side槍田日巡璃
別の日の夜。寮でみんなとお話中。
「ふぁ〜……」
「槍田眠い?」
「ちょっとね〜。」
「……すやぴすやぴ。」
天捻ちゃんが私の膝枕で寝てるのを見ると少し眠たくなってきた。
「ダメやで!勉強教えてくれる約束やんか!」
「そうだけど〜……」
安毛ちゃんの勉強を教える約束したんだけど……
「槍田ごめんな?……コイツ物分り悪くてさ。」
「なんやて茜!ウチは頑張ったらなんとかなるの安毛ちゃんやで!なんとかなるで!」
「でも安毛……さっきから3ページしか進んでないじゃん。」
そうなんです。すごーーーく苦労してます。
安毛ちゃんの勉強……っていうか分からないところがわかんないからどんどん遡って教えなくちゃならない。多分一本線にしないと理解できないタイプの子。
「……安毛はもう少し授業中先生の話をしっかり聞けばいいと思うよ?」
「福ーー!!それが出来たら苦労せんねん!」
私と天捻ちゃん以外に、福ちゃんと安毛ちゃんと茜ちゃんがいるのだが……安毛ちゃんの勉強に四苦八苦。福ちゃんは全然教えてないからまだしも、茜ちゃんは教えながら成績上位らしいから凄いよねぇ!
ちなみに今福ちゃんは大好物のスルメ食べてます。スルメ好きなのかぁ……歯ごたえ?嘴ごたえ?良いもんね。
「お嬢様。そろそろ睡眠の…………おや。」
私の部屋のベッドメイクをするとかなんとかで席を離れてた愛ちゃん。……本当にベッドメイクだけだよね?
「まだしてらっしゃったんですか。」
「まだってなんや!まだって!!」
「安毛。いま夜。うるさいよ。」
「うぅうぅうぅ〜!!」
…………そういえば。
「福ちゃんって無神さんいないと普通に話してくれるよね?」
無神さんは今お風呂。ちょっと先生に用事があるとかで帰るのが少し遅かったんだよね。
ちょっと前に寮生活を初めて、ずっと福ちゃんとベタベタしてたから1人なの新鮮。
「「あ……」」
「今カンナちゃんの話した!?」
え?
「寂しいよぉカンナちゃん!早くカンナちゃんに会いたい!私のカンナちゃん!まだかなぁお風呂!私も一緒に入ればよかった!なんで私先に入っちゃったんだろ!私のバカバカバカ!今から突撃する!?しよっか!カンナちゃんのいない時間なんて無駄!意味がないもんね!よしよしよし!!」
言葉を捲し立てて立ち上がる福ちゃん。
「待て待て待てぇ!!委員長も一人で風呂入りたい時もあるかもしれんやろ!!」
「槍田!!あんたが悪いんだよ!止めるの手伝いな!!」
「え?え?え?」
でもこのまま動いちゃうと天捻ちゃんが起きちゃう……
「お嬢様。お任せ下さい。」
「愛ちゃん!ありがとう!」
愛ちゃんが福ちゃんの後ろに回ってどこからか取り出した紐で縛り上げる。
「カンナちゃん!カンナちゃん!!」
「うるさいです。大人しくしてなさい。」
愛ちゃんが何かの布っぽいものを取り出して福ちゃんの顔に被せる。
「……スーッ……」
福ちゃんが止まった。
「……それは?」
「無神様が本日使用されてたハンカチです。お食事の後、口を拭かれてました。」
「……なんでそんなのもってるの?」
「そこに落ちてました。」
無神ちゃん小さいものをよく落し物するんだよね。そういう所抜けてるんだよなぁ。チャームポイントってやつ?
