【質問】男にしか扱えない精霊術を鍛える学園と聞いて入学したのですが、俺以外は全員女ってどういう事ですかねー!? ~【学園からの回答】見なかった事にしてください! 何でもしますから!(全裸土下座)~ 作:信頼できる語り手
「今日も頼むな、精霊達ー」
俺は火の精霊をフライパンに宿し、甘辛い液に浸しておいた鶏肉を投入する。台所の中央では水の精霊がレタスを洗い、風の精霊が繊維に沿って素早くカットしていた。
料理サークル『燻製ニシン』が学園内で育てた新鮮な食材は、軽く調理するだけでも充分に美味い。余った材料を分けてくれたメグレズには感謝だな。
「メラク、飯の時間だぜー」
「ん、いただきます。……美味しい」
「だろー?」
普段は小食なメラクも、神格精霊『フィラー』の降霊練習をした後なのでガツガツ食べる。
「ただでさえ霊媒体質はカロリーの消費が激しいからな。遠慮せず、どんどん食えよー。食べ過ぎが心配なら、食後の運動にも付き合うぜ」
そう言って、半球型の美乳に手を伸ばした。ふにふにと掌で包むように優しく揉む。
「んっ……。汝はエッチな運動し過ぎ」
「駄目かー?」
ボブカットの青髪に顔を近付けると、淡いバニラのような香りがした。
「駄目じゃない。学園生に配る『霊媒強化薬』を作る為に、汝のおちんちんには沢山
「メラクの場合、イク時に全身でホールドしてくるから射精が捗るんだよなー。おかげで、ゴムの減りが激しいぜ」
「なくなったら、妾と一緒に買いに行こ?」
「そうだなー。色んなタイプがあるっぽいし、片っ端から試してみるか」
にしても、付き合ってもない男女が並んで避妊具を買いに行くのは、一般的な事なのだろうか?
店員さんから『コイツら、これからヤるんだな……』と思われたりしないか? いや、俺は気にしないが、メラク的にはどうなんだろう。結構、人見知り気味だし。
ふと俺の脳内に、彼女が顔を真っ赤にして俯く光景が浮かんだ。可愛い。
「……何か変な事、妄想してる?」
「おいおい、俺は別にー」
俺の弁明を待たずに、メラクの柔らかい尻が膨らんだ股間に乗っかってきた。
「してた?」
「はい、してましたー」
そりゃ反則だろ。あー、もう辛抱堪らん。これ、完全にゴーサインだよな?
食後のデザート、美味しく頂くぜー!
「メノウ、ちょっと手伝って欲しい事がある」
「おー、任せろー」
危機感と女を同時に抱く事はできない、と師匠が昔言っていたが、食欲と性欲を満たしている今の俺はまさにそんな状態だった。
「モノポリー公国は知ってる?」
「馬鹿でかい大橋がそのまま国になってるアレだろー? この前行ったグルーストリートとは反対方向だな」
王国と帝国の間に位置するモノポリー公国は、定住人口こそ少ないが流通の要所である。橋と言っても1本の直線路ではなく、付近の国々をまとめて繋ぐ大規模な構造だ。
学生街に立ち並ぶ店の商品も、多くは公国を経由して輸入されているらしい。
「そこが今、通れなくなってるという噂が届いた。だから、妾が現地を確認しに行くつもり」
「学園からの指示かー?」
「違う。サークル活動の一環で、毎年この時期は公国の学校と交流する取り決め。せめて中止かどうか判断できないと、お互いに困る」
「あー、そっちねー」
メラクの所属するサークル『匂々会』は、様々な香りの研究を活動目的としている。
これが意外と本格的で、新たな素材を発掘する為に他国へ遠征を行ったりもするそうだ。王国の有力貴族達もその活動に出資しており、軽々しく計画の変更はできない。
「公国かー。俺、人混み苦手なんだよな……」
「さっき、任せろって言った。む……!」
メラクが不服そうに俺の睾丸をはむはむしてくる。勿論、歯を立てるような真似はしない。唇でそっと玉を包み、舌を添えて左右に揺らす。
「ふおー……! 玉舐め、最高だぜー」
「む……も……」
感触もさる事ながら、視覚効果がヤバい。睾丸を持ち上げるように咥えると、必然的にメラクの顔に竿部分が押し付けられる事になる。とても卑猥な絵面だ。
「ひっひょに、いほ……?」
「そこまで頼まれたら仕方ないなー」
両手を挙げて降参の意を示す。
「ところで、メラクー。このままだと髪に精液をぶっかけるぜー?」
「ん、はまふぁない……。ふけろめる……」
「ぐー、このエロっ娘めー!」
極めて高度かつ政治的な駆け引きの末、俺はモノポリー公国へ向かう事になった。
「貴公、安請け合いし過ぎじゃろ」
序列1位『ドゥーベ・ルビー』がジト目を向けてくる。最初は誠意を表す為に屈んで目線を合わせようとしたが、子供扱いするなと怒られてしまった。
「説教はやめてくれよー」
「阿呆。説教とは相手の為を想って説くものじゃろう? 儂はスケジュール調整の手間を増やした報復として、貴公達から少しでも自由時間を奪い取りたい一心で喋っておる」
「性格悪いぜー」
