病んでしまったエアリスは星を救う使命を放棄しクラウドと二人で生きる道を選ぶ 作:ゴロスケ
「な……な……!」
「エアリス!なんてことを……!」
ユフィとナナキが愕然とした表情を浮かべる。
クラウドの中から私達の存在が消えた。そればかりか、認知すらされなくなってしまったという事実に打ちのめされる。
何故?どうして?理解が追い付かない。
「エアリス、俺……」
「大丈夫、大丈夫だよ?クラウドはずっと頑張ってたから疲れちゃったんだよね?今はゆっくり休んで。もうすぐ新しい世界が始まるから」
エアリスの手がクラウドの頬に添えられる。親愛を示す仕草。それはとても優しげで美しい光景のはずなのに、今の私たちには恐怖でしかない。
「クラウド、わたしだけを見て?わたしの声だけ聞いて?そうすればきっと幸せになれるから」
「エアリス……」
「うん、エアリス。ずっと一緒だったよね?クラウドがソルジャーになりたいって言った時の約束も覚えてる?わたしを守るんだって言ってくれたこと」
「……約束」
クラウドの表情が揺らぐ。彼の記憶が次第に塗り替えられていく様を目の当たりにしている。
かつて私達が共有したはずの思い出、絆、使命。それらすべてが崩れていく。
「……そうだ。俺、エアリスの為にソルジャーを目指したんだ。でも、なれなくて……」
「ううん、いいの。大事なのは夢を追いかけて頑張ったこと。クラウドはすごく立派だよ?だから自分を許してあげて?」
エアリスは優しさと包容力に溢れた言葉でクラウドの心を溶かしていく。しかしそれは偽りの記憶に基づくものに過ぎない。
幼馴染として育った。エアリスの為にソルジャーを目指した約束。5年振りの再会──全てがエアリスによって捏造された虚像だ。
それでもクラウドは疑うことなく、全てを受け入れようとしている。
「なんだよ……なんだよこれ!こんなのおかしいよ!」
「クラウド!ねぇ、クラウドってば!」
ユフィとナナキの悲鳴が響き渡る。しかしクラウドは全く反応しない。ただ一心不乱にエアリスを見つめるばかりだ。
「もう大丈夫。クラウド、ここから新しく始めよう?わたしとクラウドの世界を」
「エアリスと……俺の?」
「うん、わたしたち二人だけの新しい世界。誰にも邪魔されない世界」
「そうか……いいな。そんな世界が本当にあるなら……」
クラウドの目に希望の光が宿る。だがそれは幻想に過ぎない。エアリスによる歪んだ支配の中で生まれた幻。
彼は完全に取り込まれてしまった。これまで紡いできた絆も思い出も全てを捨てて……。
「やった!これでわたし達はずっと一緒だね!
「ありがとう、エアリス。俺を待っていてくれて」
「クラウド……!」
感極まったエアリスがクラウドに抱きつく。クラウドもまた彼女を優しく抱擁した。側から見れば、これ以上ない美しいカップル像かもしれない。
だが、私たちにとってその光景は地獄絵図に等しかった。
「ふふ……」
「っ!?」
クラウドに抱き締められながら、エアリスの口元は歪んでいた。
愉悦に満ちた嗜虐的な笑み。愛する人を完全に手中に収めた歓喜と、それを邪魔する者を嘲笑う残忍さが滲んでいる。
クラウドはそれに気づかない。いや、気付けないように記憶が書き換えられているのだろうか?
