「精霊と日本一うゎぁーな男の自由すぎる冒険日誌」 作:めがねモエ
「ぶらりフルチン途中下車の旅」の巻、その5
ビール。その起源は途方もなく古く、紀元前8000年頃やら4000年頃やら、人類最初で最古の文明メソポタミアまでさかのぼるといわれる。つまりは文明の出発点ともいえる農耕の起源と同様、或は人類が文明と言えるものを形成するその初期段階から存在したとされるのだ。「目には目を、歯には歯を」で知られる古代バビロニアの人類最古の成文法”ハムラビ法典”にも、そのビールについての法律が定められているらしい。ってか、この古代の飲料等に関する豆知識的くだりは炭酸飲料で十分やろ、俺ってば。
でだ、そんなにめちゃ古くからあるからして、だからこそ、今日のビールはその長い歴史の中で改良に改良を重ね、より美味くより美しくより豊富な種類を生み出し発展してきたのだ。
ビールといえば、ドイツ? それともイギリス? はたまた食文化における日本人好みの最たるもの”和”という言葉に全ては集約されるそれ、究極の調和、のどごしと旨みと苦みのバランスが見事に和風な国産ビール?
実はこの俺、ドイツビールや国産ビールのような、世界で最もの飲まれるあの淡黄色に輝くピルスナー系ビールよりも、もっと個性際立つイギリスおよびアイリッシュ系の、ペールエールやスタウトの方が好きなのだ。どちらかというと。
あの風味も香りも苦みも、そして琥珀色やら赤褐色やら或は黒光りする黒色の、マジ濃厚な、コクがあったりフルーティであったり、苦みも甘みも混在する旨みたっぷりの濃いぃー味わいの上面発酵ビールが大好きなのだ。
ま、元来俺はなんでも濃いめが好きだ。珈琲はエスプレッソ或はイタリアンロースト、紅茶はアッサム、すき焼きはもちろん関西風、カツは味噌カツ、鍋は土手鍋風ぼたん鍋、ラーメンは博多豚骨と決めている。
てか、そもそもチョメチョメも濃厚な前戯が大好きなわけで、乙女の髪からうなじ、胸や腋窩、そして股間のチョメチョメから、蒸れたタイツやらソックスやら、おパンツ様に至るまで、濃厚なフェロモン汗とエロ蜜で熟成された香りと味わいが大好きなだけにね。
でもっ! 今回に限っては、のどごし良くグイグイと飲めるライトなピルスナー系”精霊オリオンビール”やっぱこれやでっ! やっぱ南国、碧い海白い砂浜にてギラギラと輝く太陽の下で飲むなら、この軽快なビールが最高やろうっ!
「ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ、ゴクゥッ! プハァーッ!!! くかぁぁぁーっ!!! サイコーッ!!! あぁっ! もう一杯ぃっ!!!」
俺は、それこそ居酒屋に入って最初の一杯目の、仕事の疲れもストレスもなにもかもを吹き飛ばさんばかりのアラフォーサラリーマンの魂の叫びの如き歓喜の咆哮を上げた。
「これだよこれだよっ!! あぁロボ子よぉっ!! まじサイコぉーっ!! このなんたる美味さか。エメラルドグリーンの海を前にギラギラ太陽の下、心地良い潮風に身も心も洗われながら、浜辺でやる精霊オリオンっ! くうぅぅぅーっ! マジ最高やなぁっ! なぁてぇっ、ロボ子っ!」
こんな花金ビアガーデンテンションの俺とは裏腹に、それこそ上司の誘いを断り切れず渋々居酒屋に連れてこられた新人OLのような微妙な表情を見せる傀儡の精霊こと、銀髪の美少女キレス。てか服装は緑セーラー服やけど──。
「うぅぅ──」
「おま、そんな昭和の往年の鬱々アイドル、裕木奈江ちゃんみたいな物憂げ美少女面してんなや。てかロボ子、お前も一緒に飲まへんか? なぁ? なぁてぇ? あれ、やっぱ、飲むのは抵抗あるか?」
「わ、わたし、お酒はちょっと──、くっ、くっそぉー、ド変態ぃ、ド変態キモ豚マスタぁー、うぅぅ──」
