【質問】男にしか扱えない精霊術を鍛える学園と聞いて入学したのですが、俺以外は全員女ってどういう事ですかねー!? ~【学園からの回答】見なかった事にしてください! 何でもしますから!(全裸土下座)~ 作:信頼できる語り手
コイキの案内で辿り着いた『忍びの里』は、人通りが少ないだけの一般的な繁華街に見えた。
「デパート、カラオケ、コンビニ……。地下だから夜景じみてるけど、何か思ってたよりも中身は普通だぜー。ん、鉄酒ー?」
「お目が高いですね。『鉄酒』は忍びの里の秘湯を使った名物酒ですよ。独特な風味が酒呑みの方々に好まれ、料理酒として使える汎用性もあります」
「料理ねー。学園の皆への土産に良いかもなー」
店頭には珍しい食べ物が並んでいて、ついつい興味を惹かれてしまう。
「えー? この肉、生で食えるのかー?」
「里は処理技術が進んでいるので、食中毒の原因菌なんかも完璧に除去できるんです。人間の死体の扱いに比べたら全然簡単ですから」
「うえー、食欲減るぜー」
「……? ああ、すみません。里外の人の感覚がよく分からなくて。だけど、貴方も10人くらい一気に殺せば『処理ダルいなぁ』としか思わなくなりますよ。慣れの問題です」
コイキに言われて想像してみた。確かに学園長なんかは人殺した後でもガツガツ飯食ってそうな雰囲気がある。
「とりあえず、干し椎茸だけ買っとくか」
「忍びの里まで来て、干し椎茸……?」
お? 干し椎茸ディスは俺が許さんぞ? この神食材さえありゃ、どんな料理もそれっぽくなるんだって、マジで。旨味の塊だぜ?
「あと、この林檎を……。何かこれ、匂いおかしくないかー? 甘ったる過ぎるようなー」
「あ、毒林檎ですね。食べたら死にます」
売るな、そんなモノ。
「暗殺用が主流ですけど、少量を食事に入れて毒耐性を付ける訓練もできますよ」
匂いで気付いて命拾いしたな。メラクの趣味の香水作りを手伝った経験が生きたぜ。
「ごめんなさい、メノウさん。観光はここまでにしましょう。頭領様との面会許可が降りました。まだ少し猶予があるので、私の家に寄ってから向かいますね」
俺は言われるがままにコイキの後を追う。
「そこの部屋は好きに使ってください」
「あー、ちょい疲れたから仮眠して良いかー?」
「ええ、勿論。時間前には起こしますよ」
「頼むわー」
当然、嘘だ。師匠からも超師匠からも体力だけは認められていた俺が、あの程度のスケジュールでへばるわけがない。
悪いな、コイキ。アンタ達を一方的に信じて身を任せるほど、俺は素直な人間じゃないんだ。今、王国がどうなってるのか。信頼できる相手から裏取りをさせて貰う。
「んじゃ、お休みー」
さて、頼れる2人に相談しますかね、っと。
「忍びの里……懐かしい名かえ」
「メノウに付けてた『泥濘の双耳壺』の
メラクの頭脳はこういう非常時に頼もしい。
「でも、この『深層学園』は無事なんだなー」
「当然よ。世界中を探しても、余を越える意識干渉の使い手はおらん。あんな雑な篩などには引っ掛からんわ」
超師匠が退屈そうに言った。たまに冗談抜きで有能なんだよな、この兎爺さん。夢の中から出てこられないのが、本当に惜しい。
「しかし、こんな事になるとはなー。俺の事が目障りな連中はそりゃいるだろうが……」
「ん、待って。今回動いてるのは汝を消したい勢力じゃなくて、汝を利用したい誰かだと思う」
「ほー、何でだー?」
「始末したいだけなら死刑で良いから。なのに、フェルカド副団長は『無期懲役刑』を宣言した。生け捕りを選ぶ理由があると考えるのが妥当」
なるほど。俺にかけられた師匠殺しの冤罪を考慮すれば、王国基準では死刑に持ち込めない事もない。
いきなり殺して、後から『抵抗されたのでやむを得ず……』と言う事もできる。手錠で拘束なんて穏便な手段を取らなくても……。
「そういや、俺ってまだ手錠かけられたままだったー。超師匠、外す方法とかないかー?」
「やめた方が良い。それ、外した瞬間に位置がバレる仕組みになってる。嵌まってる間は精霊術を制限されるけど、特に追加効果はない。姉さんが言ってた」
