side槍田日巡璃
無神さんから話を聞いた。
人間関係の悩みとしては……それだけと片付けるには難しすぎる。
人と関わり方がわかんなかったこと。他人を信じられなかったこと。家庭環境がとても良くなかったこと。
助けてくれた加糖くんと、理解してくれた私に縋ってしまったこと。
「……ふーん。それで?アンタはどうしたいの?全国放送で醜態晒して。A組の評判尽く下げて。ごめんなさいのひとつで済ませるつもり?」
「……。」
「ちょっとディミトリウさん。そんな言い方ないだろう!」
日河原くんが注意する。うんうん気持ちはわかるよ。
「副委員長。事実は時に人を傷付けるけど、今回ばかりは言わせてもらうわ。あなたはもう既に謝るだけじゃ戻れない場所まで来てるのよ。」
「そうだね。今の状況はそんなに楽観的に捉えれないかな。」
「っ……。」
「しかし…………。」
「砂っち。諦めろよ。どうするかっつったって……俺たちじゃもう無理だぜ?」
「うーん……どうすりゃいいんだ?聞いてる分には情状酌量の余地はあるけどなぁ?」
「勘違いさせがちな言動が多かったとはいえ……A組は既に君のことを半数以上が敵対視している。我々が声をかけたところで……どうにもならないだろう。むしろ関係を悪化させかねない。」
「……どうしようもない。」
難しい問題だ……うむむむむ……
「槍田はんはどう思います?」
「……え?私??」
憂世ちゃん?なんで私??
「このクラスの委員長はんですから。」
丸投げっていうんだよ!それ!!
「えぇ……そうだけどさぁ…………一旦無理じゃない?」
「!!……そんな…………貴方達に見捨てられたら……私…………」
「大丈夫でありますよ。委員長殿はきっと見捨てようとして無理と言ったわけじゃないであります。」
加糖くんが無神さんを慰めてる。その子の対応頼んだ!
「だってこの後職場体験と中間テストあるんだよ?皆の時間奪って謝る機会作ったところで……自分たちの時間使うな!って言われたらおしまいじゃない?流石にそこまで子供じゃないとは思いたいけど……嫌な人からの謝罪って本当に興味が無いからね。」
私の体験談。誰も許してないよ?
「…………そうね。……私……どうすればよかったんだろ。」
静寂。
誰も答えられない。そりゃそうだよね。みんな同じ経験してる訳じゃないもの。
ああすればよかった。こうすればよかった。簡単に言えるけど……果たして自分達が同じ立場に立ったとして……出来たかと言われるとわかんない。
「……やっちゃったことは仕方ないであります。……でもまだ出来ることはきっとあるであります。」
「加糖くん……。」
「最低限僕達は理解者になってあげるでありますよ!それが多分僕達ができる第1歩であります!そのあとはそれから考えればいいでありますよ!」
加糖くんは……かっこいいね。そう言ってもらえると多分無神さんは救われるんじゃないかな?
「ハァ〜〜〜ッ……甘麻呂がそこまで言うなら俺はノるぜ。甘麻呂が許してんのに俺が怒るのは違うしな。」
「うん。僕も。よろしくね。無神さん。」
香曽我部くんと氷叢くん……2人とも優しいね。
「……2人とも……ありがとうございます……!」
「まぁ……私は何も被害受けてないし……別にいいよ?」
「美右も〜!」「左久も〜!」
「俺もええで。他のやついじめたら許さへんけどな?」
「俺も。」「私も。」「私も。」
「…………皆さん……ありがとうございます。本当にありがとうございます。」
無神さんが深々と頭を下げる。
そのあと皆と仲良く喋ってるみたい。
うーん……
「……日巡璃?」
カナが私の顔を覗き込む。……カナにはバレバレだね。
「……いやね。どうしたものかなって。」
「……というと?」
「多分相澤先生……イレイザーヘッド先生も手をこまねいていると思うんだよね。今のA組。」
「…………そうね。」
「ですがお嬢様。我々ではどうしようもない問題です。」
愛ちゃんの言う通りなんだよね。どうしよっか。
「…………うーん。出来る限りはしてみるよ。」
「出来る限りですか……?」
「うん。なんとかなるかもしれないし……ならないかもしれない。」
「「?」」
職員室。
「……ってことがあって。」
「……そうなんだ。まぁそんなことだろうと思ったけどねぇ。」
出来る限りのこと。それは……
「おねーさん。何とかならないかな?多分このままだと……」
「そうだね。最悪A組とB組が分裂するね。仲違いだ。」
流水おねーさんに相談。どうにかしてもらいたい。
おねーさんは持っていた缶コーヒーを1口。
「うーん…………でも私職場体験受け付けたとしても……救護室にいたもんだし……職場体験は日巡璃ちゃんにしようって思ってたから……あんまり他の子見れてないんだよね。」
「えへへ……それは嬉しいですけど……じゃあ無理そうですかね?」
おねーさんからの逆指名。絶対にここにします。確定です。
「無理……って程じゃないけど……周りに見直させるって面では……出来ないこともない子はいるね。」
「そうなんですか!!」
流石おねーさん!!やっぱり頼りになるなぁ!