またまた消え入るような、蚊の鳴くような声でブツブツと言っているロボ子。
「まぁまぁまぁ、とりあえずおかわり頂戴やっ!」
と俺は、プラカップをウンチングスタイルのロボ子の股間にかざす。
「てか、ほんま、ビールサーバーみたいにキメの細かい泡も出せるのが凄いよなぁ。先に泡立てずにビールを注いでから、蓋をするように泡を注ぐ。これサーバーの基本やな。なぁて、ロボ子よ。鬱々顔せんといてぇな。なぁてぇっ。ん? あっ! おまっ、このお前のチョメチョメお豆さんをピッと押せば出るのかなぁ?」
「ひやぁうっ!!」
「はははっ! これはチョメチョメサーバーのリセットボタンか? ん?」
「ももももうっ! そんなわけないですぅっ! 糞ド変態キモ豚マスタぁーっ! うぅぅ、クソキモッ、クソキモッ、クソキモ豚、クソキモ豚、クソキモ豚──」
ちょっとだけ声を荒らげ、そして尻窄まりにモゴモゴとブツブツとディスい言葉を吐きながらも、ちょろちょろちょろと泡を立てないようにゆっくりとビールをチョメチョメから迸らせ始めたロボ子。なんだかんだ、俺のために──、クソ真面目でええ娘やなぁ。てか、クソキモ豚てぇ、些か口が悪い銀髪の美少女やな。ま、こういうところが”鬱々の美少女”っぽいんだよな。
「しかし、ロボ子、これって無限大に出せるもんなんか? てかそんなわけないか?」
「そんなわけないです! その、飲料確保の緊急時の対応として、普通の成人男性1人に必要な量なら2、3日分は大丈夫です。ですけど、その、キモ豚マスターの様に、うわばみのように飲まれたら、絶対に足りなくなりますぅ! わたしだって水分補給が必要になりますぅっ!」
「やっぱそうか、じゃぁ、ほら、お前は俺の特製ヤシの実ジュース飲めや。乾杯しようぜや。てか、おま、飲んだもんをこうやって別の飲料に変換してまた出して、って、それってお前の身体、栄養とかどうやって摂ってんねん? 傀儡とはいえ、基本的には生身なんやろ? お前って──」
「それはその、うぅ、その、えっと、わたしは──、ほんとは、なにも食べなくても基本的には大丈夫なのですぅ。うぅぅ。」
「はっ? なにも食べんで大丈夫てぇっ!? え? どうゆぅ、じゃぁ、おまっ、てか、屋敷で皆で朝昼晩とメシ食うとるのは──」
「うぅ、あれは、その、その場の空気を読むと表現するのでしょうか、その、マスタぁーとか、他のみなさんに合わせているのですぅ──、うぅぅ」
「なっ! じゃ、おまっ、栄養とかエネルギー補給とかいらんのけぇっ?! え、マジでっ!? 無限の永久機関なんっ!!」
「そ、そうじゃないですけど、その、わたし、太陽光と空気と水があれば、身体の維持だけを考えれば十分なのです。その──」
「太陽光って、お前は太陽電池で動いとんのかっ?! てか、おまっ、キャシャーンかっ!」
「あの、マスタぁー、ソーラーシステムではなくて、その──、ほんとはあまり言いたくはないのですが──、その、一般的には植物における光合成に似たシステムと言えるもの、なのです──、うぅぅ」
「光合成やてぇっ!! クロレラかっ、お前はっ! てゆーかな、これまでのお前のスゴ技の数々、もう俺はちょっとやそっとじゃ驚かんし。人工光合成も超古代文明のオーバーテクノロジーからすりゃ造作無いことや。なるほど、食べ物いらずで、光合成で生きとるとは、いやはや、ロボ子ってば、どこまでも型破りなやつや」
「うぅぅ、マスタぁー、それ、わたしのこと褒めてるんですか。それとも、ヘンな奴と思って、その、気持ち悪いとか、馬鹿にしてませんか? ヘンな人形精霊だと、うぅぅ──」
「いやいやいや、ロボ子ちゃんっ! そんなこと思ってないよ。なにゆーとんねん。万能の美少女精霊って意味やろ。ったく、これだから鬱々の美少女は、いちいちネガティブに捉える癖、いかんでぇ」
