【ソードアート・オンライン】「結城明日奈」フォト付きえっち短編集 作:北村 貴之
総合格闘技の選手にして撮影モデルの結城明日奈はいま、沖縄にいた。
沖縄にいるのは仕事ではなく、完全プライベートで来ていた。
事務所に所属して以来、格闘技の訓練や試合、撮影でなかなか休みをとることができなかったが、ようやく本格的な休日をとることができた。
明日奈は黄色の半袖のTシャツに、藍色のショートパンツという出で立ちだ。
完全に沖縄観光のスタイルをしている。
豊満な乳房が、Tシャツの上からでも、その大きさを充分に主張している。
ショートパンツからのびる脚は、日頃の鍛錬により引き締まりを見せていた。
「あっつー…」
空を見上げながら、明日奈はパタパタと手で顔をあおいだ。沖縄の日差しは強烈で、立っているだけで肌が小麦色に焼けそうだった。
「焼けても別にかまわないけど…。さて」
明日奈がいまいるのは、沖縄の市街地。
道行く人は、明日奈に気がついていないようだ。
明日奈の知名度は皆無ではないが、あくまでネット上がメインのためか一部の層しか知らない。
一応テレビ出演もしたことはあるが、現状格闘技の試合の中継のみのため、本格的にテレビに出たことはない。
明日奈はそんなことを一切忘れ、沖縄の雰囲気を堪能しながら歩いていた。
そんなとき…。
「お前、結城明日奈だよな?」
突如声をかけられた。
明日奈が声のする方を向くと、そこにはいかがわしい雰囲気の少年たちが4人いた。
髪を金色に染めたり、派手なシャツを羽織っていたり、サングラスをかけたりと、いかにもギャル男といった具合だった。
明日奈は訝しげにしながら答えた。
「そ、そうだけど…?」
「うっほー…。やっぱり生明日奈様だ。エロい身体してやがる」
1人の少年が鼻の下を伸ばしながら言った。
その言葉に明日奈はムッとする。
「ほんと、すごい胸してんなぁ…!」
「おっぱい揉みてぇぜぃ」
「やりてー」
少年たちの言葉を聞いて、明日奈は不機嫌な顔をした。
彼らの態度を見ると、どう見ても不良だ。
おそらく彼らは明日奈をナンパしてその後好き放題やるつもりなのだろう。
しかし、彼女はプロの格闘家であり、しかも業界最強クラスである。
目の前の連中など、文字通り相手にならないだろう。
「ちょっと君たち。私が誰なのか、わかるよね?」
明日奈は不良たちにそう問いかけた。
名を知っているということはそういうこと。
軽々しく近づくことを、後悔させてやろうと考えていた。
「当たり前よ!あんたの配信と写真集と動画何度も見てるぜ!毎度毎度いいクソこいてるよな。あっ、じゃあここでウンコしてくれよ!後でごちそうでもおご…」
金色のボサボサ髪の少年が明日奈に近づきながらそう言うが、ここで台詞が途切れる。
なぜかというと…。
「ぐふぉっ…!?」
明日奈の強力なな右ストレートが、少年の顔面にヒットしたからだ。
正確な突きを喰らった少年は数メートル吹っ飛び、地面に転げ落ちた。
残りの3人がその光景を見て固まった。
「わたしは格闘技の選手なの。ナンパしたいならその覚悟がないとね」
明日奈はニヤリとして言った。
いつもの清楚な彼女からは想像できないような笑みだった。
「こ、この野郎っ!」
茶髪の少年が怒号とともに明日奈に向かって突進してきた。拳を振り上げながら、そのまま殴りかかろうとしている。
明日奈は拳を構えると、殴りかかる動作をした。
拳は見事少年の腹部にヒット。
格闘慣れしていない少年は気絶してしまった。
そのまま倒れこむ少年を見た残りのふたりは、無謀にも明日奈に襲いかかった。
しかし、そんな彼らの単調な動きを見て、明日奈は攻撃を回避、すぐさま彼らに蹴りと正拳突きをお見舞いした。
「ぬわっ!」
「あいてっ…!」
明日奈からの強烈な一撃を食らい、少年たちは倒れ込んでしまった。
「だから言ったのに…。やめときなさいって」
明日奈はやれやれ、と肩をすくめて言った。
そんな明日奈のもとに…。
「あ、明日奈ちゃん…!」
明日奈専属の男性スタッフが2人やってきた。
明日奈からの一撃でのびてしまった少年たちが転がっているのを見て思わず驚く。
「こっ、これは…」
男性スタッフが思わず呟く。
「さっきこんな格闘技すらしたことない不届き者に絡まれて…。あっ、通報お願いします」
明日奈にそう言われたスタッフは、
「お、おう…」
と返してスマホを取り出した。
今回の旅行は明日奈ひとりで来ておらず、万が一に備え撮影スタッフも連れてきていた。
明日奈の邪魔にならぬよう、裏で彼女を見守りながら同行していた。
思わぬアクシデントに見舞われたもののそれを退けた明日奈。
鼻歌を歌いながら、再び沖縄の市街地を歩き出した。
その数日後。
埼玉県は桐ヶ谷邸。
明日奈がある事件で知り合った兄妹が住む家だ。
いまは日曜日。
なので…。
「いけーっ!やれーっ!ころせーっ!」
黒髪の少年、桐ヶ谷和人が、テレビの前でやかましく叫んでいる。
そんな彼が見ているテレビには、和人が大好きな仮面ライダーが怪人と戦っていた。
大はしゃぎの彼の近くで、妹の直葉が、リビングのテーブルの上に置かれている袋から次々とあるものを取り出していた。
それは何なのかというと、親交の深い結城明日奈からもらった沖縄のお土産だった。
明日奈はこの日も仕事だったようで、代わりにスタッフがやってきてお土産の入った袋を彼らに渡した。
テーブルには、明日奈が購入したパイナップルやちんすこう、オリオンビールの詰め合わせ、シーサーの置物などが置かれていた。
「シーサーって間近で見るとこんな造形してたのね…」
騒がしい兄とは裏腹に、直葉は興味津々でテーブルに置いた小さめのシーサーを見つめている。
沖縄本場の食べ物も見逃せない。
オリオンビールはまだ飲めないので両親に飲んでもらうことにした。
時を同じくして、首都高を走るマイクロバスの中。
仕事で仙台に向かう明日奈はイヤホンを耳につけ、座席に座っている。
沖縄土産を自身の手であの兄妹に渡せなかったのが残念であったが、喜んでくれていると思うと嬉しい気持ちになった。