side???
「……遅いですよ。」
「すまない。……この身体では中々な。…………タバコ始めたのか?」
「チュッパチャプスです。……ハマってるんですよ最近。…………義足どうですか?」
「中々いい。腕は確かなようだ。」
「そりゃどーも。お礼言っときますよ。」
「助かる。」
カラン……
「……これだけじゃないんでしょ?これだけだったら怒りますよ。」
「大丈夫だ。手短に終える。……槍田日巡璃をインターンに寄越してくれないか。」
「…………急ですね。なにか琴線に触れました?」
「……年々複雑化、それでいて強くなる個性……その中で彼女の力だけで勝ち上がる姿。その上で笑顔を絶やさぬその背中に……かのナンバーワンヒーローが重なった。」
「…………めんどくさいオタクですね。」
「好きに言え。」
「それで?……私に日巡璃ちゃんを説得しろと?」
「そうだ。……まぁこちらから雄英に掛け合うことは出来るが……」
「緑谷くん経由で行けるでしょ。」
「……どうせ彼女は貴様の弟子か何かだろう。動きが貴様とそっくりだ。」
「ハァ…………わかりましたよ。声かけるだけですよ?……それに仮免試験落ちるかもしれませんし。」
「その時はその時だ。」
「………………折れませんねぇ?やってみますよ。それで?……どうします?いい時間ですしご飯でも食べます?」
「………………ふん。頂こう。」
「センチピーダーとバブルガールも誘ってください。全員奢るんで。」
「ミリオもいいか?」
「好きにしてください。」
side槍田日巡璃
「……緊張してきた。」
雄英高校前。集合時間の30分くらい前から待ってる。
「……まぁご両親に会うのですから……緊張されるのは分かります。ですが!いつものお嬢様を見せれば良いのです!」
「だ……大丈夫かなぁ!……友達の家に1週間とか……初めてだし!友達の両親紹介してもらうのも初めてなのに!!それよりも先に……彼女に両親紹介して貰ってるんだよ!?」
「順序が……ひまひまらしい。」
天捻ちゃんと愛ちゃんはなんだかんだ私ほど緊張はしてないみたい。
「うぅうううっ……お腹痛くなってきた。胃薬あったっけ。」
「こちらに。」
愛ちゃんが薬と水を出してくれる。
「ありがとう。愛ちゃん。」
「なるべくなにか食べてから飲んだ方が良いですよ。」
…………えーっと……
「一応聞くけど……ないよね?」
「はい。」
「なんで言ったのさ!!」
薬を飲む。
「ふふふっ。」
「もー。」
可愛いから許すけどさぁ……
「……暑いね。」
「そうですね。熱中症と日焼けには注意しないといけません。」
「ん。……日焼け止め……いいの買ったもんね。」
2人とも女子だなぁ……そういえば
「……?日焼け止め使ったことないや。」
「「!!!???」」
「元々肌黒めだからあんまり日焼けしないんだよねぇ。海にも行かないし。」
「……この肌で……ケアしたことない……!?」
「たしかに……ひまひまが……化粧水つけてるの見たことない。」
なにか2人がコソコソ話してる。…………何だろ?