とはいえ、確かに、自分にある人と違う所を誰かに話すのは、誰でもちょっと抵抗あるかもな。乙女ならばなおさらのこと──。
それから俺は、無人島置いてけぼりから南国リゾートバカンスに至ったこの今を、駆けつけ三杯のごとくにグイグイと勢いよく、精霊オリオンビールをやったのだった。ロボ子が俺への慈悲深い愛と、俺への露出変態痴態晒しエロと、乙女の恥じらいの心を丹念に込めて迸らせた”純情乙女おぴっこ”ならぬ精霊オリオンビールを。
だが、銀髪の美少女たるこのロボ子と、エロエロイチャイチャとそれこそ和気藹々と彼女の文字通りの特製精霊オリオンビールをグイグイとやるにつれ──、そう、これは至極当然の帰結といえるだろうか、その俺の脳裏に、ある一つの思いが浮かんだ。まるでなにかに誘われるかのように、そう、NHKドキュメンタリー番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」における橋本さとし氏のナレーションの調べに乗って──。ターン──。
──おつまみが欲しいっ!! ── っと──。
「あぁぁぁーっ! やっぱこうやってルービー飲んでっと、やっぱ欲しいなぁーっ!! おつまみがっ!! おつまみが欲しいっちゅーねんっ!! 酒の肴がよっ! のうっ! ロボ子、せやろ? せやろぉっ? なぁってぇ」
「うぅぅ──」
「やっぱあれやなぁ、ビールにはカラッと揚がった唐揚げやでぇっ!! 唐揚げ食いたいわぁーっ! エビフライとかでもええけど、あとアイリッシュパブ風のフィッシュ&チップスでもええんやでぇ。ポテトフライも食いたいなぁ。あ、ポテチでもええんやでぇ。あぅあぁ、揚げ物系パクつきたいわぁ。めっちゃパクつきたいわぁーっ!! そう思わんかぁっ? ロボ子ちゃんよぉ。てか、ルービー飲んでなかったなロボ子ちゃん」
「──うぅぅ、ちっ(メタボマスタぁー)」
「ルービーと言えばやな、せやなぁ、枝豆とかそら豆とか銀杏とか、豆系、野菜系とかナッツ類を言う人もおるけど、でも野菜系よりやっぱ肉やな。俺は断然唐揚げやで。砂肝の素揚げとかでもええかな。あっ! ソーセージとか焼き鳥もええなぁ。そうそう肉食よっ! でもやっぱ肉の旨みの濃い地鶏の唐揚げやなぁっ! あの外側のカラッとした衣に、皮と肉のジューシーさがええ感じに包まれて、ガブッと嚙んだ時の、ジュワァっとあの口の中に広がる旨みがたまらんのやぁ。ちゃうかぁ? ロボ子ぉ。あぁ、唐揚げ食いたいなぁ、この浜辺での精霊オリオンビールのお供には、マジで最高やろうっ? せやろっ?、ロボ子、なぁてぇ! なぁ?」
なんて、アホな駄々っ子的かつ無茶振り的な欲求を泥酔客っぽい感じでロボ子に訴えながら精霊オリオンをグイグイと飲んでいると──、
スッと突然に、ロボ子が立ち上がった。
得意の物憂げな、そして少し深刻に思いつめたような、いわゆる裕木奈江ちゃん張りの鬱々美少女面をしながら──。
「ん? ロボ子?」
「うぅ、ま、マスタぁー、わたし、ちょ、ちょっと、行ってきます」
「えっ! ってか、どこ行くねん?!」
「あの、ちょっと、その、おつまみになるもの、獲ってきます。その、マスターが、ビールのお供が食べたいんなら。わたし──」
「えええっ! てかロボ子、こんな無人島に──」
「あの、奥の森に行けば、その、なにかあるように感じるんです。その、わたしには──」
と言って、ロボ子の奴は急にすたすたと俺を浜辺に置いて歩き出した。
「ええええっ!! マジっ? ロボ子ちゃん!」
「ま、マスタぁーはそこでビールを飲んで待っててください。すぐに戻りますですぅ!」
と叫ぶが早いか、急にダッシュで走り出したロボ子。てかっ! おまっ、おおおおっ!! まじかよっ?!
