side槍田日巡璃
「「「改めて2人ともおかえり〜!」」」
「ただいま〜!」
「おかえりも変な話だけどな!」
謹慎明け。次の日。お昼休みにプチお祝いされた。
昨日の今日で既に1年生の間では、普通科で相当ないじめがあった話は回りに回って大変なことになってるとか。普通科の子がすごーく冷たい目で見られてるって。
こればっかりは……しょうがない気がするけど可哀想な感じもするよね。
いじめから助けたヒーロー科の私達は既にヒーロー扱い。特にうちのクラスの顔良し3人組の人気は学年を超えたらしい。能面くん。一撃くん。南無三。愚痴は聞くよ。
「お菓子食べるであります!2人のために厳選した美味しいお菓子持ってきたであります!」
「わぁ〜!ありがとう!」
目の前にはお菓子の山。なんかワクワクしちゃうね!
「先生からすごーく感謝されたんだよ!」
「普通科の金城と舌古がめっちゃ頭下げてたぜ。当たり前のことしただけなんだがなぁ?」
「あの3人の処分もう決まったって……まぁ退学以外ありえないでしょ。」
「槍田さんがぶっ壊した屋上の扉はもう普通じゃ入れないような強固なものに変えるって。当然だよね。」
色々昨日あったことを聞く。色んなことがあったんだねぇ?
「色々あったのだな……こういう時に委員長と副委員長が率先して皆を導かねばならんのだが……申し訳ない!」
「砂臣は真面目すぎるぜ?肩の力抜けよ!」
「日河原ァ!お前凄かったぜあの拘束!コツとかあったら教えてくれよ!俺にも流用できそうだ!」
「副委員長〜!ノート取っといたよ!字ィ汚いけど許せな?」
「うむ!うむ!……俺は感動している!!このような良き友人に囲まれて幸せ者だ!!」
砂臣くんが天眼くんと肩を組んで涙ぐんでる…………
「男の子だねぇ……。」
「そうやねぇ。……んで……ディミトリウはんはいつまでそうしてはるん?」
カナはずーーーっと私に抱きついてる。今日一日授業以外ではずっとこれ。
「……ずっとよ。ずっと。……昨日いなかったんだもん。……その分摂取しないといけないわ。」
「私はいいよ?可愛いからね。」
カナの頭を撫でる。
「はぁ……彼女はんには甘々どすな?」
「……んへへ。」
「褒めとらんで?」
憂世ちゃんに呆れられちゃった。いいじゃん。可愛いんだもん。
なんだかなぁ……好きって自覚してから……カナが数倍可愛く見えるんだよなぁ……恋人バフってやつかな。
コンコン。
ノックだ。……このノックは……
「ん?誰だ?」
「天捻ちゃんじゃない?」
ガラッ……
「…………ひまひま。」
「ほらね!」
「なんでわかるんだよ気持ちわりぃ。」
香曽我部くん!?
「……むぅ。……カノカノだけずるい!私も。」
天捻ちゃんが背中にくっついてくる。
「ちょ!?2人は無理だよ!?」
「いけるわ。私の日巡璃だもん。」
「……私のでもある。」
「物理的に重いなぁ!?」
「いや普通に重いやろ。」
……2人とも小さいから軽いほうだよ?
