side槍田日巡璃
「よーし!みんな集まったね!」
午後、流水おねーさんに集められたのは……
私……槍田日巡璃と香曽我部くん、加糖くん、髑髏ちゃん。後A組の人達2人。
「集まってもらった人は、武器を扱うってことで……この中で1番武器の扱いに長けてる私が教えることになりました!」
「「「はい!」」」
「……先生。少しいいですか。」
A組のメガネの人が手を挙げた。
「ほいほい。騎士道くん。どうしたの?」
「我々は武器を使う個性……との事ですが、申し訳ありませんが我々は先生の実力を知りません。」
「あぁ〜そうだね。B組は期末で私とバトったから知ってるけど……A組は試験内容違うからねぇ。」
「む。そうでしたか。一括りにして申し訳ありません。」
騎士道くんって言う人が頭を下げてくる。
「いいよ!……っていうか多分1番知ってる私ですらおねーさんの全力知らないし。」
「……ん〜そうだよねぇ〜。全力出す訳にはいかないけど……」
おねーさんは横に置いてあるジュラルミンケースから変わった形のナイフを取り出す。
「……カランビットナイフ。」
「おぉ、加刀くん正解。」
「「「かとう?」」」
「僕じゃないであります!」
「……お前もかとうか……俺は加刀紋紅(かとう ぶんぐ)。よろしく。」
「僕の名前は加糖甘麻呂であります!加刀殿!よろしくお願いするであります!」
加刀くんと加糖くんが握手する。苗字が被ってるなんてことある??
「そういえばしっかりとした自己紹介がまだだったな!私は騎士道有子真(きしどうあしま)!よろしく頼む!」
騎士道くんが改めて胸に手を当てて挨拶。きっちりした人だなぁ。
「私槍田日巡璃!B組の委員長だよ!よろしくね!加刀くん!騎士道くん!」
「香曽我部広霧。よろしくな。」
「……骸骰髑髏。」
パンパン!
「はい。挨拶はそこまで。……とりあえず日巡璃ちゃん。おねーさんと組手しましょ。武器ありでいいから。」
「……え?いいの?本気出しちゃうよ!!」
少し前に出て、おねーさんと距離を取る。
「いいよ。全力でね。じゃないと殺しちゃうかも。」
頭から槍を出す。
「んふふ。いつも本気だよ!」
昔調べたことがある。カタツムリは交尾?の時頭から槍を相手に突き出して体を固定するんだって。よくわかんないけどそれで私も頭から槍を出そうと頑張ったことがある。
出せるようになったのは中学生から……なんでかわかんないけど。
強くなれるならっておねーさんに武器の扱いを教えてもらった。
「ほう!槍術……体育祭の時は見なかったな!」
「……お手並み拝見。」
「えへへ!見てて!!」
もう1本。二刀流ならぬ二槍流。
「……良き良き。いつでもいいよ?」
ドッ!
踏み込み。槍は1番端を持つ。リーチがその分あるから。
ただし長く持つほど先を崩されると弱い。だけど私はそれを補えるパワーがある。おねーさんの武器は短い。だからこそリーチを活かす。
右で突く。おねーさんは一歩で躱しながら距離を詰める。
長物には懐に潜り込む。鉄則だね。
でもそれに対応できない私じゃない。
突いた右の槍を振り下ろす。
槍は懐にはいられたら弱いと思われがちだけど、振り回せば鉄の棒で相手を殴打してるのと同じ。殺傷能力は下がるけど、相手の隙を作れる。
おねーさんはクルンと一回転。宙に浮いた。
そこをすかさず左で突く。狙ってた通り。
空中。個性を使われない限りほぼ当たる。
……相手がおねーさんじゃなければ。
おねーさんは槍を片手で受け止め……私の槍は刃がついてないからこういうことをされる。おねーさんはさらに一回転。私の目の前がおねーさんで埋まる。
「ぐえっ!!」
足で首を決められ、首筋にナイフを合わせられる。
「……はい。私の勝ち。」
「……んぐぐ……わたひのまけでふ。」
くやしいいいいっ!!おねーさんが詰めてきた時引けば良かったのかな!?うううっ!判断間違えた!
おねーさんが拘束を解いて音もなく着地。おねーさんの着地って音がならないんだよなぁ?
