side槍田日巡璃
お風呂に行く道すがら、カナが口を開いた。
「……ごめん……なさい。」
「……。」
「……日巡璃のこと……汚しちゃった。……汚いよね。」
「…………全然?……カナに汚いところなんて何処にもないよ。」
「…………日巡璃……。」
「私の好きな人を……汚いなんて言わないで?ね?カナ?」
「…………。」
足をタオルで吹いて、部屋に戻る。
「カナ。着替え探すからカバン開けるね?」
「……ん。」
カナの着替えとタオルを回収。自分の着替えと、持ってきておいたゴミ袋用のビニール袋も取り出す。汚れたものはこれに入れちゃお。
「……。」
カナが頬を私に擦り寄せてきた。……本当に可愛い。
脱衣所で服を脱ぎ、濡れた服を持ってお風呂場に向かう。
まずカナの身体を洗う。モコモコ泡で丁寧に。タオルで傷付けないように手で洗う。
「…………。」
いつもカナの身体は洗ってたから洗い慣れてる。カナはじっとこちらを見ているようだが……どうしたんだろ??
カナの身体をお湯で流し、お風呂に浸ける。
「カナ。ちょっとまっててね?」
「…………うん。」
少し機嫌が元に戻ったかな?
私も手早く身体を洗い、失禁で濡れた服をぱぱっとシャワーで流し水気を切る。
カナからずっと視線を感じるけど……嫌な気は全くしない。見せ慣れてるってのもあるかも。何回一緒にお風呂に入っただろ。結構入ったよ?
お風呂に入る。もちろんカナの横。
「ふぃ〜…………あったまるねぇ。」
「…………。」
カナは静かだ。……うん。言える。
「……私ね。嬉しかったんだ。」
「嬉しかった……?」
「そう。……前……私がコレ生えてるのバレた時さ…………カナが体を張って助けてくれたじゃない?」
「…………そんなこともあったわね。」
「忘れないでよ〜?……すっごく嬉しかったんだから。だからね?恩返ししたくて。」
カナが私の肩に頭を乗せる。
「…………いっぱい貰ってるわよ。」
「いーや。全然足りないね。……私の人生捧げてもいいくらい。」
「人生………………日……巡璃……それって。」
「卒業したら絶対結婚しようね。周りの目なんて気にしないから。」
「…………うん。」
カナが手を握ってくる。私も当然握り返す。
「…………。」
…………恥ずかしい!!
簡易的なプロポーズだけど……本気のヤツはもっと頑張らないと!
こんなんで照れてる私にできるかな……
「ふふっ。それは一旦置いておいて……だから私、少しでもカナに恩返しが出来て嬉しかった。」
「…………そっか。」
「うん。大好きなカナに……違うね。……あ……あい……愛してるカナに……泣いて欲しく無かったから。」
恥ずかしくなって顔を背けてしまう。うーーっ……結婚宣言からもういっぱいいっぱいだったんです!!順序が逆すぎる!