「…………あいあい。」
「はい。」
「ひまひま!……今からケアしておかないと……!」
「お嬢様の珠のような肌が……」
2人に詰め寄られる。
「え?え!?……どうしたの2人とも!」
「お嬢様!」
「ひまひま!」
両手を2人に握られる。
「はい!!?」
「帰ったら……しっかりした化粧水と乳液買いに行こう。」
「クリームもです。」
「え?……え?カナの家ではつけてもらってるよ??」
「「毎日。」です。」
「……えぇ?……めんどくさいよぉ……」
「ダメ。……絶対ダメ。」
「であれば私がつけますので……スキンケア始めましょう。今からでも遅くないです。きっと。」
「……わかった。」
鬼気迫る2人に頷くしかなかった。
「ちょっと。人の彼女に何迫ってるの?」
聞きなれた声が聞こえる。
「カナ!」
「私達の……彼女でもある。」
「ふふっ。それもそうね。……さすがに皆の荷物乗せるだけの車を寄せることはできないから……別の場所に停めてきたわ。こっち来て?」
皆でカナに着いていく。皆荷物いっぱいだったから私がいっぱい持ってる。筋トレになるしいいかも。
「「「…………。」」」
「これよ。」
目の前にはいつものメイドさん。
なんか……なんというか高そうな車。
「ロールス・ロイス……」
「知ってるの?愛ちゃん?」
「え……えぇ。メイドの嗜みですので。」
「……そうなの?」
「さあ?私車に興味は無いわ。」
カナらしいや。
「荒谷さん!お疲れ様です!」
「ふふっ。槍田様。お元気ですね。」
「荒谷さんも元気がいいですよ!」
「……荒谷。」
カナが私達の間に入る。……嫉妬かな?可愛いね。
「おやおや。このままだとお嬢様に怒られてしまいます。……槍田様と……そちらが中曲瀬様と憎田様であられますね。……私ディミトリウ家メイドの荒谷清美と申します。」
「この度はよろしくお願いいたします。荒谷さん。」
「ん。よろしくお願いします。」
2人ともお辞儀。……愛ちゃんはわかるんだけど天捻ちゃんもなんか上品だよね?やっぱお金持ちのお家なのかな。
「それではお荷物をお預かりいたします。」
車のトランクを開けて荷物を詰める。
トランク広いね……なんでも入るじゃん。高級車って凄いんだなぁ……
「それではこちらへどうぞ。」
ドアを開けられる…………あれ?すっごく見覚えある座席。
「……パパが家族みんなで顔を合わせて座りたいって特別に作ってもらったんだって。……無駄なところばっかりにお金使うんだから。」
「……特別製ってやつですか……一体いくらするんでしょうか。」
しーらない。私の理解の範疇は超えてます。
「荒谷さんって無頭くんと名前一緒なんだよ。」
「そうね。両方清美だから……こんな偶然もあるのね。」
全く揺れない車の中で雑談。
「そういえば……同じメイド……でしょ?…………気になること……ないの?」
「なんですか藪から棒に。……憎田家と荒谷家はどちらもサーヴァントメイドの中でトップクラスの成績の家系ですよ。」
「うふふ。そうですね。憎田様のお嬢様。」
「……荒谷家現当主の荒谷清美様とこんな場所で会えるとは……勉強させてもらわねば。」
そんなすごい人なんだ……荒谷さん。
「……よくわかんないけど仲悪いわけじゃないのね。」
「当たり前です。内部分裂などあってはなりません。」
「……きちんと組織してるわね。」
「…………どこ向かってるの?」
「ん?県外よ。あと1時間くらい。」
「結構走るね??」
「パパとママはもう行ってるわ。おもてなしするって張り切ってるんだから。……もういい大人なのに。」
カナのため息。嬉しそうだけどね?
「んふふ。……嫌じゃないくせに。」
「…………フン。」
「…………海だ。」
窓から海が見える。青いなぁ……
「……綺麗ね。」
「天気も晴れて良かったです。」
海にはあんまりいい思い出ないんだよねぇ……
「そういえば!……カノカノ。聞いて。ひまひま……スキンケアしたことないって。」
「……知ってるけど……化粧水と乳液使ったことないって……」
「ううん。日焼け止めも。」
「…………は?」
カナに肩を掴まれる。
「ダメ!ダメよ日巡璃!!紫外線ってすごいんだから!!」
グワングワン揺らされる。
「あええええ!?聞いたよ!さっき聞いたって!!」
「日巡璃の綺麗な肌がガチガチになっちゃう!!そんなの絶対ダメなんだから!世界の損失よ!!」
そこまでかなぁ!?
「今回は私の日焼け止めをお使いください。多めに持ってきておいて正解でした。」
「ありがとね……愛ちゃん。」
うえ……ちょっと気持ち悪い。
「……ひまひまの顔真っ青。」
「あっ!!ごめんなさい日巡璃!!」
「……いいよぉ……」
幸先不安だ……