私は唇を震わせる。目の前で起こっている惨劇が現実であると受け入れられない。
ただ呆然と立ち尽くし、拳を握り締めることしか出来なかった。
「クラウド?」
「………ん」
気がつくと、クラウドは小さな寝息を立てていた。どうやらエアリスの腕の中で眠ってしまったらしい。
エアリスは慈しむような眼差しを送りつつ、クラウドの頭を優しく撫でながら彼を丁寧にベッドへ横たえた。
「ふふっ、また寝ちゃった。やっぱり疲れてたんだね。大丈夫、わたしが守ってあげるから。ずっと一緒にいようね?」
瞬間、エアリスがこちらに向き直る。その表情は先程までの柔らかいものから一転して冷徹なものへと変わる。
殺意を含んだ冷酷な目つき。身震いするほどの威圧感に思わず後ずさりしてしまう。
「みんな、わかってくれた?クラウドはもう疲れてるの。ずっと頑張って来たのに、神羅に捕まってジェノバ細胞を埋め込まれて、セフィロス良いように使われて、自分の感情もわからなくなっちゃった。だから、本当のクラウドに戻してあげたの」
エアリスは淡々と語る。彼女には一片の迷いも見受けられない。常に前を向き、後悔のないように「今」を生きて来たエアリス。
その根底にあった優しさと慈愛が、最悪の形で歪んしまった……。
「本当のクラウドって、あんな別人みたいに弱気な奴が!?」
「クラウド、元々そういう人だよ?恥ずかしがり屋さんだけど、本当はとっても素直で純粋な男の子。みんなが知ってるクラウドなんて、ジェノバが創り出した架空の姿。ティファならわかるよね?」
「っ……」
否定することはできなかった。クラウドの記憶や人格の不安定さは私も気付いていた。彼の抱える闇の深さを思うと胸が痛む。
しかし、だからといって今の状況を受け入れられるかといえば全く別問題だ。
「大丈夫だよ、ティファ。クラウドはちゃんと元に戻るから。わたしの手で、ゆっくり時間をかけて癒してあげる。そうすれば完全にジェノバ細胞も排除されるし、セフィロスの影響もなくなるよ」
「その代償としてアタシ達の記憶を消すっていうの!?」
「うん、ちょっとした見返り……かな?それくらいあってもバチは当たらないと思うんだけどなぁ。今までずっと我慢してきたもん」
悪びれもなく答えるエアリスに吐き気を覚えてしまう。
どうして……どうしてここまで変わってしまった?あんなに明るくて、前向きで、誰に対しても分け隔てなく接してくれた彼女が、どうしてこんな恐ろしい選択をしてしまったのだろう……?
「最後のチャンスだよ?黒マテリアの場所は教えるから出て行って欲しいなぁ。クラウドの治療、まだ途中だから」
「ふざけないでよ!今のエアリスなんかに任せられる訳ないでしょ!クラウドからオイラ達の記憶を消しちゃうなんて!」
ナナキがエアリスを睨む。しかし彼女は平然としており、まるで興味すら示さない様子だった。
「エアリス……確かに俺は我儘になれとは言ったぜ。だがな、今のアンタはただの暴走だ。自己中過ぎるだろうが!」
「酷いなぁ。みんななんて、本当のクラウドに気づきもしなかったのに。ソルジャーになれなくて、それでも精一杯頑張って来たのに、まだ戦わせるの?クラウド、ずっと辛そうにしてたよね?何度も頭痛で苦しんでたよね?」
「それは……」
反論できない。クラウドがソルジャーではなかったこと。何故か納得してしまう自分が居る。
彼の過去には不明な部分が多い。けれど、まさかジェノバ細胞の影響で彼の性格そのものが変容していたというのか?
