※この作品はR-18です。

きっと私のアカデミア   作:おいーも

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人の悪

 

 

 

 

 

side槍田日巡璃

 

 

 

寮に着く。

 

とりあえず部屋に……あれ?談話スペース……からなんか甘い匂いが……?

 

 

「お嬢様。お帰りなさいませ。」

 

愛ちゃんが出迎えてくれる。愛ちゃんなにか作ったのかな?

 

 

「愛ちゃん!何か作ったの?」

 

「いえ。私ではありません……が、お嬢様にぜひ味わって頂きたくて。」

 

「???」

 

 

愛ちゃんに連れられて談話スペースに行く。何が……?

 

 

 

「あっ……ひまひま。待ってたよ。」

 

「天捻ちゃん!割烹着?可愛いね!」

 

 

白い三角巾と割烹着。天捻ちゃんにとても似合ってる。

 

「んへへ……嬉しい。」

 

天捻ちゃんが腰に抱きついてくる。

 

 

「……中曲瀬様。」

 

愛ちゃんからの催促。何かあるのだろうか?

 

「んも〜……いいじゃん。…………ひまひま。こっち来て?」

 

天捻ちゃんに手を引かれる。

 

 

「……これ。食べて?」

 

「……これって……和菓子?」

 

 

ピンクの花みたいなお菓子と、丸いお菓子と白いお菓子。可愛い!いっぱいあるね!

 

「練切……だよ。」

 

「天捻ちゃんが作ったの!?」

 

「うん。…………ひまひまに……食べてもらいたくて……」

 

天捻ちゃんが私の両手を包む。

 

……少しだけ胸がドキドキしてる。

 

「……えへへ。……いいの?」

 

「うん。……お願い……きっと美味しいよ……?」

 

 

「愛ちゃんはいいの?」

 

「あいあいは何度か味見してもらったから大丈夫。」

 

「そうなんだ?」

 

 

愛ちゃんが頷く。

 

「……じゃあ……の前に手だけ洗ってくるね〜。」

 

「ん。……待ってる……ね?」

 

 

帰ったらすぐ手洗いうがい。大事だよ〜。

 

 

 

「よし!いただきます!!」

 

……とは言ったものの……崩すのもったいないなぁ……

 

 

えーい!一口で食べちゃえ!

 

「あむっ!」

 

 

もぐもぐもぐ………………

 

 

 

ごくん。

 

 

 

「…………天捻ちゃん。」

 

 

「…………どう?」

 

「天才!!すっっごい美味しい!!!」

 

「!!!………………よかった。」

 

甘い!美味しい!何個でもいけそうだよ!!

 

 

「お嬢様。食べすぎると晩御飯が食べられなくなってしまいますよ?」

 

愛ちゃんからの忠告。ナイスタイミング。

 

「……そうだった…………どうしよ。」

 

「大丈夫……だよ?今日中なら持つから…………そうだ。A組の人達にも食べてもらおう……よ。」

 

「食後のデザートってこと?いいね!!」

 

「んへへ……私…………ひまひまに美味しいって……言ってもらえて……嬉しい。」

 

 

「天捻ちゃん和菓子も作れたんだ……凄いねぇ。お店出せるよ!」

 

「……んふふ。……ありがと。ひまひま。」

 

 

その後。

 

夕飯までの時間。少し空いたので愛ちゃんとお風呂に行くことにした。

 

天捻ちゃんは珍しくお風呂は別に。片付けるものが少し残ってるらしい。

 

 

 

 

この時。

 

 

この時少しでも違和感を感じてれば……もう少しマシな未来があったかもしれない。

 

 

だっておかしいもんね。味見してもらった愛ちゃんが一緒にお風呂に入ってるの。きっと一緒に料理してたんだろう。

 

愛ちゃんが後片付けを残すことなんて無いのに……

 

 

何を片付けてたんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うんま!なんやこれ!!」

 

引子ちゃん、憂世ちゃんとA組の子達にも天捻ちゃん作和菓子をおすそ分け。

 

「…………指先器用ね。」

 

「いいでしょ?」

 

 

「これも……これもうまい。すげぇなぁ中曲瀬。」

 

「これお店の味と遜色ないどすわ……本当お器用どすなぁ?」

 

 

皆からは絶好評。天捻ちゃんが褒められてると私も嬉しい。

 

「……本当は……ひまひまだけにあげる予定だったけど……いっぱいできちゃったから。」

 

「ありがたや〜中曲瀬様!これで勉強捗るわ!」

 

 

「はぁ……糖分補給。……本当に美味しいコレ。」

 

「全部……市販だから…………誰でも……作れるよ。」

 

 

安毛ちゃんが練切を1つ持って一言。

 

「茜は無理やな。」

 

「…………ふん!」

 

 

茜ちゃんが不機嫌そうに顔を逸らす。

 

「……どうしたの?」

 

「茜不器用なんだよ。こういう系なんも出来ない。」

 

海鈴ちゃんが答えてくれる。……なるほど。

 

 

「不器用で悪かったわね!」

 

「悪ぃなんて事言ってないだろぉ?」

 

「ふん!」

 

 

不機嫌モードの茜ちゃん。……傍から見ると可愛いだけなんだけどなぁ?

