side槍田日巡璃
「それじゃパパ!ママ!行ってくるね!」
「ひまちゃん……!忘れ物はない!?ティッシュは……ハンカチ……スマホは!?」
「日巡璃……パパ寂しいよ……長期休みの時は帰ってくるんだよ?」
「うん!絶対帰ってくるね!」
パパもママも心配屋さん。私は大丈夫だよ!いっぱいお友達作ってくるね!
「行ってきます!」
「ひまちゃん!頑張ってね!いっぱい仕送りするから!」
「パパだって日巡璃のためにいっぱい稼ぐからね!安心して行っておいで!」
「はーい!ありがとう!」
パパはあんまり無茶しないでね?
途中でお水を買って駅へ。カタツムリだから水分無くなると枯れて死んじゃう。
キャリーバックを持ってそのまま駅へ。
「ちょっと。」
切符を買って改札に行こうとした時、後ろから声をかけられる。
「あなた。本当に雄英に行くのね。……場違いな。」
振り向かない。この声は私を最後まで虐めてた子。雄英に落ちた子。
「何とか言いなさいよ。あなたなんかヒーローになれるなんて思わないけどね。」
……こんな時は……
「暇なの?」
「はぁ!?」
「私は自分の努力で前に進んだよ。私の足引っ張る時間があるなら……あなたの頭でも合格出来た底辺高校の勉強でもしてたら?普通科合格おめでとう!」
そのまま改札を抜ける。
「こいつ!絶対許さない!!」
彼女は改札に阻まれる。後ろでギャーギャー聞こえる。駅員さんにも迷惑をかけているみたい。
私は一度も振り返らなかった。
「えへへ!カノーテスちゃんに言われたセリフ通り言ってやったよ!」
『どうだった?』
駅内でカノーテスちゃんと通話。作戦通りだね!
「カンカンに怒ってた!」
『でしょうね!ふふん。一泡吹かせれたわね!』
「うーん……あんまり言いたくなかったけどね?」
『負け犬には好きなだけ言わせとけばいいの。』
「はーい。ありがとうね?カノーテスちゃん。」
『いいわよ。友達が貶されるの私は絶対に許せないから。』
「ふふふっ。私カノーテスちゃんに会えてよかった。」
『……はぁ!?』
あ、新幹線来た。
「新幹線来たから切るね〜。」
『ちょっと!今のなn……』
ピッ
寮生活楽しみだな〜!
少しだけ寂しいけど……パパ!ママ!私頑張るよ!
行ってきます!!
雄英高校の寮。ハイツアライアンス。
そのまま予め受け取っていた鍵に書かれてる部屋番号を探す。
一瞬全寮制だったのもあって結構な広さだけど、今は選択制。学年ごと別れてる。私は1年生の棟に向かう。
部屋は……3階。角部屋だ!部屋に入ると、既に荷物があらかた届いている。エアコン、冷蔵庫、机、クローゼット、Wi-Fi完備。豪華すぎる。さすが雄英だね。
とりあえず荷解きしないとね!
よし!がんばろ。
部屋着はこっち。普段着はこっち。救急箱はこっち。布団こっちに……あぁそうなるとクローゼットの邪魔だな。うーん。
色々悩みながら2時間。ダンボールをあらかた開けて、あとは細々したものだけになった。
「うーん。1回休憩!」
家から持ってきたふわふわ椅子。ふわふわしたもの大好きなんだよね〜。背中の殻が痛くないから。
あと……出すものは……
ガダッガダガダダン!
「うえあっ!?」
横から大きな音がする。何??
シーン……
え?え?見に行った方がいいのかな?怪我してたら大変だよ。
そのまま隣の部屋に向かい、ドアを恐る恐るノック。
コンコン
「大丈夫ですか〜?」
すると可愛らしい声が返ってきた。
「…………ドア空いてる。……助けて。」
「え?開けるね?」
ガチャ
開けるとそこには一言で表すとグルグルの子。瞳がグルグルしてる。髪型も緑色でグルグルしてる。グルグルしてる子がダンボールにまみれて大変なことになってる。
「わー!すぐ助けるね!失礼します!」
「おぉ………ん………お願い。」
ぽいぽいぽーいとダンボールを退かし、中身が割れてないか確認。大丈夫そうで安心した。
「……ん。助かった。……ありがと。」
「いいよいいよ〜。」
お部屋は黒を基調とした暗めの部屋。厨二病ってやつかなぁ?かっこいい!
その子は自分で出したのだろう……座布団に座ってる。
「お部屋かっこいいね!」
「…………そう?ありがと。…………名前。」
「私の?槍田日巡璃っていうの!ヒーロー科だよ!」
「ヒーロー科…………いいな。」
「え?」
「私普通科。ヒーロー科落ちちゃった。」
「えぇ!!……ご……ごめんね?」
「大丈夫。……巻き返すから。……2年生から目指せヒーロー科。…………むん!」
腕をムキってしてみせる。元気!可愛い!
