暴虐の魔法少女~倒すべき敵がいないのなら魔法少女襲います~ 作:ハヤ0313
「……という訳で、出会った魔法少女全員に宣戦布告して回ってたんです。お姉様にしたように」
「なるほどねぇ」
人を呼ぶような部屋じゃなかったから、私はベッドに、ジルコン……北股さんにはパソコン用の椅子に座ってもらって、改めてさっきの説明をしてもらっていた。
……いや何でジルコン?
「魔法少女になれると聞いて二つ返事でなるって言ったのは良いんですけど」
「二つ返事て」
「はい。だってアニメみたいじゃないですか」
分かる。
「でも戦うべき相手がいないんじゃどうしようもないじゃないですか」
「まぁ、ねぇ」
結界とか何の役にも……いや役立ってるわ。騒音出さないように役立ってるわ。初回の事は忘れました、嫌な事件だったね。っていうかそうか、北股さんに聞かれちゃってたのかあのアホみたいな喘ぎ声……忘れろ! 忘れるんだ私!
「だから私が悪の魔法少女になろうかなって」
「そうはならん……まぁ、分からんでもない」
力を得てもその使い所が無ければ、こう、宝の持ち腐れというか、そんな感じなのは分かる。
「えっとさ、言い方は幼稚だけども、戦闘ごっこ、みたいなのじゃダメだったの?」
「ダメです」
部活とか稽古みたいな感じで、と言おうとしたらキッパリと否定された。
「全力で、全身全霊で戦いたかったんです」
「…………」
分かる。分かってしまう。
だって、あんなにも、楽しかった。
戦う事が、楽しかった。
「そして全力で負けたいんです」
「は?」
は?
「だって悪役ってそういうものじゃないですか。正義に倒されなきゃならないんですよ。確かに主人公達を圧倒する事はあるにはあります。だけど最終的には必ず負けるんですよ。そこが美しいんです。けれど遊び半分のそれじゃそのカタルシスは得られません。だから、全力で全身全霊で戦いたかったんです……!」
「お、おう」
北股さん、早口で喋るオタクみたい……いや、悪役オタクだったわこの子。
「そしてその後、凌辱されると尚良し」
「は?」
は?
「え、負けたら敗北えっちですよね?」
「待って」
さっきまで苦悩してたりした空気返して?
「魔法少女は負けたら敵役に犯される流れに、いいえ、運命にあるのです。ボロボロになり、その上で衣装を無惨にズタズタにされ、更に尊厳を奪われる。ならば悪役とはいえ魔法少女たる私が犯されるのは純然たる摂理。そう、私は魔法少女達に倒されて、悔しさを噛み締めながら犯されなければならないんです!」
「それなんてエロゲ」
「……? エロゲですけど」
エロゲの知識かーい!
「でもエロゲの魔法少女ものって普通に面白くありません?」
「そ、そういうもんなの?」
まぁ分からなくもないんだけど。やった事あるし。
エロゲっていう色々制限がかかっていない状態だからこそ描かれるアレコレがですね、熱いんですよ。敵役もね? 悍ましいんだけどカッコいい信念とか持ってたりするんですよ。まぁだいたいエロ特化だから悍ましい一辺倒の作品が多いんだけど。
「という訳でお姉様」
嫌な予感。
「私を犯してください!」
ほら来た。
そう言って、両手をババンと広げる北股さん。いやそんなバッチ来いみたいなムーブされましても。
「いや北股さん」
「この姿の時はジルコンって呼んでください!」
「あ、はい」
気持ちは分かるけど、めんどくさいなこの子!
「そんな喜んで犯してくださいって言われても……」
「……なるほど、道理ですね」
分かってくれたか。
「では……ベッド、失礼してもいいですか?」
「うぇ? あーうんいいけど」
減るもんじゃないし。寧ろ北股さん……ジルコンちゃんか、可愛いから逆にありがとうございますって感じだし。いやどんな感じだ。
思考があちこちに行っている内にジルコンちゃんはぽすん、とベッドに横たわった。
「お姉様。こう、両手を縛る感じで拘束とか出来ませんか?」
「え、出来るかな」
頭上に両手を揃えて掲げ、妙な提案をしてくるジルコンちゃん。
拘束っつってもなー。縄とかあるわけでもないし。
あー結界? いや結界でどうやって……あぁ、手を覆うようにして結界を、こう……。
――――拘束結界
……出来たわ。
「わわ、凄いですコレ。びくともしません……」
「結界の強度だけは鍛えたからねぇ」
夜な夜な結界ボクササイズしてたからねぇ。
肉体強化した上での結界による結界虐めなんてしてたからなぁ。たぶん全力でやれば戦車の弾みたいな威力出たり防げたりするんじゃないかな、知らないけど。
……そんな威力のをジルコンちゃんに叩き込んだのか。やば、またへこんできた。
「……これなら…うん、お姉様!」
「あ、はい」
「このまま私を犯してください!」
「なんでじゃ」
いやね? 確かにね? まな板の鯉というか、ベッドの上で拘束された魔法少女とか、凌辱される寸前みたいな感じですけどね?