 

すると茜ちゃんの口に和菓子がひとつ。

 

 

「喧嘩だめ。……甘いものは……みんなに平等。」

 

天捻ちゃんが茜ちゃんの口に和菓子をくっつけてる。

 

 

 

「……む。」

 

なんかモヤッとした。……なんだろうこれ。

 

 

 

「……わかってるわよ。喧嘩じゃないわ。」

 

「……そう?」

 

「私が不器用なのはホントだし。」

 

茜ちゃんは天捻ちゃんのてから和菓子を受け取り、食べ始めた。

 

 

 

「……福。そんなに食べたら太るわよ?」

 

「カンナちゃんは太った私嫌い?」

 

「太っても太ってなくても嫌いじゃないわ?……でもね?不健康は嫌よ。」

 

「…………わかった。程々にする。」

 

「いい子ね?」

 

 

あの2人はもう既に2人の世界に……

 

「委員長!勉強教えてや!」

 

なりませんでしたとさ。

 

 

「安毛!」

 

「ええやろ福!独占しすぎや!!」

 

「むむむむ……!!」

 

「むむむむ……!!!」

 

 

 

「2人とも。喧嘩しないの。」

 

「「だって!!」」

 

「福は早く私の膝貸してあげるから寝ておきなさい。桂田さんは分からない場所教えて?」

 

「「はーい。」」

 

 

「「「…………おぉ……。」」」

 

 

無神さんが2人を捌いてる……成長だ。

 

 

「委員長もようやっと委員長らしくなったね。」

 

無神さんは良くやってるね。みんなとも仲良さそうで安心したよ。

 

 

「あの頃とは比べもんにならんね。」

 

「引子はん。食べすぎやで。」

 

「中曲瀬の和菓子が美味いのが悪い。」

 

 

んな馬鹿な……

 

「罪な女……ってこと?」

 

「それはちょっと違うかな?」

 

「?」

 

 

天捻ちゃんとの会話はこういう突拍子のない言葉が飛び出るから面白いよね。

 

和菓子はみんなで処理しました!お菓子は別腹ですよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇひまひま。」

 

「どうしたの天捻ちゃん。」

 

 

私の部屋のベッドの中。いざ寝ようとしたタイミングで話しかけられる。

 

「……もし……私が助けて欲しいって言ったら…………助けてって呼んだら……来てくれる?」

 

「絶対いくよ!だって私の……す……すっ……親友だから!」

 

 

天捻ちゃんは私の腕の中に入り込む。

 

「…………へたれ。……でも許す。」

 

 

許された。一安心。

 

まだこのモヤッとした気持ちも……天捻ちゃんへの気持ちも曖昧だから……もう少しだけ待ってね。

 

 

きっと答えを出してみせるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……天捻ちゃん遅いね?」

 

 

別日の昼食時。私達……カナと愛ちゃんは既に集まって天捻ちゃんを待ってる。どこいったんだろ。

 

 

「まぁ先生に呼ばれたんでしょ。もう少し待ちましょうよ。」

 

「ですね。あまり急がせるのも良くないです。」

 

「そうかなぁ?……そうかも。」

 

 

2人に言われたのでもう少しだけ待ってみる。

 

そういえばそろそろ期末が近い。皆で合格できるように各々頑張ってる。

 

 

そういえば天気ちゃんと天眼くんはなんだかんだ仲直りして、今は双子ちゃんと日河原くんと勉強してる。幼なじみって凄いんだねぇ?

 

一旦それはそうとして……

 

 

「…………やっぱ遅くない?」

 

「遅いわね。どうしたものか……」

 

「クラスまで呼びに行きますか?」

 

 

流石に遅すぎる。何かあったのかも。

 

少しソワソワし始めた矢先……教室のドアが勢いよく開いた。

 

 

「槍田さん!いる!?」

 

「槍田!!」

 

 

入ってきたのは金城邊(きんじょうあたり)ちゃんと舌古古銀(ぜっここぎん)ちゃん。どちらも天捻ちゃんの友達。体育祭で会ったよね!

 

 

「は……はい!どうしたの!?」

 

本来入ってこないはずの普通科の2人がわたしを呼んでズケズケ入ってきた。

 

焦ってる様子で……それでいてなにか藁にでも縋る思いでと言った感じで……。

 

 

「ねぇ!助けて欲しい!!」

 

「……助け……?」

 

 

その後信じられない言葉が私の耳を叩く。

 

 

 

「天捻ちゃんが虐められてるの!!!」

 

「「!!」」

 

 

 

 

 

 

「…………は?」

 

私の血が冷めていくのを感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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