side槍田日巡璃
ぬーん……
「…………」
私は今日……モヤモヤしてます。
「なんか日巡璃溶けてない?」
「元々海に入る気も無かったし砂浜にすら出れないから持ってくる意味はなかったけど、せっかく持ってきた可愛い水着もったいないなぁって顔ですね。」
「……なんでわかるのぉ?」
「お嬢様のことはなんでも分かりますから。」
最近ウチの彼女たちがみんな別ベクトルで怖いです。カナは私へのスキンシップが明らかに増えたし……天捻ちゃんはどんどん私を甘やかしてくるし……愛ちゃんは私の事なんでもわかる。なんだろうなぁ……どんどんダメ人間にされてる気分。非常に良くない。
「おぉ…………ひまひま……これでも動けるんだね……」
「……そうだよぉ……カタツムリだからね。」
私は今うつ伏せになってゆっくり動いてる。殻の上に天捻ちゃんが乗ってる形。
これすごい楽なんだよねぇ〜……胸が潰れて少し苦しいけど……全身の筋肉使ってるから簡易的な筋トレにもなるし。
「…………可愛い水着。」
「……そうです。お嬢様の可愛い水着です。」
「…………ふーん。」
なんか危険を察知しました!
「…………なんかよからぬ事考えてない?」
「「「…………見たい。」」」
「え?」
あ……まずい……
「日巡璃の可愛い水着みたい!」
「……だって着る場所ないじゃん。」
「お嬢様の可愛らしい水着姿みたい!」
「……着ることは確定なんだね?」
「ひまひま……着替えてるところみたい!」
「すけべも居ますと……」
「写真撮りたい!」
「それ何に使うの?」
「お嬢様が着た後の水着欲しいです!」
「何言ってんだこいつ。」
「ひまひま!水着着よう!今ここで!」
「興奮すんな!!」
まずい……この流れは……!
「メイド隊!今から1時間誰も部屋に通さないで!」
「「「了解しました!」」」
「日巡璃の水着どこ!?」
「そのカバンの左側です!綺麗に畳んであります!」
「ちょぉ!?なんで知ってんの!?……動けないし!!」
「うふふ…………ひまひま……逃がさないよ?」
「こんな所で個性使うな!!!」
もうこうなったらどうしようもない。ウチの彼女は私の事で時々暴走しがちです。もうこうなったら従うしかなくて……
「…………どう?」
「「「……イイ!」」」
水着を着る羽目になるんですよね。
「イイじゃないよイイじゃ……恥ずかし。」
着替えも全部隅々見られたし……カナに関しては写真撮ってるし。許可してないのに。………………嫌じゃないよ?
私が用意した水着は……白を基調とした淡い花柄のビキニタイプ。もちろん下を隠すためのパレオもある。……ちなみに壊理ちゃんと相談して買った。
『何かあった時のために……みんなを悩殺できる水着あった方がいいよ!水着だからこそってのもあるし…………へへへ。』
『洸汰くんの水着姿思い出してヨダレ出すのやめて?』
『なんでわかったの!?』
みんなを悩殺……はする気なかったけど、可愛い水着を着る機会があったら……皆に見せたいなって思って買った。
機会があったら……ね?
こんな機会望んでないよ……皆からの視線が熱い……
「顔真っ赤のお嬢様可愛いです!可愛い!可愛い!!」
愛ちゃんは何処からか取り出したお嬢様うちわをブンブンしてるし……アイドルじゃないよ??
「…………ひまひま。私達以外にコレ……見せちゃダメ…………劇物すぎる……。」
天捻ちゃんの目線怖いし……独占欲むき出しなの……ちょっと背筋ゾクゾクするからやめて欲しい。
「…………。」
パシャ……パシャ……
無言で写真を撮り続けるカナ。こっちもこっちで怖いよ!