「ふふ、序列1位は多忙やからねぇ。今度から早めに申請しておくれやす。……それはそうと、ドゥーベはんがカードを捲る番やよ」
学園長『ポラリス・ローズクォーツ』が微笑みながら催促すると、ドゥーベは顔を顰める。どうやら、2人はカードを使った賭け勝負をしていたらしい。
「分かっておるわ。くっ……次こそは……!」
縦に、横に。カードを素早く一部分だけ捲るドゥーベに、俺は呆れ混じりの目を向けた。
「『絞り』が板に付き過ぎだろ……。アンタ、骨の髄まで賭博が染み込んでるなー」
「うるさい。素人は黙っておれ。儂は今、集中……あああああああ……っ!?」
「ドゥーベ、負けた?」
メラクの質問にも反応せず、魂が抜けたように蹲る
「連勝継続、やねぇ。ほな、また『お願い』を聞いて貰いますぅ」
「何故じゃ……! 何故、勝てん……!!」
「イカサマじゃないのかー?」
「それなら、儂が見抜けんはずがないじゃろ! 細工ができぬように、カードも毎回新品を使っておるわ! 一体、どういう理屈じゃ!!」
バンバンと机を叩くドゥーベに、学園長が悠然とした笑みで答えた。
「簡単な話やわぁ。『勝てる時だけ挑む』。勝利の秘訣はこれに尽きますぅ」
それが判断できたら、苦労しないんだよなー。
「ごきげんよう、メノウ様。遠出をなさるそうですね? それでは、これをどうぞ」
緑髪の序列7位『ベネトナシュ・エメラルド』が出会い頭に俺の手を取り、何かを握らせてくる。
「何だこれー? ピンバッジ……玩具か?」
「わたくしの曾祖父の形見でございます」
「へー、確かに年季が入った感じの……」
「まあ、嘘ですけど」
「久々に出たなー、虚言癖」
「痛い、痛いです。やめてください」
お仕置きにポニーテールを引っ張ってやった。ベネトナシュは少し涙目になった後、咳払いして気を取り直す。
「こほん……。これはナサヤ教が所蔵する『身代わりのピンバッジ』。伝説の原型師『アイン・ディアーブル』様が仕上げた逸品でございます」
「ナサヤ教……。『遺物』かー?」
精霊術の常識を無視した超常現象を起こす道具を『遺物』と呼ぶ。彼女が聖女として所属するナサヤ教は遺物の蒐集で有名な勢力だ。
「いえ、遺物ではありません。しかし、これに予め霊気を封入しておく事で、1度だけダメージを肩代わりしてくれます。性能は劣らないかと」
「……普通に優秀だなー。そんな貴重品を俺に預けて良いのか? 言っとくが、幾ら恩を売ってもナサヤ教には入信しないぜ?」
「構いません。重要なのは其方がそれを持っている事。……納得できないのであれば、テスターか何かだと思ってください。実際、古い品ですので未知の部分は多くあります」
「ほー、なるほどー」
ベネトナシュと目を合わせる。彼女が何を考えてるのかは分からないが、不良品を渡してくるような奴じゃないはずだ。
仮に相手がミザールなら迷わず投げ返しただろうが、ベネトナシュの事はそれなりに信用している。
「ま、ありがたく借りとくぜー。使用上の注意点とかあるか?」
「強いて言えば、外さずに寝ると死にます」
「うっそー!?」
「はい、嘘です。では、わたくしはこれで」
俺は悪戯っぼく舌を出して去っていく彼女を呆然と見送……るわけもなく、秒で捕まえて隠れ巨乳を揉み倒してやった。
「そんじゃ、出発するかー」
「ん、そうする」
メラクが頷く。前回の旅でも思ったが、様々な知識を蓄えている彼女がいると、移動中もあまり退屈せずに済むから良い。
その土地の歴史とか解説して貰ったりな。俺は放浪経験こそ長いものの、教養を学ぶ機会が少なかったので新鮮だ。
「メノウ、1つだけ言い忘れてた。モノポリー公国に行く途中には、妾の実家──『サファイア家』の実家がある」
「……寄らない、で良いんだよなー?」
「ん、母さんは妾を嫌ってるから。会っても喧嘩にしかならないと思う」
家族と向き合え、なんて言うのは簡単だ。けど、誰しも反りが合わない人間の1人くらいはいるだろう。それが家族だって場合もある。
「メラク。俺の短い人生でたった1つだけ、断言できる事があるぜー」
「……何?」
「血の繋がった親なんていなくても、人は生きていける。……自分を大切にしてくれる奴を、大切にすりゃ良いんだよ」
我ながら、説得力がある発言だろ? 孤児の俺がこうして楽しく生きてるんだから。
「ん、分かった。ありがとう」
俺の助言が世間的に正しいのか、確信はない。だが、師匠が生きてれば似たような事を言ったはずだ。だったら、きっと間違いじゃない。俺はそう信じている。
「ただ、完全にサファイア家の領地を避けて通るのは難しい。無理に回避するよりも、少し迂回気味に突っ切るべき」
「それが現実的だなー。敵地でもあるまいし、過度に気を張っても疲れるだけだぜ」
俺はそう言いながら、霊気を注いだピンバッジをメラクに投げ渡した。
