side槍田日巡璃
「よーっし!次は……」
「私とやろう!槍田!」
騎士道くん!いいね!どんな個性か見たかったからちょうどいいや!
「いいよ!やろやろ!」
槍を構える。
「そういえば個性を伝えてなかった。私の個性は想像創造!一日に2つまで、想像した物質を創造できる……片手で持てる程度のものだが。想像できる量も2つまで。何度も補充できる。構造も単純な物でないと出来ない。」
制約が多め。難しい個性だね。
「……聞いた感じ個性は……そんなに……?…………なるほど。君が強いんだね??」
「ふふっ!そう言ってもらえると嬉しい限りだな!!」
騎士道くんは大盾と剣を何処からともなく取り出す。
私も槍を二本構える。
「私の個性はカタツムリ!カタツムリっぽいことならなんでもできる!この槍はそれの延長だね!私のカルシウムと鉄分を混ぜて作ってるから頑丈だよ!!」
「ほう!面白い!!我が剣!受けてみよ!!」
騎士道くんが突っ込んでくる。
早い!大盾を構えながら……なるほど攻めにくい!
であれば。
「へへっ!」
「!?」
私も槍を構えて突っ込む!
ガギィン!!!
「うおっ!?!?」
騎士道くんが私の突進を流しきれずに吹き飛ばされる。
「パワー負けした……!?……真正面からは厳しいか!」
「頭の回転早いね!本当に騎士道くんが強い感じじゃん!」
あの大盾私の槍で貫けなかった。相当頑丈だね。
騎士道くんは尚大盾を構えている。
たださっきと違うのは……
「…………。」
攻めてこない。……なるほど?
「私の攻撃全部捌く気?……面白いね!!乗った!!」
足に力を込める。体勢を低く。狙うは大盾。
「えへへ!全力で受けてね?」
これは私の技……スラッグミサイルに槍を上乗せした……まさに猪突猛進。突撃技。
槍を十時に構える。……おねーさんのクロユリ十断みたいだね。
「来るがいい!!槍田!!」
「いいねぇ!!そういうの嫌いじゃないよ!!」
騎士道くんに飛び込む。
力の限り。
「!?」
轟音。騎士道くんが宙を舞う。
「……蝸牛大鳳(かぎゅうたいほう)。」
残心。
騎士道くんが落ちてくる。
「ぐほっ!?」
……ふぅ。
「えへへ!私の勝ちだね!」
「な……何が……??」
天を仰ぐ騎士道くんに駆け寄る。
「ん?ただ全力で盾に突撃して上に吹き飛ばしただけだよ!」
「…………何が起きたか……わからなかった。…………なるほど。目が追いつかないというのは……こういうことか。」
騎士道くんに手を差し出す。
「……すまない。」
グイッと引っ張り上げる。
「……すごい力だな。香曽我部とはまた違った強さだ。B組は……戦闘能力が非常に高いな。全員もれなく厄介そうだ。」
「香曽我部くんは搦手の鬼だからね!直線的な私の方が対処しやすいかも。」
「……それは無いな。」
そうかな??
