side槍田日巡璃
「ねぇ!槍田!!」
金曜日の放課後。明日はおねーさんの所に行ってトレーニングしようと思ってた矢先、急に後ろから声をかけられる。
「なっ!!何!?髑髏ちゃん!」
骸骰髑髏ちゃん。よく引子ちゃん達と話してるイメージ。私も席が近いから話すけど、無口で何考えてるかよくわかんない。
そんな子が急に大声出してびっくりした。
「そんなおっきな声出せるんだね?」
「それはいいの!ねぇ!ブラッドロータス事務所に…………レディ・ナガン様が居るってホント!?」
…………ん?
「レディ……ナガン…………様!?」
「それはいいじゃん!!ねぇ!ホントなのかよ!!」
「う……うん!居るよ?居る居る。サイドキックだし……」
「うっ…………ううううっ………………」
急に悶える髑髏ちゃん。
「…………どうしちゃったのこの子?」
カナが近付いてくる。私にもわかんない。
「……さあ?」
「ねぇ槍田!!一生のお願い!俺もブラッドロータス事務所に行かせて欲しい!!偶に行ってるんだろ!?頼む!!レディ・ナガン様に会いてぇんだよ!!」
「えぇ……?私遊びに行かないよ?」
「わかってる!わかってんだけど……じゃあ俺もトレーニングしに行きてぇ!!」
熱い懇願。……断るのも酷いよねぇ……?
「えぇ……どうしよっか……」
「……強くなりたいのであれば、ブラッドロータス先生に確認取ればいいんじゃない?」
「うーん……そうする?」
「いいのか?!恩に着るぜ!!」
髑髏ちゃんってこんなに喋るんだね……ちょっと意外だけど……面白いからいいかも。
そんなこんなで保健室。
おねーさんに相談をしに来た。……髑髏ちゃんも着いてきた。
「ん?ナガンさんに会いたい?……いいわよ?トレーニングしに来るついでだったら。」
「いいのか!?……ですか!?」
「ええ。日巡璃ちゃんの紹介だし……みんなに迷惑かけなかったら何してもいいわよ。」
「やった!!やったああ!!!ありがとうございます!!」
両手を振り上げて喜ぶ髑髏ちゃん。
「…………髑髏ちゃん。よかったねぇ?」
「ああ!ありがとう槍田!!お前のおかげだ!友達で良かったぜ!!」
髑髏ちゃんに肩を掴まれてガンガンゆらされる。
「うへぇ〜良かった良かった……!」
「仲良しねぇ……日巡璃ちゃん。友達いっぱいできたみたいね?」
「うん!……いつもの3人も来たいって言ってるけどいい?」
「いいわよ。1人2人増えたところで何も変わらないし。」
うーん……そうだよねぇ……おねーさんならB組全員相手にしても何とかしそう。
「じゃあ槍田!明日最寄りの駅に集合な!」
「あ、雄英でいいよ。カナが送迎してくれる。」
「そうなのか!じゃあ雄英でな!!」
「うん。遅刻厳禁だからね?」
「おう!!」
髑髏ちゃんが保健室を後にした。
「……私とか被身子ちゃんはまだしも……レディ・ナガンが好きってあんな若い子であまり聞かないわよねぇ。」
「そうだよね。初めて聞きました。」
「明日もしかしたら……面白いものが見れるかもね。」
「……面白いもの?」
「ふふ。」
おねーさんはそこから何も教えてくれなかったけど……まぁなんとかなるでしょ。
ブロロロ……
翌日。
カナの車の中。みんな集合した……というか髑髏ちゃんは2時間早く集合してた。早すぎだよ??