「……これは?」
「お守り。念の為、身に付けとけー」
何となく、俺よりもメラクの方に必要な気がする。直感だ。ま、使い所がなければそれで良し。
しかし、女からの贈り物を他の女に横流しするとか、冷静に考えるとクズ男だな、俺。背中を刺されないように気を付けとこう。
「森羅万象に精霊が宿るのは、人が全てを恐れる生き物だからだ」
「ん、『アレキサンドライトの手記』213ページ?」
早押しクイズ王かよ。
「いや、この前ミザールが言ってた事を格好付けて真似しただけで、元ネタとかは知らんぜー。にわか知識でイキろうとして、すまん……」
はー、ミザールのせいで大恥かいたぜ。他人の語録を我が物顔で使うなよな。恥を知れ、恥を。
「別に気にしなくて良い。よく考えると、版と翻訳言語によってページ数はズレるし」
読書ガチ勢、怖ぇ……。
「ちなみに、それはアレキサンドライト本人が言ったわけじゃなくて、彼が異界の神と話した時に聴いた言葉みたい」
「異界の神ー? ただの妄想話かー?」
俺の中でアレキサンドライトのイメージは最悪に近い。狂って妄言を吐いていたとしても納得できるのだが……。
「それは不明。そもそも、本当に彼自身が書いた手記なのか、偽物なのかも定かじゃない。確実な記録として伝わっているのは、カウンターフィト王国の基礎を作った偉人がいた事」
メラクが熱く語る。
「異界の神は王国に知識と技術を授けた」
過去の神『シホウ』は、サファイアに。
炎の神『マクラ』は、オニキスに。
道具の神『アイン』は、エメラルドに。
引力の神『サツキ』は、ダイヤモンドに。
蓄積の神『サラート』は、ローズクォーツに。
意識の神『プレイスホルダー』は、王国そのものに多大な影響を与えたと伝わっているそうだ。
「王国は政治的な場において、これを根拠に様々な正当性を主張してる。逆に王国を引き摺り落としたい国々は、否定的な立場を表明してる。その対立構造は後の考古学においても……」
興奮気味に捲し立てるメラクを眺めながら、俺はふと思い出す。そういや、師匠も精霊術の研究を語る時はこんな感じになってたな。
「あ、ごめん。つい、喋り過ぎた……」
「そんな事ないぜー」
俺はやんわりと手を挙げて応じる。
「もっと教えてくれよ、王国の歴史」
「……っ、勿論!」
師匠が死んだ時も涙は出なかった。
俺は本質的に冷たい人間だ。他人に対して心から同情する事ができない。
好きにはなれる。だが、それはモノに向けるような……壊れたら残念だったと諦められる程度の思い入れ。
お前は精霊に愛され過ぎたんだ、と師匠は言った。森羅万象に宿る魂を感じてしまうせいで、人間とその他の価値を区別できない。
「サファイア家には戻るな、と言ったはず」
メラクによく似た顔の女性が、冷たい顔で吐き捨てる。
「無能の出来損ない」
ずぶ濡れの少女が蹴り飛ばされ、俺の足元に転がってきた。首には絞められたような痛々しい痣がある。
「メ、ノウ……お願い……」
『お願い……! 妾にできる事なら何でもするから……! 助けて、メノウ……!』
初めて会った時の事を思い出した。彼女は縋るように叫ぶ。
「逃げて……!!」
「あー、断る」
俺の口は考える前に動いた。
「アンタ、メラクの母親だよなー?」
「違う。そこの出来損ないは、たった今勘当した。サファイア家とは既に無関係」
メラクの母は広い屋敷の庭に、派手な装飾の大鎌の柄を旗のように突き立てる。
「そうかよー。にしても、水の精霊と相性の良い素材で仕立てた特注武器か。当主クラスとなると豪華だぜー」
俺達の間で霊気が衝突し、屋敷が揺れた。
「──それが墓標で構わないよな?」
第3回ヒロイン人気投票(殿堂入り除外)
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①赤:ドゥーベ・ルビー
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③白:フェクダ・ダイヤモンド
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④黒:メグレズ・オニキス
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⑤紫:アリオト・アメシスト
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⑥黄:ミザール・シトリン
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⑦緑:ベネトナシュ・エメラルド
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◎灰:スピカ・ゴッシェナイト