「…………もういい?」
「……ダメ。……もっとポーズして……?」
「ポーズって何さ……恥ずかしいんだけど。」
見せるだけが……悩殺してるみたい。壊理ちゃん……水着の魔力ってすごいね……私侮ってたよ。
壊理ちゃんが何処かでサムズアップしてる気がする。
「お嬢様〜!可愛い!最カワです!可愛いポーズしてください!!ファンサ!ファンサを!」
「愛ちゃんどこでそんな言葉知ったの??…………もう……これで良い?」
両手で胸の前にハートを作る。
「ぎゃああああ!!可愛すぎるッ!!国宝です!!国宝!!」
パシャパシャパシャパシャ……
「…………これは小悪魔。」
めっちゃ恥ずかしいじゃんこれ!!アイドルの人はこういうのやってるの!?私無理なんだけど!!
「次これ!これやってくださいお嬢様!」
愛ちゃんがスマホを見せてくる。
「これ……!?なにこれ恥ずかしいよ!!」
「絶対かわいいからしなさい日巡璃。」
「命令じゃん!」
「やらないと……逃がさないよ……」
「もう!!わかったよ!やればいいんでしょ!!」
えぇっと……おしりを引いて……足を少し広げて……少し屈んで……右手を腰に……左手を顔の前に持ってきて……人差し指を唇に……
「こ……こう?」
「やったあああ!!お嬢様かわいいい!!!もう私このまま死んでもいいです!お嬢様最高!!」
死んじゃだめだからね!?!?
パシャパシャパシャ……
「いい。……もっとこっちに視線ちょうだい日巡璃!!」
「……えぇ??」
「それそれぇ!!……くぅ〜……可愛すぎる私の日巡璃!」
「………………。」
天捻ちゃんがとうとう無言になりました。頑張って脳裏に刻み込んでる顔だアレ!
パシャパシャ……
「ちょっとカナ!?どんなアングルで撮ってるの!?」
「いいじゃない。減るものじゃないし。」
「私のメンタルがゴリゴリ減ってるよ!!」
さすがにローアングルすぎない!?お尻撮らないで!!
「……なんでお肌こんなツルツルなの?意味わかんない。写真映り良すぎるでしょ。」
なんで怒ってるの???
「…………そういえばお嬢様ってムダ毛を処理してるところあまり見ないですね?」
「……たしかに。……脱毛してるの……?」
う……それ……聞きますか…………観念してますけど……
「………………だって生えないんだもん。」
「「「はぁ!!!???」」」
「何さ!!子供だって言いたいの!?顔から火が出そうだよ!!」
「いや……たしかに日巡璃全身ツルツルだなと思ったけど……」
「……カタツムリに体毛ってあまりイメージわかないですもんね。」
「じゃあ……髪の毛は……それ……何??」
天捻ちゃんからの純粋な疑問。まぁ気になるよね。
「これ?……これ一応皮膚の1部らしくて……引っ張っても痛くは無いんだけどこれ以上伸びないんだよね。眉毛もまつ毛もないし。」
前髪をあげてツルツルのおでこを見せる。
パシャ
「写真撮るな!」
「日巡璃……やっぱアンタ顔面偏差値高すぎるわよ。絶対髪切っちゃダメだからね。」
「えぇ!?……そろそろ前髪切ろうかなって思ってたんだけど……」
「私が切ります!絶対他の人に見せたらダメです!!」
「……わかった……けど……まだこれするの?」
「当然。……もっと……して欲しいポーズ……ある。」
「うぅ……いつまでするのぉ?」
「私が満足するまでですお嬢様!」
「……私が満足……するまで。」
「私の写真データがいっぱいになるまで。」
ひとり毛色がなんか違うなぁ!?
「もっと腋見せて腋!腕上げて日巡璃!」
「カナの性癖じゃん!えっち!!」
「お嬢様!壁ドンしてください!」
「壁ドン!?やったことないよ???」
「ひまひま……ギューってして?」
「もう見るだけじゃ無くなってるじゃん!!」
そんなこんなで写真撮影(仮)は終わった。
終わったんだけど……
「うふふふ……。」
「お嬢様……素敵です。はぁ……お嬢様……」
「…………やっぱり……私達だけのモノにした方が……」
なんか3人の目がどんどんヤバくなってる気がする。
水着……封印しようかな。
その方が身の安全的にもいい気がしてきた。