side槍田日巡璃
「………………何。」
彼女……は中学生になってから私を虐めてた中心人物。もう名前も覚えてないけど……私が雄英に行く前に何か言ってた子。
…………そういえば中学2年生くらいから引っ越して家が近くなったんだっけ。忘れてた。
「何じゃないでしょ。生意気ね。」
「……あ、そう。何も無かったら帰るね。」
そのまま歩を進める。多分私がスーパーに買い物に行った時にでも……家の窓から見てたんでしょ。それで待ち伏せしてた……と。暇だね。
「待ちなさいよ!」
「……。」
邪魔だなぁ……
「よくノコノコ帰ってこれたわね。ノロマウイルスの分際で……」
ノロマウイルス……中学時代よく言われたな。懐かしさすら覚える。
「まだ言ってるの?過去の栄光の縋るのは辞めた方がいいよ。子供みたい。」
「!」
「学校上手くいってないの?髪の毛ボサボサだし……もしかして着いて行けなくなって辞めたとか……」
「辞めてないわよ!!!辞めたのはアンタじゃないの!?」
「辞めてる訳ないじゃん。中学の時テストの点数ずーっと1位なの忘れた?いじめてた相手だもん。忘れたとは言わせないよ。」
ウチの試験は点数が張り出されるシステムだったので……私がずーっと1位を取ってたのは知ってるはず。
それに体育祭が全国放送されてるから……私がトーナメントにも残ってたのも知ってるはず。
「ぐっ……」
「……で?用がないなら帰るけど。バター入ってるし。アイスもあるから早く帰りたいんだけど。」
アイスを食べ切る。……家に着くくらいでちょうど食べ切れるくらいにしてたのになぁ……
「なんで……」
「え?」
「なんであんたばっかり!!なんであんたばっかり!!!」
「…………。」
「なんであんたばっかり!!いい思いして!!私は……っ私はァ!!!!」
ヒステリック起こされても……私……貴方のこと
「知らない。」
「!!!!」
「劣等感を他人に攻撃するしか解放する方法がないあなたに……今の私が何言っても無理。」
「…………なんなのよ……」
「どいて。……井の中の蛙さん。井戸はさぞかし気持ちよかったでしょ?」
「!!!!」
あの程度の中学校……勉強で1位取れてたくらいで雄英に受かるわけないのに……そんなことも分からないんだ。だから……高順位だったと鼻高くして別の高校のヒーロー科に行ったら落ちぶれた。
「…………。」
力なくフラフラとしてる彼女の横を通り過ぎる。
彼女の劣等感は……私じゃ拭えない。
1人じゃ何も出来ない人に……私の歩みは止められない。
「ごめんね……私。あの時みたいに……弱くないから。」
「たっだいまー!」
家に着く。何も無かったかのように。
「ちょっと遅かったわね?大丈夫だった?」
「んーん?アイス食べてた!」
「えぇ!!パパのは!?」
「えへへ〜買ってきてますよ〜!」
「日巡璃!パパ嬉しいよ!!」
もうある程度料理は出来てるみたいで……私待ちだったのかな?
「わ!ごめんね?これと……これと……」
「ありがとうございます。お嬢様。……一緒に行けず申し訳ありません。」
「ううん。大丈夫だったよ!」
「………………そうですか。」
なんか3人に変な目で見られてる……どうしたの??
「さて!すぐに終わらせちゃいましょ!」
「「はい!」」「ん!」
ママの一声で皆がテキパキと料理に取り掛かる。……カナもなんか料理できるようになってる。…………なんか私だけ出来ないのダメな気がしてきた。
…………私サイズのキッチン何処かにあるかなぁ……?
さすがにお家のリビングの机だけだと椅子が足りず……
こたつ用の机も出すことに。私たち4人がこたつ用の机に移動。
料理は……きのこづくし。私の大好物ばっかり!きのこのソテー、きのこグラタン、きのこいっぱいの炊き込みご飯、きのこのお吸い物…………へへへ。なんかテンション上がってきた。
「「「「「「いただきまーす!」」」」」」
まずグラタンから……あむっ
「んんんっ!おいひー!!!」
「ほっ……良かったわ。」
カナが胸を撫で下ろす。
「え!これカナが作ったの!?」
「……そうよ。悪い?」
「ううん!すっごく美味しい!」
「!…………そ……そう。」
グラタンって結構難しいイメージあるけど……頑張ったんだねぇ!