「あははっ。そうなんだ!頑張ろうね!」
「ん!…………私は中曲瀬天捻(なかまがせあまね)。……よろしく。」
「天捻ちゃん!よろしくね!」
「よろしく。ひまひま。」
初めてあだ名で呼ばれた!嬉しいな!
「ひまひま?うふふっ。よろしくね!」
「ん!」
その夜。
『……で?お友達になったの?』
「そうだよ!連絡先も交換したんだ!えへへ……仲良しになっちゃった!」
「ん!ひまひまと仲良し。」
天捻ちゃんも招いてカノーテスちゃんと通話。天捻ちゃんは私に引っ付いてる。私の事気持ち悪くないのかなぁ?都会ってすごいや!
『ひまひま…………むむむ。』
「カノカノ。……ひまひまは半分こしよ。……ね?」
『何よ!!こんなのだったら私も寮にすればよかった!』
カノーテスちゃんが怒ってる。……カノーテスちゃんはパパとママが寮生活ダメだって言ったらしい。一緒に暮らしたかったんだけどなぁ。
「半分こ?私切られちゃうの?」
「切らないよ。……私達のものってこと。」
「??」
天捻ちゃんが顔を私の肩に擦り寄せてくる。
『むむむむ!!……羨ま……なんでもないわ!』
「カノカノは素直じゃない。……私が奪っちゃう……よ?」
天捻ちゃんが腕に抱きついてくる。天捻ちゃんもちっちゃくて可愛いね〜。どちらかというとカノーテスちゃんより天捻ちゃんの方が身長低いね。
『待って!絶対に許さないから!!』
「ふふん。勝負……だね。」
『うううううっ!!あと入学式まで2日よ!天捻!それまで好きなだけ時間を稼ぐといいわ!』
「望むところ……。」
「なんのこと?」
『アンタは知らなくていいの!』
「ニブチンだね……ひまひま。これは……強敵。」
『ほんとにね。…………この天然タラシ。』
「???」
なんのことだろう?よく分かんないや。
そんなこんなで入学式当日。
「日巡璃!」
「あっ!カノーテスちゃん!!」
カノーテスちゃんが前から抱きついてくる。少し腰を引く。
昔の記憶が蘇る。
『こいつ女なのにちんこついてるんだぜ!』
『えっ!?キモ……。』
『やだ〜……男子更衣室いってよ!』
『俺達もやだよ!コイツ女だろ!』
ズキン……ズキン。
嫌だなぁ。本当にこの身体の嫌な所。
どうしても…………払拭できない。
「こいつに変なことされなかった!?」
ふと我に返る。
カノーテスちゃんが私の横にいる天捻ちゃんを指さす。
「変なこと?されてないよ?」
「……一緒に寝た仲。」
「一緒に……!?許せない!!」
えぇ〜?夜一緒に寝たくらいだよ?朝起きたら天捻ちゃんは先にお部屋に戻ってたみたいだけど。
「……待ってカノカノ。朗報。」
「何よ。」
なんか2人でヒソヒソ話。
むぅ。なんか疎外感。
「え!?本当!?」
「うん。間違い……ない。」
「…………。ほんとに?」
「私の目を……信じて欲しい。」
「…………わかったわ。」
「何が〜?」
「なんでもないっ!早く行こ!」
なんか誤魔化された気がする!!
「……私は2人と場所が違う。……悲しい。」
「また話そうね!」
「私も話してあげなくなくってよ!」
「……嬉しい。また……お昼ね?」
そのまま入学式は終わって、3人で写真を撮る。
パパとママに送ってあげよ。お友達出来たよって。
私とカノーテスちゃんは1-B!同じクラス!
そういえば入学式に1-A組がいなかったけど……どうしたんだろ。何かあったのかな?
そのまま自分のクラスに。うわぁ……色んな子がいるね。うん!楽しみ!楽しみ!
「…………私が守らなきゃ。」
カノーテスちゃんは既に臨戦態勢。……何を守るの??
自分の席に着くと色んな人から話しかけられる。
「B組?」
「身長でっか。どれくらいあんの?」
「大きすぎて前見えねぇかも!ありがてぇけどありがたくねぇ!」
「カタツムリの個性?殻可愛いね。ねーねー触っていい?」
わ……わ……わ……みんなすごいグイグイ来る!
「ちょちょちょ!ちょっとストップ!」
カノーテスちゃんが割り込んでくる。
「皆一気に聞いたらびっくりしちゃうでしょ!1人づつ自己紹介!」
「あっそうだね!ごめんごめん!」
「大きい異形個性の子珍しくて……すまねぇな!」
「いいよいいよ!私もみんなと話したいし!」
「「「おぉ……。」」」
「おぉじゃなーーーい!!!見惚れてんじゃないわよ!!日巡璃は私のなんだから!!」
「「「え!?」」」
「……あっ。」
ん?