「精霊と日本一うゎぁーな男の自由すぎる冒険日誌」 作:めがねモエ
前篇「マスター開眼、漢革命」の巻、その3
その永遠ともおぼしき刹那、俺とティルは真にお互いの愛を感じ合っていた。
そう、今まさに身も心も一つに溶け合った気分だ。心の奥のさらに奥底までも通じ合っている感覚。どっぷりと菊門で繋がっている二人の肉体だが、それでさえもまどろっこしい、激しく身体を擦りあわせるだけでは、もはや物足りなくなっていた。その肉体をも突き破り、精神、魂をも混じり合わせ、ドロドロにまぐわいたい。そんな感情にとらわれたほどだ。もう、もう俺は、ティル無しでは生きていけない──。
そんな感情が俺の脳裏に浮かんだが早いか、──極上の幸福感もほんのつかの間──、俺は唐突に正気に戻らされた。まるで交尾の最中に水をかけられた野良犬のように、「キャフン」とジョニーが鳴いたようにも感じた。
「ま、マスタぁー。うぅぅ、ちょ、ちょっとぉ、あたしぃ、このままじゃぁ、も、もう限界かもぉ。もう、その、ず、ずっとこのままじゃ、こ、このままじゃ、窒息しちゃうよぉぉお!」
それは当然の帰結であった。
「あ! やべぇ」ですよねぇ。
俺としたことが──、そこ菊門だし。「ティル、マスターの直腸内で窒息死。変態性交の行き過ぎた過ち」なんて見出しで、週刊精霊実話のゴシップ記事になりかねないところだった。ダンプリ精霊界始まっての珍事件として、歴史に名を残しちまう。
そんな事になりゃ、うちのチームの精霊達全員に吊し上げられるなきっと。去勢措置は免れない。俺にとってそれは死を意味する。いや、死よりもきっついわぁ。
そんでもって、当の俺にとっての新境地、新たな性癖、その夢心地の快楽も、オルガズムまでには到達できなかったのだった。
俺はおもむろにティルを菊門から抜き出した。ちゅぽんっと。
「ぷはぁー。ふぇぇぇん。はぁ、もうっ!、マスターたらぁ! このままあたし、死んじゃうかもと思っよぉ! もうっ!!」
「すまん、ティルちゃん。あんまりにも気持ちよくって、つい、ごめん。な?」
「もう! ほんとに、酷いよマスター! だって、いきなりだもん。そもそも、こんなか弱い女の子を自分のお尻の穴に入れるなんてぇっ! 普通じゃないよぉ! 酷すぎるよぉ! あたしになんてことするのぉ! ていうか、マスターはもう、変態すぎるっ! お尻の穴だよっ! アナっ! そんなところに普通、女の子を入れる? よくよく考えれば、ほんと信じられないぃっ! ちょード変態だよぉ! マスターはっ!」
えぇぇぇ!? おいおいおい、えらい剣幕、えらい怒りっぷりやなぁ。さっきまでのノリノリエロエロムードはどこ行っちまったんだ、ティルちゃんてば。ちょっと、待ってぇなぁ、菊門の中と外でなんやこの空気の違いは? さっきまでめちゃ楽しそうにエロエロしとったのにぃ、なんでじゃぁ!
「あれぇぇぇ?!」
「なにが、あれぇ? よ、マスター!! もうもうっ!!」
ティルはてっきり──、変態淑女リミッター解除状態だと思ってたけど、俺ってば。はて?
