中編1で話のテンポが悪くなるのでボツにした箇所で修正したおまけ話なので今回はかなり短め。
マンションの地下駐車場で
手軽にすむレトルトのカレーでも良かったが、そこは育ち盛りの少年少女。
食いでがあって、材料を切って煮る程度で済む鍋が良かろう、ということで 買ったのは、白菜に春菊に人参などの鍋野菜に季節物の鱈。あとは適当に入り用になりそうなもの数種。
学生の小遣いには負担が大きそうな量だが、この街の物価が異様に安い。なので学生の自分らの財布でも(ちょっと勇気が必要だったが)紐を緩めることができた。
そして、店を出た直ぐ側のマンションの正面口の自動ドアをくぐり、ホールでエレベーターを待つ。
手持ち無沙汰ゆえか、ふとリナがぼそりと口を開いた。
「なあ、ジグ」
「なんだい、リナ」
「あくまで待ってる間の冗談やけど、茂札のやつ、本当に性欲あんのやろか」
「は?」
間の抜けた声を漏らす。
本気で言っているのだろうか、彼女。いや、前もって冗談と言っているから本気ではないか。
ふと思いついたから口にしただけ。そんなところだろう。
一応、先を促す。
「どうした急に」
「いやな? アイツ、誘えば応じるけど、向こうからはあんまり誘ってこんよな」
「ああ。まあ、ねえ……」
公共の場でする話じゃないな、と思いつつもとりあえず曖昧に頷いておく。
「普通、ウチらと同じぐらいの男って女とヤることしか考えてないようなサルばっかやん。せやけど、アイツ普段はそういう目ではウチらを見ぃへんやろ」
「うーん……」
言われれば、確かにそうだ。
一度性欲に火がつけば、同じ人間とは思えないようなえげつない抱き方をしてくるのだが、普段は確かにそこにいくまでが結構長い。
紳士的といえば聞こえはいいが、自分たちに女として魅力がないんじゃないかと思うこともある。
もっとも、昨日はアレコレとちょっとした仕掛けをして誘ったらあっさり受け入れてくれたので、そんなことはないのも理解しているけれど。
(昨日のアレも大きかったしなあ)
昨日の学校の屋上で目の当たりにした怒張の大きさと熱を思い出して思わず赤くなる。
あの時したのは口だけだったけど、あの熱を伴った怒張が自分のナカに挿れられていたら、どうなっていたことか。
そして。
――明日は他の二人もろとも、徹底的に躾けてやるから覚悟しておけ、この淫乱。
別れ際に普夫に言われたことを思い出して、服の下の揉みしだかれた乳房と臍の下あたりがむらむらと疼き、ジグは淫らな妄想を慌てて振り払った。
その様子を見て、リナは呆れ混じりに笑う。
「昨日、あんだけイッておいてまだエロいこと考えてるん? 欲求不満か?」
「――ドロシーと一緒になってぼくをメチャクチャにした君が言うことかい?」
「やかまし。抜け駆けするほうが悪い」
「そこはまあ、悪かったと思ってるけど。でも、同じ状況なら君も同じ事するだろ?」
「……ノーコメントや」
視線を逸らしてはぐらかすリナに今度はジグが苦笑した。
実際のところ、昨日の別れ際に彼が放った強い言葉は、自分が少々からかい過ぎた分の仕返し程度であった可能性もある。
それを踏まえた上なら、本当に自分たちを抱くつもりが有るのかは……
(まあ、五分五分かな)
よくよく思い返すと、彼は自分たちを保護すべき子供のように見ている節がある。
普段の会話で時折感じることだが、後輩のはずの彼が、時々自分よりも大人に見えることがあった。
例えば、将来の話をする時。
例えば、人間関係を相談する時。
例えば、誰かに優しくする時。
彼の目に宿っているのは同輩を見る眼ではなく、大人が子供を見守るような、穏やかな光だ。
精神的に早熟なのかといえばそういう感じでなく、人生の経験を経て得た成熟した人生観もしく責任感といった、普通の未成年ではなかなか持ち得ない輝きに思える。
或いはそれが色欲に惑わない精神性になっているのかもしれない。
というか、あの色気の化身のような恵体のドロシーを前にして、良き先達として振る舞えるのだから筋金入りだろう。
でなければ……
(性欲よりもファイトしたいって欲の方が圧倒的に強い変態かだね)
ふと冗談交じりに思ったが、ファイトに誘った時のほくほくした彼の顔を思い出して、ジグは割とこれが正解かもしれないな、と思った。
そこまで考えたところで、エレベーターがホームのある階で停まり、軽快な鈴音と共に横滑りのドアが開いた。
まあ、なんだ。
ジグの懸念は、部屋に行ったら普夫とドロシーが早々におっ始めそうな空気になっていたので、全くの無意味だったわけだが。
中編の続きについて時間がかかってて申し訳ない。
できるだけ急いで書きます。