side槍田日巡璃
「まって!!っ……ハァッハァッ!……ブラッド……ロータス先生って……あんな動けるの!?」
「そうだよ!!だから逃げて!!戦ったら私でも何秒持つかわかんないから!!」
「くそっ!?巻いたか!?」
後ろを振り向く。今のところ見えないけど……足は止めない。絶対どこかから……
「こっちだよーん!」
「上ッ!!」
みんなで散開。上から流水おねーさんが降ってくる。
「ほえぇ〜。みんな躱すの上手いねぇ。」
どうやって……手枷足枷ありきでこの速度……と言ってもどれくらい重くなるか知らないけど。
「んふふ……さーて……遊びましょ?」
「…………。」
無言。そして警戒。それでも……できる限り情報は集めないと。
「……どうやって追いついたの。」
「……ん〜?どうしてでしょうね?」
おねーさんが何やら紐を振り回す。先端に重りがついてるようで……ヒュンヒュンと風を切っている。
一応みんなでおねーさんを囲ってる状態だけど……それでも勝てる気がしない。私の恐怖心だろうか……違うと信じたいよね。
「時間使ってていいのかな?無くなっちゃうよ?」
「だったらどこかに行ってくれない?」
「えぇ〜日巡璃ちゃん酷ーい。」
バヒュッ……
「あっぶな!?」
頭を下げて躱す。
「……初見で破られたねぇ〜。私もまだまだだなぁ?」
喋りながら……重りを飛ばしてきた!
「……本気じゃん。」
「そうだよ?だってみんなの真剣な試験だからね。」
ヒュン……ヒュン……
「……縄鏢術。紐の先端に刃物だったり小さい武器をつけて攻撃する武術の1種。変幻自在。どこから飛んでくるか予測不能の攻撃。……いいよね。私は好きだよ。」
「……そうなんだ。」
「「「…………。」」」
皆に目線で合図。やるならこのタイミングしかない。
「んふふ。……ねぇ日巡璃ちゃん。あなたに戦闘のノウハウを教えたのは誰?」
「流水おねーさん。……それがどうしたの?」
急にどうしたんだろ…………
「……だったら目配せもっと上手にしないとね?」
「「「「!!!」」」」
見破られた……!……だったら!!!
「ッ!!」
おねーさんに突っ込む。
「あはっ!遊んでくれるんだ!?」
「みんなッ!!逃げてッ!!」
「チッ!!」
「槍田ちゃんは!?」
「いいからっ!!!」
今ここで……おねーさんの時間を1番使えるのは私だけだから!!!
「いくよ!!おねーさん!!!」
「おいで?どこまで強くなったか見てあげる!!」
勝てるかわかんない……負けるかもしれないけど……私が立ち向かって皆を生かす!それが私の望むヒーローだから!!
「どっせいっ!!!!」
「「!?」」
急に横から大きな衝撃。建物ごと吹き飛ぶ。
「きゃっ!?」
「っ!!」
「BAN!!」
おねーさんにいくつも瓦礫が飛んでくる。
一体何が……!?
「槍田!みんなも!こっち!!」
引子ちゃん!?弾野原くんと一撃くんも!
みんなで3人と一緒に逃げる。飛ばしてる瓦礫は引子ちゃんが磁石にしてるみたいで、逃げるのは相当難しいらしい。
何とかおねーさんから離脱することができた。3人のおかげだね……
「……助かった。」
「良かった。私らみたいに仲間が捕まって立ち往生……とかじゃなくて。」
「委員長サンが捕まってたらいよいよだったッスね……」
建物の中。時間は刻一刻とすぎていくが、一瞬の休息。
「……3人はチームだったの?」
「青空サン!俺と離サンが同じチームだったッス。弾野原サンは別のチームッス。」
「……ってことは……」
「そうだネ!僕以外の3人が捕まっちゃったんだ……」
「……今5人捕まってるってこと?…………相当キツいね。」
「……しかも……捕まった人が……」
私に目配せ……どうしたんだろ?
