【質問】男にしか扱えない精霊術を鍛える学園と聞いて入学したのですが、俺以外は全員女ってどういう事ですかねー!? ~【学園からの回答】見なかった事にしてください! 何でもしますから!(全裸土下座)~ 作:信頼できる語り手
霊脈学園を騒がせた襲撃事件の翌日。
俺は学園長の運転する車の後部座席に放り込まれ、学園から王都へと運ばれていた。有無を言わせぬスピード感である。
「ふあー、ねむー」
「お早う、じゃ。……貴公、随分と疲れた様子じゃが……。まさか昨晩も女と情を交わしておったのではあるまいな?」
欠伸をする俺の隣には、涼しげなサンドレスを纏った赤髪のドゥーベがちょこんと座っていた。ぬいぐるみっぽくて可愛い。
膝の上に乗せたくなるサイズ感だが、斜めに抱える
「ほんの少し、先っちょだけだぜー」
「はぁ……。無節操な下半身じゃの」
「自分に正直な男と言ってくれ。それよりも、学園長と序列1位が付いてきて霊脈学園の方は大丈夫なのかー?」
あんな事件が起きた後だ。筆頭戦力がごそっと抜けるのは危なくないか?
「心配せずとも良い。儂らと入れ替わりでカリナが学園の防衛に回っておる」
「カリナー?」
「若くして霊光騎士団の団長になった鬼才『メンカリナン・サファイア』。メラクはんのお姉さんの事やねぇ」
運転席のポラリス・ローズクォーツ学園長は短めの振袖と袴を着用している。お忍びの面会だからか、仕事用のスーツ姿ではなく私服を選んだらしい。桃髪とよく合ってるぜ。
「おー、メラクの姉ちゃんかー。そっちとも会ってみたかったぜ」
メラクは全然サファイア家の話をしないし、無理に聞き出すのも嫌だからな。できれば、自然な形で対面しておきたい。
「会うのは勝手じゃが、儂が卒業した後にしてくれんかの? もう
ドゥーベは溜め息を吐く。メラクの姉に対して苦手意識があるようだ。序列持ちの例に漏れず問題児だったんだな。
「ドゥーベはんには苦労かけてばっかりやねぇ。今回はメノウはんが主賓みたいやし、顔見せが終わったらゆっくり休んでええよ」
「瞑想で集中力を高めておくのじゃ」
ドゥーベの口から年頃の娘とは思えないワードが飛び出してきた。俺はふと、彼女の断捨離ルームを想起する。
「アンタ……もしかして、フェクダ以上の趣味なしワーカホリックなのかー? ゲーセンとか連れてってやろうか?」
「あんな子供の遊びの何が楽しいんじゃ」
おー、ストイック。
「ギャンブルで稼いだ種銭を投機に突っ込んで桁を増やす。これが大人の遊び方よ」
ん……?
「ルーレット、賭け札、スロット、競馬! かかか、王都は還元率の高い博打が多くて最高なのじゃ! 脳汁ドバドバ!!」
「メノウはん……」
学園長は王宮の裏口から車を入城させつつ、困ったように糸目をへにゃりと曲げる。
「頼まれても、お金……貸さんといてなぁ?」
俺は無言で深く頷いた。
カウンターフィト王国の現国王『アークトゥルス・アンバー』の名前と顔くらいは、俺も映像で見た事がある。
軍服風のシュッとした礼服を身に付けた金髪イケメンであり、いかにもカリスマという感じの王様だった。
常に口元を黒いマスクで覆っているが、貴族が最高戦力を兼ねているこの国において、戦場での傷を隠す者など珍しくない。
「よく来てくれた。ポラリス、ドゥーベ。それと、メノウ・ルースケース君」
「トゥルスはん……。まぁた護衛も連れずに客人を招いとるんやねぇ……」
「出入り口は固めてるから勘弁してくれよ、ポラリス。部屋の中にまで人がいたら息が詰まって仕方ないんだ」
プライベートモードのアークトゥルス王は、随分と気さくな人物のようだ。私服の縦縞セーターが大人びた色気を漂わせている。
「改めまして、メノウ君。私がアークトゥルス・アンバーだよ。気軽にトゥルスと呼んで欲しい」
トゥルス王がマスクを外した。その下からは、想像に反して傷1つない綺麗な鼻と唇が現れる。
それは、とても見覚えのある学友の顔だった。
