side槍田日巡璃
「なるほど。お前らの個性は把握した。」
今は皆でコンビニの前。パンと飲み物を片手に休憩時間。
私は牛乳と肉まん2つ。無神さんは水とおにぎり1個。大・爆・殺・神・ダイナマイトはあんぱんとウィダーインゼリー。
2人ともそれで足りる??
「だったら尚更着いてこい。見なくちゃならねぇものが山ほどある。お前の曲がった価値観も、凝り固まった性格も。全部どうにかするには全部の柵をぶっ壊すしかねぇ。」
「「はい!」」
「お前ェはハラセンとこの職場体験だろうが。俺の管轄外だ。」
「えー!」
「えーじゃねぇ。何か教わりたかったらハラセンに聞け。」
そりゃそうだけどさー……ぶーぶー!
「あっ……居た居た。」
この声!
「おねーさん!」
おねーさんがこっちに走ってきた。
「ハラセン。仕事が忙しいんじゃねぇのか。」
「終わらせてきたよ。そろそろ2人の実力見とかないとね。どうだった?」
「コイツはともかく……このカタツムリヤローはパワーは完全にプロヒーロー級だ。だが身体の動かし方がめちゃくちゃだ。無駄に体力使う。」
……カタツムリヤロー?……褒めてくれたのかな?
「まぁ私が4年くらい教えてたし妥当かな。そんで?無神さんは?」
「……個性にまだ慣れてねぇ。あと基礎だ基礎。身体がまだ出来てねぇ。まずはそこからだな。」
「ふーん?まぁ見てみてだね。そこから方針決めても悪くないかな。」
「わかった。」
「あ……あの……職場体験って皆こんな感じなのですか?」
無神さんの疑問。そうだよね。普通だったらプロヒーローの仕事を少しだけ経験させて……みたいな感じだと思ったんだけど……
「いや?私達はちょっと違うかも。」
「「え?」」
「この場でも皆にとって授業の時間を削ってるわけでしょ?だから授業以上に皆の出来ることを増やす時間にしたいわけ。」
出来ることを増やす……なるほど。
「……俺ん時もそうだったな。」
「そうだね!君の場合は矯正も必要だったけど。タイミング的にはちょうど良かったね!」
「……チッ。」
「矯正……?」
「まぁ何れわかるよ!」
「オイハラセン。動けんのかよ。」
「え?アップは済ませてきたよ。事務所からここまでどれだけ距離があると思ってんの?」
「へっ。じゃあ大丈夫そうだな。」
「「??」」
「ここはハラセンの管轄内だけあってなんもねぇな。」
「あるわけないじゃない。公安の目もあるしね。」
「ハァ……ハァ……」
「ゼェ……ゼェ……」
なんで二人共……喋りながらパトロールできるの???
早いし……苦しすぎるって……
「オイお前ら。次俺の管轄内をパトロールするからな。休んでる暇ねぇぞ。」
「「ひいいいいいっ!」」
「ふふふっ頑張りましょうね?」
鬼だ……鬼がいる。
しかも2人。
チーーーン。
「2人ともよく頑張ったじゃない。うんうん。学生にしてはよく動けてたわ。」
おねーさんの事務所に帰ってくる。私と無神さんは地面に突っ伏してる。もう動けない。こんな長距離をこんなハイペースで走ったの初めて。
「フン。着いてこれるだけで充分だ。」
「はひゅ……ハァ……ハァ……ありがとう…………ございます…………」
「ゼーッ……ゼーッ…………」
「み…………みんな……ヒーローってこうなん……ですか?」
もしヒーロー全員がこんなハイペースで見てるなんて凄すぎる。私の努力が全然足りてないよ!
「んなわけねぇだろ。」「んなわけないわよ。」
「はぇ……?」
「俺は事務所ン中は1人だ。だから全部俺一人でする必要がある。パトロールなんてちんたら時間かけてちゃ他の仕事が出来ねぇ。だから鍛えた。毎日毎日同じパトロール。異変をいち早く察知するためにだ。」
「な……なるほど……」
「そうだね。私もそっちだったかなぁ。っていうか大・爆・殺・神・ダイナマイトにパトロールの基礎教えたのが私とエンデヴァーだからそれもあると思うけどね〜。」
「え……エンデヴァー!?……そんな有名なヒーローまで……」
「普通は2人3人で歩きながらパトロールが基本よ。地域の人と関わりを持つのも大事だからね。」
なるほど……じゃああそこまでガツガツする必要は無いんだね。ちょっとだけ安心。
「……そんでテメェ。今から雄英行くぞ。」
「ゼーッ……ゼーッ……えっ……私ですか?」
「ああ。お前の基礎訓練だ。」
「?」
え?今から??
