side槍田日巡璃
「え??今日は突入捜査があるんですか?」
3日目。おねーさんの事務所じゃなくて、大・爆・殺・神・ダイナマイトの事務所に集められた私と無神さん。
一応事務所内にはおねーさん事務所のヒーロー……被身子おねーさんが居る。色々忙しいけど時間を作ってくれたって。優しいね!
ナガンおねーさんと冬美おねーさんと才子おねーさんは留守番だって。
「まぁ貴方達にはさせないから安心して?他の事務所ともチームアップするけど……あんまり大きなものじゃないから。」
そうなんだ……って私達学生を連れてきていいの??
「すみません。私達学生なんですが……?」
「雄英に許可は取ってるわ。私達の仕事風景を見せることで新しい刺激になれば……と思ってね。」
「うーん?おねーさん無茶苦茶しすぎじゃない?トップヒーローの首根っこ引っ捕まえて無茶言ったり、雄英に無茶通したり……。」
「それだけ色々してんのよ。コネクションは多い方がいいんだから。」
そういうものなのかな?
「……俺を見んな。ボケ。」
そういうもんらしい。
「一応今回来てもらうヒーローを教えておくわね。……って言っても2人だけど。……この人達。リザーディとエミリー。」
「リザーディ……?エミリー?」
「……お前マジか。」
「だっておねーさん以外のヒーローあんまり興味ないんだもーん!」
「リザーディは今ランニング30位くらいのトップヒーロー。エミリーはまだランク100位外だけどぐんぐんランキングをあげてきてるわ。槍田さん。もう少しだけヒーローの勉強した方がいいわよ??」
大・爆・殺・神・ダイナマイトと無神さんに突っ込まれる。うぅ……最近ヒーローの名前勉強してないのバレちゃったか……。
「うっ……そうなんだけどねぇ……興味ないことあんまり熱が入らなくて……。」
「日巡璃ちゃんは相変わらずですねぇ?」
被身子おねーさん!もっと甘やかして!
「……まぁいいわ。名前と顔覚えておけば失礼には値しないはず。今回はあなた達は見てるだけ。私とブラッドヘリアンサス、大・爆・殺・神・ダイナマイト、エミリーが突撃。リザーディは索敵。警官も数名同伴させるわ。」
「……結構大掛かりですね?」
「まぁ小規模だけど、こういう悪はのさばらせて置いて損しかないからね。……ハァ…………公安もこういう所には力入れんのよねぇ?」
公安の人に不満でもあるのかなぁ?
「この敵は何をしたんですか?」
「薬物。違法のね。」
「なるほど。」
違法薬物検挙……すごい仕事だ……。
「よし。そろそろ集合時間だからポイントに行くわよ。」
「……どうやって行くんですか?」
「徒歩。すぐの場所だしね。」
「え??」
歩いて30分。
ほんとにすぐだった。
「ここ……ですか?」
「そうよ。もう既に警察が包囲してるでしょ?」
「……たしかに。」
ちょっと大きめの一軒家に見えるけど……ここで違法薬物を流してたんだね……。日常生活に紛れてるものなんだね。
私達が何気なく歩いてる道も。敵が潜んでいると思うと怖くなる。その不安を取り除くのがヒーローの仕事。
「これ怪しいって見つけたのは大・爆・殺・神・ダイナマイトだから相当お手柄ね。」
「フン。時期が被ってたから本来職場体験なんてさせる気なかったんだよ。テメェから連絡無かったらもっと早く終わったんだ。」
「ごめんね!埋め合わせはするから。」
「……チッ。」
「……素直じゃないですねぇ?一緒に仕事できて嬉しいって言えばいいのに。」
「るせぇ!」
「知ってるよ〜。」
「るせぇ!!黙れやボケッ!!」
……??
このふたりには何が見えてるんだろ??どこをどう読み取ったら嬉しいになるの??
無神さんも意味わかんないって顔してる。
2人で顔を見合わせるが……よくわかんなかった。
「傷原せんせ!ちょっと遅れちゃった!」
「こんにちは。せんせ。元気?」
少し待つと2人。紫色の全身タイツの女の人と、白い着物の女の人がやってきた。
「大丈夫よ〜。連絡もらってたし。さて。ちゃちゃちゃっと済ませちゃいますか!」
「……せんせ。ほんとに大丈夫なの?私達職場体験の子居るんだけど。」
奥を見ると2人。女の子がいる。
「あっ!安毛ちゃん!福ちゃん!」
1年女子寮組!2人の職場体験先ここなんだ!