「ま、まぁ、その、確かに菊門に女の子は入れないわな。普通──。(ていうか、入らんわな。普通)」
「もう! マスターったら! そんな飄々とぉ!」
「ティル。なんでぇ、その、あれぇ、さっきまで俺を感じるって、喜んどったやないかぁ? なんだか俺、その、あれぇ? 酷い言われようやなぁ、えぇ──」
「何言ってるのよぉ! お尻の穴だよっ! 言われて当然だよぉっ!」
「だ、だけど、ティルよ、俺を感じるぅーとか、愛を感じるーとか、私をアクメに連れてってぇーとか、ド変態ノリノリモードで言ってなかったっけっかなぁ?」
と言われ、少し困ったような顔をするティルちゃん。
「そ、それはぁ! その、ちょっと、その場のノリっていうの? ちょっとあたしも、ほんの少しはマスターの変態に流されたっていうかさぁー っていうか! マスターに合わせてあげただけだよぉっ! そ、その、あまりにも、──気持ちよさそうに、マスターしてるからぁ──」
少しもごもごと口籠るティルだが、しかし──。
「でも、とにかく、いきなりお尻の穴なんてっ! いくらマスターだって、酷すぎるのぉっ!」
だめだ、ティ、ティルちゃんが、あのちっちゃな母性本能の権化であった、慈愛の深きティルが、完全にキレとる──。ヤベェ、こりゃ、チョメチョメにおいてはまずい空気だわぁー。
だが、──ならばっ。
「いや、だからごめん! 御免なさいっ! ティル様! マイラブリーティル様っ!」
俺はその場で素早く、まるで床に吸い付くかのような漢の全裸土下座をした。秋風よりも早く、華麗に。
つまり、とにかく平謝りで切り抜ける戦法をとったのだ。
「この通りでございまするっ! あっしは、あっしは、つい、出来心で、その、確かにこれは変態の所業。だけどそれには、ふ、深い訳が、つまり、身も心も一つになりたいという、ティル様のたっての願いを、どーしても、どーしても、叶えなければならないと、馬鹿なあっしは、焦ってしまって──その、何卒──」
咄嗟に、俺は訳のわからない、時代劇風小作人の言訳芝居な態で語っていた。
「あぁ! またぁ! あたしのためだって言いたいのぉ?! マスター!」
「そ、そうでございまする。あっしは、ティル様を愛しておりまするっ! 心から愛しているからこそ、ティル様の願いをかなえたく思い、己のプライドを捨てて、自ら、己の菊門を辱めるという愚行を行いましたでございまする。ティル様ご自身、その身体全てでもって。この穢れなき菊門、その初めてを、ティル様に、その愛のために捧げようと考えた次第にございまするっ! 不肖このあっしの菊門を、ティル様にもらって頂きたく思い、考え抜いた末の出来心。その、何卒ご容赦をっ!」
俺のこの猿芝居に、ティルは吹きだしながら少し笑った。いいぞっ! このまま誤魔化せる。なんてねぇー。少々おふざけが過ぎるが、でもティルの愛に応えたい、その気持ちは心の底から真実なんだぜぃ。いやマジで。
「まったくもぉう。そうやって笑いをとって誤魔化すんだからぁ! いつもいつもいい加減なこといって、煙に巻くでしょ。 もう! マスタぁーったら」
いける。「マスター」が「マスタぁー」って語尾にちっちゃな「ぁ」がつけば、いける合図だ。俺はこれでもかと母性をくすぐる無邪気な笑顔で莞爾と笑った。
それを見てティルも、しぶしぶまたいつもの、あの優しい、あのラブリーな笑顔に戻ってきた。
自画自賛をするのは俺の流儀に反するが、だがしかし、流石俺。ま、はっきり言って人生のほとんどを、この猿芝居で切り抜けてきたといっても過言ではない俺だからこそ。そう、俺の今までの生きてきた証。この猿芝居こそ、俺の懐刀。相棒17センチのジョニーに次ぐ二番目の武器といっても過言ではない。
ただ、元の世界じゃ色んな意味で投了寸前、いや、むしろほぼ詰んでいた俺を、こっちのダンプリ精霊世界に召喚してくれたティルには、感謝してもしきれないぐらいなのだ。