そんなこんなでここから何十戦も皆でローテーションしてた。
勝って負けてを繰り返し、身体が思うように動かなくなり、個性の酷使で何かしらデメリットが出る者、勝負も勝負と呼べるか怪しくなってきた頃
「はい。今日はこれまで!」
おねーさんから終了の合図があった。
「ハァ……ハァ……お疲れ様でした!」
「うんうん。皆いい感じに酷使出来てるね?」
「ハァ……ハァ……ウス。」
「……き…………キツすぎる……で……あります…………」
立ってるのは私と騎士道くんだけ、ほかのみんなはへたり込んでる。
「すごいね……槍田と騎士道は。…………僕もう動けないよ……」
「えへへ…………まぁね。」
「普段の鍛え方だな。……ッフーッ……」
「一旦お話聞いてね?」
「「「はい!」」」
おねーさんが会話に割って入る。
「さて。今日みんなに学んで欲しかったことは3つあるよ。1つは武器は殺しだけの道具じゃないこと。己のヒーローシンボルになり得るからね。もうひとつは自分の弱さと相手の強さを認めること。勝ったとしても負けたとしても自分より優れている点はいくつも見つかったはず。共に切磋琢磨しようね。」
ヒーローシンボル。そして弱さと強さを認める。
どちらも心に留めておかないとね。
「そして最後。……最後の方動くのすら辛くなかった?」
「……そうだよ。……正確な判断出来てたか怪しい。」
「ハァ……ハァ……キツい。」
「……ハァ……足が絡まる。まともに動けねぇよ。」
「うんそうだよね。……でもそれが敵との戦いの最中だったら?」
「「「……。」」」
敵との戦い。……今この場で……戦えと言われたら。私たちを殺しにくる敵と戦えと言われたら。
「あなた達に学んで欲しかった最後。バッドコンディションと正しく向き合ってほしい。」
「バッドコンディションと……」
「正しく向き合う?」
どういうことだろ……。
「うん。人間って、何かを始めた瞬間からどんどんバッドコンディションに向かっていくの。体力なくなった〜とか、怪我した〜とか、集中力が〜とかね?……つまり、いつでもどこでもバッドコンディションは付き纏う。悪い状態との向き合い方は、悪い状態になってないと学びにくい。何度も試行錯誤して色々試して欲しい。きっとそれが未来のヒーロー活動に繋がるはずだから。」
「「「……はい!!」」」
「いい返事。もうちょっとハードでも良かったかな?」
「そんなことないよぉ!」
「違ぇねぇ!充分キツイぜ!」
「鬼畜!ハラスメントであります!」
みんなのバッシングをものともせずスッと口角を上げるおねーさん。
「ははは!明日が楽しみだね!」
「「「「ひぇっ……」」」」
「…………悪魔。」
髑髏ちゃん。言っちゃダメだよ。
今回も今回とて料理は私達で。今回はポトフ。
ポトフにお米……うーんって思ったけどそんなこと言ってられないよね。
「ポトフってどう作るの?」
「昨日のカレーのカレールーじゃなくてコンソメ入れるバージョンだよ。」
「へぇ……よく知ってんね?」
「そりゃね。冬場とかストーブの上に鍋と適当に切った具材とコンソメスープ入れるだけで勝手にできてるからすごい楽なんだよ。」
「へぇ〜ストーブでできるんだ……機会があったらやってみようかな?」
「ストーブ?なんだそれ。」
「う〜ん……疲れてボロボロの僕も美しい!」
「…………。あのさ。」
「どうしたの?小廻くん。」
「なんかやなことあったか?聞くぜ?」
「なんで俺また君達3人のお守りしてるのかな?」
お守り……?
「私は玉ねぎ当番だよ!目が痛い!」
「俺はじゃがいも当番!皮剥くぜ!」
「いや君たちはいいんだよ。……問題は……」
小廻くんが視線を向けた先には……
「……ん?」
包丁に映った自分を見て惚れ惚れしてる男。
「てめぇだよ弾野原ァ!手ェ動かせ手ェ!働かざる者食うべからずだぞ!!」
「なっ!?動かすともサ!お腹ぺこぺこなんだよネ!」
人参を切り始める弾野原くん。
「……くそっ。俺のポジション香曽我部でもいいだろぉおおっ!!!」
たしかに香曽我部くんも兄弟いるって話してたよね。
「「「小廻おにーちゃーん!」」」
「うるせぇ!こんな兄妹いた覚えねぇよ!!!」
言い方キツイけどなんだかんだ面倒見がいい人。みんなわかってるんだよね。あの狂人の光満を対処出来る人間だから。
「あっはっはっはっは!僕が輝けば鍋が温まるんだよ!!やはり筋肉!そして光ィ!!!」
「眩しっ……!?」
「おい!小廻呼べ!!」
「小廻!お願い!!」
この光満です。
「…………。」
「大変そうだね。……あっ皮剥きすぎた。」
「そうだな。キツかったら言えよ?……あっこれ芽じゃなかったか?」
「人参って皮剥くのかい?」
「………………。」
小廻くんお腹に穴が空かない?大丈夫??