side槍田日巡璃
お菓子を拾ってる最中カノーテスちゃんが事情を聞いてた。
「何があったのよ。問題次第じゃ先生に言わなきゃいけないわ。」
「…………お菓子……買ったんであります。みんなに僕の好きなお菓子知って欲しくて……。」
「みんなに?」
「……僕……こんなナリだから中学生は友達が居なくて。お友達が欲しかったであります。だから……僕の好きな事知ってもらおうと思ったであります。」
「…………。」
「わかってるであります。ここは雄英高校。ヒーローを目指すものなら誰しもが憧れる登竜門の頂き。……そんな甘い事してる時間なんて無いって。」
「加糖……。」
「でも!僕よりもずっと凄い槍田さんが!お友達を作りたいって自信を持って言えてたのが……凄く羨ましかったであります。…………だから持久走の時皆に感謝されて嬉しかったであります。……調子に乗っちゃったんでありますなぁ……。教室に戻る時彼女にぶつかって吹っ飛ばされて。このザマであります。……不甲斐ないでありますよ……。」
加糖君は少し小さい男子だけど……体重差がある女子とぶつかって男子が吹き飛ばされる?…………彼女の個性かな?
すると香曽我部くんが加糖くんに頭を下げる。
「……加糖!……すまねぇ!俺のせいだ!!……俺がお前の好きな物食ってみてぇっつったもんだから……!」
「香曽我部殿のせいじゃないであります!僕が前を見てれば……!」
「いや!俺が悪い!」
「僕が……」
「俺が……」
パン!
「はい。ふたりで謝り合わない。……加糖くんはどうしたい?」
カノーテスちゃんが手を叩き2人を制する。頼りになるね!
「そうだね。よいしょ……これで全部かな?……まずは加糖くんの気持ちを知りたいな。」
「ん。……じゃないとどうにも出来ない。」
天捻ちゃんも続いてくれる。
「…………見返したいであります!僕だけならまだしも……皆をバカにされるのは絶対に許せないでありますッ!!」
「加糖くん!」
「フン。じゃあやることはひとつね!」
「加糖!!……いや!甘麻呂!!よく言ったぜお前!!一緒に強くなろうな!!」
香曽我部くんが加糖くんの肩を叩く。
「香曽我部……殿!皆!!」
「広霧。」
「……え?」
「俺はお前のこと甘麻呂って呼ぶ。お前は俺の事広霧って呼べ。それでタメだ。ダチだ。」
香曽我部くんが拳を突き出す。
「〜〜〜!!広霧殿ォ!!」
加糖くんが拳を突き出し、2人でグータッチ。
「全員呼んでそれ食おうぜ!甘麻呂のオススメだろ?ゼッテェうめぇよ。」
「お昼食べてからね。午後動けなくなるわよ。」
「そうであります!このままだとお昼時間無くなっちゃうであります!」
「お腹ぺこぺこだよ〜。」
「……。」
「中曲瀬。お前も来いよ。甘麻呂助けてくれてありがとな!」
「……ん!イイ人。」
そうだよね!顔に似つかずイイ人!
「槍田。てめぇ今すげぇ失礼なこと思ってねぇか?」
なんでわかるの!?
「……日巡璃顔に出やすいのよ。」
「そうなの!?ご!ごめん!!」
「それだと失礼なこと思ってるってことになるじゃねぇかよ!」
お菓子は美味しかったです。
氷叢くんがグミにハマって加糖くんに凄く強請ってました。
香曽我部くんが止めてたけど……あれは全部食べる勢いだったね。
天捻ちゃんもなんかB組に少し馴染めてきつつあるみたい。頑張ってヒーロー科になろ!一緒に勉強したい!
寮に帰ってお風呂上がり。
憂世ちゃん。引子ちゃん。天捻ちゃんと4人で話す。
「……そんなことが……。」
「うん。酷いよね!A組の人!」
「……許せない。」
「……多分それ……この人じゃない?」
引子ちゃんがスマホを見せてくる。なにかのニュースの記事だ。
『天才中学生、無神神奈月(むじんかんなづき)さん。数学オリンピックで1位!』
写真に映るのは口角を1ミリをあげてないしかめっ面の女の子。
「あーー!この子だ!!なんで知ってるの!?」
「前ネットニュースになった時に見た覚えがあってね。……なんだ。顔だけじゃなくて性格もキツいんだ。」
引子ちゃんがソファにもたれかかる。
「引子はん。お口が悪ぅございましてよ?」
「ん。……言いたいことは分かる。…………ヒーロー科を馬鹿にするのは……落ちた私達にとっても失礼。」
天捻ちゃん……。
「……私だって許せまへん。加糖はん頑張っとるやないの。そのお嬢さんは大層偉いらしいわ。B組に文句言えるほど。」
「A組と仲良くなれると思ったんだけどなぁ……。イレイザーヘッドの事聞きたいし。」
引子ちゃんはそっちが主じゃないかなぁ??