「はー!? ミザール!?」
「ははは、驚かせてすまないね。いつも娘と仲良くしてくれて、ありがとう」
冷静に見直せば、細部の造形は微妙に異なっている。ミザールと違って渦を描くような暗い瞳でもないし。だから、上半分だけでは気付かなかった。
正直、かなり驚いてるぜ。
「あー……俺なんかに素顔を見せて良かったのかー? ミザールがゴーグルとガスマスクを被ってるのって、親子関係を隠す為だろ?」
「勿論、機密事項だよ。だけど、それに関しては気にしなくて大丈夫さ」
トゥルス王は華麗にウインクをしてみせる。
「君がこれから知る事になる国家機密と比べたら、大した秘密じゃないからね」
「……俺、ちょっと帰りたくなってきたぜー。実は王都で買いたい漫画の新刊があって……」
「儂が代わりに買っておくのじゃ。諦めよ」
「アンタはどっちの味方なんだよー!」
「王国じゃろ。それでは失礼する」
俺は最後の抵抗として、去っていくドゥーベが有り金を全部溶かすように祈った。
学園長に応接室での待機を命じた王様が、俺1人を寝室に招き入れる。怖い。
「ポラリスから君の守護霊について聞いた。どうか私に向かって、その固有特性を行使してくれないだろうか?」
開口一番にそう言ったトゥルス王は、天蓋付きのベッドの上で深々と土下座をしていた。
泣き崩れるように頭をシーツに擦り付ける彼女からは、学園長の全裸土下座以上に鬼気迫る悲壮感が感じる。まるで、ようやく救いの糸を見付けた迷い人のような。
「そいつは……アンタに纏わり付いてる術を停止させろ、って話で良いんだよなー?」
俺は念の為の確認として、彼女を縛るように流れる異質な霊気を指差した。相当に複雑で厄介な術である事が見ただけで分かる。
「気付いていたんだね。流石はジャスパーの弟子だ。……その口振りだと可能なのかな?」
「可能ではあるぜー。だが、少なくとも今の段階では『情報が少な過ぎてやりたくない』ってのが本音だな。本当に停止させて良い術なのか判断できない」
俺がトゥルス王の顔を持ち上げると、彼女はミザールに似た理知的な表情で考え込んだ。暫くして、唇の前に指を立てる。
『ここからは本当に他言無用で頼むよ』
「……!」
頭に声が……いや、イメージが入ってきた。
『これは私の固有特性。簡単に言うとテレパシーだ。言語とは比較にならないほど繊細な感覚や情報を伝えられる優れモノさ』
左手を優しく握られる。
『このメッセージが正しく届いていたら、右手で私の耳を撫でてくれ。以後、イエスなら耳に、ノーなら太股に触って意思表示して欲しい』
俺は指示通りに右手を動かした。トゥルス王がくすぐったそうに身を捩る。
彼女は咳払いを1つ挟んで、切り出した。
『──私は記憶喪失なんだ』
記憶喪失?
『正確に言うと、学園入学時から国王に即位する前までの記憶がない』
「!?」
おいおい、冗談だよな……。厄ネタってレベルじゃないぜ。
『幼馴染で親友のポラリスが言うには、私は表向き普通の生活を送っていたらしい。ミザールの出産にも立ち会ってくれたが、父親が誰かははぐらかされたそうだ』
他人事のように淡々と言葉を紡ぐトゥルス王。自分の人生を伝聞でしか知らないというのは、どういう気持ちなのだろうか。
『私を理想の王などと称賛する者もいるが、あれは勘違いだよ。私は王を演じる事にしかアイデンティティを見出だせない、空っぽな存在に過ぎない。だから、知りたいんだ……』
左手を包んでいた温もりが離れていく。
『ああ、こんな事まで……君に言っても困らせるだけだね。まったく、気持ちが伝わり過ぎるのも問題だ』
そんなトゥルス王の腕を逆に掴んでやる。
「んじゃ、同級生だなー! よろしく!」
『え……?』
だってそうだろ? 学園入学時までの記憶しかないって言うなら、人生経験は新入生の俺やスピカと同等って事だ。タメなら変な気を遣う必要もないよな! フレンド!!
