久しぶりに書きたくなったので番外編で失礼します。
side無神神無月
最近……恋というものを知った。
恋愛小説?みたいなのを読んでみて、その中には
胸が高鳴った……とか
思考が弾けた……とか
顔が暑くなった……とか
あの人の事しか考えられない……とか
いつも目で追ってる……とか
ありえない字面が並んでたが、概ねそういうことだと言うのを理解した。
学生時代。友人など全くと言っていいほどおらず……家庭環境もめちゃくちゃな私に用意された静かで綺麗な部屋。自分以外の事も考えれるだけの余裕が生まれた故……であると信じたい。
それでなぜ急に恋というものについて語ったのかと言うと……
多分私は福に……鳥木福に恋をしてる。…………多分。
女性が女性に?と思うかもしれないが、勘違いじゃなければこれはきっと恋。小説内も女性同士の恋愛だったので……一般的……ではないにしろ、認知はされてるはず。
したことが無いから確証を持てない。小説通りであれば恋……のはず。
なぜそう思い至る結果になったのか……と言うと
急に胸が高鳴って、何か病気なんじゃないのかと調べたのがきっかけ。
色々調べていくうちに、私の近くには常に福がいることがわかったので……そう推理した。特に福に抱きつかれてる時が胸の高鳴りが大きい。
そして色々調べた。
福と恋仲になるためにはどうすればいいか……と。
何やら相手から告白されないと負けらしい。何が負けなのか全くわからなかったが、そうだと言うなら福と勝負するしかないということで、私は今、福から告白されるために色々策を要している。
ただ福は手強い。この前だって……
「カンナちゃん。このお菓子美味しいよ。あーん。」
「あーん……ん!美味しいわね。……毎日あなたの手で食べたいくらい。」
「そんなに気に入ったの?もいっこあげるね?」
「あーん。」
とか
「カンナちゃん!お風呂行こうよ!」
「いいわよ。今日も洗いっこしましょ?」
「へへへへ……カンナちゃん好き〜。」
「私もよ。福は大切な人。」
「カンナちゃん……!嬉しい嬉しい!ホー!」
とか言ってたのに……全く告白してこない。福は手強い。
昨日……
『……桂田さん3週間くらい帰省するらしいから……爪吹さんの寂しい気持ち……わかるわ。』
『ダメ。カンナちゃんを寂しがらせないよ!私カンナちゃんの傍にずっといるから!』
……私って……福にとってなんなのかなって一瞬思った。
依存相手?執着相手?ずっと傍にいるって……恋人じゃなくても出来るわけで……
私は家族が嫌い。だから恋人になりたい。家族よりも特別な関係になりたい。
福はどうなの?私……あれからいっぱい調べた。女の子同士の恋愛も、女の子同士の性行為も。全部頭に入ってる。福がやりたいって思ったこと全部できる自信がある。
ふと一瞬迷った。
私から伝えて……福から拒否されたら……どうすればいいんだろうって。
小説の中とおなじ。全部見てる第三者からすれば……両片思いの主人公とヒロインがすれ違う。悩む姿。すごくもどかしかった。
今は違う。小説の中じゃない。相手がいる。……福が……何思ってるか……私には分からない。
福は私を1人にしないって言ってくれた。
私は福を手離したくない。……でもそれは福の意思があっての事。
最近……福が私に対してどう思ってるかわからなくてモヤモヤする。からかってるんじゃないかとさえ思う。
福はそんなことしないのにね。
私の中の嫌な気持ちがモヤモヤ疼いて……日に日に大きくなる。
「カンナちゃん?どうしたの?寝ようよ。」
「!!……え……ええ。そうね。寝ましょ?」
「……カンナちゃん。」
福に呼ばれてベッドに横になる。福の顔が近い。
心臓が跳ねる音がする。
「カンナちゃん。最近忙しいもんね……A組のみんなの勉強会……頻度下げたら?」
「そういう訳にはいかないわ。皆の学力を上げて……皆が何の不自由もなく2年生……3年生になるために。そして卒業も……ね?」
「……そっか。カンナちゃんは偉いね。……んふふ。」
福が私を抱きしめてくれる。……この時間がすごく好き。
「いーこいーこ。カンナちゃんは毎日頑張ってるいーこだね?……私にだけなら弱音吐いてもいいから。全部受け止めるよ。」
「……ありがとう。福。」
福……貴方は一体何を考えてるの?
告白してくれたら……1番楽なのに。
勝ち負け以前に……怖さが勝つ。
嫌ね。恋って。
明日……槍田さんに借りた小説を返そうと……
そう思いながら……意識を手離した。