「……槍田が勝ったと思ったが……なんだあの身のこなしは……」
「…………すげぇ。」
「あの先生やべぇんだよな。実践慣れしすぎてんだよ。1回期末で戦ったが勝てる気がしねぇ。」
おねーさんが少し前に出る。
「はい。みたいな感じで、武器ってのは素手よりも簡単に相手を制圧できます。リーチもあって、攻撃力もあって、それでいて個性に左右されにくいです。……それと同時に素手よりも人を殺めやすいです。」
「「「!!」」」
「あなた達が携帯している武器は、敵を制圧するもの。己を社会に見せつけるシンボルでなくてはなりません。決して相手を殺すためだけに存在するものでは無い!」
武器は……シンボル。殺すためだけのものじゃない。
「ここでは正しい武器の使い方と、それに伴った体運び、動きを特に重点的に見ていきます。偶数人なのでみんなでローテーションしながら時間1杯手合わせしましょう。何かあったら私が止めるから全力でやりましょ。相談や改善点があればその都度ね。はい。ペア作って!」
「「「はい!」」」
肩を叩かれる。
「槍田。……しよ。」
「髑髏ちゃん!いいよ!!」
「加刀殿!やりましょうぞ!」
「いいね。かとう同士……腕の見せ合い。」
「じゃあ俺は騎士道だな。」
「うむ!正々堂々いい勝負をしよう!」
「よし。いいね!じゃあ初め!」
上のジャージを脱ぎ捨てる髑髏ちゃん。チューブトップってやつ?相当セクシーだけど見られて大丈夫!?
「槍田ァ!!全力出せよ!?」
素の髑髏ちゃん!へへ!本気だね!!
「当たり前!!」
「奇々怪々髑髏纏(ききかいかいどくろまとい)!」
髑髏ちゃんの背中から大きな骨が剥き出し、それが大きな骸骨……妖怪の餓者髑髏のように姿を変える。その餓者髑髏は骨で作られたであろう巨大な剣を持ってる。
槍を二本構え、突撃。
「オラァッ!!!髑髏割りィ!!」
剣が振り下ろされる。
槍で受けた……すごい重さ!!
「すごいパワーだね!!」
「受け止められたのは初めてだよッ!!肋砕きッ!!」
左から拳!
「ほっ!!!」
腰を落とし、右の身体の側面で受け止める。
「パワーで押せねぇの厄介すぎるなッ!ほんとによぉ!!」
「えへへ!しっかり重いよ!!!でもねッ!!」
槍を手放し、一瞬で殻にこもる。
「なっ!?」
今まで支えていた私が消え、剣も拳も宙を切る。
髑髏ちゃんの剣と拳が接触、どちらも壊れる。
すぐに身体を外に出し、槍を頭から再度出し髑髏ちゃんに突撃。
髑髏ちゃんが慌てて骨を纏うけどもう遅い!!
「既に射程範囲だよぉ!!貫けッ!スラッグツイストォ!!」
槍を回転させて一閃。
「うおおおおおっ!?」
骨が砕け、髑髏ちゃんが後ろに吹き飛んだ。
吹き飛んだ先に……
「おいしょっ!」
何故かおねーさん。回り込むのはやすぎない?
髑髏ちゃんを受け止める。
「ぐえっ!?」
「大丈夫?」
「あっ……はい!アザス!」
髑髏ちゃんが立たせて貰ってる。
「日巡璃ちゃん。やるねぇ!」
「えへへ!ありがと〜!」
「……くっそぉ……負けたァ……完全に殻頭から抜けてた……」
「初見殺しってやつだね!」
髑髏ちゃんに近付く。
「……次は負けねぇ!」
「私も負けないよ!いい勝負しようね!」
握手。
「んひひ。」
「へへへ。」
「ふふ。いい勝負だったわ2人とも……あっ。」
おねーさんがすごいスピードで飛んで行った。
ガギン!!
「!?」
「香曽我部くん!いい攻撃ね!でもそれ最悪死んじゃうから一旦これまでね?」
いつの間にか……あれは……紫陽花だっけ?おねーさんが持ってる鉈。あれで香曽我部くんの攻撃を受け止めた。
「あっ!?ウスッ!」
「……いつの間に…………くそ。では私の負けか!」
「……あの人も大概化け物だよな。」
「言っちゃダメだよ髑髏ちゃん。」