「……助かったわほんま……槍田!福の前であんなこと言っちゃダメやで!」
「ご……ごめんね?まさかあそこまでとは思わなくて……」
凄かったね……圧を感じたよ。圧を。
「お嬢様がいない時のディミトリウ様もあんな感じでしたよ?」
「……え??」
「いいお湯だったわ。学園寮も捨てたものじゃないわね。…………福。少し暑いわ。」
「ホ、ホ、ホ……」
無神さんがお風呂から上がってきた。そのまま背中に福ちゃんがくっついて今。
「委員長〜!ここ教えてや〜!」
「いいわよ。……えーっとね……。」
すごいなぁ無神さん。私達があれだけ苦労した安毛ちゃんの勉強表情ひとつ変えずにこなしてる。
「……そういえば無神さんってなんでヒーローになろうと思ったの?」
「……端的に言えば憧れたからね。勉強しかして来なかった……というか既に出来ているものしか信じれなかった私が正しいって直感的に思ったもの……だからかしら。言語化したことないから難しいわね。」
「……そっか。」
「ふーん……じゃあ今はどうなの?」
茜ちゃんがスマホをいじりながら質問する。
「え?」
「今……委員長は変わろうとしてるじゃん。……私達を信じようとしてくれてるじゃんか。心境の変化とかあったりしない訳?」
無神さんが少し考えてぽつりぽつりと話し出す。
「安心して?皆のこと信じてるわ。……私は酷いことしちゃったから。…………心境の変化があったとして……私がヒーローを信じれなかったとして。…………だとしてもヒーローになりたい。私みたいな子をまた作っちゃいけないから。……もちろん皆ライバルよ。もし競い合うことがあるなら全力で相手するわ。」
「…………ふーん。そ。」
「……茜嬉しそうやな?」
「……うっせ。」
仲良さそうで何より。A組は本当に雰囲気が変わったね。
「貴方もよ。槍田日巡璃。」
「…………ほえ?私??」
「そう。体育祭の決勝戦。私の勝利なんて認めないから。次は私の力で貴方から勝ちを奪ってみせるわ。」
「…………へへ!楽しみにしてるね?」
「ええ!」
「…………槍田って相当バトルジャンキーよな?」
安毛ちゃんからの質問。バトル……なんて?
「バトルジャンキー?」
「……戦闘狂。……っつーか戦いが楽しい!みたいな人の事。」
「茜ちゃんありがと!……んー……確かにそう言われると……そうかも。戦うの楽しいよ!」
「なにか理由あるの?」
「理由……ってほど理由じゃないけど、おねーさんの影響が大きいかなぁ。」
おねーさん笑って戦うんだよね。心から嬉しそうっていうかなんというか。だから私も戦うの楽しくなっちゃって。おかげで身体動かすのも好き!特に辛いものの方が好き!
「「おねーさん?」」
「保健室のブラッドロータス先生の事です。」
愛ちゃんからの補足。
「ブラッドロータス先生の事おねーさんって呼んでんねや!2人並んだらどっちがおねーさんかわからへんな!」
安毛ちゃんが笑いながら答える。……そっか。皆おねーさんの凄さがわかんないよね。
「それおねーさんの前で言ったらアイアンクローだよ?」
「プロヒーローとはいえ……あんなちっこい子のアイアンクローなんて……」
「おねーさん最近握力70kg超えたって喜んでたよ?」
「…………これ以上言うのはやめとこかな。頭蓋骨割れるかもしれん。」
安毛ちゃんが青ざめる。
「…………70?マジ?」
「うん。最近って言っても半年くらい前だけど。」
「「…………。」」
絶句って感じ。……そうだよねぇ私は異形型だから120kgくらいあるけど……あの人普通の人間のハズなんだよね。おかしいなぁ?
「……あのお方は色々と規格外ですからね。大・爆・殺・神・ダイナマイト……師匠と組み手でも勝ってましたから。」
「えぇ!?マジ!?やっばぁ……」
「保健室にいる時あんなニコニコされてんのに……戦ったらやばすぎやろ……。ああいうタイプが1番怒らせたら怖いんやな……。」
安毛ちゃん……勉強の手が止まってるよ??
「……ねぇカンナ。そろそろ寝よーよー。」
「福……たしかに。いい時間だしね?」
「一緒寝よ〜。」
「ふふっ。いいわよ?お部屋行きましょうか。」
福ちゃんの一緒に寝よコールに皆もう驚かない。慣れたねぇ皆。
「待って委員長!ここだけ!!ここだけ!」
「ごめんね桂田さん?私福との時間も大事にしたいから。」
「がーーん!!」
無神さんが福ちゃんを抱き抱える。
「2人ともおやすみ?」
「おやすみなさい。槍田さん。」
「おやふみ〜……槍田〜。」
2人は部屋に戻って行った。もちろん無神さんの部屋。
「あれで付き合ってないんやってな。」
「……委員長が恋心わかるの無理でしょ。」
「……そやなぁ。」
「…………鳥木様も大変ですね。」
「……何が?」
「お嬢様…………」
何その目!やめてよ!!