暴虐の魔法少女~倒すべき敵がいないのなら魔法少女襲います~ 作:ハヤ0313
白ちゃんと親友ちゃん
魔人ネロとなって、
いやほんと、魔法少女の皆さんホントすみません充実した毎日を送っております。
が、魔法少女やってるからといって特別に給料が出るわけでもなく。今日も今日とて社畜するため出勤です。いやそんなブラックな会社じゃないけど。
あれなんだよね。全人類が思ってる事だと思うんだけど、給料のためにやってるだけで、お金が腐るほどあったりお金が要らない生活してるんならホント労働とかどうでも良いと思うんだよね。つまり働きたくない。晶ちゃんと
そうなんだよ。魔法少女って同じ魔法少女の位置を都合よく感じ取ったりしないから、遭遇するのは本当に運なんだよね。なお、お隣さんでジルコンちゃんな晶ちゃんは除く。
そんな事を考えながら駅のホームを歩く。はー早く夜になんないかな、お姉さん魔法少女になって好き放題しちゃうぞ。
「
お、この声は。
「白ちゃん。おはよー」
「はいっ! おはようございます!」
かわいいかわいい女子高生、白ちゃんがそこにいた。
はー私を見るなり声かけてたったか走ってくる白ちゃんかわえー、持ち帰りてー。
まぁこの間散々啼かせちゃったんですけど。うむ、エロ可愛かった。
「……うーん」
はっ。桃色の彼方に思考を飛ばしていたら何か見つめられていた。そして何か首捻ってる。なんぞ。
「月お姉さん。姉妹とかいます?」
「うん? いないけど、どしたの」
いきなり何だ。そんな私は一人っ子。えぇ甘やかされて育ちましたとも。だから白ちゃんも私を甘やかすが良いぞ。
「この間、月お姉さんと似た声の人と会って……」
ボケてる場合かァーッ! 身バレしそうになってるぅー!
「へ、へー」
「だからもしかしてお姉さんのお姉さんとかかなーと」
セーフか? セーフなのか?
「か、顔が似てる人が世の中三人は居るって話だし、声の似てる人なんてもっと居るんじゃない?」
「……それもそうですねっ!」
セーーーーフ!
はー! 人が良すぎるぞ白ちゃん! ちょろいぞ白ちゃん! 大丈夫か白ちゃん! 可愛いぞ白ちゃん!
まぁそんな白ちゃんを敗北えっちがうんたらかんたらで犯した人がいるそうですけど。いやー怖いですねー。
「その人と何かあったの?」
と白々しく聞いてみる私。
すると、みるみる内に顔が真っ赤になる白ちゃん。ぐへへ、何を思い出してるのかなぁ?
「なっ、何もありませんっ……!」
「おっとその反応は何かあったんだねー? お姉さんに聞かせてみー?」
あかん楽しい。やってる事は最低極まりないけど超楽しい。
「何もありませんってば! ちょっと、そう、ちょっとした争いがあったのです!」
「争いて」
まぁ争いというか死闘というか。
「それは血で血を洗うような激しい攻防で……」
「何それ怖い」
なお攻は白ちゃんで、防は私でした。
なお攻は私で、受は白ちゃんでした。
「まぁその相手が月お姉さんみたいな声の人だったんです」
「雑にまとめたなぁ」
本人だけどね。……認識阻害ホントに効いてんだなぁ。声には効いてないみたいだけど。
それからは何があったのかを忘れるようにして早口で話す白ちゃんと一緒の出勤となった。
「お、白じゃん」
そんな通勤電車の中で話していると、白ちゃんに話しかけてくる子がいた。お友達かな。
「あっ、舞ちゃんおはよっ!」
「はよーっす。なん? その人知り合い?」
女子高生が増えた。
平均的な身長で片目が隠れた前髪が特徴的で、なんとなく図書委員やってそうな感じの子。
……なんだけど口調は雑。あれだろうか、ダウナー系とかいうやつだろうか。
というかこの子もこの子で美少女なんだけど。なんなん? 最近美少女遭遇率高くない?
「うん。あの助けてくれたお姉さん」
「あーねー、例の。うちの白がお世話になってますー」
そう言ってペコリとお辞儀をする、舞ちゃん?
「紹介しますね、私の親友の舞ちゃんです」
「
ピースピースしてきた。緩ぅい、けどそういうの好き。
「
いぇーいピースピースってしたらケラケラ笑う舞ちゃん。うむ好感触でお姉さん嬉しい。
「月さん月さん」
「ん?」
「この子、白ってば危なっかしいんで車内とかで守っていただけるとー」
「舞ちゃん⁉」
いきなりあんまりな事を言い出す舞ちゃん。でも分かる。こう、嗜虐心をそそられるというか、つい犯したくなるというかやめーい! お友達の前で妖しい事考えるのやめーい!