「そういえば髑髏ちゃんはなんでナガンおねーさんのこと好きなの?」
「好きとかじゃねぇよ。崇拝だな。」
崇拝……
「俺は……カッコイイ女性に憧れてんだ。両親は可愛い女の子が欲しかったみたいだけどな。俺の好みと全く合わねぇ服着させやがって……正直嫌だった。」
「両親と折り合いが悪いのね。」
「いや?そんな事はねぇよ。1回喧嘩して仲直りした。」
「お……男前だねぇ?」
「当たり前だろ。もうあっちもとやかく言ってこねぇし認めてくれてるよ。」
「まぁ……それなら良かったよ。」
「あぁ。認めてくれねぇなら出てってる所だ。」
「思い切りが良すぎる……」
ここ2日で今までの髑髏ちゃんのイメージが崩れ去っていってる気がする。
「ではどうしてレディ・ナガンをお好きになられたのですか?彼女は今ヒーローとはいえ元犯罪者。あまり認められたものではないですが……」
「そこがいいんだよ!」
「「「え??」」」
「俺さ、可愛いモンが嫌すぎて現実逃避するために色んなモン読んでたんだけど、レディ・ナガン様の本読んでからアウトローすぎて!カッコよすぎてよぉ!憧れちまってさ!俺あんな女性になりてぇ!って心から思うようになってさ!」
あぁ……だから読書も好きなんだ。
「いいねぇ。自分のルーツなんだ?」
「おう!俺の根底であり、現実を変えてくれた恩師さ!」
「それで感化されて活動できるのは髑髏ちゃんの才能だと思うよ?」
「へへ!そうかよ!なんか嬉しいな!」
髑髏ちゃんは顔が頭蓋骨で隠れてるから目元しかわかんないけど、思ったより表情豊かなのかもしれない。と思った今日この頃でした。
「「「「「お邪魔します!」」」」」
「いらっしゃい。」
「今日も来たんだ!いらっしゃーい!」
流水おねーさんと冬美おねーさんに出迎えられる。
そのままソファに案内された。
髑髏ちゃんはキョロキョロ。緊張してるみたいだ。
「この子がナガンさんのファンの子?」
冬美さんが髑髏ちゃんに声をかける。
「はっ!はい!よろしくお願いします!」
「そうだよ。……そろそろパトロールから帰ってくると思うけど……」
「おっす〜帰ったぞ〜。」
「ただいま帰りました。」
ナガンおねーさんと才子おねーさんが帰ってくる。ふたりでパトロール行ってたんだ!
「ナッ……ナナナナナッ……本物……だぁ………………」
髑髏ちゃんが顔の前で両手を合わせる。限界オタクになってる!?
「あ〜……この子かい?私に会いたいって子は?」
ナガンおねーさんが髑髏ちゃんに近付く。
「ひっ……はぁっ…………いい匂い……えぇ!……こんな近くまで…………」
「そんな緊張しなくてもいいよ。取って食ったりする訳じゃないしね。」
「ナ……ナガン様になら!たっ食べていただいても構いません!(?)」
「「「!?!?」」」
何言ってんの髑髏ちゃん!?
「あっはっはっは!!いいねぇ可愛いじゃん。よし。おねーさんがこの子のトレーニング見てやろ。来な?」
笑いながら髑髏ちゃんの頭を撫でるナガンおねーさん。
「ひぇ……そんなファンサ……いっ行きます行きます!目1杯シゴいてください!!」
髑髏ちゃんが飛び上がり、ナガンおねーさんについて行く。
「私たちも行こっか?」
「「「「はーい!」」」」
私達も行かなきゃ。
よーし!今日も頑張るぞ!
「へぇ……いい個性だねぇ。骨の露出と複製によるパワーアップと肉体硬度アップ。どちらも実践向きですごい力じゃないか。」
「えへへへへっ!そう言っていただけると嬉しいッス!」
あれから数分。ナガンおねーさんと打ち解けた髑髏ちゃんは素の喋り方に戻れたみたい。
「ナガンさんが遠距離主体だから……俺が前に出て守れればなって…………すんません!戯言を!!」
「……ふふっ。そんな未来が来ればいいね?」
「はぁ……!!……はいッス!!」
「それじゃあもっと骨の強度をあげれないとね?個性もっと上手く使えないと……体育祭で負けちゃうくらいじゃお話にならないよ?」
「頑張ります!!2年の時は見ててくださいッス!!」
「うふふ……熱烈なファンだねぇ?……いいよ。見といてあげる。」
ナガンおねーさんが髑髏ちゃんの頭を撫でる。
ナガンおねーさんのあんな顔初めて見た。
「……ナガン様はとてもフレンドリーな御方ですが……それでもあそこまでスキンシップが多いのは初めて見ますね。」
今日は私の横では才子おねーさんが一緒にトレーニングしてる。
才子おねーさんは自分の事まだまだとか言ってるけど……それって流水おねーさん達がおかしいだけで才子おねーさんは充分やってる側だと思うんだけど……
ベンチプレス個性なしで90kgあげれる女性がこの世にどれだけいるんだろうね?
ちなみに流水おねーさんは120kgホイホイ上げてるの見たことある。あの人あの体型で規格外すぎる。
「「「「ありがとうございました!!」」」」
「またおいで〜。」
楽しい時間はすぐ過ぎてしまうようで……もう帰る時間。
「髑髏ちゃん。」
「はいッス!」
「頑張ってね?」
「!!!……はい!ナガン様の横に立てるように頑張りまッス!」
ナガンおねーさんと髑髏ちゃんはだいぶ打ち解けて……というかナガンおねーさんがだいぶ気にかけてて……一日ですごく仲良くなってた。
「槍田!ホントありがとう!お前は俺の恩人だ!」
「いいよいいよ!ナガンおねーさんも楽しそうだったし良かったよ!」
「……あんたら元気すぎない?」
「…………あなたの体力が無さすぎるだけでは?」
「うるさいわね。」
「カノカノも頑張ってる。よしよし。」
「撫でんじゃないわよ!」