「日巡璃ちゃんも見に行こうね?」
「えっ?……あっはい!」
BOM!!
BOMM!!
「テメェ個性維持し続けろっつったよな!!手ェ抜いてんじゃねぇぞ!!」
「かはっ……はぁっ……はぁっ……はい!!」
なんで……?
「遅ぇ!判断も行動もォ!全部足りてねェ!天才中学生ってのは嘘かよ!!」
「ぐううっ……まだ!!……行けます!!」
なんで2人で殴りあってるの??
「うんうん。もう名物になったね。」
「HAHAHAHA!あんまり無茶させないようにね!」
「傷原くん……良くないものを名物化させないでくれよ……。」
何故か校長先生と教頭先生もいるけど……本当になんで??
「君は……槍田さんだね!1年B組委員長の。僕達がいるのが気になるかい?」
「はっ……はい!」
根津校長先生に声をかけられてびっくり。
「僕達は君達生徒の安全を親御さんから預かってる立場だ。だからこそ大きな怪我は避けたいと思っている。まぁ言ってしまえば監視役だね。」
「そうなんですか……お時間頂いてすみません。」
「いやいや!君が謝ることじゃないよ!僕達が許可したからね!」
BOOOOM!!
「きゃっ!?!?」
「……フン。これで10本だな。」
2人がやってたのは10本先取。一撃当てるか、躱せない状態を作られれば1本。
一方的……と言わざるを得ないね。
怒涛の連続攻撃で無神さんの無敵を維持できなくし、その隙に一撃を叩き込む。わかりやすいけど無神さんが突破できない課題。
「思った以上に動けるな。……今の学生はレベルが高ぇな。」
「でしょ?だから本気でタイマンしてあげてね?」
「……うす。1回休憩だ。次はお前だ。カタツムリヤロー。」
「……え?私??」
「そうだよ。お前も強くなりてぇだろ。」
「っ!はい!!」
私もやれるなんて思わなかったけど……よーし!張り切っちゃうぞ!!
「お願いしますッ!」
「何処からでもこいや。」
「おねーさん。本気出していいの?」
「当然。ぶちかましなさい。」
えへへ!楽しみ!!
「最初から全力で行きますッ!!」
両手を地面に着く。
「……手ェ抜いたら許さねぇぞ。」
「はいっ!!」
地面が割れる。
「スラッグミサイル!」
「!!!」
BOM!!
壁に激突。
「…………速ェな。パワーもすげぇ。だが一直線だな。」
「えへへ……どうでした?ビックリしました?」
後ろを取られて1本。
「……これはこのままでいい。伸ばせ。次だ。」
「はーい!」
なるほど……これで課題と戦闘訓練を同時に……効率的だね!
いっぱい教えてもらお!
「…………凄……。」
「へぇ……あれ初見で躱すんだ。……強くなったねぇ爆豪くん。」
「HAHAHA!師匠としては嬉しい限りだね。傷原さん!」
「もう少しで壁ぶち破りそうでしたよ……?すごいパワーだね。」
「負けたーーーーッ!!」
「ふん。……まだ負けてられっかよ。」
10対0!一方的!
プロヒーローとの厚い壁を感じた。
「面白かったです!またやりましょ!!」
「やるとしたら明日だ。今日は2人とも全力で休め。疲れ残したら容赦しねぇぞ。」
「「はい!」」
するとおねーさんがこっちに歩いてくる。
「じゃあ爆豪くん。ここからは大人の時間だね。」
「そうッスね。……フーッ。」
???
「どこまで強くなったか見てあげよう。」
おねーさんが赤くなる。
「今度こそ地面に寝かせてやるよォ!!」
え?え??
「槍田さん。そこ危ないよ!」
「あっえっ!?はい!!」
根津校長に言われて距離を取る。……と
「オラァッ!!」
「あははっ!!」
BOOOOMM!!!
「「えぇ……??」」
なんで殴りあってるの???