とは言え、ティルちゃんの、その姿と言えば──、自慢の長いツインテイルはもはやぐちゃぐちゃ。彼女の全身にまるでとろろ昆布のようにベトリと纏わりつき、それでも勇ましく仁王立ちで、全身はドロドロのベトベト。どことなく、捨てられたおもちゃの人形のようにも見えるのだが、──それでも、いやむしろ、俺にとってはこの上なく魅力的かつ妖艶であった。
ティルちゃんてば、グチャグチャのボロボロのドロドロでも、逆にそれもまた美しい。
「でも、あれやろ? 俺は分かってんやでぇ、ティルちゃんかって興奮したやろぉ? ビクビク感じたやろぉ? エロで一つになる感覚を、な? なあて?」
「もう、そんな事言ってぇ」
「いいや、変態行為をして感じたのは確かなはずやでぇっ、俺には分かるっ! 自分の股間を見てみいっ、ティルちゃん!」
「ふえっ?」
腰に手を当てて仁王立ちティルちゃんが、ふと下を向き自分のチョメチョメをのぞき込む。
「ふぇぇ! きゃぁっ! やだぁぁ! な、なにこれぇ! はひぃっ」
恥ずかしがって股間を手で覆うティルちゃん。これまた可愛い仕草するじゃねぇか。
ティルの股間からは、明らかにエッチな蜜がつつつーと垂れ、糸を引くというよりは、もう水あめを流しているようであった。
「ほらっ、いままで経験したことのない濡れ方やろ、ティルちゅあん。スケベっ娘やなぁ。変態行為をして興奮する。これ正に変態やでぇ。ティルも立派な変態淑女ってことなんやでぇ、せやでぇ」
「むむむ、もう、マスタぁーッたら! でもそんなマスタぁーだって、ド変態おちんちんなんだからぁ!」
とティルちゃんが俺の股間をビシッと指さす。
「ナニ?」
おのがジョニーを見てみると──。
「うぉぉぉ! な、なんじゃぁ! こらぁああ!」
ジョニーは、さほど手も触れてもシゴいてもいないはずなのに、まるでガンギマリで意識の飛んだ狂人のように、だらしなく開いたその尿道から、大量の漢の我慢汁をドロドロとたれ垂れ流していたのだった。こんなありさまの相棒は見たこともない。もはや嘔吐しているようであった。あるいは、新たなエクスタシーの発見に、感動のあまり咽び泣いているのであろうか。
「こ、これだっ! これだ! ティルちゃん! そうや、これこそが真に愛し合うってことなんやてぇっ!」
俺は思わず、ティルを両手でしっかり持って、そのベトベトの小さき顔に頬ずりした。
「うにゃぁう、ううう、はひぃっ、たっ、確かにマスタぁーと愛し合えるのは、嬉しいけど。──でも、そのやり方が──」
「何を言う。菊門は立派な性器なんだぞっ! ティル。 それに俺はいっつもウォシュレットで丹念に洗い流してるから、大丈夫や! ここは漢にとって、いわば乙女のチョメチョメ、別名ケツチョメチョメとも言うんや。前立腺という素晴らしきGスポット、聞いたことあるやろて?」
俺はティルを顔に近づけ、その少々困惑した顔を優しくペロリと舐めてやった。
「うにゃう。マスタぁー、あたし汚いよぉ」
「汚くない! ティルに汚いところなんて、これっぽちもないでぇ。ティルちゃんは決して汚れないしやな、俺にとって最愛のエロ女神なんやからっ!」
いやしかしこりゃ己の菊門を──、いかんいかん、細かいことは考えるな俺! ここはティルを安心させることが先決なんだ。これは汚いことではない。美しい愛の形なんやとっ! マジで考えろおれっ、迷うなっ!!
「はぅぅ、ま、マスタぁー……」
ティルのその目からは不審の色が消え、また潤んだ情熱が帯び始めた。
「そうそう、ケツチョメチョメは男だけじゃなく女の子もちゃんと感じるんだっ! きっちりティルにもその快楽を教えてやる」
「えぇぇっ! わたしはいいよぉ、お尻なんてぇ、恥ずかしいぃぉ」
まあるい目を大きく見開いて、慌てるティルちゃん。可愛い奴。だからこそ、そのうち絶対やるぞ俺は。絶対にっ!!
そう俺は心の奥底のリビドーの泉で誓い、そして股間の相棒17センチのジョニーはその期待から、また「その誓いに異議なしっ!!」と答えるかのように、ビクンビクンと大きく跳ねるのだった。