「おーっ! おいおいおいっ! おまっ、ロボ子ちゃん?! ちょっ──」
俺の呼びかけには耳を貸さず、というか、振り切るかのようなスピードで森の奥に消えていったロボ子。
ったく、どうゆうことや、ロボ子ちゃんてば。まさか野鳥とか捕まえて──。恐るべし。恐るべし過ぎるっ! なんちゅー銀髪の美少女かっ! 血みどろになって締めた野鳥でも携えて帰ってきたらどないしょ──。
いやはや、俺はマジでロボ子のその突拍子のなさ、いかにも鬱々の美少女っぽい不思議ちゃんの読めない行動形態に度肝をぬかれたというか、鳩豆鉄砲というか──、改めてロボ子って、そういう娘なんだなぁと思い至るのであった。そしてそれと同時に、常にこの俺が傍にいてやらなければならんっ! と、いわば決意のような思いが、心の奥底のリビドーの泉に浮かび上がるのであった。
それからしばらく、心地よい潮風にうたれながら俺はビールを独り飲んでいた。
このぶらり旅で、思いかけず、ふと一人っきりになって──、そういえば、一人きりになったのも、何時ぶりか──、とあるフレーズが(再びNHKドキュメンタリー番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」における橋本さとし氏のナレーションの調べに乗って)脳裏に浮かんだ──。ターン──。
──思えば遠くへ来たもんだ──、
踏切りのぉ♪ 側でぇエロ本をぉ♪ 見つけてぇ股間をゆらしてぇ♪
貨物列車がぁ♪ 走りぃ過ぎぃるぅ♪ そしてぇ夕陽にイキ果てるぅ♪
十四の頃のぉ僕はぁいつもぉ♪ 冷たいぃレールにぃマラをあてぇ♪
レールの響きぃ♪ 感じながらぁ♪ 遥かなるアクメを夢見てたぁ♪
思えばぁ遠くへぇ来たぁもんだぁ♪ 故郷ぉ離れてぇもう何年?
思えばぁ遠くへぇ来たぁもんだぁ♪ この先ぃどこぞでぇイクのやらぁ♪
いやはや、柄にもなく郷愁に駆られてしまった俺は、ついつい俺が心の奥底のリビドーの泉の底からリスペクトしてやまない、日本の名優にしてエンターティナーである武田鉄矢氏の名曲、「思えば遠くへ来たもんだ」(曲は海援隊名義でも発売されている。また、映画「思えば遠くへ来たもんだ」の主題歌でもある)その俺流、思春期のエロ好奇心バージョンを歌ってしまった──。
あぁ、この曲はほんとに心に響く。あとこの曲が主題歌である昭和の名画「思えば遠くへ来たもんだ」もほんまに心に琴線に触れまくる、心に響きまくる作品だったのだ──。ってぇ、ちょいと横道にそれてしまったが──、
とにかく俺は、そんな望郷の念やら南国エロヴァカンス気分やら、ある意味色々なぶらり旅気分を味わいつつ、ロボ子の帰りを待ったのだった。
そっと目を閉じて、穏やかな波の音に耳を傾け、ここは南国、いや天国か、なんて戯れ事を思いつつも五感のすべてを大自然の中に投げ出し、究極の自然浴に身をまかせ──、ふとうたた寝しそうになったその刹那、
「うぅぅ、ま、マスタぁー、キモ豚マスタぁー、そのぉ、おまたせですぅ」
その頼りなげにも、相手を喜ばせようと思う一生懸命さと、優しみ、親しみ、そして愛情の照れ隠し的なお茶目さとツンデレぽい皮肉さのこもった声が──俺の大好きな銀髪の美少女、ほっとけない鬱々の美少女たるロボ子の声が──響いた。
「おぅうっ!」
俺はその場で跳ねるように、飛び起きるがごとく目を見開いて顔を上げた。
「ロボ子っ」
てか、思ったよりも早いぃっ! てか、めちゃめちゃ早くないっ?
と思うが早いか、俺の目の前に熱帯植物のなにかの葉っぱにこんもりと盛られた──、
「こ、これはっ!!!」
なんとも食欲をそそる、ほんのりガーリックの効いた醤油ベースのタレと、ジューシーな肉の旨みとが絡み合った香ばしいその香りっ!! カラッとした食感までもが伝わってくる油の香りっ!!