「……日巡璃……愛してるって…………」
「…………。」
ジャバ……
カナが私の正面……太ももにまたがるように座る。
「こっち見て?」
カナにおずおずと顔を向ける。
まだ顔が熱い気がする。
「……ねぇ。日巡璃。もう1回言って?」
カナも……顔が赤い。私と一緒。
「…………カナ。……愛してる。」
「私も。……日巡璃。愛してる。」
カナが覆い被さるように……私の両手を握り……私はそれを受け入れた。
どちらともなく顔を離す。
「…………カナ。帰ったら……ね?」
「……そうね。我慢してあげる。……もう1回しよ?」
「……うん。」
そこからもう1回……もう1回と何度したか覚えてないけど……カナが元の調子に戻ってくれて良かった。カナは笑顔が1番可愛いよ。
「ほんまごめんなさい!!」
「ごめんなさい。」
部屋にて。少し経ってからほかのみんなが帰ってきた。……安毛ちゃんと茜ちゃんを引き連れて。
今2人はカナの前で土下座してる。
私は今カナの座椅子です。
「私からもごめんなさい。ディミトリウさん。伝達が上手くいってなかったみたいで。」
無神さんも謝ってくれる。
「いや!委員長は悪ない!ウチが悪いんや!ごめん!!」
「安毛だけが悪くない。安毛止めれなかった私も悪いよ。本当にごめん。」
「…………。」
カナは私の両手を前に回し、にぎにぎしている。
……こいつ……相当機嫌がいいなぁ?……もう。
「カナ。許してあげたら?」
「…………私が無理に苦手なものに参加したのも悪いわ。日巡璃に免じて痛み分けって事にしておいてあげる。」
「…………私に免じるってよくわかんないけど……許してくれるって。」
「ほんまか!ありがとう!!」
「……お風呂行こ。安毛。」
「そうやな!!」
「……2人ともどうしたの?」
「うふふ。……本気で怖がらせ過ぎたみたいやね。」
「気にせんでいいよ。才能の塊だったって話だから。」
「じごーじとく。」「めにはめを!」
????
「お嬢様。お疲れ様です。」
「ありがとね。愛ちゃん。」
消灯時間まで雑談タイム。愛ちゃんが私の肩を揉んでくれた。……凝ってはないと思うけどな?
「……カノーテス様はだいぶ調子が良さそうで……」
「……日巡璃の想い……いっぱい感じたから。」
「……!?お嬢様!?」
「なっ……何!?」
「やったんですか!?」
「何を!?」
なんの事!?プロポーズ!?
「…………ふふふ。」
「うぐぐぐ…………よりによって合宿場でなんて……そんな非常識な!」
「……日巡璃。……うふふ。」
「え?え??なんの事?なんの事???」
「何も知らないお嬢様に漬け込んで……恥を知りなさい!!」
「……どちらにせよ貴方は出遅れてるのよ。」
「このっ……!!下手に出れば図々しい!!!」
「……んふふ。」
何故か怒ってる愛ちゃんと、ほわほわしてるカナに挟まれて普通に地獄。2人とも何言ってるかあんまりわかんないし……どういうこと???
就寝時間。
カナは私の布団の中。
「…………日巡璃。今日……かっこよかった。」
「へへ。……そう?」
「うん。……すごくかっこよかった。……惚れ直しちゃった。」
「…………嬉しい。私ね……皆の気持ちに応えるために頑張って気持ちを言葉にするようにしたんだ。」
「…………わかってる。日巡璃……頑張ってるわよね。私たちのために。……凄く嬉しい。」
「……うん。……だからカナに喜んでもらえて……本当に嬉しい。」
「……日巡璃。」
急にカナに唇を奪われる。
「!?……カナ!」
「……おやすみ。私の王子様。」
「…………おやすみ。」
最後の最後に……私の心を惑わせてきた……魔性の女だよ。ほんとにもう。
翌日。もう合宿は終わり。
雄英に帰る支度を終え、集合写真を撮ってあとはバスに乗るだけ。
「ひまちゃん!」
「ひま姉!」
後ろから壊理ちゃんと洸汰くんに声をかけられる。
「どうしたの?……合宿忙しくてあんまりお話できなかったね?」
「そうだよ!!だから夏休み中に3人で遊ぼ!」
「ひま姉にもっと雄英の事聞きたいから!遊ぼうぜ!」
「いいよ?都合のいい日連絡してよ!」
2人といっぱい話したいことあるからね!バッチコイだよ!
「日巡璃。そろそろバス出るわよ。」
「あっ。ありがと!……じゃあまたね!」
「「うん!!」」
後ろにいるマンダレイさんに頭を下げる。
「マンダレイさんも……ありがとうございました。」
「ええ。……うちの子達と今後とも仲良くしてあげてね?」
「当然です!」
バスの中で3人に手を振る。
楽しかった林間合宿も今日で終わり。
……自分の努力の方針はわかった気がする。
もっともーーーっと強くなるために。
この合宿で一段と気が引き締まった気がした。