「カノーテスちゃん頑張ったものね?……ふふっ。」
「お……お義母様!……もう!」
カナが顔真っ赤にしてママと喋ってる……もう打ち解けたんだ!良かった……来た時からは考えられないね。ママパワー強し……。
「お嬢様。冷めてしまいますよ?」
「あ!!いけない!食べなきゃ!」
ご飯はアツアツなうちに食べるのが美味しいんだよね!
あっちも美味しい……こっちも美味しい……すぐ食べきっちゃった。
「ぷはー!……美味しかったー!!」
「ふふ。お粗末さまです。……お義父様。お義母様。私たちで片付けをするので……ぜひお風呂へどうぞ。」
「え!いいのかしら?」
「はい。ご馳走してもらったお礼です。」
「ん!」
愛ちゃんと天捻ちゃんが食器を持って流しに行く。
…………私キッチン入れないんだよね……動く度に色々当たっちゃう。
「うん。じゃあお言葉に甘えようかな!ママ。先にお入り。」
「わかったわ。じゃあ先に貰うわね?」
パパとママが部屋に行ったので、私達はお片付けタイム。
と言っても……私はキッチンに入れないから机拭いたり食器を持っていったりしただけだけど。
「…………たしかに……このキッチンだと……身長高い方は相当使いにくいですね。屈まないとまな板使えないですし。」
「そうなんだよねぇ〜……料理手伝ってた時もあるんだけど……もう無理なんだよね。」
「……これは……仕方ない。」
ママの身長に合わせて作ってあるから……小さくて小さくて……
ちなみにママの身長は150cm無いくらいです。
「……私はちょうどいいけどね!」
「……ん。私も。」
「カナと天捻ちゃんはそれが可愛いんだよぉ〜……そのままでいてね?」
「「…………。」」
2人とも黙っちゃった。
「お嬢様……私は……」
愛ちゃんがおずおずと聞いてくる。愛ちゃんはどちらかと言ったら高身長のイケメン女子って感じだもんね。……でもね?
「愛ちゃんも可愛いよ。私に責められたら弱弱なところとか!」
「お…………お嬢様……。」
愛ちゃんもたじたじに……私……最近彼女の扱いが上手くなってきた気がする!…………やりすぎると反撃貰うんですけど。
綺麗に片付けが終わり……皆でこたつ机を囲んで休憩時間。
「…………なんか眠くなってきた。」
「待って日巡璃。聞かなきゃいけない事があるの。」
カナから真剣な眼差しで言われたら……少し目が覚めた。
「んえ?何何?私何かした?」
「ううん。日巡璃は何もしてないわ。……何かあったの?」
「え?なんの事?」
「お使いの時……何かあったんでしょ。」
「!」
バレてた……
「…………その顔。やはり何かあったんですねお嬢様。……話しにくいことですか?」
「ん。……心配。」
「……なにかおかしいと思ったのよね。ちょっと元気が無かったというか……」
「何処かしょんぼりしておられたので……」
「少し……顔が疲れてた。」
うーん……やっぱり3人には勝てないなぁ……
「んーとね……大したことじゃないんだけど……私を虐めてた子に会ってね〜……」
「「「!!!!」」」
3人が一気に立ち上がる。
「何処で!誰に!何か言われた!?!?」
「お嬢様!今すぐソイツの場所を教えてくださいまし!」
「許せない。」
「ちょちょちょっと待って!!!もう終わったから!終わった終わったから!!」
玄関に向かおうとする3人をどうにか引き止める。
鍛えておいて良かった。
……少しだけ嬉しかった。私って大切にされてるんだなと何度も認識する。
私の素敵な彼女は……ちょっと凶暴です。