「中曲瀬ちゃん怪我は大丈夫なの?」
「昨日早退したんでしょ?心配だよ〜……」
「大丈夫。……とは言い難い。……まだ痣は……残ってる。」
「…………ほんとに許せない。退学で済んで良かったわね。」
「カナ。怒らない怒らない。どーどー。」
カナの頭を撫でるとカナの顔が少し緩む。よしよし。
「……日巡璃は怒ってないの?」
「怒ってるけど……これ以上怒ってもしょうがないから。天捻ちゃんが生きてただけでも私嬉しいよ。」
「……ひまひま…………嬉しい。」
天捻ちゃんに頭を抱きしめられる。
「んへへ……少し痛いよ。天捻ちゃん。」
「…………離さない。」
「……そっか。」
「私も離さないから。」
「…………。」
口角が上がる。私をこんなにも大切に思ってくれてるなんて……本当に私……幸せ者だなって。
「惚気けるのもそれまでだ!」「見せつけるな〜!」
「見せつけてないよ!!」
「「「見せつけてるよ。」」」
「皆して!?」
「よってお菓子没収の刑です!」
「そんなぁ!!」
「今回のいじめの件。……本当にありがとう。君達の迅速な対応で最悪の事態を免れることができた。」
私と日河原くんと安毛ちゃんが校長室に呼び出された。
と言っても何かあった訳ではなく、校長先生から先日の件を感謝された。
「いえ。我々はできることをしたまでです。」
「そうですよ!ヒーロー科やからね!」
「だが、学校のルールとはいえ……君達を謹慎処分にしてしまったことは謝罪しなくてはいけない。本当に申し訳ない。」
「……まぁ……しょうがないですよね。曖昧にしちゃいけないのは理解してるつもりです。」
日河原くんも安毛ちゃんも頷いてくれてる。
「……今回の謹慎処分が君達の内申点及び就職活動、進学において弊害にならないことを約束しよう。僕は出来る限りのことをするつもりさ!」
「「「ありがとうございます。」」」
「うん。君たちは立派なヒーローになれるよ。もちろん他の生徒もね!」
「立派なヒーローかぁ……ふへへ!やったな!」
安毛ちゃんがウキウキしてる。
「ああ!だがこんな所で鼻を伸ばしてられないぞ!俺達はもっと邁進していかなくてはいけない!」
「ストイックやなぁ?」
「日河原くんは毎日こんな感じだよ。」
校長先生からのお話も終わり、3人で教室に戻る少しの時間。
少しの高揚感と幸福感。人を助けて感謝されたという結果は少なくとも私達にとってプラスになったと思う。
「なんでそんなストイックなん?」
「うーむ……生まれつきと言ってもいいが……俺の叔父はヒーローでな!とてもかっこよかったんだ。憧れたってのもあるな!」
日河原くん叔父さんがヒーローなんだ。憧れ……いいねぇ。私もだよ。
「憧れのヒーロー……いいよねぇ!」
「へぇ!ヒーローネーム聞いてもええ?」
「ああ!サンドヒーロースナッチだ!」
「スナッチ……スナッチ…………ほんまごめんな!聞いたことないわ。槍田は?」
「…………。」
「ははは!うちの委員長に聞くのは野暮だぞ!!」
「そやった!ごめんな!」
「謝んないでよ!!もう!」
日河原くんは一通り笑ったあと、少し目を伏せて答える。
「まぁ知らないのも無理はない。知らない……というより覚えてないの方が正しいかもしれんな!」
「……え?」
「殉職したんだ。叔父は。9年前に。」
殉……職…………死んじゃったってこと!?
「そ……っか。…………なんかごめんね?」
「いやいや!別に今は悲しんでない!最後まで見事なヒーロー生だったんだ。……だからこそ憧れたんだ。」
「…………というと?」
「最後の最後まで己の意志と正義感で戦った叔父を……俺は心の底から支持したい。俺は叔父のようなヒーローになる。」
日河原くんの決意が見えた。仇を取るでも、世間を見返すでもない。高潔に純粋にヒーローを目指しているんだ。
「……かっこいいね!」
「めっちゃかっこええやん!応援してるで!」
「そこまで言われると照れるな!だが……必ず立派なヒーローになるぞ。」
「私も負けてられないね!」
「ウチもや!」
「ああ!共に切磋琢磨しよう!」
よーっし!もっともっと頑張るぞ!!
の前に。私はやらなくちゃならないことがもう一個ある。
「ねえ愛ちゃん。」
寮の私の部屋にて。天捻ちゃんはもう寝ちゃって、今は2人の時間。
「はい。どうかなさいましたか?」
「今度の休みデートしない?」
「………………。」
愛ちゃんが固まってる。
「……嫌かな?」
「そっ……そそそ……そんなことは……ないです。……お嬢様とデートしたいです!」
愛ちゃんの顔が真っ赤になってる。愛ちゃん責められると弱いんだよね……
「うん。じゃあまた予定はゆっくり組もうね。」
「……っはい!」
「もちろん私服だよ?メイド服で来たら怒っちゃうからね?」
「もっ……勿論です!」
ほんとかなぁ?