安毛ちゃんのコスチュームだいぶ薄着だけど大丈夫??福ちゃんはモコモコしててかわいい!何処かの民族衣装みたいだね!
「日巡璃!一緒に頑張ろな!」
「……委員長も居るんだ。」
う……A組はまだ委員長への当たり強いよね……。
「……私のことは気にしないでいいから。」
「…………。」
「……そんな言い方…………もういいよ。」
うーーーーーん!!どうしようねこの空気!!!
ちなみに無神さんのコスチュームは軍服。自分を律する為にしっかりしたスーツにしたって。無神さんらしいや。
「おーい。始めるから安全なところに居な!」
「「「「はい!」」」」
どうしようもないけどそんなこと言ってられなくなっちゃったもんね!
side???
数分。少し手間取ってるみたい。敵がドアを開けないんだとか。礼状もあるのに拒否してるんだって。
大きな金属製の扉。開けるのに相当苦労しそう。
「どうするんだろうね〜。」
「交渉するにしては……相手が協力的じゃなさすぎるわな!」
「…………。」
委員長。…………槍田さんが一緒にいるからある程度棘は見えないけど…………
最近B組の人と一緒にいるのをよく見る。A組が委員長と関わろうとしないのもあるんだけど。…………B組には話せてA組には話せないことでもあるの?
「…………ハァ。」
そう思ってるけど……それもこっちが聞こうとしてないだけ。あの時の見下してるって認識も……こっちが勝手につけただけ。
誰も委員長から話を聞こうとしなかった。
なのに一方的に嫌いって言っちゃった。ほんの少しだけ罪悪感。
…………私が少しでも足を踏み出していれば……少しでも話を聞こうとしてれば。
……A組はもう少しだけいい雰囲気だったのかな。
「どうしたの?福ちゃん!」
「……なんでもないよ?」
私は弱い。
何もかも。
「よーし。それじゃ強行突破するよ〜!」
「「いえーい!」」
?
何か始まるみたい…………え?なんですかそのハンマー。
「いっくよー!」
ガコン……
大きなシリンダーのような金槌をブラッドロータス先生が振り上げる。
あんな小さな身体で持ち上げれる代物じゃないと思うんだけど……?
「レッド・オリアンダーッ!!!!」
DOGAAAAAAANN!!
轟音。
あの扉が粉々に…………
あの小さい身体にどんな力が……!?
「突撃ィィィイイ!!」
警察の方と一緒にヒーローが突撃。
呆気にとられた私たちを尻目に作戦は進んでいく。
「爆豪。そっちに多数。全員確保して!柳、せんせ!そっちは重要書類多めかも!後回しで良さそう!被身子!確保ありがと!爆豪のところ行ける??」
近くでリザーディが周りに情報を渡す。視界をそのまま飛ばせるようで……本当にすごい個性。彼女がいるだけで索敵バッチリだよね。
「はぇ〜……プロヒーローさんはホンマにすごいなぁ!」
「……。」
安毛が感心してる。何れ私達もするんだよ?
……委員長は……何見てるんだろ。
既に何人か確保済みになって外に出される。
引渡しをしながら……人海戦術だ。
私達本当にすることないじゃん。でもこれ凄く大事な仕事だよね。いい経験……なのかな?
「何をするッ!!」
「あの野郎だけでもッ!!!」
「!!」
引渡しの途中、ミスがあったのか1人こちらに走ってくる。リザーディを狙ってる!リザーディは今視界が……!!
「死ねぇっ!!!」
まずい……!!
「ふっ!!!」
「……え?」
いつの間にか委員長がリザーディの前に出て、走ってきた敵を一本背負で投げ飛ばす。
「ぐほっ!!」
地面に叩きつけ、そのまま後ろ手に拘束。
「……私の個性は無敵。私に個性は効きません。大人しくしなさい。」
「がはっ……くそっ……くそがぁっ!!」
すごい手際……見惚れるような鎮圧と拘束。
「ないす!無神さん!」
いつの間にか槍田さんもリザーディとの間に入ってる。庇うように。
2人は成長してる。この職場体験で。
それに比べて……私は…………
変なプライドで委員長を知った気になって。色眼鏡で見て…………
「……なぁ福。」
「…………ごめん。言わないで。」
「……そっか。」
きっとこれを口に出すと……私は本格的に自分が嫌になってしまう。