side憎田愛
「…………。」
寝れない……。
明日はお嬢様とのデ…………でででっ……デート。
……。
「…………無理だよぉ……」
好きになった人とはいえ……既に2人に先越されて羨ましいと思ってたとはいえ……好きになってもらいたくて色々したとはいえ……
「で…………デートなんて……ウチ……初めてだし……」
中学まで交友関係0。休みの日は常にととさまかかさまの手伝い。そんな学生生活を過ごしてきた陰キャの私に……
ととさまに相談しても……
『愛に……想い人……!?デートに誘われた!?……良かったなぁ!ぜひととに紹介してくれ!』
かかさまに相談しても……
『愛……かかは嬉しいです。愛の事を真に見てくれてる人であれば……かかは誰でも構いませんよ。成功を祈ってますね。』
「…………本当役に立たない。ととさま。かかさま。」
ため息が出る。
そもそも2人は恋愛結婚じゃなくてお見合いだったから聞くのを間違えてるといえばそうなんだけど……。
「どこ行こう……いつ出よう……何着ていこう……お嬢様の好みの服とか……わかんない……お嬢様のクローゼットとか……色んな種類の服があるから絞れなかったして……うーー!!……どうしよ!可愛いって思ってもらいたい!好きって言ってもらいたい!欲を言えば告白してもらいたい!」
布団の中に丸まりながら声を押し殺す。
「ウチって……制服とメイド服以外……何着ればいいの?」
化粧品に目が行く。
「…………お嬢様の好きな色って何?……ウチってこんなに化粧品持ってなかったっけ……」
あらかた一式は揃ってるけど……全部メイド仕事用の簡素なやつ。……自分に無頓着だから……こういうの適当なの本当に良くないね。(今更)
時間は刻一刻と過ぎていく。
「…………もう無理だ……」
諦めたウチは、明日のウチに丸投げして意識を布団に埋めた。
どうか明日のウチは……なにかの間違いで天啓が降りてきますように。
side槍田日巡璃
「フンフフンフフ〜ン♪」
今日は愛ちゃんとデートの日。待ち合わせの30分前には駅の着いちゃった。
今日の私は黒いロングワンピースに唾が広めのハット。軽めのカジュアルって感じ。この日のために新調しました!
「……それにしても……」
……愛ちゃん大丈夫かな。なんか今日までずーっと浮き足立ってたんだよね。嫌じゃなさそうだし……予定が何かあるわけではない……とは思うんだけど……どうしたんだろ。
時間まであと20分……10分……
本当に大丈夫???ドタキャンとかは……愛ちゃんに限ってないと思うけど……
「おっ……お嬢様……!」
「あっ愛ちゃん!」
「申し訳ありません!最後の最後まで服が決まらず……!」
愛ちゃんは白い半袖のワイシャツに黒いワイドパンツにヒール。愛ちゃんみたいなスラッとした子がヒール履くとよりかっこよく見えるね〜……
「……んふ。私のために選んでくれたんだ?」
「っっっ!………………は…………はい。」
「嬉しい。……行こ?」
愛ちゃんの手を取る。
「んえっ!?はっ……はい!!」
愛ちゃんの顔が少し赤くなる。
暑さじゃないと思いたいなぁ〜?
電車に揺られて少し。
目的地に着く。
「今日はここでデートだよ!」
大型ショッピングモール。壊理ちゃんと来たところ。
予め色々調べて予定組んだんだ!
「は……はい!…………でーと……」
少し呆けてる顔。……どうしたんだろ。
「……嫌?」
愛ちゃんの手を少しぎゅっと握る。
「そっ……そんなことあるわけが無いです!!」
愛ちゃんがこちらに顔を向けてくる。
「んふふ。……良かった。行こ?」
「〜〜ッッッ!!……はい……。」
今日の愛ちゃんはすぐ顔が赤くなって可愛いね。……どうしたんだろ。いつもはグイグイ来るのになぁ〜?