「みんな、強いソルジャーのクラウドにしか興味がなかった。だから気付かなかったんだよね?わたしは違うよ?きっかけはザックスの面影だったけど、今はクラウドを見てる。わたしだけが、本当のクラウドを知ってるんだよ?」
エアリスの声は凛としていた。揺るぎない信念と愛情が込められている。
それが恐ろしい。彼女の歪んだ愛が暴走していった結果がこれだというのなら……。
「……エアリス、お願い。戻って来て」
懇願する。手を差し伸べる。
まだ間に合う、引き返すことができる。かつての星や仲間を想う彼女に戻ってほしいと心の底から願った。
しかし、そんな私を嘲笑うかようにエアリスはベッドに横たわるクラウドの頭をそっと撫でる。
「ん……んん……」
ベッドの上でクラウドが身動ぎする。彼の意識はまだ闇の中を彷徨っているようで、苦悶の声を漏らしながら眉を寄せている。
「大丈夫、大丈夫だよ。もう怖いことなんて何もないから」
「うぅ……」
クラウドは微かに呻き声を漏らしながら、エアリスの腕に身を委ねている。その様はまるで子供のようだった。
彼の頭を、エアリスは慈しむように優しく撫でていく。その表情には狂気など欠片も見られず、むしろ愛情に満ちていた。彼女の優しい手付きと包み込むような温もりに触れて、徐々にクラウドの表情が和らいでいく。
「クラウドは何も心配しなくていい。ずっとわたしが守ってあげるからね?」
「ん……」
クラウドは安心したように吐息を漏らす。
かつては自分を大きく見せようとしていた頃のクラウドではない。
完全にエアリスに依存し、だだ彼女の腕の中で眠る姿はどこか儚げですらあった。
「……それがエアリスの答えなんだね……」
「うん。わたし、我儘になるって決めたから」
「そっか……」
差し伸べた手を、エアリスが取ってくれることはなかった。
彼女はもう完全に覚悟を決めていたのだろう。クラウドを自分だけのものにするという思想。
それこそがエアリスの選んだ道。私たちの絆は完全に断たれてしまったと痛感させられた。
「エアリスの気持ち、伝わったよ。ただ──クラウドにこんな仕打ちをして許されると思わないで!」
怒りを込めて宣言する。覚悟はもう決まった。
彼女の思い通りにはさせない。クラウドは必ず取り戻す。例え、エアリスを傷つけることになっても──!
「あーあ、残念。ティファならわかってくれると思ったのになぁ」
「理解できるわけない!クラウドを愛しているなら尚更!」
「愛してるからだよ?愛してるから、わたしの元で生きていって欲しい。それが本音」
「狂ってる!」
「うん、狂ってるかもね。でもいいんだ。それでクラウドがわたしを見ててくれるなら」
私は拳を握り締める。エアリスは大切な友人であり、かけがえのない親友だった。
でも変わってしまった。彼女は自分の意思で、自らの欲望を満たす為だけにクラウドを支配しようとしている。
許せない。許容など出来るわけがない。私の手が届かない場所へ連れて行かれてしまう前に、必ず救い出す!
「ティファ、協力するぜ」
「アタシも!このヤンデレ女、一発ぶん殴ってやんないと気が済まない!」
「オイラも!絶対にクラウドを取り返すよ!」
バレット、ユフィ、ナナキが武器を取り構える。私達四人がエアリスを取り囲む形となった。
クラウドは未だ夢の中。どうすればエアリスの洗脳を解けるかはわからない。けれど、ここで引き下がるわけにはいかない。
「そっか……じゃあ仕方ないね──なんて、嘘。最初からこうなるってわかってたよ。だって、その為に誘い込んだんだもん」
「な……!」
次の瞬間、凄まじい空圧が襲いかかる。まるで身体全体に重力がのしかかったような錯覚を覚えるほどの圧迫感に、私達はなす術もなく倒れ込んでしまう。床に這いつくばりながら必死に顔を上げると、エアリスの周りに異様な気配が纏わりついているのが見えた。
「な、なんだよこれ……」
「う、動けねぇ……」
仲間達も同様だ。立ち上がることさえ困難な状況に狼狽している。
そんな中、エアリスだけが悠然と佇んでいた。まるで天使のように微笑みながら、私達を見下ろしている。