というジェスチャーが伝わったのか、国王様が戸惑いを含んだ表情になる。ミザールは常に飄々としてるから、この顔で感情豊かになられるとちょっと面白い。
「ポラリスが気に入るわけだ。君は実に……変わった男だね」
ふう、と肩を竦められた。
「いずれ、私が王位を退く決断をしたら、君を時期国王に推薦しようかな」
「フェクダ辺りがキレそうだぜー」
「ははは!」
俺とトゥルスは正面から目を合わせる。
「怖いかー?」
どんな記憶が隠されているか。その内容によっては心身に大きなダメージを負うかもしれない。
「怖くない、と言えば嘘になるね。だから、決意が鈍る前にやってくれると嬉しいよ」
俺は彼女に絡み付く霊気を停止させた。
トゥルス王の固有特性を介して、解放された記憶が流れ込んでくる。
『ぁ……ぁ……』
1人の女が全身を器具で固定され、複数の男達に犯されていた。
『ぁ……ぅ、ぇ……』
ただし、その光景は単なる性暴力と一線を画す異様なモノに見える。
『次』
変声機を通したと思われるノイズ混じりの低音が響いた。
『ゃ……ぇ……』
『次』
全身を黒いローブで覆った謎の人物が携帯端末を弄りつつ、一定の間隔で無機質に合図を出す。それに従って、列になった男達が代わる代わる女の穴に精液を注いでいた。
まるで、家畜の交配。作業的な種付け。
『ぅ……ぁ……』
金髪の女性──アークトゥルス・アンバーは静かに泣いていた。叫ぶ気力が既に尽きているのか、叫んでも無駄だと悟っているのか。
悪意による行動なら反抗の余地もあるが、黒いローブの人物からそんな人間的な感情は読み取れない。トゥルスを『モノ』としてしか見ていない事が、まざまざと感じられる。
『次。いや……もう良い。この母体と霊能者の交配が理論上では最適のはずだが、やはり妊娠しにくい体質らしい。柄にもなく損切りを惜しんでしてしまったが、そろそろ潮時か』
ローブの人物がトゥルスに接近した。彼女の金髪を乱暴に掴み、恐怖に引き攣った顔を覗き込む。
『──忘れろ。カウンターフィト霊脈学園に入学して以降……この『アレキサンドライト』と隠秘哲学に関わる記憶の一切を、忘れろ』
莫大な霊気を流し込まれ、トゥルスは意識を失った。
「ぁ……ぁぁ……」
「おい、しっかりしろ! トゥルス!!」
俺は虚ろな目になったトゥルスを抱き締め、背中を撫でてやる。
「……っ! な、なるほどね……。はは……まあ、あまり愉快な予想はしていなかったが……」
「……今日はここまでだぜ。これ以上思い出したら、アンタが廃人になる」
「あ、ああ……とりあえず、これだけでも大きな進歩だ……。感謝するよ……」
トゥルスが俺の肩を強く掴んだ。俺は黙って、気が済むまで胸を貸す事にする。泣いてる女を放り出すほど非情じゃないからな。
「あんさん達の様子を見るに、楽しい結果やなかったみたいやねぇ」
寝室のドアが音を立てずに開く。
「学園長、王様の件は……」
「言わんでええよ。うちが知るべき事は本人から聞くわぁ」
ひらひらと手を振られた。確かに、付き合いの長い学園長はそうした方が良いだろうな。
「……トゥルス、だよ」
「はいー?」
胸元から力ない声が聴こえてくる。俺は思わず首を傾げた。
「王様じゃなくて『トゥルス』と呼んでくれ」
「あー、そうだったぜー。よろしくな、トゥルスちゃん」
「ひゃんっ……! こら、メノウ君……!」
うなじから耳の裏までを愛撫してやると、トゥルスがビクンと上品に震える。学園生にはない成熟した色香が堪らんぜ。
「あ、抜け駆けは駄目やよ。せやったら、うちも学園長やのうて『ポラリス』呼びがええわぁ」
学園長が身軽に宙返りしながら、ベッドの上に滑り込んできた。そのまま俺の背中に抱き付き、グイグイと巨乳を押し当ててくる。この柔らかさ……さてはノーブラだな!?
「うひー、ポラリスっぱい最高だぜー」
「ふむ、それにしても鍛え上げられた頼り甲斐のある体だね。君の腕に抱かれていると不思議な安心感を覚えるよ」
「せやろ? メノウはんは女殺しの悪ぅい男の人やからねぇ。色々とご立派なんよ」
学園生相手に好き放題してきた俺も、エッチなお姉さんにサンドイッチされると攻守が逆転してしまう。
「ははは、それは興味深いね。ところでポラリス……私は今、人肌が恋しくて仕方ないんだが」
「ふふ、お泊まりは一晩だけやよ? うちらも予定があるさかい」
「分かっているさ。旧交を温める意味も込めて、3人で仲良く夜を過ごそうじゃないか。勿論、健全にね」
扇情的なロイヤルボイスで囁かれると、勃起せざるを得ない。
「せやねぇ。たまには羽目を外さんと、ストレスが溜まってもうてあかんわぁ」
女の吐息と衣擦れの音が響く。
「ああ、こんな時くらいは賑やかな夜も悪くないかもね。……ミザールは弟と妹、どちらが欲しいだろうか?」
不穏な独り言はやめてください。
「「ほら、力抜いて」」
「お、お手柔らかにー!?」
俺は底無し沼のような美女2人の谷間へと引き摺り込まれた。
第3回ヒロイン人気投票(殿堂入り除外)
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①赤:ドゥーベ・ルビー
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③白:フェクダ・ダイヤモンド
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④黒:メグレズ・オニキス
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⑤紫:アリオト・アメシスト
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⑥黄:ミザール・シトリン
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⑦緑:ベネトナシュ・エメラルド
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◎灰:スピカ・ゴッシェナイト