「ふぃ〜……そんなにすげぇ奴らが捕まったんか?」
「まぁ僕ほどじゃないけどサ!……香曽我部と圖書と流鏑馬が捕まっちゃったんだよネ!」
「えぇ!?その3人が!?」
…………まぁ……おねーさんだし。あまり驚かない。
「……私らの方もなかなかだよ。別処と…………ディミトリウが捕まった。」
今……聞き捨てならない言葉が……!!!
「…………え?…………カナが!?なんで!!」
「私らを逃がすために……本当にごめん。」
「申し訳ないッス。」
2人に頭を下げられる。少し……少しだけ怒りそうだったけど思いとどまった。だって……カナならきっとそうするから。
「…………とりあえずみんなのボールは?」
「僕のチームは全員揃ってたサ。……でも捕まっちゃったんだよネ。」
「俺らのチームは……俺以外は揃ってるッス。俺はあと1個ッス。」
「私達はあと2つだから……もう少しだね。」
もう少しが……遠いね。それに……おねーさんに捕まってる皆を助けたい。
「…………どこに掴まってるの?」
「わかんないッス。どこかに檻があればわかりやすいんスが……」
「…………1回……情報交換しよ。絶対に手詰まりじゃないはず。」
「そうだね!なにかあるかもしれないし!」
「ちょうどいいッス。俺たちが仮定……いやほぼ確定した情報を伝えるッス。」
「何何??」
「すごい話?」
「そうサ!これは革命が……」
一撃くんが弾野原くんを羽交い締めにした。
「ちょっと長いんで黙ってるッス。」
「んぼっ!?」
「…………多分エクトプラズム先生とブラッドロータス先生が動いてるエリアは違う。あの黒い人は……ブラッドロータス先生のエリア寄りに居るけど、完全にエクトプラズム先生とエリアが被ってる訳じゃないってこと。」
引子ちゃんが地面に図を書きながら説明してくれる。……なるほど……わかりやすい。
「離さん!?」
「…………簡単に言うと?外周にエクトプラズム先生。中心にブラッドロータス先生。ブラッドロータス先生より少し広めに黒い人がいるってこと?」
「うん。今エクトプラズム先生のエリアなんだけど……一向にブラッドロータス先生が追いかけてこないから。そう結論づけた。」
なるほど…………もしかしたらおねーさんが活動してる中心に皆が捕まってる檻があるのかもね……。
「あと……あの黒い人も多分分身。倒したらボール2個落とした。」
えぇ!?じゃあ追いかけて倒せばよかったってこと!?もったいないことしたなぁ!?
「ボール2個!?」
「ちょっと待てよ。離でもわかんねぇのか!?あのヒーロー……」
「知らない。あんなヒーロー初めて見た。」
……離ちゃんも万能じゃないとはいえ……知らないヒーローもいるんだ……。
「…………まずは……檻の場所がわかんないとなんとも言えないね。」
「……まって槍田。今からブラッドロータス先生掻い潜りながら探すのは絶対時間が足り無いよ。現実的じゃない。」
「…………じゃあ誰かが足止めしないといけないって事でしょ。」
立ち上がる。休憩は充分だ。
「…………は?槍田がやる気?」
「委員長!?マジかよ!?」
「うん。マジ。大マジ。……私が全力で足止めするから……そのタイミングで絶対探して連れ出して。」
「…………本気なんだね?」
「……私を信じて。」
「…………。」
「…………。」
無言。頭数をこれ以上減らすには得策じゃない。
「……わかった。まずいと思ったら逃げていいから。」
「うん。私……頑張るから。お願い。」
でもやらないといけないタイミングは絶対に来る。
「それはいいけどよぉ……檻はどうすんだ?」
「実は……こっちはこっちで作戦を立ててたんだよネ!」
「うん。檻を壊して速攻で回収する作戦をね。」
「作戦内容は……」
「……来たね?日巡璃ちゃん。」
「おねーさん。……さっきは逃げましたけど……もう逃げません。」
「んふふ。頼もし。……いいね?ヒーローの顔。」
「……行きます。」
「おいで?」
試験時間全部を使ってでも……時間を稼ぐ!!