「精霊と日本一うゎぁーな男の自由すぎる冒険日誌」 作:めがねモエ
前篇「ウェンディーはピロートークがお好き」の巻、その9
ことわざ「敵に塩を送る」とは、戦国時代、領内甲斐の国の塩不足に悩む武田信玄に、敵将である越後の虎こと上杉謙信が、わざわざ塩を送ったという故事に由来する。つまり、敵の弱みにつけこまず、争いごとと関係の無いところでは逆に敵を援助したのである。これは、武士道精神たる好敵手に対する道義とか、正々堂々とか、そんな意味が込められているのだろう。
そんで俺はだ、リス公どもに「アナ&ルー」というめちゃプリティーなコンビ名を送ったのだった。これも、同じ女神、聖なる泉の精霊であるウェンディちゃんを愛した好敵手として、俺が奴等を認めたからに他ならない。あの粘着質の恐るべきストーキング力! ただの小動物ではない。
だが俺の場合、上杉謙信と違ってそこにはまた余裕が、勝者の星の下に生まれた漢の大局観とでも言おうか、そんな理屈抜きのナニかがあったのかもしれない。そして俺は、勝つためには手段を選ばない漢である。相手がリスだろうがミジンコだろうが、容赦はしねぇっ!
ズバリ言うとだ、俺はこの膠着状態の突破口をすでに見出していたのだった。
要は簡単、俺(≒本体)が動けばいいのだ。
俺はむんずと立ち上がり、さっとウェンディちゃんの元に駆け寄るやいなや、サッと彼女を後ろから抱きかかえ、お姫様抱っこをしたのだった。
「あんっ! ま、マスター、驚かさないで」
と、可愛く声をあげるウェンディちゃん。手にはチンザノ・ロッソが握られていた。流石ウェンディちゃん、俺の好みをよくわかっている。俺はベルモットならドライもスイートも何でも好きだが、食後にはデザート替わりにこのロッソが良いだろう。こいつをロック又はストレートでやるのが最高なのだ。
俺はお姫様抱っこをしたまま、すかさず彼女の唇をはむっと奪う。そうして、暴れる鰻の奴が「待ってましたぜぇ、旦那ぁっ!」と言わんばかりに、ウェンディちゃんの口内に潜り込み、その柔らかな彼女の舌や、伝統工芸品のように美しい歯、それに歯茎や歯と歯の隙間にいたるまで丹念に貪ったのだった。
「はぅっ──、ま、マスター、激しいぃ──」
戸惑いつつも、美しい吐息を漏らすウェンディちゃん。おぅふっ! めちゃ美味しのディープキッスだぁ。
などと、戯れているばかりの俺ではない!
そんなラブラブちゅっちゅな俺とウェンディちゃんに向かって、アナ(リス公A)がエロ恐ろしい垂直ジャンプでもって襲いかかってきたのだが、勿論そんな単調な連続ジャンプ攻撃など、恐るるに足らず。
ハァッアッ! バチッこーんっ! と、俺はアナをあっさりと打ち飛ばしたのだった。それは、ルー(リス公B)が足を止めて見送ってしまう程の、見事なホームランだった。
さて、一体おれがどうやってアナを撃退したかって? それは簡単! かのミスタープロ野球、ミスタージャイアンツこと長嶋茂雄氏のバッティング理論である。
ミスターは、かつて我らがミスタータイガースこと掛布雅之氏がスランプに陥った際に、掛布氏にバッティングのアドバイスをしたのだが──まずフルチンでスイングして、おちんちんが太ももに当たり、「ぴしゃりっ」といい音がしたら、それがいいスイングだっ! ──と指導したという。流石はミスター。誰にも真似できない、天才的指導だっ!
このエピソードは数多のミスター伝説の一つであるが、俺はこれを初めて聞いた時から、常に毎日風呂上りには欠かさず、この「フルチンぴしゃりっ打法」の練習をするようにしていたのだった。まぁ、学生時代は野球部でもなく、ってか、野球には縁の遠い文化部系の俺ではあったが──。
だがしかしっ! その練習の成果がこんなところで活かされるとは! 「ぴしゃりっ」とよい音が鳴るように、俺は17センチのジョニーをこれでもかとフルスイングしたのだった! てか、フルチンスイング?