そう、まさに俺の大好きな唐揚げがそこにあったのだったっ!!!
「おおおおおっ!! か、唐揚げっ!!!」
俺はなにも考えず、というか何も考えられなかったのだが、その一つをつまみパクッと口に放り込んだのだった。カリッ、もぐもぐもぐ──。
「うぅぅぅぅ──、うんっ、うんっ、うんっ、うぅぅぅっ──」
もう云々と唸ることしかできない──。その美味みっ! 嚙むと同時にカリとした食感が跳ねて、そしてジュワーとお口の中に広がる鶏肉の旨みっ! 下ごしらえで浸されたタレの風味も程よく肉に馴染んでいて、肉本来の味や衣とのバランスも最適! あぁ、もう最高にマイウーッ!!
「やべぇっ!!! これマジでうめぇっ!! こんなうめぇ唐揚げっ! 久しぶりやぁっ!」
俺は更にもう一個モグモグとがっついた。
そして、その唐揚げの感動するほどの美味さを堪能しつつ、そして、精霊オリオンをグイッとやるっ!!
「くかぁぁぁぁーっ!! マジやべぇよ、マジやべぇてぇ、ロボ子ちゃんよぉっ!!」
ほんのり照れているかのような、はにかみ顔のロボ子──、ちょいちょい俺をディスりつつも、やっぱ俺のために尽くしてくれる最高に心優しい彼女。──だが、そんなロボ子を見つめつつ俺は思った。
てか、これどうやって作ったんや? そもそも──。
唐揚げやで? てか、鶏肉は? 仮に野鳥を締めたにしても、ええ? まてよ、そもそも衣の片栗粉とかタレの調味料は? てゆーか、油で揚げるとかっ!! どうやってんねん? てか、ありえへんやろ!? これ!
百歩譲って、食材があったとしても、調理時間も早過ぎやし? て、そんな問題やない? あれ?
などと、やや不穏な思考を巡らせていると、それに気が付いたのか?! ロボ子がもう小さな葉っぱに乗せたもう一品を差し出してきた。
「あ、あの、マスタぁー、これもありますぅ。その、いつもマスタぁーが好きだと言っていた調味料の、柚子胡椒ですぅ」
「おぉぉっ!! 柚子胡椒っ!! これこれっ! これがまた唐揚げによう合うねんなぁっ!! てか、俺は肉料理全般に柚子胡椒つこうてまうねんけどな、うむぅっ!! そうそうこの柚子の香りとピリリと効いた唐辛子の辛みが最高なんやわぁっ!」
っと、早速柚子胡椒を試す。
「うぉぉぉっ!! このロボ子特製の激ウマ唐揚げが更に美味くなりよるわぁっ!! 最高やなほんま。てか、これ、この柚子胡椒だけでツマミになるな。極上の柚子胡椒や。マジ美味いよ、ロボ子。マジ凄すぎるっ! てか、おまっ、こんなに料理が得意やったんやな? マジで俺はビビった。包丁なんて持ったことも無い、みたいな銀髪の美少女面しとるのになっ! なぁって!」
マジでこの柚子胡椒は、本場大分の柚子胡椒にも勝らずとも劣らない本格の旨みっ!
てゆーかっ!! あれぇっ!! ちがーうっ!! なに俺は乗せられとんねんっ! そもそもこの料理、どうやって用意したんか、そこがミステリィーやろうがぁっ!!!