「残念でしたー。ここ、セトラの神殿だよ?念じるだけでわたしが意のまま。すっごく苦労したんだよ?何度も何度も祈って、ようやく神殿はわたしを受け入れてくれた。それって、セトラ達はわたしとクラウドを祝福してくれたってことだよね?」
エアリスは人差し指を立てて左右に揺らす。その仕草は小悪魔的だが、滲み出る雰囲気は本当の悪魔そのものだった。
「エアリス……!!」
「こ、この!こんなところで!」
私達は必死に抗おうとするものの、身体は鉛のように重く感覚すら怪しくなる始末だ。
まるで巨大な岩盤に押し潰されているかのようにうつ伏せのまま起き上がることすらできない。何とか打開策を練ろうとするものの、思考能力すら奪われそうだった。
「ふふっ……みんなの頑張ってる顔、なんか可愛い。そうだ、いいこと思いついちゃった」
エアリスは子供のように手を叩く。その仕草はあまりに無邪気で、同時に恐ろしかった。
何を考えているのか。嫌な予感が頭をよぎる。
「ごめんね、クラウド。起きて」
「ん……」
「もしも〜し?起きてくださ〜い」
彼女の呼び掛けに反応したのか、クラウドが目を覚ます。
まだ焦点の定まらない瞳は朧げだったが、その視線はエアリスへと向けられた。
「エアリス……?」
「うん、おはよう。クラウド」
クラウドはゆっくりと起き上がる。その様子を満足げに見つめるエアリス。私達は依然として身動きを封じられていた。
「ねぇクラウド。体の具合はどう?」
「……ああ。まだ少しクラクラするけど、大丈夫だと思う」
「よかったぁ」
心の底からの安堵の吐息。エアリスはクラウドの頬にそっと触れる。
その仕草一つとっても、異常なまでの執着が透けて見えるようだ。私達はただ見ていることしか出来ない。
「……クラウド!」
「エアリスを、なんとかしてくれ……!」
「お願い……クラウド!」
仲間達が必死に訴える。しかしクラウドの視線は一向にエアリスに固定されたまま。
彼女の支配下にある限り、私達の声は届かない。その事実に打ちのめされる。
「クラウド、体調は戻ってきた?辛くない?」
「ああ……平気だ。少し頭がぼんやりするけど」
「よかった。じゃあ約束の時間だね」
エアリスの言葉に私は息を呑んだ。
約束?一体何を……。
「……約束?」
「うん。クラウドが目覚めたらすぐにするって言ったよね?」
「する?」
「うん、わたしとエッチなこと」
「な……!」
「おま……!」
その一言で場が凍りついた。エアリスが何を企んでいるのか察した瞬間、全身の血が沸騰する感覚に襲われる。
「クラウド、約束したよね?お互いの初めてを捧げ合うって」
「は、初めて?そんな約束……」
クラウドは困惑した表情で首を傾げる。記憶の混乱が続いているようだ。しかしエアリスは不敵な笑みを浮かべながらさらに畳み掛ける。
「うん、寝る前に約束したよ?わたしとクラウドは特別な関係になるって。二人だけの秘密を作るって」
嘘だ。そんな約束は存在しない。他ならぬ私達がしっかり現場を見ている。それなのにエアリスは本当にあったかのように語りかける。
記憶の改竄が行われているのか、或いはクラウドの心理状態を巧みに操っているのか。
「クラウド!騙されんな!その女はお前を操ろうとしてるだけだ!」
「そうだよ!こんな場面を見せるなんて最低だよ!」
ユフィとバレットの声は虚しく響くだけ。彼らは地面に押し付けられたまま身動き一つ取れずにいる。一方でエアリスはクラウドの腰に手を回し引き寄せていた。その密着した姿勢が異常に淫靡に見える。
「えっと……確かに寝る前に何か話し合った気がするけど……」
「ね?だから約束通りにしなきゃ」
「本当なのか?エアリスを疑いたくはないけど、俺は曖昧な記憶しかなくて……」
クラウドは明らかに戸惑っている。記憶を書き換えられて尚、自分の本心と向き合おうとしている。
しかし、エアリスはそんな些細な抵抗すら許さない。
「クラウド」
「ぁ……」
突如、エアリスのエメラルドグリーンの瞳が怪しく輝き出した。そして次の瞬間、クラウドの表情が凍りつく。