「あ、違いますねごめんなさい」
分かってくれたか。
「くっ! この私がこうも完膚なきまでに敗れるとは……」
何か始まった。
「ですがいい気にならないでくださいね。私を倒したところで第二第三の刺客が貴女を襲うでしょう」
マジか、他にもこんな魔法少女いんのか。いやいねーよ。
「その日まで精々研鑽に努めるといいです」
あ、力をつけとけとか言う実は良い人的な悪役ムーブだ。分かるー。
「……ところで、何ですこの拘束は? これ以上私を辱めるおつもりで?」
あ、流れ変わった。
「ふっ。何をされようと、私は変わりませんよ。貴女達を、魔法少女を滅ぼしつくすまで私は止まりません」
おぉ、それっぽい。
「それが嫌ならば今ここで私を殺しなさい。さぁ、さぁ、さぁ!」
おぉぉ。
「くっ、殺せ!」
「最後雑ぅ!」
いかん、思わずツッコんでしまった。
「……お姉様」
「……はい」
「そこは、『ならば貴様の尊厳を殺してやろう』とか言って私の衣装をビリビリーってするところですよ」
そんなさも当然ですよ的な顔をされましても。
というかどっちも悪役になってないかなそれ、正義の魔法少女はそんな事言わないわ。
「むぅー」
「ええい膨れないの」
両手を拘束されながらむくれるジルコンちゃん。なんか立ち位置おかしくない?
「敗北えっち、憧れてたのにー」
「憧れんなや」
なんてものに憧れてるんだこの子は。色々拗らせ過ぎじゃなかろうか。
「では、ではお姉様」
「あにさ」
「服をビリビリーってヤツだけでもしてくれませんか?」
「何を言っとるんだこの子は」
ダメだ。ジルコンちゃん相手だと思った事がそのまま口に出てしまう。だってツッコんでと言わんばかりの事しか言わないんだもん!
「せめて、せめてそれだけでも!」
「えぇぇヤだよ破くとか、その服高そうだし」
「あ、大丈夫です。この服魔法で出来てますから、ノーダメージです」
そうだった。魔法で作った衣装とか言ってた。じゃあ大丈夫か、ってそうはならんやろ。
「それに、ちょっと気になるんですよね」
「何が?」
「服の強度とかです。よくある描写だと都合よく前側だけ綺麗に裂けたりしますけど、あぁいう感じになるものなんでしょうか」
確かに。服、繊維の塊というそれなりの強度を持っているものをそんな指一本で出来ちゃうものなんだろうか。
……ちょっと気になるといえば気になるな。
「……試してみようか」
「ぜひっ!」
だからそのバッチ来い的なの……まぁ、いいけどさ。
気を取り直して、ベッドに横たわるジルコンちゃんを跨ぐようにする。……やば、このポジションヤバい。これからこの子を犯します感ヤバい。
い、いかん。そんな事しないんだから。今は実験をですね。さー肉体強化していっちょいってみよー。
「じゃ、ちょっと失礼して……」
「ワクワク」
な、なんだかなぁ。
ジルコンちゃんの首元に指をかけ、下に引き千切……!
「ぐぎぎぎぎぎ!」
「うぐぐぐぐぐ!」
かっっっっっっっった!
何コレ硬った! 無理! 何コレ無理! ジルコンちゃんもなんか首ごと引っ張られて変な声出ちゃってるし!
「だ、ダメだこれ……!」
「だ、ダメですね……!」
いや、今以上に出力をあげればイケるのかもしれないけれど、そんな事したらジルコンちゃんがどうなるか分かったものじゃない。
結論! 力技では無理!
「お姉様の力でも破壊出来ないだなんて……」
「あー……ジルコンちゃんが弱りきってないから、とか?」
「け、けっこう全力で弱ってるんですが……MPほとんど有りませんし」
MP? あぁ、魔筋の事か。
となると、弱ってても衣装の強度は変わらない、のか。もしかして最後のセーフティ、みたいなものなのか。
まぁそれは置いといて。
さて、力では破壊出来ないとなると……。
「試してみるか」
「……? 何をです?」
「結界で刃物作ってみる」
「結界……? あぁ、それがお姉様の能力だったんですか」
あれ、言ってなかったっけ? 言ってないかもしれない。まぁいいや。
指先に短く薄い結界を張ってみる。こう、ナイフ的な感じで。よし出来た。
でもこのままじゃ切れないと思うから、こう、なんとか、もっと薄くして、鋭くして、ぐぎぎぎなんか魔筋が変な攣り方しそう。
「よ、よし出来た」
「え、何が……って刃物、どこにあるんですか?」
「指先」
あぁ、やっぱり他の人には見えないのか。
……なんか便利過ぎたり強過ぎたりしないかなこの力。比較対象がジルコンちゃんしかいないけど。
「じゃ、改めて参ります」
「は、はい!」
首元からスゥーっと下に……おぉ切れた。このまま肌を傷付けないように慎重に……。
「…………」
「…………」
くっ、やりにくい。そうだ、服を掴んで中に空間を作れば切りやすいかも。よっしそれで……。
「お姉様」
「集中してるから待って」
「お姉様、超スムーズじゃないです」
「バカなっ!?」
冷静になって見てみると、首元がちょこっと切れてるだけで全然進んでなかった。
だ、だってほら、肌とか傷付けちゃうのヤじゃん!
「難しい……」
「……お姉様。そのナイフ状?の結界?の形って変えられるんですか?」
「うぇ? 変えられるけど」
基本は立方体だから、そもそもナイフ自体が結界の形を変えたものというか。
「ならこう、鉤爪状になったり出来ます?」
「でき……た」
「そしてその内側だけ刃状に出来たりします?」
「でき……ぐぬぬぬぬ、でき、た!」
「それでイきましょう!」
「よしきた!」
これならイケる! フック状になったところで服を引っ掛け! そのまま引き下ろせば! ズババっとイケる筈!
「いざ南無三!」
「っ! きゃっ、きゃあああーっ」
ジルコンちゃんの取って付けたような悲鳴をよそに、ズバっと、首元から胸を通り過ぎ、腰を通り過ぎ、長いスカートの末端まで、一刀両断する。
残っているのは股間を守る心許ない薄布一枚。肌蹴られたその前側からは美しい肌が垣間見え、
「でっっっっっっっっっっか⁉」