「えー? 月さん何かスポーツ的なアレやってるっぽいし?」
「そうじゃなくって……! って、え? 月お姉さん何かされてるんですか?」
え、いきなり何ぞ。あれだろうか、魔法少女やってる内に何かそういうオーラでも身につけたんだろうか。口が裂けても言えないけど。
「うーん……ダイエット目的のボクササイズとか?」
「あー」
う、嘘は言ってない。
「なるほどそれでー」
「一目見て分かるものなの?」
「なんとなくですけどねー」
何その強者感。図書委員属性どこ行った。
「舞ちゃんはなんか古武術?の家らしくって」
「カビの生えた家で困っちゃうよねー」
「そんな事言わないの。それで相手の力量がなんとなく分かるんだそうです」
「日常生活でなーんも役に立たないけどねー」
ガチ強者だった。何その漫画の主人公的な属性。ちょっとカッコいい。
「という訳で、白に痴漢する奴とかいたら、うりゃーバキィみたいな感じでよろしくお願いしまーす」
「骨折ってないそれ?」
「そんな感じでー」
舞ちゃん案外バイオレンスだな。あれだろうか、古武術の家に生まれるとそんななんだろうか。
「という訳で今後ともよしなにー」
「う、うんよろしくね?」
そんなこんな、年下の知り合いがまた増えたのであった。
……因みに今まで舞ちゃんと遭遇しなかったのは、遅刻寸前まで寝ていたりサボっていたりしてたからだそうな。それで大丈夫なのか学生よ。
――――――
白ちゃんに加えて舞ちゃんという新しい通勤通学仲間が増えても、私の日常に変化は無かった。再戦を誓ったルビーちゃんとも会えないし、いつも通りジルコンちゃんとしか遊べない日々。
妖精さんは魔法少女を増やすノルマとか言ってたから、もっと魔法少女が居てもおかしくないと思うんだけど、なかなか遭遇する事は無い。
もしかしたら私やジルコンちゃん、ルビーちゃんといった外を出歩く魔法少女の方が少数派だったりするんだろうか。まぁそうかもしれない。誰かにバレてしまう可能性とか考えると、こっそり自分で力を楽しむ方が健全だと思う。まぁ健全じゃない私達は出歩きまくってるけども。
あと純粋にたまたま出会うのが本当にレアケースって事もある。ルビーちゃんに正義側の魔法少女の集会場所とか聞いとけば良かったかな、あるかどうか知らないけど。
なんて事を考えながら夜の電車に揺られていた時だった。
「あれー? 月さんじゃん」
本当に最近後ろから声かけられるの多いな。
振り返るとそこにはダウナー系女子高生、舞ちゃんがいた。けどこの時間に会うのは初めて。なんだー? 夜遊びかー? 悪い子めー。
「舞ちゃんが不良少女だったなんて……!」
「ひゃっはー酒にタバコに女にー、ってなんでやねん」
相変わらずノリが良いなこの子。しかも男遊びじゃなく女遊びなのか。
「いやだって、夜だし」
「最近の女子高生は平気で夜出歩きますよー?」
マジか。最近の子はそんななのか。私が学生だった頃は夜出掛けるなんてしたら折檻が待ってたんだけど。
「女の子一人の夜遊びなんて危なくない?」
一応大人として心配しておく。大人としてやっちゃいけない事をしまくってるけど、今は棚に上げとく。
「うち古武術やってるんでー」
「……あぁ、そんな事最初の時言ってたね」
しかも強者の風格漂わせまくってたんだった。なんだよ見ただけで相手の力量分かるって。漫画じゃないんだから。
「ちなみに古武術ってどんな?」
でも厨二病を経由した身としてはちょっと気になるフレーズ。あれだろうか、合気道とか鎖鎌とかそういうの。
「何でもですねー」
「何でも?」
「そーですねー。剣術に始まり体術槍術弓術棍術杖術、レアなのだと鎖鎌とか手裏剣とかもやってますよー」
想像以上にガチな古武術だった。というか手が広すぎないかその流派。
「そ、それ全部やってるの?」
「はいやってますよー」
マジもんの強者だった。そりゃ力量とか読めるわ。
「特に剣術は史上最年少の免許皆伝タイトルホルダーですねーいぇーい」
ぴーすぴーす、とかしてくるけどかなりヤバい事言ってる気がする。いやいや舞ちゃん幾つよ? 高校生でしょ? ヤバない?
「体術もそこそこ人並み以上には出来るので心配無用なのです」
ふんす、と自慢してくる舞ちゃん。可愛い顔してるけど、暴漢なんて指先一つで撃退しちゃうんだろう。
でも一応、一応言わなければならない。
「強くても、何があるか分からないんだから、程々にしときなよ?」
「白にも言われましたそれー」
そりゃ言うわ。親友が夜遊びなんてしてたら言うわ。
「まーでも今だけなんで」
「……? そうなの?」
期間限定の夜遊びとな。なんだろ、バンドのライブとかのアレだろうか。
「人探ししてるんですよー」
女子高生の口からなんとも奇妙な事が出てきた。
はっ! あれだろうか。一目見た時にきゅんときた男の人を追っかけてるとか!
「あ、男じゃないですよ」
「えー」
「えーとか言われても……」
恋バナかと思ったのに! 若い子達の恋愛事情とか興味あったのに!
「じゃあ女の人なんだ?」
「ですねー」
「どんな人なの?」
舞ちゃん一人で夜に出歩くのは、ちょっと放っておけない。
せっかく知り合ったんだから、協力できる事は協力したい。何せ夜は飛び回ってますから。
なんて、無駄にお姉さんぶろうとしたけれど、舞ちゃんから帰ってきたのは、
「内緒です」
口元に指を添えた、なんとも可愛い所作だった。