目が見開かれ、呼吸すら忘れたように硬直している。その視線はエアリスの瞳を捉えたまま動かない。
「クラウド!?」
「おい!どうした!?」
「ちょっ、なんか魂抜けかけてない!?」
私達の叫び声は届かない。クラウドは呆然とした様子でエアリスを見つめている。まるで金縛りにあったかのように身動き一つ取ろうとしない。
「クラウド、思い出した?わたしと約束──したよね?」
「──エアリス、ごめん。こんな大切なこと、簡単に忘れてしまって」
「気にしないで?思い出してくれたならそれで十分」
身を震わせた。あれだけエアリスの言動に疑問を持っていたクラウドが、彼女の瞳を覗いただけで思考を放棄してしまったのだ。
「はぁ!?はあああ!?何がどうなってんの!?」
「エアリス!何をしやがった!!」
「きっとまたクラウドの記憶を弄ったんだ!」
仲間達が次々に非難の声を上げるもやはり届かない。私たちはただ無力に地に這い蹲るしかなかった。
「クラウド、おいで?」
エアリスは中央の大型ベッドの端に腰掛け、甘い声音で誘い込む。
その妖艶さに飲み込まれるように、クラウドは吸い寄せられていく。
「……エア……リス。エアリスのところに……行かない、と……」
クラウドはエアリスの誘いに導かれるように歩き始めた。
一歩、また一歩と距離を詰めていく様は、まるで操り人形のようだった。
「やめてクラウド!行かないで!」
私は必死になって叫ぶ。だが、その声は届かない。
クラウドは記憶のみならず思考すらもエアリスに支配されてしまったとでも言うのか……。
「あぁ……エアリス」
クラウドがエアリスの前に辿り着いた時、既に彼の瞳からは光が失われていた。
やはり完全に洗脳されてしまっている。虚な目で、それでも尚エアリスを求め続ける姿はあまりにも痛々しく目を背けたくなる。
「ふふっ……やっと来てくれたね。クラウド」
「ごめん、こんな大切な約束を忘れるなんて。俺……」
「気にしないで。クラウドが謝ることじゃないから。それに、本当はわたしが守ってあげなきゃいけなかった。ごめんね」
エアリスはクラウドの頬に手を当てながら囁く。その表情は慈愛に満ちており、同時に底知れない邪悪さも漂わせていた。
「いや、俺が弱いせいだ。弱いからソルジャーにもなれなくて、エアリスを守れなかった。エアリスとの約束も、守れなかった」
「ううん、クラウドは強いよ?弱さを認めて強くなろうとするクラウドが好き。でも、もう無理しなくていいんだよ?わたしも、無理しないから」
「エアリス……」
二人の世界が完璧に構築されていく。私達は蚊帳の外だ。ベッドの上で交わされる会話は、互いを肯定し支え合う理想的な関係。けれどそれが如何に歪であるか私達だけは知っている。
「ちゃ、茶番!!茶番過ぎ!よくそんな嘘で固めた設定を平然と披露できるよね!しかも幼馴染で、約束とか!どんだけ自分に都合良いのさ!?」
「エアリス!いい加減にして!クラウドを解放して!」
ユフィとナナキが懸命に訴える。だが、その声は虚しく響くだけだった。
エアリスは完全に二人の世界に没頭しており、私達の言葉など聞く耳を持たない。
「クラウド。キス、して欲しいな」
「……その、いいのかな?」
「ふふっ……これからエッチするのに、恥ずかしがらなくてもいいんじゃない?」
「す、すまない」
照れくさそうに頭を掻くクラウド。その初心な反応は女性に対して奥手な彼らしい。
でも、今はそんな初々しさを楽しむ余裕はない。寧ろそれがエアリスの狙いなのだと思い知らされる。クラウドは徐にエアリスの肩を抱き寄せる。そのままゆっくりと顔を近づける。二人の距離が縮まり、唇が重なり合った。
「あ……ああ……」
息が詰まる。視界が歪む。胸が締め付けられる痛みで涙が出そうだ。
そんな残酷な現実を目の当たりにしていながら私は動けない。ただ地に仰向けになりながら無力感に打ちのめされていた。
「んっ、はぁ……」
エアリスの吐息が漏れる。それは次第に激しさを増していき、二人の接吻は情熱的なものへと変わっていく。
遠目からでもわかる舌を絡め合う濃厚なディープキス。唾液が糸を引くほど密着して交わるその姿はあまりにも淫靡だった。