「そりゃ、悪質なトラップだな」
攻撃能力と引き換えの捕縛性能。独自の改造を施した精霊術は幾つも見てきたが、ここまで対人に特化した代物は初めて見た。
「ってか、ルカ副団長は王国の主力だろ? その情報、俺に教えて大丈夫なヤツかー?」
「分からない」
分かんないかー。
「トラップ付きの手錠は暫く放置するとして。……大体、王国の現状は推測できた」
「はー、マジでー?」
メラクはこめかみに指を当てて頷く。とてつもない勢いで脳を回しているようだ。当事者の俺が頭空っぽで申し訳ない。
「汝が学園長に会ったら、こう訊いて。『王国に王はいるか』」
「……?」
「妾の予想が正しければ、『いる』と答えるはず。もしそうなら、学園長は味方。今回の事件に関しては全面的に信用して」
「??」
「なるほど。悪くない手かえ」
「???」
あ、あー。な、なるほどねー。流石はメラクだなー。その手があったかー。
「メノウは理解しなくて良い。むしろ、自然体でいた方が上手く運ぶ」
何だよ! 理解しなくて良かったのかよ! 頭使って損したぜ! 今日の夕飯、何にすっかなー!
「そこまで馬鹿っぽい顔をする必要もないけど」
このイケメンフェイスは素の顔なんだがー!?
「じゃ、またなー。メラク、超師匠」
「待たんか。せっかく縁を消費して深層学園に来おったのだから、いつもの修行をして帰れ」
「えー、手錠したままかよー」
「ふっ!」
ガチャンと手錠が外れる。
「忘れたかえ? ここは夢の中の世界。あらゆる事象が余の支配下にある」
「おー……最強だなー」
「いや、そうでもない。他人の能力を封じれるわけではないから、元々の強さが規格外な相手だと押さえ込めん。特に今の余ではな」
それはほぼ最強だろ。規格外って……どんな化け物を想定してんだよ。
「で、今日もアタッシュケースとのにらめっこからかー? 虚無だぜー」
「基礎修行は大事かえ。守護霊は人間と精霊の親和性を高める仲介者。汝に自覚はないかもしれんが、同じ霊能者でも王国で生まれた守護霊憑きと他国民では大きな差がある」
超師匠曰く、100年に1人レベルの飛び抜けた天才でもないと、守護霊なしでは精霊との結び付きが頭打ちになるらしい。
「しかし……副団長と言ったかえ? 忍者と戦う可能性が出てきた以上は、対人戦に向いた応用術の1つくらいは教えておこう」
「難しいのはやめてくれよー?」
「安心せい。余が教えるのは汝の『停止』を使った『精霊術の貯蔵』。事前に構築済みの術を設置しておく事で、敵の攻撃に反応して起動する罠を作る裏技かえ」
襲撃者を麻痺させたり、凍らせたり、縛ったりする自動反撃トラップ。あまり強い術は停止させられないが、忍者の奇襲に対するカウンターとしては使えそうだ。
「……何か癖の強い技ばっかり覚えてる気がするぜー。俺、師匠みたいな万能型の王道霊能者になりたかったんだけどなー」
「鞄の。汝は所詮、汝にしかなれん。全てを学ぶには人の生は短過ぎる。それでも身の丈以上の未来を望むのならば、方法は1つ」
金の兎がちょこんと
「他者に頼れ。正しい存在ではなく、助けたくなるような存在を目指せ。汝の師もそうやって王国最強になったのではないかえ?」
「……そうかもな」
仮眠が終わり水の精霊で顔を洗った俺は、忍びの里でも一際目立つ建物の最奥に案内された。
「この……緑色の、床? ミシミシ言ってるけど、大丈夫かー? カビてない?」
「床じゃなくて畳ですよ。それは元からそういうものです。……っ! 伏せて!」
コイキが畳を蹴り上げて盾にする。霊気を纏った畳が飛んできた刃物をザクッと受け止めた。へー、基本六術にはそういう使い方もあるのなー。
「臨・兵・闘・者……」
彼女の手が素早く印を結ぶと、足元から白い布が広がっていく。
だが。
「護衛対象から目を離したら、あかんよ?」
「あっ……!」
コイキが振り返った時には、俺の体は柔らかい女体にがっちりホールドされていた。背中に少し垂れた乳房と乳首の形を感じる。