「うん。……まぁその子忙しいから……受け付けてくれるかわかんないけどね〜。今のうちに連絡してあげるよ。」
「誰か聞いてもいいですか?」
「いいよ。」
おねーさんはスマホを耳に当てながら……
「大・爆・殺・神・ダイナマイト。」
ありえない名前を口に出した。
「「チームアップ?」」
「そうだね。大・爆・殺・神・ダイナマイトとの相談の結果、私の事務所と職場体験の間チームアップすることが条件だと。」
そうしてこうして職場体験の日。私と無神さんはどちらもブラッドロータス事務所に集合がかかった。
目の前にはおねーさんとおねーさんの机にお尻を乗せてる大・爆・殺・神・ダイナマイト。
大・爆・殺・神・ダイナマイト……すごーく口の悪いヒーロー。でも何故か人気があって今トップ10入りしてる若手実力派。おねーさんがこの人と知り合いなのは知ってたけど……了承してくれるほどとは……。
「……変な条件ですね?」
「あぁ!?」
「「ひっ!?」」
「こーら。威嚇しないの。」
「チッ……すんません。」
…………仲良しなのかな?
ちなみにカナも愛ちゃんも逆指名が入ったのでそっちに行った。お互い強くなろうね!
「それで、今日は大・爆・殺・神・ダイナマイトのパトロールについて行ってみようの会ってことで。」
「え!?私たち仮免持ってないから個性使えないよ??」
「大丈夫大丈夫。公安の上のやつにちょいちょいって掛け合って2人分OK貰ったから。」
そういえばおねーさんって公安所属だから公安の人と仲良しなんだっけ。
「こ……公安に……ですか?」
「うん。だから2人とも個性使っちゃって大丈夫。じゃないと……」
「「……?」」
『この子のすごさがわかんないでしょ?』
BOM!!
速い!これがトップヒーローのパトロールの速さ!どんどん進んでく!これで周りも見てるの???
「遅ぇぞお前ら!とっとと着いてこいや!」
「「ッはいっ!!」」
くそっ!絶対に追いついてやる!このまま終われないよ!!
目の前でどんどん人を救っていく大・爆・殺・神・ダイナマイト。私たちはそれを追いかけて見つめることしかできなかった。
「……ふん。結構根性はあるな。」
「ハヒューッ……ハヒューッ…………」
「ぜーっ……ぜーっ……」
なんでこの人息上がってないの……??
「……ハラセン……ブラッドロータスに急に連絡されて何事かと思ったが……まぁそんだけ動けるなら上々だ。」
ガコン……ガコン……
「ほらよ。」
大・爆・殺・神・ダイナマイトが自動販売機から水を渡してくれる。
「あっ……ありがとうございます!」
「ありがとうございます!」
「……それで?テメェか。めんどくせぇ事になってんのは。」
「ひっ…………は……はい。」
無神さんがびっくりしてる。怖いよね。この人。
無神さんなんだけど……今B組が色々掛け合って休憩時間は何とか孤立はしないようになってる。それでもA組の痛い視線は消えないもので……どうすればいいのかなぁ。この職場体験で変わるといいんだけど……。
「あー……ビビらせようと思ったわけじゃねぇよ。なんだ。俺もお前の立場はよくわかる。……俺の時はブラッドロータスが止めてくれたからな。」
「「……え?」」
「んだよ。聞いてねぇのか。俺は雄英高校出身で……ブラッドロータスの弟子だよ。」
「…………。」「…………。」
えっ?
「俺はあの先生にボコボコにされたんだよ。全部。全部だ。……懐かしいな。」
「「ええええええええええっ!?!?!?」」