「てか、まぁまぁ、ロボ子や、そうや、突っ立ってんと座れや」
と俺はロボ子を隣に座らせて、頭をナデナデとしてやった。
「ほんま俺は幸せもんやわ。こんなに美味いロボ子の手料理食えて。そんで、特製オリオンビールやろ。ホンマに惚れ直すで、マジでな。ロボ子。なぁてなぁ。お前は素敵すぎる娘やわぁ」
「うぅぅ──」
やや反応に困っているかのような、そんなロボ子。
「でや、これ、マジで美味いねんけど、ロボ子、これってどうやって作ったんや?」
「えっ! そ、その、マスタぁー、わたしは、その、なんでも作り出せるのです。その──」
「あっ、そうか、あの謎ユニットはなんにでも変化させられるんやったっけ。てか、なに? 超古代テクノロジーの全自動調理器具とかでもあんのか?」
「いえ、その、緊急時の飲料と同じで、食べ物も用意できるといいますか──、あっ、いや、その、うぅぅ、そのお料理は調理機械と言いますか、その──」
「ん? 調理機械? じゃぁ、え? 鶏肉とかは──、てかその調理機械で食材も作れるんやったら、この場で何でも作れるってことなんかっ? じゃぁ、ポテトフライとか、ピザとか、パエリアとかもアリなんかっ?」
「うぅぅ──、その、あの、えと、その、どのような料理も一応作れるのですけど、その──、唐揚げは、鶏が、必要でぇ、その、あの、森に行かないと──」
うん? なんや、
「えっ!? じゃ、やっぱこれって野鳥なんか!? マジで?」
「うぅぅ、その、えっと、は、はい──。そうです。うぅ──」
んんん? なんだか妙に歯切れの悪いロボ子の返答。鶏肉は必要で、調理及び調味料等は謎ユニットを変化させた調理機械ってか? うぬ? なんか──。
「じゃぁ、これってお前の手料理ってわけではないのかぁ? うん? 調理機械で作ったのか? ま、広い意味ではお前の手料理ってことに──」
「あ、いえ、その、一応、わたしの作ったものと言える、といいますか、その──、うぅぅ」
なんか腑に落ちんぞ、ロボ子。激しく何かが引っかかるっ!
「じゃぁ、今度はポテトフライが食いたい」
「えっ、そっ、それならば、その──」
と言いつつ、ロボ子は立ち上がった。
「あれ? ロボ子ちゃん、ポテトフライもここで作られへんの? てか俺は、その調理機械ってやつがちょっと見てみたいんやけど──」
「うぅぅ、いえ、その、ポテトフライも、その、森でお芋を採らないと、ですね、その、あの、出来ないですぅ。うぅぅ──」
「えっ! 森に芋なんかあんのか?」
「とにかく、森じゃないと作れないんですぅっ! (うぅぅ、キモ豚のくせして色々細かいんだからぁ、キモ豚マスタぁーはっ!)」
またなにやら蚊の鳴くような声でモゴモゴぶつぶつと尻すぼまりに毒を吐きながら、ロボ子は駆けだした。ってか、ええええっ!!
「おいーっ! ロボ子っ、どこ行くねんっ!!」
「マスタぁーはぁ、そこで待っててくださいぃ。すぐに戻りますからぁっ」
「うえぇぇぇ?」
「あとぉ、そのぉ、マスタぁーっ! 絶対にぃ、絶対についてこないでくださいですぅ!。いいですか? ちゃんと作れなくなりますし、その、足手まといになりますし、仮に魔物がいたら危険ですし、絶対にですよっ!! 約束ですよぉっ!」
「えっ! お、おうっ、わかった、ロボ子──、てか、そうなん?!」
そしてロボ子は森の奥へ颯爽と消えていった。
はて、「絶対についてこないでくださいっ!」って、どうなん? そんなこと言われたら──、俺ってば、マジでついて行きたくなるやんけ。なぁ、ジョニーよ。せやろ? ちゃうかぁ? それが漢っちゅーもんやろ?
俺は、その漢なら誰だって心の奥底に潜ませている、いわゆる”悪ガキ的悪戯っ子精神の葛藤”について、股間の17センチの相棒ジョニーに語りかけた。
てか、奴ときたら、さっきから飲んで食ってばっかで俺の出番はまだかよっ! と、ややふてくされ気味の半立ちジョニーで、浜辺で昼寝中のゾウアザラシのようにダラリとその巨体を横たえ、我慢汁の涎を垂らしていたのだった。そして、俺の問いかけにまるで気だるそうに、鈍くビクンッと一回だけ跳ねて応えるのだった。「まぁ、旦那の好きにするがいいさね。それが心の奥底のリビドーの叫びならばね」と言わんばかりに。
そして、俺は徐に立ち上がった。
やっぱ漢なら、一端の変態紳士ならばっ! いくっきゃないやろっ、やっぱなっ!
それから俺が、それこそコッソリと、そろーりそろりと、森の奥に颯爽と姿を消した銀髪の美少女、ロボ子こと傀儡の精霊キレスの後をつけたのは、ま、言うまでもない。