まずは色々ショッピング。
「……この服可愛い〜……大きいサイズ無いかなぁ?」
「それでしたら……店員の方に聞いてきましょうか?」
愛ちゃんが店員さんに向かおうとした時……手を握って止める。
「んーん。今は愛ちゃんとのデート楽しみたいからしっかり選ぶのはまた今度。」
「っ〜〜〜!!…………そ……そうですね。」
愛ちゃんに近付いて小声で喋る。
「……今日はよわよわ愛ちゃんなんだ?」
「っ!!お嬢様!!」
「いや〜!怒った怒った!」
「ッッッ〜〜!!!!!」
ポカポカと愛ちゃんに叩かれる。
「〜〜〜♪」
今日は色々な愛ちゃんが見れて楽しい。
……あ…………コレ。
次は映画!
「映画見ようよ!愛ちゃん。」
「お嬢様の言う通りに……」
いつもの愛ちゃんに戻ってきつつある。
……そんなの面白くないよね!……よーっし!
「……今日は日巡璃って呼んで?」
「ふぇっ!?」
「今日はデートだよ?主従関係なしの……純粋なデート。」
愛ちゃんの顔を覗き込む。
「は…………はいぃぃ。」
「……名前で呼んで欲しいなぁ?」
「ひ…………ひま…………ひまわり……お嬢様………………勘弁してくださいませ……。」
愛ちゃんが両手で顔を隠しちゃう。……しょうがないなぁ?
「今日はそれで許してあげようかな?……次は……名前で呼んでね?」
「つ……次!?……お嬢様!?」
「さーってチケットは〜……」
「ちょっとお待ちに……!」
日巡璃って呼んでくれないと反応しないもーん!
「…………。」
見るのは恋愛映画。こういうのはよくわかんないけど、すごく面白いらしい。ネットの評価で見た!
「…………。」
横目で愛ちゃんを見てるけど……あんまり楽しくなさそう?どうだろ。無表情だね。
ポップコーンうま……メロンソーダうま。
この恋愛映画……うーむむ?よくわかんないけど……この人達は好きがわかってて、その前提で物語が進んでいくから私みたいなタイプの人には難しいね。
だいぶ咀嚼してわかってきたけど……ほーん。こういう感じの恋愛模様もあるんだなぁ……って感じ。まぁ人それぞれだと思うから…………やっぱよく分かんないや。
……途中で死別するんだ。……それで……後半は好きだった人の痕跡を辿って……へぇ〜…………なるほど。
…………死かぁ……あんまり身近な人にそういう経験がないから……あまり実感がわかないけど…………カナや天捻ちゃんや……
愛ちゃんの手がちょうどいい所にあるので握る。
「!!」
愛ちゃんがこっちを見る。
愛ちゃんと死別するのは…………ちょっと嫌かも。…………大切にしよ。この時間も。これからの時間も。
「いやー!なんだかんだ面白かったね!」
「はい。感動系でしたね。」
フードコート。愛ちゃんと2人でお腹を満たしに来た。
私はカレーライス。愛ちゃんはラーメン。
意外とガッツリ系食べるんだねぇ。
「……ラーメン美味しい?」
「ほどほどです。日巡璃お嬢様はラーメンはお好きですか?」
「塩以外なら!塩は舌がしょぼしょぼしちゃうんだよね。」
「なるほど……日巡璃お嬢様は色々と大変ですね。」
「そうだね。まぁでも色々あったから……愛ちゃん達と会えたもんね!」
「…………そっ…………そうですね。」
頬が少し赤くなる愛ちゃん。
「ご馳走様!」
愛ちゃんはまだ食べてるみたい。
「自分の食器片付けてくるよ!お水いる?」
「いただいてもよろしいでしょうか?」
「うん!持ってくるね!」
自分の食器を返して……愛ちゃんのために水を持ってくる。
今日の愛ちゃん……何かあったのかなぁ?私は……その……グイグイ行ってるけど……愛ちゃんがいつもと違ってすごく受け身。
体調悪い?寝不足?うーん……少し心配になってきた……
しっかり聞いてみようか…………な……?
…………あれ?
「ねぇ可愛いね!僕らと一緒に行かない?」
「いいじゃんいいじゃん!その子もついてきていいからさ!2対2ってやつで!」
「うるさいです。近寄らないでください。」
愛ちゃんが…………知らない人に……口説かれて…………?
モヤッ……
ズカズカと近付いていく。
「愛ちゃん。」
愛ちゃんを抱き寄せる。
「お嬢っ……!?」
「……コレ……私のだから。これ以上来るなら警備員さん呼ぶよ?」
「!?!?!?」