side槍田日巡璃
「…………お腹すーいた!」
「お嬢様。何かお作りします。」
「何があるの?」
「……私も。」
「流れるように頭数を増やさないでいただけますか?」
「いいじゃない減るものじゃないし。」
「……減るもの……じゃない。」
「だから増えてるんですって。」
宿題ももうそろそろ終わる目処が立ち、小腹がすいたので共有スペースに顔を出した。
……ら
「あ。」
「「「「あ。」」」」
今日は無神さんが勉強会してるんだった。
「うるさかった?ごめんね。」
「大丈夫よ。この程度で集中力切れられたら困るもの。」
「槍田〜!助けてくれぇ〜!」
安毛ちゃんは参加済みなんだ……寮だから逃げられないもんね。
あとは……
「桜子ちゃん!」
「なっ!!我が真名を呼ぶでない!我が名はルシファー!最強の堕天使にして……」
バシッ
「勉強。手が止まってるわよ。」
「あたっ!?…………うぐぐ。」
周導桜子ちゃん。確か影を操る個性だっけ。勉強できないんだ……以外。
「桜子ちゃん勉強得意そうだけどね……?」
「英語と歴史系と漢字は強いのよ。他がね……。」
あぁ……なるほど。厨二病……。
さっきのやり取りを見るに……無神さんもだいぶクラスに馴染んできたのかなって。
あとは知らない男子が2人。一応先生に許可取って使ってるらしいけど……男子がいるの珍しいねぇ……。
「…………あれ?そういえば5人とか言ってなかった?」
「もうひとりは今家の事情で今日は参加が無理だって。」
「…………アイドルの子?」
カナから信じられない言葉が聞こえた。
「そう。よく知ってるわね?」
「アイドル……!?そんな子居るんだ!?」
「日巡璃はB組以外に興味を持って無さすぎよ。」
「う……ごめん。」
だって……授業の時くらいしかかかわり合いが……
「知らないのも無理はないわ。基本的に放課後はすぐいなくなるし、休日もお仕事でカンヅメらしいから。」
「ほえぇ……だから勉強が少し大変なんだねぇ。」
「そうね。今日も参加してくれたら……って思ったけどそうもいかないみたい。林間合宿までお仕事が目白押しだと……」
「……アイドルって忙しいね。体力持たないよ。」
アイドルかぁ……雲の上だと思ったけど……そんなことも無いみたい。
「カンナ。資料持ってき……むむむっ。」
「……はぁ。」
福ちゃんと茜ちゃんが共有スペースに来る。
ズカズカと無神さんと私の間に入って無神さんを少し私から離した。
「近すぎ!」
「わ!……ごめんね?」
「クルルル……」
威嚇されてる???
「……槍田が無神まで取るわけないじゃん。もう3人もいるのに。」
「わかんないじゃん!虎視眈々と狙ってるかも……」
「あはは……」
独占欲むき出しだねぇ……相当拗らせてるねこれ。
するとカナに服の裾を引かれる。
「日巡璃。そろそろ邪魔になるわ。」
「そうだね!ごめんね!頑張ってね!」
「うん。何かあったらお手伝いして欲しいかもしれないわ。」
「うん!なんでも言って!」
無神さんに手を振ってその場を去る。
甘い匂いがする。
台所で愛ちゃんと天捻ちゃんが何か作ってる。
「何作ってるの?」
「……ホットケーキ。」
「ホットケーキ!?やったー!!」
「これ食べたら勉強に戻りましょうね。」
「うん!」
宿題ももう少しで終わるからね!林間合宿までには終わりそう!
「焼けましたよ。お嬢様。どうぞ。」
お皿にホットケーキが乗せられる。
「……みんなは?」
「私はそこまで小腹空いてないから最後でいいわ。」
「ひまひまが食べちゃって……?冷めちゃう。」
譲ってくれてるけど……なんかさみしい。
「…………みんなと食べたいな?」
「「「っ!」」」
「愛。あと3枚焼きなさい。超特急。」
「わかってます。ギリギリを攻めます。」
「私も手伝う……よ!」
なんかやる気スイッチが入ったみたい……?じゃあみんなが出来るまで待ってようかな!
「おいひー!」
「それは良かったです。」
そんなこんなで爆速で準備完了。私の部屋に帰ってみんなでホットケーキを食べてる。
カナはバターといちごジャム。愛ちゃんはマーガリン。天捻ちゃんはあんこ。私は何もかけてない。美味しいものは何もかけない主義です。
「あんここそ至高。」
「あなたのせいで私の食材庫にあんこが常備されてるんですが。」
「ありがとう。あいあい。」
愛ちゃんの部屋には冷蔵庫の他に色々ある。まぁ私のお弁当作ってくれてるから当たり前っちゃ当たり前なんだけど……なんか無理させてないか不安になる。
「……ありがとね。愛ちゃん。お弁当もだけど……私の好みに合わせるの大変でしょ?」
「…………別に苦に思ったことはありません。私がお慕いしている方の好きな物。食べたい物を知りたい。作って食べて欲しいと思うのは当然の事です。」
「……んふふ。ありがと。そこまで思ってくれると嬉しいよ。」
「…………私も料理勉強しようかしら。」
「やめてください。お嬢様の胃袋を掴むのは私の特権です。」
もう掴まれてるのは普通に内緒。
「…………お菓子は私……だね。」
「あなたには今の私がひっくり返っても勝てる気がしません。」
「んふふ。」
天捻ちゃんの和菓子美味しかったもんねぇ〜……お店出せるよ!天捻ちゃんがお店出したら毎日通っちゃうね!
「…………よし!勉強終わらせちゃお!!」
「そうね。」「ん!」「はい。」
もうひと踏ん張りだ!!
夕方。
「終わったぁーーー!!!」
やっと宿題が全部終わる。1週間くらいやってたよ。
「これで……心置き無く夏休みを楽しめるわね。」
「そうですね。皆さん宿題を早めに終わらせるタイプで良かったです。」
「……ん。……最後に焦るのはヤダ。」
「えへへ……林間合宿行ったら……私のおうちに皆で行って、そしたらカナの家にお泊まりもしないとね!」
「……お嬢様のお家ですか……緊張しますね。」
「……カノカノの家……1週間……むむむ。ズルい。」
「…………あれ?みんな泊まるんじゃないの?」
「「「え?」」」
「3人来るものだと思って両親にそう伝えちゃったんだけど。」
「え?私と2人きりだと……いや!別に皆がいるのが嫌な訳じゃないよ??」
「それもいいけど……そうだと2人が可哀想じゃない。日巡璃を独占したいのも事実だけど、私は日巡璃がいない日の寂しさを知ってるから。」
「よ……よろしいのですか!?」
「うん。パパが皆を別荘に連れていくって躍起になってるわ。」
「…………嬉しい。ありがと……。」
「いいわよ。私たちの仲じゃない。」
「カナ…………本当に大好き!」
カナに抱きつく。
「わっ!?…………もう。私も大好きよ?日巡璃。」
「となると……私達夏休み中ほぼ寮に居ない可能性ありますね。」
うっ……掃除…………
「…………そうね。」
「全力で掃除しないと……」
「……帰ってきてからも……掃除……だね。」
合宿帰ってからは大掃除だね。……別の意味で大変だ。
掃除苦手なんだよね……身体おっきいから……
愛ちゃんに手伝ってもらお。