「……ノーブラ?」
「血の匂いが付いた服を脱ぎ捨てられるように、忍者の戦闘着は下が裸なんやわ。この服、布地がサラサラやから素肌でも擦れへんのよ」
マジかよ、忍者最高だな。
「頭領様! 驚かせないでください!」
「ふふ、うちが学園で仕事しとる間、コイキはんが成長したか抜き打ちテストしよう思て。でも、隠し通路を警戒せんのは減点やなぁ。城の中やからって油断してはったやろ?」
「うっ……それは……。すみません……」
「仮にうちが敵だとしても時間稼ぎくらいはできんと、まだまだ上忍には推薦できへんねぇ」
忍者モードの学園長『ポラリス・ローズクォーツ』は別人のようだった。
喋り方は変わらない。ただ、その
「あんさんは才能があるさかい、いつまでも中忍で満足しとらんと精進しぃや」
「あぅぅ……ごめんなさい……」
「あー、学園長ー。お取り込み中悪いんだけど、アンタに訊きたい事があってなー」
コイキを助けるわけではないが、俺は強引に口を挟んだ。
「ん? 構へんよ。学園長として、学園生からの質問はいつでも受け付けとるからねぇ」
「『王国に王はいるか?』」
刹那の無音。学園長からは何も読み取れない。俺は即座にコイキの反応を盗み見る。ちっ、仮面が邪魔で表情が確認できないな。
「『おるよ』」
学園長がはっきりと断言した。
「……正直、驚いたわぁ。あんさん、今の質問を自力で考え出したん?」
「そりゃ、もちろ……」
「コイキはん。メノウはんが今日接触しはった序列持ちは何人や?」
おい。
「はい。ドゥーベさん、フェクダさん、メグレズさん……それと、ミザールさんの4名です。演習場で模擬戦をしていたようですね」
「どの子もピンと来んねぇ。強いて言うならミザールはんやけど、彼女の入れ知恵に身を預けるほど信用するとは思えんし……」
「ま、俺にも独自の頼れる
ルカ副団長の手錠に戒められた両手を掲げ、ここぞとばかりに格好付ける俺。座学1位のカンニングでイキるのは気持ちが良いぜ。
「はぁ……。メノウはんが信用する相手やから大丈夫やと思うけど、そこまで挑発されると何か悔しいわぁ。……コイキはん」
「はっ! 何でしょう、頭領様?」
学園長は蛇のように長い舌で俺の耳を舐めた。
「尋問の練習、してみよか?」
忍者は任務中に仮面を付ける事が多いらしい。
顔を隠し切るには小さいそれは、撮影や視認を妨害する作用がある特殊な道具である。ベネトナシュの持つ『遺物』ほどの効果はないが、下忍や中忍クラスの隠密活動には充分だとか。
そんな仕事用の仮面を上にずらし、瑞々しい唇だけを露出させたコイキは、俺の陰茎を吸い込むように舐めていた。
「あむ、じゅるる……」
「が、学園長ー……?」
「霊媒体質がないと忍者になれんから、忍びの里には男がおらんのよ。そういうわけで、本物の男体を使って『実践的な房中術』を指導できる機会は貴重なんやわぁ」
学園長は人差し指を自分の唇に当ててウインクし、その指でそっと俺の唇を触る。
「コイキの練習相手、よろしゅうな?」
俺は教材かよ。
「んっ……! んんっ……!」
コイキのフェラチオは激しい。忍者の肉体改造が成せる技なのか、苦しげな様子もなく喉の奥までちんぽを受け入れ、かぽかぽと首を前後させていた。
効率重視の事務的な処理という感じで、学園女子とはまた違ったエロさがある。彼女の口内粘膜にピトッと亀頭が触れた刺激で、精液が漏れた。
「ん、ふぁ……!?」
仮面が股間から遠ざかる。見下ろすと、学園長がコイキを押し退けていた。
「加減に気い付けんと駄目やって。口だけで抜いてもうたら、尋問にならんよ」
「……っ。ぁい、すみません」
俺の前に背中を向けて座り直した学園長が、後ろ手に陰茎の根元を握ってくる。すると不思議な事に、勃起を維持しながら射精衝動だけが少し収まった。
ただし、射精欲求は高まったままだ。射精したいが、何故か射精できない。要するに、これは。
「しっかり射精管理、してあげんとなぁ」