「…………んー。」
「槍田。どしたの?」
「偉いとかじゃないと思うなぁ。」
「「?」」
「どういうことですのん?」
「多分ストイックなんだと思う。自分にも他人にも。『同じヒーロー科なんだから、私ぐらいの気持ちで授業に挑みなさい。』って事なんじゃないかなぁ。」
「……なるほど。…………ひまひまはすごい。」
「だとしても言っていいことと言っちゃいけないことがあるよ。肯定した訳じゃないのはわかってるんだけどね?」
引子ちゃんが申し訳なさそうにしてる。
香曽我部くんと同じこと言ってる。2人とも正義感強そうだもんね。
「それはそうだよ!失礼だよね!……他人の気持ちが考えられないのかも。」
「難儀な性格どすなぁ。許しまへんけどね?」
憂世ちゃんの後ろからなんか黒いオーラが!怖!
「圖書。…………A組ってイレイザーヘッド先生だからこういうのしっかりしてくれそうだけど……まだ2日目だしあんまり期待できないね。」
「……悲しい。」
「リベンジ機会は体育祭でしょ!そこまでに無神神奈月さんより強くなればいいんだよ!!」
「そうだね!そういう女は実力で黙らせるのが1番!」
「うふふ。楽しくなってきましたなぁ?」
「ん!」
「一緒にがんばろー!」
「「「おー!」」」
「そいえばいんいんとうきうきって京都?……私兵庫。」
「いんいん?私の事?兵庫なんだ!近いね。」
「うきうき……ふふっ。なんかおかしいわぁ。」
「嫌?」
「いいえ?仲良くしましょうね?」
「ん!」
「え?ヒーロー目指すようになった理由でありますか?」
「ああ。そういや聞いてねぇなって思ってよ。」
次の日の昼休み。
ご飯を食べて教室に戻った私とカノーテスちゃん。
今日も加糖くんと香曽我部くんがお菓子食べてたので少し貰うことに。
カノーテスちゃんは私の膝の上。スナック菓子がお気に召したようでもぐもぐ食べてる。
「加糖。このグミどこで売ってるんだ?」
「氷叢殿……。放課後一緒に行くであります!」
「氷叢。あんまり話の腰折らないで。」
「?……すまない 。」
天然さんなのかな?
ちなみに香曽我部くんは自分で買ってきたお菓子食べてるって。ぱちぱちするわたあめが気に入ってるらしい。
「そんで?どうしてヒーロー目指したんだよ。」
「自分……小さい頃シュガーマンっていうヒーローがかっこいいって思ったであります!」
「シュガーマン?……お菓子食べたら強くなる人だっけ?」
「そうであります!離さんよく知ってるでありますね!」
引子ちゃんも一緒。ちなみに引子ちゃんは甘いものあんまり得意じゃないって。私と一緒だね。
「ま……まぁね。」
「引子ちゃん……。」
「なに。」
怖い顔。……もう。
「お菓子使って強くなれるなら……僕も強くなれると思ったであります!小学生の頃は……この体型で虐められてたので……きっと払拭できると思ったであります!」
「あ!一緒だねぇ!私も虐められたよ!」
共通点!親近感湧いちゃうなぁ!
「……ふん。」
「……虐め……くだらねぇ。そんなんやって何になるってんだ。」
「同感。2人ともいい人じゃない。」
「えへへ〜。それほどでも。」
「日巡璃。何かされたら言いなさいよ。」
「ありがとうね?」
カノーテスちゃんは頼りになるね!嬉しい!
「甘麻呂もな!いじめてた奴に会ったらガツンと言ってやるよ。」
「ありがとうであります!…………この学校には自分よりもすごい人がいっぱいいるであります!そんな人から学べる機会なんて中々ないので嬉しいであります!広霧殿というお友達も出来たであります!もちろんみなさんもお友達になってくれると嬉しいであります!」
「おう!一緒に頑張ろうな!」
「もう友達だよ!頑張ろうね!」
このクラスで良かったかも!毎日楽しいよ!!
「……安いお菓子も捨てたもんじゃないわね。……ママに言って買ってもらおうかしら。」
「……カノーテスちゃん。食べ過ぎは良くないよ?」
「…………考えとくわ。」
「加糖。毎日僕とグミ買いに行ってくれ。友達だ。」
「毎日でありますか!?」
「てめぇそれくらい1人で買いに行けよ!」