もちろんウェンディちゃんをお姫様抱っこしたままで。
それはまるで、トスバッティングのように簡単だった。
「キキキキキキィィィィッ!」
っと、部屋の隅まで飛んでいったアナ。
こんな爽快な一打は、いつのバッティングセンター振りか。
ポカーンとしていたルーの奴が、慌ててその方向へ駆けていく。
ははっ、造作無いぜぇ小動物どもめっ!
俺はここぞとばかりにドヤ顔をして見せて、改めて勝者としてウェンディちゃんにキスをする。
さて、邪魔者どももとりあえずは退けたし、ラブラブディナーのもう一つのメインディッシュを美味しく頂くとしますかねぇ。そう、つまりっ! 今夜という今夜はウェンディちゃんをもうマジで余すところなく堪能しちゃうんだっ!
やっちゃるぜぇっ!!
「ねぇねぇ、ウェンディちゃん、俺もう我慢できひんわぇ、このままベッドにいこっ! ウェンディちゃんがデザートやっ! てか、メインディッシュだよんっ! ってねぇっ!」
っと、エロキモモード全開の俺。我ながらお茶目さんだぜぇ。
そして俺は、彼女をお姫様だっこしたまま、そのクールビューティなお顔を、エロ激しくベロベロチュッチュと、まるでご主人様にじゃれつく馬鹿犬のように舐めまくった。
「はぅっ、マスターったら、ほんとうに堪え性がないんだから。でもいいわ、もう私のすべてを、マスターの好きにしていいよの」
ふわぁぁぁ、なんてエロいセリフやろかぁ、「私のすべてを、好きにしていいのよ」ってぇ、なんていい響きなんやろかぁ。このセリフを女の子から言われるのって、ほんまにめちゃ最高やわぁ──。
「異議なしっ!」
「同じく、異議なしっ!」
と言っているのか、17センチのジョニーと17ミリのジミーがビクンビクンと激しく跳ねる。
そして俺はそのまま、テーブル上にあるミネラルウォーターを2、3本脇に抱えて、ウェンディをお姫様だっこしたまま素早く寝室に飛び込み、バタンッ! とドアを閉めた。
寝室に逃げ込んでドアを閉めてしまえば、リス公どもも入ってはこれまいて。ここからは誰にも邪魔されず、俺とウェンディちゃん二人きりのラブラブチョメチョメタイムだぁぁっ!
寝室には、乙女らしいエレガントな天蓋のついたキングサイズの巨大なベッドが、我ここに在りといった雰囲気で鎮座していた。精巧な百合の花の彫刻が全体にあしらわれており、いささかビッグサイズではあるが、実にウェンディにピッタリの優雅さと清廉さとを感じさせるベッドだった。これが二人の愛を貪り高め合う、まさに愛のリングなのだ!
よく見ると、その脇のサイドボードの上に、洒落たクリスタルの水差しとグラスが用意されていた。
ウェンデイちゃんってば、よくわかってるねぇ。
そう、激しいチョメチョメは喉が渇くのだ。一戦一戦の合間にお水をグイグイ飲むのも、これまた気持ちいいんだなぁこれ、それに俺はお酒を飲みながらのチョメチョメが大好きだ。今夜は俺の大好きな酒の一つ、チンザノ・ロッソをやりながらのハメハメと洒落込む。
俺は、優しくかつ厳かにウェンディちゃんをベッドに横たえた。ほどよい淡色の間接照明に照らされ浮かび上がる彼女は、まるで妖艶というオブラートに包まれた清廉な乙女のようであった。
そのほほ笑みたるや──、ここは天竺、はたまたガンダーラかっ!
俺の熟練炭坑夫張りの強腰も、17センチのジョニーも、暴れる鰻もみんな、稲妻に打たれたようにビッキーンっと跳ね上がった。
って、あれ? 17ミリのジミーってか、エロバインは──、
あっ ──奴は、ダイニングに置いてけぼりだった。
げっ! 奴は(ってか≒俺?)ってば、対アナ&ルーとの戦闘続行なのかっ!?
やべぇ──。
だが、ジョニーも暴れる鰻も我関せずと跳ねまくっていやがった──。