

 

突進。体当たり。

 

私の体重と筋力と速度。全てが乗せれる最高の技。

 

 

「スラッグミサイル。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこまで。」

 

私と無神さんの距離。1m。

 

 

間におねーさんが入って止めてくれた。セメントス先生は身を呈して足がすくんで動けない無神さんを守ってる。無神さんのズボンが濡れてる。失禁しちゃったのかな?

 

 

真っ赤なおねーさん。久しぶりに見た。

 

 

「…………わかってるわね?日巡璃ちゃん。」

 

重い言葉。嫌だけど……

 

「…………うん。わかってる。」

 

頷くしかない。

 

 

「…………ならよし。セメントス先生。」

 

「はい。反則行為により、槍田日巡璃の反則負けとしますッ!!」

 

 

『えっ……えっ……あっ!勝者!!無神神無月!!』

 

「「「エエエエエエエッ!?」」」

 

「……。」

 

無神さんは呆けてる。

 

 

 

「……ごめんね。おねーさん。我慢できなかった。」

 

「…………いいわよ。……それよりも、強くなったわね。おねーさん嬉しいわ。」

 

「……うん!」

 

 

 

「「委員長ォ!!」」

 

観客席から声が聞こえる。

 

 

「あっ!みんな!ごめんね!負けちゃった!!」

 

「かっこよかったぜ委員長!」

 

「せっかく勝ってたのに!もったいない!!」

 

「ぶーぶー!槍田が勝ってただろ〜!」

 

「えへへ!応援ありがとうね〜!」

 

 

「日巡璃ちゃん。1回救護室戻ろっか。」

 

「はい!」

 

「貴方もね。無神さん。」

 

「…………。」

 

 

選手通路で愛ちゃんが出迎えてくれる。

 

「立派でした。お嬢様。」

 

「ありがと。愛ちゃん。」

 

 

……早くカナと天捻ちゃんにも会いたい。

 

そんなこんなで体育祭は幕を下ろした。

 

 

結果は2位。これから表彰式だね。

 

 

 

 

 

 

 

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