彼女は手錠に囚われた俺の腕の中に潜り込み、シートベルトのように腰で固定する。ヤバい。自分の手での自慰射精も封じられた。
「うちがお手本を見せたるわぁ。ぁん……っ! 他の女で射精した後のちんぽは格別やねぇ……! やらしい余熱で蕩かされそう……!」
学園長は俺の陰茎を膣に迎え入れ、背面騎乗位で腰を上下させる。桃色の巻き髪が勢いよく暴れ、雌の芳香が一気に濃くなった。
「メノウはん、ここだけの話やけど……」
彼女の腰に回った俺の腕輪っかが揺れる乳を押し上げ、フェロモンを放つ女体を仰け反らせる。
「忍びの里には特別な避妊技術があるさかい。そのずっしりした玉の中身、うちらの膣内にはどれだけ注いでも構へんよ……?」
俺の首に細い手が回され、学園長の横顔と嘲笑うような糸目が見えた。
「射精できたら、やけどねぇ……っ!」
重量感のある尻がドスドスと振り下ろされ、ヒダがねっとりと絡み付く名器に陰茎が翻弄される。射精欲が臨界点に達した。
「がっ……!」
何らかの作用で、精液が強制的に塞き止められる。オナ禁なんてレベルじゃない。拷問だ。
「ぎー……! しゃ、射精させてくれー!」
「ふふ……ねぇ、協力者って誰やのん?」
恋人にプレゼントを強請るような甘い声で、無慈悲にグリグリと横刺激を足してくる学園長。腰を逃がそうとしても執念深く追ってきた。
「わ、わあ……凄……!」
コイキは最前列で講義を受ける学生の表情で、興奮気味に頭領の手管を観察している。
「コイキー! ヘルプー! ちんぽ壊れるー!」
「ごめんなさい。私にとってはメノウさんの男性器よりも、上忍への昇格が大事なので……! 大人しく
コイツ……さては、謝罪すれば何でも許されると思ってるな?
「くー……っ! 射精……な、い……っ!」
手錠が外れたら覚えてろよ。『博愛の桃源郷』の停止能力で連続絶頂地獄に追い込んでやる。仮面の中がびちょびちょになるまでイカせまくってやるぜ。
結局、俺は何度かの『尋問』に耐え抜き、タフガイとして勝利を掴んだ。というか、どうやら学園長も本気で俺の秘密を探る気はなかったらしい。
「あれだけ激しいエッチしたら、落ち込んだ気持ちも吹っ飛んだやろ?」
「……荒療治過ぎるぜー」
ま、師匠の死を利用されて色々と思う事はあったけどな。今は味方にメラクもいるし、学園長もいる。自棄になるのはまだ早い。
「えへへ、悩み、吹っ飛んだでしょう?」
「アンタが吹っ飛べ。活術『蹴』」
ローリング・ソバット炸裂。コイキ、
「この子はもう……。直ぐ油断する軽率なところさえ改めれば、立派な上忍になれるんやけどねぇ。うちがフォローできんと心配やわぁ。忍者の仕事は命懸けやのに」
この人、会う度に似たような事言ってるな。才能溢れる問題児の世話をする運命にでもあるのだろうか。可哀想。(他人事)
「そう言えば、メノウはん。うちは入学の時に必ず学園生に投げ掛ける質問があるんやけど……あんさんは転入生やからまだ訊いとらんかったね」
学園長が目を開いて、赤い瞳を俺に向ける。
「人を殺しはった経験、ある?」
「……それなりになー」
誤魔化すつもりはない。この世界には治安の悪い地域の方が多いんだ。そんな場所で自衛の殺しを躊躇う奴は直ぐに死ぬからな。
「でも、本気で後悔したのは『最初の殺人』だけだぜ。一番大切な
「うちは疑ってへんよ」
俺は畳の上に頭を乗せる。久々にアイツの事を口に出したが、忘れた瞬間なんて一度もない。
アイツは……。
『なぁ、このゴミ溜めから抜け出せたらやりたい事ってあるか?』
アイツは夢を語るのが好きだった。
『俺は断然、女遊びだな! ほら、前に廃棄場で拾って一緒に読んだろ? 『メモリー・ディーラー』! アレだよ、アレ!』
泥だらけになろうと、稼いだ金を悪い大人から奪われようと、目だけはキラキラ輝いていた。
『アレみたいに、困ってる女子を最強パワーでバーンと助けて『きゃー、イケメン! 格好良いー!』って抱き付かれるわけよ』
俺とアイツはいつも一緒にいた。