「はぁ……んちゅ……♡クラウド、上手……♡」
「っ、エアリスが、俺に合わせてくれるから……」
「んー?照れてる?可愛い♡」
エアリスが悪戯っぽく笑いながらクラウドの頬を指でなぞる。その触れ方はまるで恋人同士の親密さだ。
クラウドもまんざらではなさそうな様子でその仕草を受け入れている。彼の中でエアリスは既に大切な存在となっているのだろう。その事実を突きつけられ胸が抉られる。
「こ、この変態ヤンデレ女!アタシ達になんてもの見せてんの!?」
「クラウド……お前……!」
「エアリス!許さないよ!」
仲間達の罵声も虚しく響くばかり。エアリスは気に留める様子もなく、更に行為を進めようとしている。
「クラウド、服。脱がせて」
「あ、ああ……えっと、上からでいいのか?」
「んふふ♡うん、任せる」
促されるままにクラウドがエアリスの衣服に手をかける。赤色のジャケットからピンクのロングのワンピース、肌を隠していた黒いインナーへと順序良く脱がしていくその手つきはどこかぎこちなく見えた。
「んっ……ふふ……♡ちょっとくすぐったい……♡」
「ご、ごめん」
「大丈夫。続けて」
羞恥心からかエアリスの頬が紅潮している。クラウドも戸惑いながらも手は止まらず、とうとう彼女は生まれたままの姿になった。その肢体は女性らしくふくよかで、それでいて引き締まっている健康的な魅力に溢れている。
「綺麗だ、エアリス……」
「ありがと。クラウドも脱いで?」
「……うん」
素直に頷き、自身の上着を脱ぎ捨てるクラウド。その上半身は鍛え上げられた筋肉に覆われており、端正な顔立ちと相まって彫刻のような美しささえ感じさせるものだった。
「クラウド、逞しい……♡」
「そ、そうか?エアリスに言われると、嬉しいな」
「ほんとに?ならもっと褒める」
エアリスがクラウドの胸板に触れ、愛おしそうに撫で回す。その手付きには官能的な意図がありありと感じ取れた。そして同時に私達への挑発でもあることは明白だった。
「お、おいまさか……」
「エアリス!アンタ、マジで何考えてんの!?」
「クラウド!目を覚まして!」
仲間達は必死に叫び続けるが、その声は虚しく響くばかり。クラウドは完全にエアリスに魅入られてしまっている。
「クラウド、下も全部脱いじゃお?ね?」
「わ、わかった……」
促されるままズボンと下着を脱ぎ去ったクラウドは、遂にその肉体全てを露わにする。股間部にぶら下がる男性器は既に屹立しており、その大きさに思わず目を逸らしそうになる。
「おっきい……クラウドのおちんちん……」
「そ、そんなことないと思うけど……」
「嬉しい。わたしで興奮してくれてるんだ♡」
恍惚とした表情を浮かべ、エアリスがクラウドの性器に手を伸ばす。その指先は優しく、それでいていやらしく陰茎を包み込むように動いていく。
「ふふっ……ねぇ、ティファ」
「っ!?」
突然名前を呼ばれ、心臓が跳ね上がる。エアリスは私の方を見ながら、妖艶な笑みを浮かべていた。
その瞳の奥底には、確かな敵意と優越感が潜んでいる。
「見せてあげるね?クラウドがどれだけわたしのモノになったか。どれだけわたしに夢中になったか。お花に囲まれながら、いーっぱい絶望してね?」
「あ……ああぁあぁ……!!」
全身から力が抜けていく。かつては聖母のような包容力を見せていたエアリスという女性は、今や悪魔のような残忍さで私達を嘲笑っていた。
この後起こる惨劇を予感し、私はただ泣き叫ぶことしか出来なかった……。
エアリスのヤンデレは?
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最高
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いいぞもっとやれ
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似合わない
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怖い