『え、そういう話じゃない? 馬っ鹿、細かいストーリーはどうでも良いんだよ。どうせ俺、自分の名前以外の言葉読めないし!』
俺は知っている。アイツは女性恐怖症だった。母親に売り飛ばされ、その先で娼婦達の鬱憤の捌け口として虐待されていたから。
俺が助けなかったら死んでいただろう。まるで、最初から産まれてこなかったみたいに。……俺にとっては、何よりも許せない事だった。
そして、そんな経験をしてもアイツは希望を信じていた。
世界には素晴らしい女性がいる。自分が一番大事なクズ女共と違って、信念を貫く為に体も心も投げ捨てられる……輝く星のような魂を持つ女性も何処かにいるはずだと。
そんな女性を守る事ができたら、これまでの散々な人生を笑い飛ばせる。世界一のイケメンとして胸を張れる。彼の語る現実逃避のような馬鹿げた夢物語が、俺は愛おしかった。
『ヒロインを助けて名乗る時に、名前だけだと物足りないな……。俺も家名が欲しい。悪い精霊とか倒したら貰えないかな、格好良い家名。アンタは家名とか……ないよな、すまん』
素直で。馬鹿で。優しくて。世間の評価なんてどうでも良いくらいに。
こういう奴が幸せになるべきだと、思った。
なのに。
『……皆陰湿で最悪な場所だけど、ここに捨てられなきゃアンタと友達になれなかった。だから……俺が生きたかった分の人生まで、アンタが楽しんでくれよ』
なんで。
『じゃあな、親友』
俺が。
『忘れないでくれよ……。『メノウ』って名前の……夢見るガキが、いた……こ、と……』
──俺が、殺した。
『一帯に有毒ガスまで充満してやがる……! 何処のクズ野郎の仕業だ……!? ちっ、またガキの死体が……! 俺がもう少し早く来てれば……。男爵級『……』
『ひっぐ……。め゛のぅ……』
『……!? 生存者か……!』
ヘアワックスで前髪を固めた精悍な顔立ちの男性が、俺に駆け寄ってくる。
『お前、自分の名前は分かるか? 怪我は? 最後に水を飲んだのは? 痛いところ……いや、キツいなら無理に喋るな……! でも、欲しいモノがあれば遠慮なく言えよ!』
それが、師匠との出会いだった。
『……メ、ノウ』
『……! メノウって言うのか。はは、良い名前だ。俺はジャスパー。ジャスパー・ルースケース。ちょっとばかし有名人なんだぜ』
『ルース、ケース……』
彼は走りながら腕の中の俺に声をかける。精霊術なんて知らなかったが、何かが俺を守っているのが分かった。
『お前、死ぬなよ、マジで。絶対、将来はイケメンになるからな! 俺の若い頃にそっくりだ! 学校なんて行ったらモテモテだぜ!』
『イケ……メン……?』
俺は閃いた。多分、コイツは良い奴だ。そして、アイツの夢を叶える方法も知ってる。
『ジャスパー……欲しいモノ、ある』
『何だ!? パンか、スープか!?』
『違う』
生きるよ、俺。
『……家名を、くれ』
──
第3回ヒロイン人気投票(殿堂入り除外)
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①赤:ドゥーベ・ルビー
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③白:フェクダ・ダイヤモンド
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④黒:メグレズ・オニキス
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⑤紫:アリオト・アメシスト
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⑥黄:ミザール・シトリン
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⑦緑:ベネトナシュ・エメラルド
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◎灰:スピカ・ゴッシェナイト